「EUREKA」シリーズ ゲーム感想

4部作予定の全年齢同人オリジナルBLファンタジー作品「EUREKA」(エーヴリカ)の感想です。


「EUREKA Act.1」感想


前から気になっていた、全年齢女性向けファンタジー4部作の「EUREKA」(エーヴリカ)。
本編Act.3がもらえる応援バナーキャンペーンに参加したので、この機会にAct.1と2をDL購入してみました。
(いきなり3からプレイすることになっても、わけわからなさそうですしね・笑)


その世界では、ヒトXX個体が誕生前に死に到り、男しか存在しない。
人々は、「生命の月」と呼ばれる神秘の石を用いて、子をなしていた。
そこは孤崖と呼ばれる結界に封印され、中心には、始まりの日より存在すると言う、巨大な塔がそびえ立つ。
豊かな自然に恵まれ、決して欠けることのない月を持つ、閉じられた世界―――EUREKA(エーヴリカ)。

名門騎士の家柄、ヴェーグナー家の養子であるフェン。
騎士団への入門を果たした彼は、同じ騎士で友人でもあるレックスと、アノマリーの巣になっている村へ向かう。
アノマリーとは、空間を歪ませ人に害を及ぼす、謎の生命体だ。
その村は、かつて大量のアノマリーを発生させ、村人を壊滅させた。
レックスは、その村でただ1人の生き残りだったが、事件以前の記憶を失っていた。
2人は、何らかの手掛かりを探るため、村の建物へと潜入するが……。



4部作予定で、1部10話構成の、全年齢向けオリジナルファンタジーです。
一応、ボーイズラブとのことですが、1部ではまだ、恋愛模様らしき展開は出てきません。
登場人物が多く、話が展開していくに従って、少しずつ、キャラ同士が絡んでいくので、今後、恋愛展開が来るとしたら、2部以降になるのでしょうか。
「男しか存在しない」と言う世界設定なので、ボーイズラブと言っても、同性愛的なニュアンスはなく、男同士で夫婦、許嫁、という言葉が当たり前のように出てきます。
ゲームとは関係ないですが、この世は異性愛に基づいた価値観と言うか、家族関係で回っているんだなあ……と、同性間のパートナーを表す、ぴったりした日本語がないことで改めて気付きました。
これからの日本で、もし同性パートナー婚が可能になったら、その時は、ぴたっとくる言葉が出来てたらいいなあと思いました。

システムは同人ゲームではおなじみのNSCripterで、AVGに必要な機能は一通りそろっています。
ただ、このゲームは、会話文を台詞枠サイズのウィンドウで、状況説明文などは全画面で表示されているのですが……。
私はいつも文字表示速度を、ノーウェイト(瞬間表示)にしているのですが、台詞枠ウィンドウから全画面表示、全画面表示から台詞枠ウィンドウ、と切り替わる時、何故かノーウェイトが解除されてしまうのが、地味に困りました。
コンフィングを開いて、文字速度をクリックすると直りますが、文字表示切り替わり時は必ずノーウェイト解除になってしまうので。何故だ……。
バッグログ(履歴表示)で、台詞ウィンドウから全画面表示になると、台詞ウィンドウ表示での履歴が見られなくなる(逆も同じ)なのも、やっぱりちょっと不便でしたね。
台詞ウィンドウ枠の背景色が、背景が透けて見える薄い紫で、文字色が白だったのですが、背景によっては、ちょっと字が見え辛い時がありました。
ウインドウ枠の背景色をもう少し濃くするか、文字色を変えて欲しかったかも。
そして、バッグログでの既読時の文字色も、未読時と同じだったので、それも出来れば変えて欲しかったですね。
気になったのはこのくらいで、後は特に問題なくプレイできました。
プレイには直接関係ないですが、起動した時見られるはずのムービーが私のプレイ環境(Vista32ビット)では見られなかったので、公式のサポートを参照して、見られるようになりました。


10話構成だと書きましたが、最初からすべての話を見ることはできません。
ゲームは、スタートから開始されるのではなく、「エピソードを選択する」から各エピソードを選択して進んでいきます。
まずは「Episode01」を読み終えることで、他エピソードが開きます。
エピソードの最後に、そのエピソードのタイトルが表示されます。
その時読めるエピソードを読み進めていくことで、他のエピソードが開くようになります。
エピソードには途中で選択肢があり、他のエピソードの展開や、エンドに影響していきます。
(選択肢のないエピソードもあります)
最初の「Episode01」を読むのにかかった時間は、40分ほどでした。
それ以降のエピソードは、それぞれ、おおよそ20分〜30分ほどでしょうか。
エンド数は、バッドエンドと、次回へと続くグッドエンドの2つです。
最初に到達したバッドエンド(Episode09)までにかかった時間は、4時間20分ほどでした。
やり直して、グッドエンド(Episode10)までにかかった時間は、既読部分をスキップして、1時間くらいでした。
フルコンプまでにかかった時間は、5時間20分ほどですね。
オマケは、タイトル画面の「回想」から、スチルの鑑賞ができます。
スチルの枚数は、全部で11枚でした。
最初、12枚目に表示されている月の絵をクリックしても何も起こらなかったので、これはいったい何……?と思っていたのですが、起動時にムービーが表示されるようにした状態でクリックすると、ちゃんとこちらからもムービーが表示されるようになりました〜。


