「守り鬼」(もりおに)ゲーム感想



どうやってサイトにたどり着いたのかは忘れてしまったのですが(笑)、しっとりとした雰囲気のあるゲーム紹介ページのTOPイラストに惹かれて、体験版をプレイ。
続きがすごく気になったので、製品版の完成を待って購入しました!
ちなみに、体験版の感想はこちらです。
サークル『楽鬼』さん制作、18禁ファンタジーBL同人ゲームです。
なお、購入方法は今のところ、DL販売のみ(DL価格1,000円)です。(詳しくは、『楽鬼』さんのサイトでご確認ください)


ごく普通の高校生、伊佐美 夕貴(いさみ ゆうき)は、ある日目覚めたら、何故か、見知らぬ森にいた。
戸惑う夕貴の前に現れたのは、どう見ても角を生やした男。
2本の角を持つ彼は自分のことを、人間ではなく『鬼』だと言う。
いぶかしがりながらも、夕貴は、『二角鬼』、焔(ほむら)に、とりあえずついていくことに。
彼の村に向かう途中で、今度は1本の角を持つ鬼、『一角鬼』に出会う。
夕貴をこの世界に呼んだのは、『一角鬼』のレキであるらしいが……。



システムは、同人ゲームでは吉里吉里と同じくらいおなじみのNSCripterです。
音楽や効果が切り替わるとき、たまにちょっとだけ待ち時間がかかる時があったのですが、これはPC環境によるかもしれない……ので、基本、快適にプレイできると思います。
文章履歴が、全画面表示なのに会話一つ分ずつしか表示されない(1ページにつき、ウインドウ枠に表示される分の文章量しか表示されない……)ので、もう少しまとめて読めると便利でした。
その他は、既読スキップもそこそこ速かったですし、セーブ数も200と多く(コメント記入も可能)、クイックセーブ&ロードもあって、使いやすかったです。
タイトル画面のOPTION(おまけ)から、EVENTCG(スチル回想)とRecollection(シーン回想)を見ることが出来ます。
初回プレイ(1周目)にかかった時間は2時間40分ほどで、フルコンプまでにかかった時間は、既読スキップを使って5時間20分くらいでした。


内容は、異世界(←厳密には違うのですが、冒頭の状況から便宜上こう呼ばせていただきます〜)にいきなりダイブ!系のファンタジーです。
シナリオは、主人公視点の三人称です。
最初、一人称?と思ったのですが、よく読んだら三人称でした。会話のテンポがよく読みやすい文章でした。
ファンタジーものは、世界観などで特殊用語が使われるため、読んでいて混乱するときがままあります。
が、ストーリー展開中、要所要所で夕貴が尋ねたり、突っ込みを入れたりしながら、その部分についての説明が、うるさくない程度に適切に入ってますので、特に混乱することなく、スムーズにお話に入っていけました。
攻略キャラは、この世界で最初に目覚めたときに出会った、2本の角を持つ『二角鬼』の、焔(ほむら)と、夕貴をこの世界に連れてきた、夕貴のことを『王』と呼ぶ、1本の角を持つ『一角鬼』のレキの2人で、ルートも主に焔ルートとレキルートに分かれます。
焔ルートをプレイした後に、レキルートをプレイするのがお薦めですが、もしかしたら、レキエンドは、焔エンドを見た後じゃないと開かないよう、ルート制限がかかっているかも?
最初からレキエンドにもいけるかもしれませんが、未確認です〜。(スミマセン)
仮にレキから攻略出来ても、全体的な展開を考えると、焔→レキとプレイしたほうが、わかりやすく、すっきり気持ちよく、このお話を読み終えることが出来るので、レキを最後にプレイしましょう!

お話は、プロローグ、第壱話、第弐話、第三話、第四話、最終話と構成されていて、焔ルート(紅の章)とレキルート(蒼の章)に分かれています。
(選択肢によっては、最終話まで行かないときもあります)
エンド数は全部で9つ。(ベストエンドは焔、レキ各1つずつ)
プレイ記念に攻略ページも作ってみましたが、難易度は高くないです。
人間が居ない、鬼だけの世界で、最初に出会った鬼の焔や、この世界に自分を連れてきたと言う鬼のレキと共にすごし、次第に心を通わせていきます。
主人公・夕貴にまつわる、彼自身のことや、元いた世界のことは、焔ルートだけでは分かりません。
すべての種明かしは、レキルートまでをプレイすると、判明するようになっています。
(なので、焔→レキと攻略するのをお薦め&もしかするとレキにルート制限があるかも?と思った次第です)
レキエンドまで見ると、『そういう事だったのか……!』という驚きがありました。
夕貴が時々、フラッシュバックで思い出していたものが、ラストでぴたりと繋がるシーンは、圧巻でした!
詳細を語ると激しくネタバレするので、ここでは伏せます。
気になる方は、ぜひプレイしてください!(←不親切な感想ですみません。でも書いちゃうと面白さ半減なので……)

