「sweet pool」ゲーム感想



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Nitro+CHiRAL 2008-12-19
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発売告知を雑誌で見て、ホラーものっぽいのかな?と興味を持ちました。
Nitro+CHiRAL作品第3弾(ファンディスクは除外すると)です。
ホラーというよりも、実際はエログロなので、そういうのが苦手な方は要注意です。
それと、今回の感想はいつもより若干ネタバレ度が高めなので、今からプレイする予定の方はそちらも併せてご注意……ご了承お願いします〜。


体が弱く、1年留年している崎山蓉司(さきやま ようじ)は同級生とあまり馴染めないものの、淡々と学校生活を送っていた。
だが数日学校を病欠し、久しぶりに学校に来てから、少しずつ周囲と自分自身にに変化が起き始める。
他の同級生から遠巻きにされている城沼哲雄(しろぬま てつお)や、変わり者として有名なかつての同級生、翁長善弥(おきなが ぜんや)が蓉司に近づいてくる。
それと同時期に、蓉司は体に苦痛を覚え、さらに奇妙な幻覚を見るようになるのだが……。



修正パッチが出てたので、当ててからプレイしてます。
システム周りはLamentoの時と大体同じです。
セーブやロード、コンフィングなどは右クリックでメニュー画面を出すかまたは、ショートカットキーを使い、セリフウインドウ枠ではテキストのみというすっきりしたものです。
セリフウインドウ枠に、キャラ名が表示されないので文章履歴で見ると誰のセリフなのかちょっとわかりくい所があるかもしれません。
クイックセーブは今回も無し。セーブ数の60個は、今回は余るくらいでした。
EXTRA画面(おまけモード)で右クリックしても、メニュー画面になるのはちょっと使い辛かったです。
1周目(睦エンド)にかかった時間は声を飛ばさずにプレイして5時間くらい、フルコンプまでにかかった時間は12時間くらいでしょうか。
スチルは差分抜きで90枚(背景画像を除くと差分抜きで84枚)と、ボリュームの割には多めでした。
ボイスは、脇役に至るまでフルボイスです。
哲雄の声が高校生とは思えないくらい渋くてカッコよかったです……!
原画さんは今回からオニツカセージさんになりましたが、このゲームの、話の雰囲気によく合っていたと思います。
アンニュイな蓉司の、儚げな美人さんっぷりがイイ……。
塗りや背景も、ちょっとセピアっぽい感じがこれまた感じが出ていて好きでした。


このゲームで特徴的なのは、選択肢がセリフや場所を選ぶものではなくて、「本能」「理性」という主人公の思考パターンをジャッジして進める2択なことです。
右上と左下に、血管ぽい、赤い模様(本能)と青い模様(理性)が表示され、どちらかをクリックすることにより物語が分岐していきます。
マニュアルをぺラッと眺めて開始した私は、最初この選択肢の意味がよくわからなくて、しばらくじーっと待ってしまいました(マヌケだ……)


初めにエログロだと書きましたが、このゲーム、かなり生々しいです。
肉々しいっていうか……!
どうやらグロいらしい、という前情報は仕入れていたので、心構えはある程度してたんですけど、それでも結構キツかったです。
話そのものは、序盤はちょっとテンポが遅く感じましたが、次第に蓉司に何が起きてるんだ!?と先が気になって、面白かったです。
なぜか洋画のエイ○アン3を見た時の心境を思い出しました。
出てくる出てくる……!
今から何か出てくるよッ……!ってドキドキ感が。
基本的にストーリーは一本道で、攻略できるのも哲雄のみです。
蓉司の同級生の睦(まこと)と、元同級生(現先輩)の善弥のエンドもありますが、扱いはバッドエンドに近いです。
(睦や善弥にとってはある意味グッドエンドなんだろうな……とも感じましたが)


じわじわと蓉司に変化が起きていく、先行き不透明な中にも、学生生活にまつわる萌えはちょこちょこありましたが、それも肉々しさの隙間に挿入されています。
一緒に勉強してたり、ラーメン食べてたりする蓉司と哲雄の二人はなんだか初々しくて微笑ましかったです。
こういう、二人ともが口数が少なく人付き合いを得手としない(または好まない、一匹狼タイプ)のカップルって、BL的にもちょっとめずらしかったので、互いに意識しつつもあまりそれを表に出さない(出せない?)風情が、可愛らしく映りました。
先の展開にはらはらしつつも、和みました……。


で、苦手な方は要注意なグロな描写ですが、ストーリーの中盤までは、その手の生々しいスチルはなく、テキスト表現のみなのですが、想像力豊かだとちょっときついかも。
私の場合は、特にそうグロが得意ではないのですが、
『主人公に今何が起こってるんですか……!?』
という方により意識が向いてたのと、
いきなりガツン!とハードな表現がくるのではなく、話が進むにつれで徐々にレベルアップ(?)していったこともあって、次第に慣れていき、そのものズバリなスチルがラストに表示された時は案外普通に見ることができました。
慣れってコワイ……。
むしろ、序盤の時の表現の方が『うわぁ……』って感じでした。
が、それも後半に進むにつれそれどころではなくなっていくという。
ホラーな気持ちでプレイし始めたのが、中盤系でサスペンスドラマを手に汗握って見てる心境になり、最後は切ない系の純愛ものを読み終えたような、そんなゲームでした。
グランドエンドを見た時は(あの蓉司の最後のボイス聴いた時……!)、胸が詰まるような切ない気持になりました。
同時にそれだけじゃなく、蓉司が生きた軌跡も、確かにここにあったんだな、というしみじみとした感慨も湧きました。
心に残るラストでした。


個人的には好きなゲームで、こういうBLゲームもいいなあと思います。
ですが、人を選ぶゲームであることも確かですね……。


2008/2/26




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