「紅色天井艶妖綺譚」ゲーム感想



紅色天井艶妖綺譚紅色天井艶妖綺譚

LoveDelivery 2008-08-29
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時代もの(和もの)な18禁BLゲーム、しかも伝奇(妖怪)要素あり、ということで、発売を楽しみにしていました。
短期間にちまちま延期されたので(実際は、2ヶ月だけの延期なのですが)、なんだかずいぶん待たされた気がします〜。
ブランド「LoveDelivery」から発売される、2作目の18禁BLゲームです。
ゲームタイトルは、「べにいろ てんじょう あやかしきたん」と読みます。
(『艶』の字は置き字です。読みません〜)


時は、江戸。妖と人が共存する日本。
妖(あやかし)と人間の間に生まれた、「半妖」(はんよう)の青年、藍丸は、妖の雷王(らいおう)、弧白(こしろ)と共に、萬屋(よろずや)を営んでいた。
そこに、行方知れずになった夫を探して欲しいという依頼が舞い込む。
その依頼の影には、忌まわしい妖刀が関わっていた……。
一方、同じ頃「半妖」の藍丸を人間に戻そうとする浪人や、彼を助けてくれる侍が現れる。
彼らの目的は、一体何なのか?彼の周囲はにわかに騒がしくなる。
そんな折、人にまぎれて商人としても過ごしている、江戸の大妖、羽織役でもある嘉祥(かしょう)から、正式に妖刀討伐を依頼される。
藍丸は、それを引き受けるが―――。



時代物のBLは好きなのですが、ゲームではあまり見ない設定(亡きマリンハートのいくつかと、時代は違うけどVivid Colorの「花町物語」くらい?)なので、本当に楽しみにしてました!
キャラクターの服装や髪型はかなりアレンジされていますが、それ以外の風俗等は、結構本格的に江戸時代を意識して作られていたと思います。
お江戸の町を藍丸と歩いている気分でプレイできて、楽しかったです。


システムは、クイックセーブ&ロードやボイス再生など、AVGに必要なものは一通りそろっていて、快適にプレイできました。
セーブ数も100個と多かったですし、既読スキップも速く、選択肢を選んだ後も既読スキップが持続されて、便利でした。
ちょっとめずらしい機能としては、他社ゲームで「コイビト遊戯」にもあった、任意のボイスを保存出来る、というもの。
これも90個も保存出来るので、お気に入りの台詞をちょこちょこ保存しつつプレイしました。
公式サイトには何故か空き容量が3G必要とあったのですが、実際は1.1Gでした。
DVDロム1枚で、ディスクレスプレイ可です。
DVDケースに入っているマニュアル(取扱説明書)は、裏面白紙の二つ折りの紙一枚に、必要最低限の事項(インストール、アンインストール、操作方法、連絡先)のみが書いてあるだけでした。
定価が8190円のゲームなので、せめてマニュアルは冊子で、物語紹介やキャラクター紹介くらいも載せて欲しかったですね……。


テキストは、主人公視点よりの三人称です。
複数ライター(3人)ですが、特に齟齬や違和感はありませんでした。
読みやすい文章だったと思います。
時代物なので、ちょっととっつきにくい用語(漢字)もあるかと思いますが、大体は文脈で理解できる範疇なのではないかと。
妖怪関係の特殊用語は、文中で適時、説明されてますので、これも特にわかりにくい、ということもありませんでした。


お話は、基本、一本道です。
江戸を騒がす妖刀を操っている下手人を探して捕まえる……、というのがメインで、妖刀事件の下手人や、真相部分は共通しています。
ですが、そこに至るまでの展開は、攻略キャラによって違いますので、繰り返しプレイしても、飽きずに楽しめました。
1周目にかかった時間は、文字表示をノーウェイト、ボイスを飛ばさずに聞いて7時間程でした。
2周目以降は、1キャラ3時間半〜4時間程度で、フルコンプまでにかかった時間は、20時間弱程でしょうか。
ボリュームは、多すぎず、少なすぎず、と言ったところですね。

