「裸執事」ゲーム感想
ゲーム発売よりもずいぶん前に発表されたOPソングが、耳に残る電波ソングで一部で話題をかっさらった「裸執事」が満を持して発売されました。
『ご主人様には絶対服従。執事を裸にむいて、いたずらしまくれ！』という個性的なキャッチコピーに、自分がBLゲームに求めるものとはおそらく違う方向性のゲームだろう……と、購入予定にはありませんでした。
が、発売後すぐに、何気なくのぞいたGirls-Styleのモニターで追加募集がかかっていたので、応募してみたら、お得価格で入札できてしまいました。
そんなわけで、予定には全くなかったのですが、うっかり(笑)プレイすることになってしまいました……！
大学生の前田智明は、バイトをクビになってしまい、途方に暮れいていた。
そんな時、一人暮らしのアパートに舞い込んだ一枚のチラシが目にとまった。
日給３万円で、座っているだけでOKな、誰でも可だというその怪しすぎるバイトに、背に腹は代えられぬと面接を受けに行ってみることにした、智明。
向かった先には、途方もない白亜の豪邸と、見目麗しい執事たち。
そして肝心のバイト内容はと言えば、今は不在の旦那様に代わって、『ご主人様』として、この屋敷で１ヶ月間、過ごして欲しいというもの。
執事には、どんな命令を下してもいいらしい。
戸惑いながらもそのバイトを引き受けて、『ご主人様』になった智明は、やがてサディスティックな自分に目覚めて行く……。
今、あらすじを打ちながらも、いやいや、いくらなんでもそんな胡散臭いバイト、引き受けちゃダメだろ、トモちゃん！って思いました。
まあフツーに考えて、騙されてるだろ、と……。
しかし、その辺の疑問は、フルコンプする頃には綺麗に解消されていますので、ご安心(？)を……！
制作発表当初は確か、同人レーベルのゲームだったように記憶しているのですが(実際、公式サイトのアバウトを見ると、サークル、とありますし)、雑誌の扱いが大きいなあ……とか思っている内に、いつの間にか、商業レーベルとして発売されていました。
（ソフ倫の18禁シールが貼られていますので、同人レーベルとしての発売ではないかと)
ユーザーとしては、商業ゲームの方が購入しやすいので(取り扱いショップの数などで)、ありがたいですね。
DVDディスク1枚で、ディスクレスプレイ可です。
動作環境に、DirectX9.0c以降に対応とあって、これまでにプレイしたゲームが同じ条件で何事もなく動いたので、ゲームインストール時にDirectXのインストールはしなかったのですが、それだと起動できませんでした。
改めて、ゲームディスクに入っていたDirectXをインストしたら、ちゃんと起動して、ほっとしました。
いつもDirectXを更新してない方も、念のためインストして更新させた方がいいかもしれません。
起動後は、何事もなく無事にプレイ出来ましたが、環境によってはインストが上手くいかない、セーブが出来ないなどの症状が見られるそうなので、そういう方は公式サイトのサポートを参照してください。
（修正パッチは出ていませんが、対処法が載っています）
ゲームの進行は、マップ移動と、選択肢で進みます。
マップ移動は、基本的に攻略したいキャラを追っかけていればOKです。
複数キャラを同時には攻略はできないので、ひたすら一人を追っかけるプレイスタイルになります。
マップ移動後に起きるイベントで、時々あらわれる選択肢を選んで、エンドまでたどり着きます。
ゲーム内の期間は、バイト期間である、1ヶ月間です。
エンドによっては、それよりも早く終わる場合もあります。
１日２回、朝と夜に行動できます。
が、夜は何もしないで「寝る」を選ぶケースが多かったですね。
もちろん、夜に行き先を選んで起こるイベントもあります。
シナリオは、基本主人公視点で、主人公一人称で進みます。
（まれに、主人公が関与しない場面では、三人称進行です)
ちなみにこのゲーム、企画・シナリオ・原画を、倒神神倒(とうごうみと)先生(男性)が、おひとりで担当されています。
シナリオと原画が同じ方だと、『ここだ！』という場面には漏れなくスチルが入っているので、いいですね！
システムは、普通にAVGとしてプレイする分は特に問題ありませんが、いくつか気になる点がありました。
セーブやロードが、メニュー画面からしか出来なかった点。
テキストウィンドウ枠のボタン一覧に、「セーブ」を作って欲しかったですね。
