「囲 −カコイ−」ゲーム感想
見知らぬ部屋で目覚めた『主人公』。
どうしてこの部屋にいるのか。ここはどこなのか。何も思い出すことができない。
それどころか名前をはじめとして、自分に関することもまったく思い出せない。
忘れてはいけない、何か大切なことがあったはずなのに―――。
密室で記憶喪失(とは厳密に違いますが)なボイスありの同人18禁BLゲームです。
a.m.さんの他作品、全年齢向けBLゲーム「私と、そして誰かの記録。」と同じく、こちらも特定の誰かを攻略することがメインのAVGではありません。
見知らぬ場所で目覚めた、自分に関する記憶もない主人公が状況をさぐっていって、真相にたどり着く(あるいはたどり着けない)までの過程の中で、BL描写もあるというアドベンチャーゲームです。
なので辿りつくエンドによっては、BL的な展開は一切ないまま終わってしまうものもあります。
『暗中模索BLアドベンチャーゲーム』という作品につけられたキャッチコピーがまさに言い得て妙なゲームでした。
エンド数は全部で6つ。
最初のエンドまでにかかった時間は約10分くらいで、フルコンプするまでにかかった時間は約2時間ほどでした。
コンプすると(もしかしたら、EDロールの流れる真相エンドを見たらかも)エクストラから3本のアナザーストーリー、キャラクター設定が見られるようになります。
他にエクストラではCGとシーン回想が見られます。
スチル枚数は差分抜きで13枚。(本編10枚、アナザーストーリー3枚)
公式のユーザーページからDL出来るパッチをあてると、コンプ後に音楽鑑賞が追加されます。
真相を目指す一本道のストーリーで、他のエンドは真相到達前に枝分かれしていく形のAVGです。
ルート制限がかかっていて、最初から真相に辿りつくことはできません。
公式サイトでDL出来る体験版でもエンドが2つみられます。
体験版で確認できるのは、部屋の住人らしい穏やかで品のいい『謎の青年』が姿を見せるものの、主人公の身に何が起こったのかはわからないままで終わってしまうエンドなので(そりゃ体験版で真相が分かるわけないだろって話ですが)、一体主人公に何が……!? とすっごく気になって製品版の購入に至りました。
部屋で主人公が目覚めた時にかかっているBGMが、いかにも不安をあおる感じだったのも続きを知りたい欲求を後押ししました。物陰に何か潜んでそうなBGMなんですよ…!
そんなわけで、このゲームをプレイ開始した時はひたすら主人公に何が起きたのかを知りたくてプレイに集中してました。
状況がわからないまま展開がループするので、主人公以上にプレイしてる自分も、これちゃんと部屋から出られるんだろうか(クリア出来るんだろうか)と段々不安になりながらプレイ……。
そこから、ようやく部屋から出られそうな展開になって、やったー!ってところで『主人公』と『謎の青年』の関係が進展するわけです。
……なので『主人公』と『謎の青年』に色めいた展開が来た時、思わず驚いてしまいました。
その時にはもうすっかり部屋から脱出できるかどうかに気を取られていたので、これがBLゲームでもあることを半分忘れてました(笑)
主人公に何が起きたか分からないまま終わってしまう、BL要素のないエンド1、2(体験版で見られるエンド)を数回さまよった後だったから、余計びっくりしたと言うか。
絵柄の感じから18禁と言ってもさらっとした描写なのかなと思ってたら、テキストは結構しっかりエロかったです。ボイスもあるとこういうシーンはやっぱり雰囲気出ますね〜。『謎の青年』がエロの時に見せる普段とのギャップが萌えでした…!
閉じ込められていると言う特殊な状況下で、閉じ込めた相手にに惹かれていくというとストックホルム症候群を連想しますが、それだけじゃない理由も真相エンドへと進む過程でやがて明らかになっていきます。
この辺の感想を詳しく語っちゃうとモロにネタバレになるので控えますが、『謎の青年』がした事に対して『主人公』が最終的に取った行動は正しくはないのかもしれないけど、そういう受けとめ方もあるんじゃないかなと……。
純粋なハッピーエンドとはちがいますが、危うくても、こんな形の幸せもあるのかもしれないとそんな風に思えて、私は結構好きな雰囲気の結末でした。
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2013/3/15