「マギア・ミスティカ―精霊魔術士―」ゲーム感想
制作発表から5年の歳月を経て、ようやく発売されました!
ホントに5年間じーっと待ち続けてきた方にとっては、実に感無量であろうBLゲームです。
よくぞ制作中止にならなかったなあ。
無事発売された事を何より祝いたいゲームです。
5年の間に、全年齢だったものがR指定、15禁になりました。
が、ボイス無しなのはそのままです。
魔術機関《オグドアス》に所属する唯は、若年でありながら強大な魔力を持つ精霊魔術士として将来を嘱望されている。
しかし4年前、師であるグレンの裏切りにあい、《種子》と呼ばれる呪物を体内に埋め込まれ、成長が止まり、常に魔力に飢える状態に身体を変えさせられた。
そんなある日、唯は日本の全寮制男子校で頻発している精霊事件を解決すべく、表向きは生徒として派遣される。
唯はチームを組んで任務にあたることになるが、同時に《種子》によって多くの魔力を必要とする唯の身体に、魔力供給をする、《契約者》を選ぶ事を任じられるが……。
システム面は、ビジュアルアーツ系なので快適です。
AVGとしての機能は一通り揃っていますので、特にストレスを感じることなくプレイできると思います。
基本は選択肢を選んで進む読み物系のAVGですが、章の終わり辺りにカードバトルが挿入されます。
水・火・土・風の属性カードを使い、パートナー一人を選んで敵と戦います。
カードバトルは好感度とは無関係のようなので、攻略中のキャラ以外をパートナーに選んでも大丈夫です。
が、せっかくなので私は攻略中のキャラを選択してプレイしました。
カードバトルは簡単なので、属性を無視して戦いでもしない限り、勝てるのでご安心ください。
お薦めプレイ方法は、水・火・土・風全部のカードを使ってコンボさせること。
これで1500くらいのダメージを与えられます。
後は敵がコンボ攻撃のターン時に、パートナーに守護カードで守ってもらえれば、楽に勝利できます。
むしろ、もう少しゲーム性があってもいいように思いました。
難易度を選択できるようにして、後でカードバトルだけでも遊べるようにするとか。
楽勝すぎてカードバトルが作業っぽくなったのがちょっと残念でした。
2周目以降は、キャラ固有の必須バトルと、ラスボス戦以外の序盤〜中盤の戦闘はスキップできます。
カードバトルや、シナリオ部分の戦闘シーンでの、魔方陣などの演出が凝っていて、魔術戦の雰囲気を盛り上げていて、とてもよかったですよ〜!
セーブ数も100個と多いです。
めったに使わないのですが、「前の選択肢に戻る」機能もあります。
セーブする時に、コメントも記入できるとなおよかったんですけどね。
セーブした日時と章、キャラルート入りした時はキャラ名、しか表示されないので、しばらく時間経過した後にプレイ再開するときは、何をセーブしたのか忘れそう。
1周(または、キャラエンドを1つ見た後?)に、タイトル画面から、スチル回想、シーン回想、音楽鑑賞が出来るようになります。
スチルは全部で74枚です。(差分抜き)
開発年数を思えば、スチル枚数はもう少し欲しいところですが、プレイしてみて特に少ないとは感じませんでした。
でも、攻略キャラによってスチル枚数にバラつきがあるのは、いただけないと思いました。
(村上・゚・・゚・・゚・(ノД`)・゚・。)
シーン回想に、シーンタイトルが記入されておらず、Chapter01、Chapter02……と表示されているだけなので、一応キャラ別には分けられていますが、ぱっとみてどれがどのシーンなのかわからなかったので、この辺は次回作ではぜひ改善していただきたいです。
攻略人数は6人。バッド要員としてあと2、3人います。
基本的に純愛系で、攻略キャラのバッドエンドも一部を除いて、個別ではありません。
主人公の唯は総受けです。
純粋な総受け主人公のBLゲームは、案外少ないので貴重なのではないでしょうか。
先にも書きましたが、15禁です。
どの辺が、というかどの程度が15禁なのかな、という感じですが、スチルがないだけで描写的には結構18禁に近いです。
寸止め、とかではなく(笑)
一応、いたしてるのではなく、魔力供給している、というシーンなのですが、あれってそのつまり、やってるんだよね……?