「クイックセーブ」の項目はあるのですが、「クイックロード」はメニューを押してからじゃないと出来ないのも地味に不便です。
セーブ画面やロード画面で、セーブした場所をクリックして実行するんじゃなく、セーブした場所を選んで、右下にある「セーブ」or「ロード」ボタンをクリックして実行、というのもひと手間余計でした。
そして、どのページにセーブしても、ロードする時は必ず１ページ目が表示されると言うのも、いかがなものかと思います……！
最後にセーブした場所のページを、ロードした時に開くようにして欲しかったですね。
テキストウィンドウ内に表示される、文字の大きさも、見づらい、とまでは言いませんが、やや小さめでした。
個人的には、もう少し大きく文字を表示して欲しかったです。
タイトル画面から見られるおまけに、ギャラリーとエンドリストしかないのも……。
「センセイ、シーンリスト忘れてますよ！？」と、思いました。
例えエロシーン回想ばかりになろうとも、シーンリストは欲しいです。
音楽鑑賞もありませんでしたが、これは予約特典（モニター購入でもつきました）にサントラCDがついてるので諦めますが……出来たら欲しかったですね。
エンドリストが、ホントにエンド名を確認できるだけなので、ここからエンドシーンが鑑賞できると良かったです……！
ギャラリーにはスチルとエンドの達成率が表示されるのですが、それにもかかわらず、ギャラリーの、スチル差分枚数が表示されていないのは不親切だと思いました。
どの差分を取りこぼしていてギャラリーが１００％になっていないのかがわからなかったので、ギャラリー１００％にするのに苦労しました！
せめてこれだけでも、修正パッチでも出して差分枚数表示をして欲しいです。(今からでも遅くないです、センセイ！！)
セーブ数は100個近くあるので、自分で上手くセーブして、シーン回想代わりにするしかないようです……。
普通にプレイする分には、特に問題なく、既読スキップ（未読をスキップさせることも可）も早かったです。
プレイ時間は、ボイスを飛ばさずに聞いて文字表示速度ノーウェイトで、１周目で４時間半程度でした。
キャラルート分岐、最初のマップ画面にたどり着くまでのプロローグに、１時間くらい。
そこから、一ノ瀬鬼畜エンドを見るまでにかかった時間が、３時間半ほどだったので、合計すると１周４時間半ですね。
一ノ瀬ルートをコンプするまでにかかった時間が、６時間４０分ほどでした。
２周目以降は、キャラによって１時間くらい誤差があるのですが、最初に鬼畜エンド(主人公がご主人様で終るグッドエンド)を目指して、それぞれ３時間半〜４時間半程度、キャラルートコンプにそれぞれ５時間４０分〜６時間４０分ほどでした。
その他に真相ルート（裸執事エンド）や、一本道のエクストラを見た時間も合わせて、フルコンプまでにかかった時間は、３７時間４０分ほどでした。
BLゲームとしては、かなりボリュームがありました！
声は、ごくごく一部の一瞬しか出てこないようなモブキャラを覗いて、豪華フルボイスです。
ただしモブとのエッチシーンがある時、そのモブキャラにはばっちり声がついています。
表名で出演されてる方もいて、佐久間さんの中の人とか、いいんですか……？と、こっちが不安になってしまいました(笑)
ご主人様とコックの中の人は、なんとこれがBL自体に初出演だそうで！
いきなりこんな濃ゆいのからBL出演したら、後はどんなBL関連のオファーがきても、大丈夫ですね！
メインキャラの方たちの演技は、ホント絶品でした！
割とバリエーションのある喘ぎ声も、ばっちり演じ分けられていて、プロってすごいな！と思いました。
スチルは、差分抜きで１４０枚。
その６割ほどがエロスチルです。
８割近くが…と書こうとして、実際にカウントしてみたら、非エロスチルも４割ほどありました。
実際プレイしてた時は、８割くらいエロだった気がしたんですがｗｗ
差分が凄く多い（特にエロスチルの差分）ので、余計にそう感じたのかもしれません。
構図はやや男性向けっぽい、受けがピンでアレコレされているスチルが多め（すみません、こっちはちゃんと数えてません〜）な印象でしたが、ちゃんとBLっぽく２人で絡んでるスチルもあります。
基本、ご主人様が執事にエッチなイタズラを一方的にあれこれ仕掛ける、というシチュエーションが多いので、必然的に、エッチスチルで受けがピンになりやすいんだと思います。
佐久間さんとのファーストエッチ時の差分が５０枚あるのに、作者の眼鏡執事にかける愛を感じました。