内容は、全体的にシリアス寄りです。
キャラルートに入る後半は、妖刀事件に絡んで、恋愛関係も進展していき、どっちも目が離せず、一気に読み進めました。
総受け主人公の藍丸は、見た目よりもちゃきちゃきの江戸っ子です。
一本筋が通った、切符のいい男前っぷりを見せる反面、お付の妖たちに甘やかされて育ったため、着物も自分ひとりでは上手く着られず、金鍔も綺麗に切り分けられないという箱入り息子な一面もあって可愛かったです。
シリアスな展開だけじゃなく、攻略キャラや、非攻略キャラとのちょっとしたコミカルなシーンも途中に挿入されていて、メリハリが効いていて良かったと思います。
仕事の合間に、同じ半妖の友達の宗也(そうや)と、大黒屋(おおぐろや)という甘味処で、好物の金鍔を食べながら、宗也の恋話を聞いたりと、微笑ましいシーンがお気に入りでした。
なんか、学校帰りに甘いもの食べつつ気になる子の話をしている女子高生みたいな二人で、可愛かったです……v
宗也は、奉公先の竹細工店のお嬢さんが好きなので、攻略キャラではありませんが、おっとりしたいい子で、和みました。
(その後の展開を思うと、非情に胸が痛くなるんですけどね……)
シリアスな中でも、藍丸と、登場人物たち(攻略キャラ、非攻略キャラの友人や町の人や妖たち等)とのやりとりが、生き生きしていたのが、好印象でした。

攻略キャラは、元々側にいる、妖の雷王と弧白の二人と、人間で、藍丸を助けてくれた侍の今日丞(きょうすけ)と、人間にすると言う理由で襲ってきた、浪人の桜螺(さくら)の4人です。
ヤンデレな妖の七絡(ならく)は、攻略キャラと言うよりも、バッドエンド要因と言った方がしっくりくるような……。
エンドは、メイン攻略キャラのベストエンド4つに、七絡エンド(バッド扱いですが、七絡にとってはベストエンドだと思います)と、緋王という、1周すれば出てくる隠しキャラ(?)に関係するエンドの、合計6つです。
恋愛方面は、後半で妖刀事件に絡んで一気に進むので、元から一緒に居た妖二人はともかく、人間二人はちょっと展開が速く感じるかもしれません。
でもまあ、火急の事態に一気に盛り上がるのよ!ハリウッドのパニック映画と同じで!
……と、受け止められなくもないので、個人的にはこれはこれでOK(?)でした。
それと、藍丸は気持ちのいい江戸っ子なので、ちょっと話しただけでも、結構好きになっちゃうタイプなのではないかと思われます。
実際、藍丸は、敵味方含めて、全方向から、モテモテでした(笑)
藍丸のピンチにさっそうと現れるお侍、今日丞は、あまりのタイミングのよさに、ちょっとうさんくさく感じるのですが、ふたを開けてみると、いまどき(の、攻略キャラとしては)珍しい、王子様のようなキャラで、むしろ新鮮に感じました。
いや、この手のキャラって、たいてい、裏があったりするので……。
たまにはこういう、裏表なく王子様みたいなキャラもいいなあ、と思いましたです(笑)
桜螺は、最初は思いっきり敵役みたいな立ち位置なのですが、いざ和解してみると、怖いと思っていた不良が、実は校舎裏で捨て犬に餌をやっていた的なキャラ(その例えはどうなんだ)で、攻略していくうちに好感度があがっていくタイプでした。
桜螺と行動を共にしている、刀の憑神(ツキガミ)の蝶籠(ちょうちょう)のエピソードがよかったです。ラストは、しんみりしました……。
このルートだと、藍丸の男前度がアップするのも、プレイしていて、気持ちよかったです。
元々側にいた妖怪二人は、今まで家族のように思っていたのが、事件を通して関係が変わる……、という、ある意味、ストレートに王道な展開で、萌えました!
キャラ的にはお父さんと言うか、お母さん(むしろ、ばあやだった)な雷王が好きなのですが、エンドは断然、弧白が好きです!
再会エンドが大好物なのですが、再会するまでの時間が経過すればするほどいい、という趣味(?)なので、狐白エンドは己にとって、クリティカルヒットなエンドでした〜w
このお付の妖怪二人は、攻略しているときもしてない時も、それぞれいい味を出していてよかったです。
藍丸(たぶん真ん中にして)と、川の字で寝ている、という設定で既に激萌えでした(笑)
藍丸の、日常生活能力の低さから見て、「母親からしつけを任された」雷王にしても、藍丸を独り立ちさせる気は鼻からなかったんじゃないだろうか……という気がしました。


