「オメルタ〜沈黙の掟〜」ゲーム感想



オメルタ~沈黙の掟~オメルタ~沈黙の掟~

花梨シャノアールΩ 2011-04-22
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1年ほど前、制作告知が出された時は実はノーチェックでした。
が、「1キャラだけだが同軸リバがある」との情報をゲットしてから俄然興味が増し、モニター募集していたので入札してみたところ、落札できたのでプレイしましたv
本作は、10年くらい前に、デビュー作としてショタゲー「bois」を出した後、乙女ゲーブランドになった花梨が、花梨シャノアールオメガという別ブランドを作って出したBLゲーム第一弾です。


西暦20XX年、東京湾岸。
そこは、局地的な局地的な電磁波テロにより、犯罪と歓楽に満ちた移民街と化していた。
こまごまとした組織が跋扈する中、街を取り仕切っているのは2つの組織。
イタリア系マフィアの『キングシーザー』と、急成長している中華(香港)系マフィアの『ドラゴンヘッド』だ。
主人公の青年、JJは、幼い頃、海外を旅行中に両親を亡くし、ゲリラに攫われ傭兵として育てられた。
NPOに保護され、日本に戻ってきていた時には、過去の記憶を失っていた。
その後、施設を飛び出したJJが選んだ道は、フリーの殺し屋だった―――。

JJはある日、殺しの依頼を受け、あるパーティーに潜入する。
だが、そこで何者かにハメられて、すでに殺害された夫妻の部屋に立ち入ってしまった。
戻ってきた夫妻の息子、梓に現場を見られたJJは、思わず梓を現場から連れ出す。
現場を見られた梓を殺す事を、何故かためらったJJは、彼にすべてを忘れるようにいい含め、逃がそうとするが、両親をJJに殺されたと思い込んでいる梓は、復讐を誓い、JJに付いてきてしまう。
それから5年後。
梓との奇妙な同居生活が続く中、昔からなじみのバーのマスターに、マフィア「キングシーザー」絡みの仕事を依頼されるが……。


新たに別にBLゲーム用にブランドを立ち上げた第1作目なのですが、体験版がなかったので、実際にプレイするまでちょっとドキドキでした。
このブランドの乙女ゲーをプレイしたことがあれば、多少はシステム的なものも確認できたのでしょうが、「花梨」「花梨シャノアールオメガ」通して今作がブランド初プレイだったので……。
そういう方は、私以外にも多いと思うので、今からでも遅くないので! 体験版を! 公式サイトから配布してもらえると嬉しいですね。
やっぱ、動作確認ノーチェックでパソコンゲームを買うのはちょっとした冒険だと思うんですよね……。

そんなわけで、ドキドキしながらインストールした「オメルタ〜沈黙の掟〜」。
DVD1枚で、ディスクレス可能です。
以下、インストについてのちょっとしたトラブルを折り畳みます……。
環境にもよるだろうし、インスト先を変更しているので、あくまでこれは私の一例としてお読みください。(読み飛ばしても問題ないです)
【インストール悲喜こもごも】
なお、インストールせずに、PS2のようにディスクを入れっぱなしにしてプレイすることも可能です。
(セーブフォルダだけ作るそうです。非インストプレイは未確認です)


システム周りは、インストでつまづいた以外は、AVGとして必要な機能は一通りそろっていて、プレイし始めてからは特に問題ありませんでした。
一度だけ、タイトル画面でフリーズしたくらいでしょうか。
なお、ビスタと7で時々起こるらしいこのフリーズについては、公式のサポートで回避方法も記載されていますので、頻繁にフリーズされる方はご参照を。
これも環境によりけり、だと思いますので、そう心配せずとも大丈夫ではないかと……。
セーブ数も160個と多く、クイックセーブ枠も20個まで保存してくれます。
このゲーム、選択肢が時限制で、選択肢でセーブできません。
タイムオーバーになることで分岐するルートもあるのですが、他のほとんどの選択肢ではあまり時限制が影響してなかったので、フツーに選択肢でもセーブさせて欲しかったですね……。
OPムービーが終わったあたりで最初のセーブをするのがお薦め。
いつ選択肢が来てもいいよう、こまめなクイックセーブ推奨ですね。
ショートカット機能も一通りそろっていて、特にボイスを再生させる『V』キーがお役立ちでした!