お話は、まずは、騎士になりたての少年、フェンが友人の騎士レックスと、人に害をなす謎の生命体・アノマリーの巣になっている、レックスにも因縁のある村を訪れることで始まります。
廃墟となった村の施設の地下で、何らかの研究の痕跡を見つけるフェンとレックス。
次々と襲ってくるアノマリーを退治している内、フェンは何故か遠く離れた場所へと飛ばされます。
そこでマリスという医者と、キリクという少年に助けられます。
そこでもマノマリーが現れ、退治した後、騎士団のある聖都ファティマへ戻ると、フェンの身に思わぬ災難が降りかかり、そこから話が大きく動いて行きます。
フェンはこのゲームの重要なキャラクターの1人ではありますが、彼がこの作品で唯一の主役、というわけではありません。
各エピソードによって、核となるキャラクター、舞台となる地域が違ってきます。
エーヴリカの世界には、それぞれに文化や風習の違う国・地域があります。
フェンのいる聖都ファティマは、中世ヨーロッパ的な外観や風習を彷彿とさせますが、「Episode02」で登場する、火那乃国は東洋的な外観や風習で、ファティマ側から見ると異教徒になります。
他にも、太古から受け継がれる技術を伝え続けている、マイスターと呼ばれる技術者集団が暮らす閉鎖的で、外観はSFチックな地域のインディナス・マイヤー。
聖都ファティマを総本山とするマルディス教団と対立し、別の肉体を宿主とすることで生き続けている、かつてはマルディス教の始祖の弟子であったという「裏切りの使徒」シオウル・ツィツムを頭とする、魔術結社、シオウル・セル。
……等の、異なる文化や風俗を持つ地域が登場し、それぞれに考え方や立場を事にするキャラクターが登場し、話が進んでいきます。
作り込まれた世界観が、違和感なく存在し、話が展開していくところも、この作品の見どころだと思います。
地域によって、だいぶ異なる外観をもつ世界なので、読んでる方は頭が混乱しそうですが、1つのエピソードにまとめて異なる地域を詰め込むのではなく、各エピソードで、それぞれの地域を1つずつ紹介していき、ある程度、地域もキャラクターも出そろい、把握できたところで、別々の場所や接点のなかったキャラが繋がり、話が動き出していく……という流れだったので、スムーズに読み進められました。
1エピソードの長さも、おおよそ30分前後で読み進められ、ちょうどいい長さです。
ファンタジーはちょっと苦手、という方にも入りこみやすいのではないかと思います。
全くバラバラであるかのように見えていた、異なる場所で動いていたキャラクター達が、終盤近くのエピソードになるに従って、またはバッドエンドを見た後、新たに増えた選択肢を選ぶことによって、接点を持ち、話が繋がっていく様子は、パズルのピースがはまって新しい絵が見えてくるかのようで、興味深かったです。
Act.2へと繋がる形で、Act.1は一旦終りを迎えましたが、まだまだ全体図はこれからです。
Act.1で新たに知った出来事を元に、それぞれ異なる目的を持ったキャラクターたちがどう動いて行くのか。
すでにAct.2もDL購入してるので(こう言う時、DL購入はすぐにプレイで来て便利ですね!もちろん、パッケージ販売もありますよ)、続きも楽しみです。


ちなみに、Act.1プレイ終了時点でのお気に入りキャラクターは、新米騎士のフェンです!
礼儀正しく、友達思いで一生懸命、でもちょっと天然?なところが可愛いです〜。
そんなフェンとどうやら不思議な縁がありそうな、記憶喪失の黒髪の少年、キリクもセットで好きです。
Act.1では、それほど2人の接点はなかったのですが、会話するシーンがなんだか微笑ましくて和みました〜。
親友スキーなので、レックスも捨てがたいのですが!
剣の師匠になった、火那乃国のトウガとも中々イイ感じだったし、この先BL展開が来るとしたら、フェンのカップリングはどうなるのか、それも気になります〜!!
さすが、男しかいない世界なだけあって、素敵なキャラがよりどりみどり!
どういうカップリングがきてもおかしくないので、BL的な展開も(あれば)楽しみにしていきたいと思いますv

2011/1/31
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「EUREKA Act.2」感想


Act.1から、間を置かずにAct.2もDL購入したので、こちらも早速プレイしてみました。
フェンのその後を気にしつつ、スタートです!


