「黒の十字架」ゲーム感想



黒の十字架 ~per aspera~黒の十字架 ~per aspera~

フェレット 2004-07-16
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現在は解散してしまったブランド、フェレットの最後の作品です。
バグがありますので、要パッチ。
オフィシャルサイトはすでにありませんが、りぺあさんからパッチがDL出来ます。
パッチを当てると、それまでのセーブデータが使用できなくなりますので、プレイの前にパッチを当ててください。


物語の舞台は、魔女裁判の盛んな、中世ヨーロッパ。
商売で成功した主人公の青年、ヴォルフは母と弟の待つ故郷へと帰ってきた。
だが久しぶりの故郷で過ごす、穏やかな日々は長くは続かなかった。
母と弟が魔女の疑いを掛けられ、捕まってしまったのだ。
出かけていて難を逃れた主人公は逃げ出した先で、新しく赴任してきた審問官と出会う。
彼を殺し、家族の魔女への疑いを晴らすため、審問官にすり替わって魔女裁判へと潜入するが……。



マリンハートの姉妹ブランドですが、今はもう解散してしまったようです。
(もしかしたらマリンハートももう解散しているのかも。休止状態がずいぶん長い……)
システムはマリンハートとほぼ同じです。
セーブ数は100個と多め。
既読スキップの速度が、時々オートがちょっと速いくらいの、まったり速度になる事が。
もしかしたら使用環境によるのかもしれませんが……。
そこそこ快適、といった感じのシステムです。
あと、別に書かなくてもいいかもしれませんがボイスは無しです。
あったら、結構すごいことになってたと思うんですが(笑)


絵は、割と綺麗なものと、そうでもないものとバラつきがあります。
おそらく原画さんは、少年絵が得意で、青年絵が苦手なのではないかと思います。
ロタール、モーリッツなどの少年絵に比べて、フランツや変装後のヴォルフ(ヤーコプ)などの青年絵でやや崩れたものがあったので……。
塗りは、淡く暗めの色調で、物語の雰囲気に合っていたと思います。
CG枚数は、差分含めて85枚、抜かすと75枚(←一応数えたので合ってるかと)と、中々頑張ってると思います。
そのほとんどがエロスチル、という潔いものですが、グッドエンドで見られるキススチルもよかったですv
立ち絵、一枚絵も割りと綺麗だったのではないかと。


物語は、中世ヨーロッパで魔女裁判がテーマ、というBLゲームにはめずらしい設定です。
詳しくないので、細かいところは分かりませんが、少なくとも素人目には時代的におかしなところは目に付かなかったので、スムースに世界観に浸れました。
主人公の一人称で、個人的には読みやすい文体だったと思います。
一部のバッドエンドを除くと、ほぼ主人公攻めなのも、BLゲームの中ではめずらしい方かも。
ちなみに、カップリング的にはバッドエンドや話の途中の拷問シーンでたまにあるのを除いて、脇カプやリバはありません。
話は三部構成になっていて、主人公の村での話・ハルツ村編、審問官として潜入する話・ゴルトブルグ編、枢機卿を訪問する話・ハイリゲンヴィント編に別れています。
思ったよりもボリュームがありました。
姉妹ブランドのマリンハートのゲームよりも長い方ではないでしょうか。
魔女裁判の審問官、という主人公の設定上、ハルツ村編を過ぎると、拷問、と称したエッチシーンがばりばり出てきます。
その性質上、ハードなものも多数ありますので、そういうものが苦手な方は要注意です。
ある程度BLゲームに慣れていたら大丈夫だとは思うのですが、もう感覚が麻痺しちゃってますからねー、自分……。
弟と審問官になった後で捕まった親友を助けるために、孤軍奮闘する主人公ですが、特殊な状況下で次第に残酷な一面が覗いてくる……その心理面の変化も見所だったと思います。
ですが、グッドエンドではちゃんと、各キャラとラブラブになれますのでご安心を。
シーン回想には各キャラとのグッドエンドや、バッドエンドが収録されましたが、シーン回想に含まれないバッドエンドもあり、多様なエンドが楽しめました。
ハーレムエンドもあったのですが、主人公攻めのあるゲームって、大概これがありますね。
(例:俺の下であがけ、ハンクス・ワークショップ!、鬼畜眼鏡)


個人的に好きなエンドは、モーリッツエンドと、ハインリヒエンドです。
モーリッツは、主人公に触発されたのかハイリゲンヴィント編での変貌っぷりには目を瞠るものがありましたが、基本的に従順で素直で、可愛かったです〜。
グッドエンドで表示されるスチルが好きでした。
ハインリヒは、何というか、見た目に反して強烈なキャラでした。
真面目すぎて極端って言うか……。
その分、心を開いてくれたら素直で可愛い人になりそうな予感……!(ドリーム)
他のキャラではグッドエンドでもエッチシーンがあった(クレメンスもなかったですが、ヴォルフ×クレメンスのエッチシーンは多かったので……)のに、ハインリヒはキスだけだったのが残念でした。
あの先が、あの先が見たかったのに〜!


拷問したり、免罪状を手に入れるために陥れたりと、その度に結構ハードなエッチシーンがあるため人を選ぶゲームだとは思いますが、世界観、物語、共によく出来ているので、中世ヨーロッパの暗く重い雰囲気を楽しみたい方には、十分堪能できるのではないでしょうか。
万人向けではありませんが、個人的にはお薦めです。


2007/8/8




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