システム面とはちょっと違いますが、文章の表示の仕方が気になりました。
このゲーム、基本は主人公の一人称で進み、主人公が出てこない場面では三人称で進みます。
その表示の切り替わりが何もなかったので、分かりづらい、とまではいきませんが(文章をよく読めばわかるので)、やはり場面転換時に「あれ?」と思う時がありました。
メッセージウィンドウを主人公とその他で変えるか、せめて文字色を変えるなどして、目で見てすぐにわかるようにして欲しかったですね。

エクストラ(おまけ)では、CG、シーン、アイテムリストが鑑賞できます。
アイテムリストとは、ゲームの進行中や、エンドを迎えた時に、キャラクターに関連したアイテム(キャラが使用した銃や、小物など)をゲットできるのですが、それが一覧として表示されます。
全部集めたからと言ってアイテムリストから何か見られる、というものではありませんが……。
アイテム自体は、集めることで別キャラルートや別シーンが開いた事を知らせる役割もあるようでした。
某キャラのグッドエンドを見るとアナザーエピソードが、某キャラ以外のすべてのグッドエンドを見るとグラウンドエピソードがエクストラから見られるようになります。
そして、大抵のゲームにはデフォルト装備されていることが多い、音楽鑑賞はついていません……。
ゲームと同時発売されたサントラを買ってね! ということでしょうか。
OPとEDは、BLゲームとしては珍しく中の人、主人公のJJが歌っていて、特別お上手、というわけではないのですが(失礼…)、プレイして行くうちにじわじわくるんですよね……。

ボイスは、主人公・メイン・サブ・ちょい役含めてフルボイス。
マフィアの幹部クラスの構成員や情報屋や関係者など、登場人物は結構多めです。
やっぱり登場人物多いものはフルボイスの方が違和感なくていいですね!
メインキャラは女性向けゲームでよくお聴きする方が多数出演されていて、安心して聞けます〜。
個人的には、宇賀神のデレ後のボイスが必聴です!

スチル枚数は、差分抜きで112枚。
1キャラにつき、13〜16枚ずつくらい。
極端に枚数の差はなかったと思います。
逆光と言うか、光があたったように見える描き方をされているものが多くて、綺麗でした。
ウィンドウサイズがおなじみの800×600よりも横長な、ワイドサイズだったので、スチルそのものも大きめで見ごたえがありましたね。
割と、最近のBL小説の挿絵とかでよく見るタイプの絵ではないかと思いますが、絵柄そのものも、ゲームの内容によく合っていました!
立ち絵と顔グラがあり、立ち絵があるのは主人公と攻略キャラ、出番の多いサブキャラ(マフィアの幹部とか)のみです。
顔グラはすべてのキャラにあって、チョイ役にも顔グラはついています。

エンド数は、割とたくさんありました。
各キャラにグッドエンドが1つずつ、シーン登録されるバッドエンドが1つずつ(梓は2つ。マスターも梓ルートで回収できるものを入れると2つ)。
他にも、シーン登録されないスチルのない即死系のバッドエンドがちょこちょこあるので、数は数えてませんが(もしかして見てないのもあるかも)、エンド数自体は結構あります。
即死系のバッドエンドはホント、選んだらすぐバッド、という選択肢失敗した!という感じのものです。
先述しました、エクストラから見られるアナザーエンドと、大団円的なグランドエンドも、CG鑑賞とシーン回想に登録されます。

コンプおまけ絵はありませんが、コンプするとタイトル画面からスペシャルページ(要ネット接続)を見ることができ、そこでパケ絵をちょっと変化させたようなラフ絵の壁紙が見られます。
立ち絵を使った壁紙と、描きおろしだと思われるちびキャラ(おめったーのちびキャラ)壁紙もあります。
スペシャルページでは他に、各スタッフのコメントや、SS、おめったーSS(ツイッターパロディSS)などが掲載されています。
今後もまだ更新されるようなので、楽しみです!


攻略キャラは、7名。
マフィアのボスや幹部、バーのマスターや同業者な殺し屋、同居している梓。
隠しキャラはいませんが、ルート制限はあります。
主人公のJJは、キャラによって、受けになったり攻めに回ったりします。
最初は主人公受け、最後は主人公攻めの同時間軸リバや、脇カプ(恋愛関係になるわけではありません)や、3Pなど、エッチの組み合わせは中々多彩でした。
エッチシーン自体は、スチルの切り替わり(1回のエッチにつき2枚くらいのCGが使用されてました!)や差分もあり、結構しっかり描かれていましたが、やってることは割とノーマルな雰囲気だったかな……?
よく聞くと、一部とんでもないことさらっと言ってるキャラがいたりとかもするのですが(笑)