妖刀事件の下手人は、単純に見るとヤンデレ七絡(ネタバレなので伏せておきます)なのですが、いくつかのルートプレイすると、他の思惑があった事もほのめかされています。
フルコンプすると真相がわかる、という作りではないのですが(一応基本のオチはどれも同じ)、別キャラのエンドでは裏設定が見える……という感じだったところはよかったです。
主人公・藍丸の父親である大妖のことは、亡くなったらしき母親のことも含めて、何か言及があるのかと思ったのですが、その点は特に明かされなかったのがちょっと残念でした。
ここの部分を、何か(ドラマCDとかファンディスクとか!)で明かされるといいなあと思います。


絵は、水彩風の塗りが、和なテイストに合っていて素敵なのですが、いかんせん、18禁BLゲームとして肝心要な、絡み絵が、あまり萌えなかったのが、残念でした……。
単品のイラストや、Hシーンじゃない絵はよかったんですけど、やっぱ、18禁ボブゲのメインは絡み絵ですしね……。
Hシーン自体は、結構長く描写されていて、テキストや声優さんの迫真の演技がよかっただけに、絵が萌えないのは本当に残念でした。
体位も、皆ノーマルな感じというか(正常位?っていうのかな)だったので、もうちょっと、バリエーションが欲しかったですね。
でも、Hシーンスチルでの藍丸の表情が、細かく変化していたところは萌えでしたv
立ち絵は、表情差分も細かくてよかったと思います。
テキストウインドウ枠にも、表情差分がありましたが、立ち絵の表情が変わっていたので、こちらは別になくてもよかったかな、という気がしました。
(立ち絵は、主人公もあり。テキストウインドウ枠横の表情差分も、主人公だけではなく、そのとき会話しているキャラ分ありました)


BGMは、ちょっと少なかったですが、作品の雰囲気に合っていて良かったと思います。
恋愛エンドの部分でかかるBGMが好きでした。(この曲を聴くと、感慨深い気持ちに……)
戦闘時に、カットインのエフェクトがありましたが、せっかく(?)の妖怪バトルなので、エフェクトは、もう少し凝って欲しかったなあと思いました。
藍丸は炎使いで、雷王がイカズチを放って、狐白が眷属を飛ばしたりしてるので、もうちょっとこう、それっぽく、炎がめらめらして火花がぱちぱちはぜる様なエフェクトとか。
でもまあ、エフェクトがあっさり目だったので、その分、動作は軽かったんですけどね〜。


和物で妖怪な18禁BLゲーム、ということで、期待してプレイしました。
結果、思っていた以上に萌えたし、楽しんでプレイ出来たので、ここはもうちょっと、な部分もありましたが、大満足です!
何より、藍丸のキャラが本当によかったです。
主人公がいいと、どのシーンも楽しくプレイできますねv
和物、大好きなので、LoveDeliveryさんには、ぜひまた、この路線でBLゲームを出して欲しいです。
欲を言えば、攻略キャラとのその後のラブラブを描いたファンディスクとかドラマCDも出してもらいたいです〜!!

[Lovedelivery] の【[BL]紅色天井艶妖綺譚】

紅色天井艶妖綺譚


2008/9/2




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