それなのにギャラリーで差分表示カウントがないのは、もはやバグだと思うんですよ、センセイ……！
いつもの感想では特筆して語らないのですが、このゲームでは語らないとイカンでしょう！ということで、エッチシーンについての感想も。
プレイ前は、もっと最初の方から、ガンガンエロい展開が来るのかな、と思っていたのですが、そんなことは無く、最初の方の智ちゃんは、至ってフツーの大学生です。
割と好青年なのに、一体どうやってご主人様プレイに目覚めて行くのか……と、ガクブルしつつプレイを進めたのですが、その辺りは意外とナチュラルに展開していました。
前半〜中盤のエロなし展開を経て、後半の怒涛のエロ展開に向かう流れがスムーズで、思ったよりも入りこみやすかったです。
いきなり智明が豹変した！という感じではなく、徐々に、元から智明が持っていたのであろう、Sな部分が目覚めてゆく……という雰囲気です。
この辺の流れは、ぜひプレイしてお確かめいただきたいところです。
そして肝心のエロですが、攻略キャラが５人もいて、１人１人のエッチシーンの回数が多いにも関わらず、誰１人としてエロシチュエーションが被っていないのが、圧巻でした！
エロばかりが続くと、飽きてしまいそうなものですが、シチュエーションが被っていないので、どれも新鮮な気持ちで楽しめました。
だんだん、次は智ちゃんはどういう無茶ブリをかましてくるのか！？と、ドキドキしてきたっていうか(笑)
BLで、とにかく色んなエロシチュが見たい！という方には、ぜひともプレイして欲しいゲーム、それが裸執事です！
ただし、ご注意いただきたいのは、そのほとんどすべての、
エロシチュエーションは、淫虐調教がメイン
……だと言うことです。
このゲームには、純愛エロはありません！その辺はホント、徹底しています……。
まさか、駿河問いまで拝めるとは思ってもみませんでしたよ！
シチュエーション的に要注意かな、というのは、複数プレイが多くある点です。
執事同士とか、執事とモブあたりはともかくとして、BLゲームとしてはめずらしく、主人公の大学生の同級生である、女子と執事の絡み、なんてのもあります。
女の子絡みのイベントは、見なくても真相ルートやエクストラは見られますので、BLで女の子とのエロはちょっと……、と言う方は、スルーしても問題ないです。(ギャラリーやエンドリストは１００％になりませんが……)
１キャラにつき複数回のアヘ顔スチルがあるのも、女性向け１８禁ゲームでは大変めずらしいですね。
特にアヘ顔が好きなわけでも何でもないのですが、２回目のアヘ顔を拝んだあたりで、すっかり慣れてしまいました……。
お話は、何かに目覚めたご主人様による、執事（と言う名の使用人）たちへの、凌辱調教ストーリーがメインです。
エロに特化したシナリオではありますが、思ったよりもずっと、１人１人のスト―リがーしっかり作られていて、エロ以外の部分も楽しめました。
結果的にやってる事が凌辱調教でも、攻略キャラがそこに至る過程や背景には、それぞれのストーリーが用意されていて、好印象でした。
エロシチュエーションそのものも誰ひとりとして被ることなく、途中のエロがなかったりする場合もありましたが、一応ラブラブなエンドも（表記はバッドエンドですが）あって、ゲームとしてのバランスも良かったと思います。
そして、この大変胡散臭い「ご主人様バイト」の真相を探るルート、裸執事エンドを経て辿り着く、そもそも「裸執事」とは何だったのか、というアンサーがわかるエクストラ(１本道の選択肢なしストーリー)では、うっかり感動してしまうと言う、実に奥深いBLゲームでした。
エンド数も多く、そのバリエーションも鬼畜なのからハッピーなのから即バッドなものまで、エクストラで見られるエンドまで含めて、全部で２７個と、たくさんありました。
同じエンドでもキャラによって展開が違うので、実際プレイするともっと多く感じますよ。
特に、エクストラで判明する裸執事へのプロローグは、ぜひともご覧いただきたいです……！
人を選ぶBLゲーム、であることは確かなのですが、エロが男性向けっぽいとかアヘ顔スチル満載だとかだけでスルーしてしまうには、惜しいBLゲームです。
公式サイトや雑誌などで、スチルやシナリオなどを確認した後で、ぜひご購入を検討していただきたい、意欲作です。
2011/10/17
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