真相部分を語れないので、キャラ的なことや、18禁BLな部分を語りますね!
主人公の夕貴は、元の世界ではまだ学生で、見た目は可愛い系の男の子ですが、結構、ツッコミ系です。
思ったことは、ハキハキと口に出すタイプです。
容赦ないツッコミも入れますが、基本は明るく、優しい少年です。
そして、土壇場で底力を発揮するタイプです。
待つ恋愛ではなく、煮え切らない男を最終的には、追いかけてぶつかっていく、そんな漢前(受け)な夕貴は、見ていて気持ちよかったです!
というか、焔&レキの攻め二人が、イザっていう時にヘタれる……自ら引いちゃってるんですね。
それは夕貴を思いやるが故だったり、他にも何らかの事情があってのことだったりするのですが。
焔は、最初から夕貴に好意全開の、俺様ワンコタイプ、レキは夕貴を王として過保護なくらいに守ろうとする、従者タイプ、と系統は全然違いますが、夕貴に対して最後にとる態度、行動は不思議と似通っています。
なので、どうしても、夕貴が漢前にならざるを得ないんですね。
とはいえ、攻めタイプが違うので、恋愛の過程はそれぞれ異なっており、どちらのカプも楽しめました!
好き好き光線出しまくりな焔には戸惑い気味に、王に仕える者として接してくるレキにはもどかしさを感じつつ、それぞれに惹かれていく夕貴の、揺れる心情もよかったです。
そんな夕貴を支える、美人なお姉さん鬼・雫(しずく)、主にレキルートに登場する雫の恋人でレキの部下の鬼・炎牙(エンキ)など、サブキャラクターも光ってました。
唯一の女性キャラ雫は、もちろん攻略できませんが(笑)、焔、レキ両ルートで、優しく、温かく夕貴の力になってくれるので、こんなお姉さんか友達が私も欲しいよ……!と思いました。
ネタバレに抵触するのでやっぱり詳しく書きませんが、展開によっては美味しいポジションになる、焔ルートで登場の継(けい)という鬼も、焔とは違ってナンパで軽〜いところが結構好きでしたv
続きもののお話のように、話数仕立てで展開していくのですが、各話の最後に、ちょっとした日常ストーリーが、SSのように挿入されているのも、コミカルで面白かったです。
普段はまじめなレキの、ちょっとしたお茶目(?)な一面が垣間見られたりして、楽しかったです。
全体的にはシリアスな話だけに、こういうほっと一息つけるシーンがあるのはいいですねv
うっかり書き忘れるところでしたが、Hシーンは、未遂っぽいもやバッドっぽいものを除いて、それぞれのルートで基本ラストに1回だけです。
貴重な1回(笑)だけあって、じっくり丁寧かつラブラブに描かれてあって、萌えでしたよv


スチル枚数は、差分抜かして、全部で20枚です。
ちょっと少ないかな?とも思いますが、全体的なボリュームから考えると、ちょうどいい枚数かも。
内訳も書くと、焔のイベント絵が7枚、レキのイベント絵が7枚、その他が6枚でした。
(共通ルート部分で焔もレキも出てくる絵はその他にカウントしてます。レキルートでレキが出てこない絵などもその他にカウント)
彩色がすごく綺麗でした!髪の毛のハイライトとかキレイ〜!
明るく、鮮やかに塗られていて、はっと目を引くスチルでした。
スチルの見せ方も、左右、上下にスクロールさせて見せたり、一部分を見せた後に全体図を見せたりと、演出の仕方もよかったと思いますv
絵柄は、最初にぱっと見たときは、ちょっと癖がある絵かな?と思ったのですが、いざプレイしはじめたら全然気にならず、どのスチルも夕貴が美人さんで、綺麗でした!
お気に入りは、レキが夕貴を抱っこして眠っているスチルですv
立ち絵の表情替えも細かく、通常の立ち絵の他に、カットインのように(漫画のコマみたいな感じ?)表情絵があるのもよかったです。
主人公は、カットインの表情絵が入る時もありますが、通常はウインドウ枠右横に、上半身(表情差分あり)が表示されていました。
背景は、どうやらフリー素材のようですが、世界観に合うものを上手くチョイスされていたと思います。
BGMも、ゲームの雰囲気に合ってました。
あと、最近は同人ゲームもOPムービーが凝っていてすごいな〜と思います。


応援バナーキャンペーンに参加したので、それぞれのベストエンド後のアフターストーリーが見られる追加シナリオのパッチも、しっかりあてましたv
焔とレキ合わせて合計8分くらいの、短いお話でしたが、その後のほのぼのとしたお話が読めて、嬉しかったです。
和みました〜!


今のところ、プレス版なしのDL販売のみなので、利用したことがない方には、ちょっと敷居が高いかもしれません。
今回、初めて同人ゲームをDL購入しましたが、支払い方法も色々あって、思ったよりも使い勝手が良かったので、ためらっている方も、レッツチャレンジ!DL購入は怖くない怖くない〜。
体験版をプレイしてみて、ちょっとでも気になったら、ぜひプレイをv
ファンタジー好きな方には特にお薦めです!
そうじゃなくても、ワンコ攻めと従者攻めと、可愛いのに漢前な受けが織り成すBLストーリーとしても、お薦ですよ〜。
ボリュームはコンパクトですが、お話はぎゅっと詰まっていて、読み応えのあるゲームでした。


[余白屋] の【守り鬼】


2008/8/17