ルートは3つに分かれています。
2つのマフィア、「キングシーザー」ルートと、「ドラゴンヘッド」ルート、そのどちらでもない「中立」ルートの3つです。
ルート制限があり、1周目では落せないキャラや、先にあるキャラを落としてから攻略可能になるキャラがいます。
(大体、幹部が先で、ボスが後に攻略できます)

プレイ時間は、ルートによってシナリオの長さがまちまちなので(DHルートと、梓のルートが長め)、誰を1周目にプレイするかで初回のプレイ時間が変わってくると思います。
文字速度ノーウェイトで、ボイスをほぼ飛ばさず聞いて、宇賀神を1周目にプレイしてかかった時間が、7時間20分くらいでした。
キャラによってプレイ時間の長さが違って、2周目以降は2〜4時間半ほどでした。
フルコンプまでにかかった時間は、エクストラのおまけエピソードも含めて、32時間くらいでした。
攻略キャラ人数と言い、プレイ時間と言い、結構ボリュームがあって、プレイしがいがありました!

お話の方は、主人公のJJがフリーの殺し屋、というだけあって、割とハードな印象でした。
JJは寡黙で孤独なスナイパー……とみせかけた、結構人のいいお兄ちゃんなので、銃撃戦やマフィア同士の抗争などでは冷徹なカッコよさを披露してくれますが、それ以外の日常(?)シーンでは、コミカルというかちょっと天然な部分も見せてくれる、愛すべき主人公でした。
さすが、受けも攻めも華麗にこなすだけあるわ!(笑)

ストーリーは、章仕立てで展開します。
ストーリーの区切りで、シーンタイトルがボイス付で表示されます。
キャラルートが確定するまでは、主人公ボイスでのみシーンタイトルを読みあげますが、確定すると、主人公と攻略キャラ両方がシーンタイトルをサラウンドで(笑)読みあげてくれます。
どうせなら、シーンタイトルの画面も、キャラによって変化するとよかったんですが。
マフィア絡みのハードなストーリー展開ですが、ずっと緊張するシーンが続く、というのではなく、くすっと笑うコミカルなシーンや、ほっと和むシーンも途中に挟まれていたりして、メリハリが合って、面白かったです。
抗争やら戦闘シーン描写に力が入っているのも、テーマを思えばいい感じでした〜。
銃撃戦などのスリリングなシーンでは、スチルのカットイン演出などが多用され、スピード感あふれる感じでとてもよかったのですが、正直、銃の細かい描写はやや鬱陶しかったです。
銃のうんちくは別にいらないですよね……?

肝心の内容ですが、DH、KC、中立派と3ルートに分かれ、ライターさんも複数いたためか、出来あがりや、シナリオの長さそのものも左右されてしまったかな、という印象でした。
フルコンプしてみれば、全体的には大変面白かっただけに、特にKCルートはもう少しこう、エピソードとエピソードのバランスを考えて欲しかったかなあと思いました。
キャラ自体はどのキャラも立っていただけに、余計にもったいなく感じたと言うか。
メインヒロイン的なポジションである梓が、DHルートにしか関わってこなかったのが敗因かな?
やはり、KCルートにも、梓は関わらせた方が、物語の内容的にも、展開的にも深みや緊迫感が増したと思います。
特にKCルートでの、DHとの対立シーンは攻略キャラとJJが二人一緒にいて活躍するシーンが見たかったですね。
KCのボスである瑠夏が、知らない内にDHにやられている、とかいうのはちょっとおいてきぼり感が……。
その点、DHルートは、攻略キャラの目的がはっきりしているためか、梓も関わって、主人公のJJが積極的に関わらざるを得ないからか、緊迫感もスピード感もあって、最後まで駆け抜ける感じでみごたえがありました。


荒廃した近未来の東京湾岸という世界設定がいかされたストーリー展開で、個性的で魅力的なキャラ達が活躍し、見応えがある作品でした。
サブキャラに至るまで、その場しのぎと言う感じが全くしないで、ちゃんと作り込んであるのも好印象でした。
これから、ドラマCDやコミカライズなどのメディア展開があるようなので、ぜひ、ファンディスクも! 作って欲しいですね!
本編のキャラエンドのその後と、グラウンドエンド後に改めて攻略キャラとくっつくファンディスクが欲しいなあ……!

オメルタ 沈黙の掟

2011/5/9




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