下腹部ってどこよ!と突っ込みながらプレイしてました(笑)
15禁でもここまでやれるんだ!という、ギリギリのエロスを堪能できました。
個人的に、魔術供給と称したキスシーンが多かったのが嬉しかったですv
シナリオのボリュームは、結構あるほうです。
フルコンプしてみて、20時間ちょっとくらい。
ボイスのないゲームですので、読むのが速い人だったら、もう1〜2時間ほどは短いかもしれません。
共通パートが6時間ほどと、長めになっています。
ですが、その分キャラルートが短い、ということはないのでその点もご安心を。
声があったら、かなりボリュームを感じたのではないでしょうか。
メインライターさんの他にも、サブライターさんが3人いるのですが、複数ライターによる違和感は特に覚えませんでした。
やや固い文章ながらも、読みやすかったと思います。
基本は主人公視点の、三人称のテキストです。
製作日数が長かったので、最初に描いたスチルと最後のほうに描いたスチルは雰囲気がかなり違ったりするんじゃなかろうか……と、心配したですが、そんなことはなかったです。
塗りもキレイで唯ちゃんが可愛いです。
ただ、構図がバストアップが多かったのが、ちょっと単調だったかな。
この辺は前々作のセラスパもそうだったので、これも次回作では改善して欲しいところですね。
立ち絵は、1種類のみ。
ウインドウ枠横に表情差分があるので、立ち絵は変化しません。
主人公の立ち絵もあります。
唯ちゃんだけ制服がハーフパンツ&ニーソックスなのでホントかわいーです。
4年前から成長を止めている、ということは、見た目は14歳くらいなのかなー。
(たぶん、主人公たちの学年は、高校三年生だと思われる。はっきり明言してませんが)
BGMは、ゲームの雰囲気にマッチしていて、世界観を引き立てています。
ゲームに先行して出た(ほんとは同時発売でした。ゲームが延期したので)サントラと、予約特典のミニサントラで、BGMはおおよそコンプできるのかな?
サントラも購入したいですね。
お話の方は、共通パートを過ぎ、キャラコ別ルートに入ると、あまり被るところがなく、最後まで楽しくプレできました。
初回プレイにはルート制限があり、朱里かリヒトしか落とせないようになっています。
メイン扱い(?)なのか、この二人のシナリオは特に読み応えがあって面白かったです。
とはいえ、他のキャラルートが物足りなかったのかと言うと、そんなことはなく、独特の世界観や、《魔術士》という存在やあり方などに、それぞれ違った方向からアプローチをかけていて、どのルートをプレイしても新たな発見があり、楽しめました。
フルコンプしてみて、お話として多少の疑問に思う部分もありはしましたが、どうしても引っかかって消化不良……とまではいかず、読後感も爽やかで、気持ちよくエンドマークが打てたと思います。
主人公は、ぱっと見、ツンデレっぽいですが、実際のところは特殊な環境や生い立ちにより、一般的な生活や人との関わりに慣れていないだけであって、基本は素直な少年です。
精霊事件を解決していく過程で、仲間と打ち解け、信頼関係を築いていく様子も初々しく微笑ましく、唯の成長を温かく見守りたくなりました。
ルート的にお気に入りなのは、唯の過去や出生の秘密もよくわかって読み応えがあった、従兄弟の朱里ルート、普段のつかみどころのない軽薄な態度をカモフラージュに、悲壮な決意をして生きていたリヒトルートです。
エピローグがラブラブで好きなのは、スチル枚数が恵まれなかった(根に持ってる……苦笑)、村上ですね!
とはいえ、どのルートもそれぞれに見所があって、甲乙つけがたい出来だったと思います。
前作、前々作のファンには間違いなくお薦め、b_works作品初挑戦、という方にも、しっかりと丁寧に作られた良作なので、ぜひプレイしていただきたいです。
ボイスがないのはやはり残念ではありますが、そのことによってこの作品の魅力が損なわれる事はないと思います。
ボイスがないのはちょっと……という方にも、お薦めです。
キャラクター設定(ラフ)、ショートノベル2本、用語集が載った小冊子も読み応えがありますので、ぜひ小冊子がつく初回限定版があるうちの購入を!
作りこまれた世界観と、魅力的なキャラクター、そして15禁の限界に挑戦したギリギリエロスをご堪能くださいませ!
2007/12/19
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