マルディス教団の陰謀に巻き込まれ、異端者の烙印を押されてしまったフェン。
彼は、侵入者との戦いにより殉職したとされていた兄が、生きている事を知る。
フェンは、兄がいると言う辺境の地、レジデンツへと向かう。
一方、火那乃国の王子であるカグヤは、自分の出生の秘密を知り、衝撃を受ける。
そして、父の本当の子であるフェンに会いに、聖都ファティマへと向かうが―――。



全年齢向けオリジナルボーイズラブファンタジー作品「EUREKA」4部作の、2作目です。
「今までのあらすじ」を読んだ後、「エピソードを選択」で、Episode11から読み進めていきます。
前作と同じく、10話分(Episode11〜20)が収録されています。
エンド数は、前作より少し増えて、4つあります。
バッドエンド3つに、Act.3へと続くグッドエンドが1つ。
ちなみに、エンドの数え方は、Act.1から引き継がれていて、Act.2で見られるエンドは、エンド3、4、5、グッドエンドの4つです。
これに最初気付かなくて、しばらくして、
「回想は全部埋まったのに、エンド1と2を見てない……。ハッ!エンド1と2は、Act.1のエンドの事か!!」
……と、気付きました。
きっと、同じ人がいると思うの……。存在しないエンド1と2を探そうとした人が。
いや、エピソード数が、Act.1から通算になってるので、気付いてしかるべきなのかもしれませんが(^_^;)
システム周りは、Act.1と同じなので、割愛。
回想で見られるスチル枚数もAct.1と同じで、11枚+ムービーです。


1エピソードを読むのにかかった時間は、前作と大体同じで、20〜30分程度でした。
最後の方、エピソード19、エピソード20はちょっと長めで、それぞれ50分くらいかかりました。
フルコンプまでにかかった時間は、前作よりエンド数が増えた事もあって、1時間くらい増えて、6時間半ほどでしょうか。
実際は、エンド5を探すのに手間取ったので、フルコンプするまでにもうちょっと時間がかかってますが……。
登場キャラもさらに増え、世界の謎もちょっとずつ明らかになっていくと同時に、新たな謎も増えて、益々、お話に厚みが増していっていました。
Act.3への期待が、早くも高まります〜!
前作と通してプレイして見て、トータルでの主人公は、やっぱりフェンなのかな?という印象でしたが、今回クローズアップされていたキャラクターは、マルディス教団と敵対する組織、シオウル・セルに所属する、銀髪の魔導騎士、イシュトですね。
Act.2は、イシュト編といっても差し支えないくらい、彼の生い立ちや、組織に所属する目的等が明らかになっていきました。
イシュトは、兄弟萌え的にも美味しいのですが、組織で師弟関係にある、セディアとの関係もさりげなく美味しいです。
バッドエンドに進む時の、ラストあたりの選択肢で、セディアに会いに行ける選択肢があるのですが、ちょっと美味しいやり取りもあります。
あのまま泊ってどうしたんだろう、という、ね……!
貴重なBL成分として色々妄想させていただきました。
いやでも、あの状況だったら、やることは一つだと思うのですが!(BL的には)
でも、BL成分的に言うなら、フェンの兄のサイファと、その許嫁であるエルザが、ついに再会を果たしたので、その辺のやり取りに注目ですね。
ちょっぴり三角関係っぽいエピソードもアリですよ!
だがしかし、肝心の、フェンの恋話は、特に進展がなく……。
キリクとも相変わらず、ちょっとしか接点がないもんなあ。
いっそのこと、トウガとくっついちゃってもいいんじゃない?と、予想と期待を入り混ぜながらプレイしていました。
フェンの方はまだなんというか、自分の周囲で起きている、不穏な事態に対処するのに精いっぱいで、恋愛とかそこまで意識を向けるまで、中々いかないという……。
教団の闇に迫ったりしてるので、そりゃ優雅に恋してる場合じゃないよな、とは思いますが、そこはそれ、危機的状況で愛が芽生えるとか、BL的に期待してるんですが……!
Act.3で、フェンにも恋話がきますように……。


今回も、前作から引き続いて、たくさんの魅力的なキャラクターが登場しましたが、Act.2でのお気に入りキャラは、フェンの兄上です。
料理が煙幕になるって、それはどんな食べ物なんですか、兄上……!(笑)
家事は壊滅的ですが、騎士団再生の立役者として頑張って欲しいです。
今回は弟とともに結構見せ場がありましたが、次回はたぶんなさそうな気がして寂しい……。
エルザとの結婚式シーンを、是非見てみたいです。
この世界の男同士の結婚式って、どんな感じなのかなあ……?


ちょっとずつ、世界の謎が見えてきましたが、真相はやはりまだこれから、といったところ。
それぞれの思惑が絡み合って、この世界の未来が、どう変わっていくのか。
Act.3で見えてくる、EUREKAの秘密が、今から楽しみです。

2011/2/3
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EUREKA

[CyberGeo] の【EUREKA Act.2 Olam Briah】


2011/2/3