「大正メビウスライン」ゲーム感想



B009EOUIA0大正メビウスライン
LoveDelivery 2012-12-21

by G-Tools


ほぼ発売日通りに入手して、早三年――。
本編その後のFD、「帝都備忘録」が発売される頃になって、ようやく「大正メビウスライン」をフルコンプしました!
発売から一年ほど経って(つまり一年積んで)館林さんルートだけプレイしてそのまま眠りについてたので、セーブデータを削除して最初からプレイし直しました。
この感想UPした後に、「帝都備忘録」をプレイ予定です♪


大正末期。大学進学のため、柊京一郎(ひいらぎ きょういちろう)は帝都に上京した。
志高く希望に燃える京一郎は、複数の軍人が忍び装束を着た青年と揉めているのを目撃する。
多勢に無勢を捨て置けなかった京一郎は、彼らと関わりを持ってしまう。
幼いころに大病をしたことがきっかけで、死霊が見えるようになった京一郎は、軍人たちが死霊を使って何かをしていることを知り、やがて帝都に蠢く陰謀に巻き込まれていく――。



基本的な操作は「紅色天井艶妖綺譚」と同じで快適にプレイできました。
DVDロム1枚で、ディスクレスプレイ可です。ちなみに紙マニュアルがペラ紙1枚なのも同じですw
テキストも紅天と同じく主人公視点よりの三人称です。同じライターさんなので、読みやすく、わかりやすい文章でした。相変わらず漢字は難しいですが。
時代の雰囲気を出すためなんだろうなあとは思いますが、もう少し、ひらがなに開いたり、フリガナを付けたりしてもいいのになと思いました。
声優さんも読むのが大変だっただろうなあ……。


攻略キャラは、忍び装束を着た青年の時雨(しぐれ)、陸軍軍人の館林開(たてばやし かい)、同じく陸軍の軍人だけど館林とは異なる主張を持つ千家伊織(せんげ いおり)、着流し姿の謎の渡世人風の青年、ミサキの4人です。
基本的に一本道で金太郎飴状態だった前作の紅天と違い、目当ての攻略キャラを選んだら、比較的早い段階で攻略キャラルート入りし、その先の話は攻略キャラによってガラッと変わります。
そのため、前作よりも大ボリュームでした!
1周プレイするのにかかった時間は、ほぼ声を飛ばさずにプレイして、8時間半くらい。
1キャラ攻略するのに共通ルート部分をスキップして6時間〜7時間半くらいかかり、フルコンプするまでにかかった時間は32時間半ほどでした。
まさに大ボリューム!で、やりごたえのあるBLゲームでした。


内容は、帝都に進学のため上京してきた主人公の柊京一郎が、帝都で密かに行われていた、死霊を使った軍のたくらみに巻き込まれ、関わっていくオカルト寄りなお話です。
主人公のキャンパスライフが拝めるのかな、と思ってたのですが、話はほとんど大学入学前に起こって、終わってしまうので、京一郎の帝大ライフは幻に終わってしまいました。
いえ、事件解決後にちゃんと大学には通ったみたいなんですけどね。(ユーザーにはその様子が見られないと言う……残念!)
帝都に蠢いている陰謀は主に一つなんですが、攻略キャラによってそれらのアプローチが違うので、攻略キャラと親交を深めながらそれぞれ新たなことがわかっていき、どのルートも飽かず楽しめました。


ただ、主人公の京一郎は、攻略キャラによって性格が若干変わっていくと言う、昔の乙女ゲームヒロインのようなタイプなので、その辺はユーザーの好みが分かれるところかな、と思いました。
今の乙女ゲーのヒロインは、個性がはっきりしていて、攻略キャラがその個性ごと受け入れてくれる感じなのに対して、昔の乙女ゲーのヒロインは、攻略キャラの嗜好に合わせて行動している(初期アンジェリークみたいな)感じで、京一郎はどちらかというと後者のタイプです。
とはいえ、ゲーム開始時点から激変するとまではいかず、攻略が進むにつれ、攻略キャラに影響されて少しずつ変わっていくと言う感じでしょうか。
この辺は、「あの子、東京に行って、彼氏ができたらちょっと性格変わったよね…?」という地元に残った友人が、上京した友人に抱く感想と似たようなものだと思えば、そう不自然なことでもないと思います(笑)
主人公はただ巻き込まれただけではなく、故郷から、家に代々伝わる(主人公の家は、地元の名家的存在)いわくのある刀を持ってきており、いつも身に着けています。
そのことが、今回巻き込まれる死霊絡みの事件にも大きく関わっていきます。
田舎から上京してきた朴訥とした青年が、死霊絡みの大きな事件に関わり、攻略キャラと親交を深めて行くにつれて、頑固な面を見せたり、思わぬ冷徹な面を見せたり、はたまた乙女な面を見せたりする……そんな京一郎の変化もこのゲームの魅力の一つだと思います。
どのルートでも、途中で迷いながらも、最後には自分の信念に従って行動する京一郎の生きざまが眩しい、そんな大正怨霊浪漫でした!


スチルは差分抜きで93枚、1キャラルートでは19〜21枚ほどでした。
水彩風だった紅天とは違い、今回はくっきりしたゲームでよく見る感じのアニメ風?な塗りでした。
立ち絵の差分も多く、表情豊かで一枚絵との違和感もなくいい雰囲気でした。
通常イベント絵も、エロ絵もご褒美レベルで、どれも美しく眼福でした〜!
エクストラ(おまけ)でスチル鑑賞できますが、前作の紅天同様、キャラごとになっていないのがちょっと残念でした。
シーン鑑賞もキャラ別になっておらず、エンドリストもない(スチルのないエンドはシーン鑑賞に収録されない)のも残念でした。
せめてスチルはキャラ別に鑑賞したかったですね〜。
フルコンプ後に「オマケ」が出てきたので、もしかしてSSとか?と期待したら、主題歌、挿入歌、キャラ別EDロールのBGMでした。そんなん通常の音楽鑑賞に入れてくださいよ〜!


プレイする前は、これと言って好みのキャラはいないなあ……と思っていたのですが、フルコンプしてみれば、どのルートも面白く、それぞれお気に入りのエンドがあり、楽しくプレイできました。
特にエンドとしてお気に入りなのは、館林さんの乙女チックグッドエンド(エンドのスチルの演出からして乙女ゲだったww)と、京一郎の情の強さが垣間見えるバッドエンド、時雨のEDロールが流れない方のグッドエンド、千家のやはりEDロールが流れない、もしかしたらバッドエンド?な黄泉エンド、ミサキの「○くんの恋人……!?」とプレイ後思わず突っ込んだトルゥーエンドです。
と言っても、特にと言いながらもほとんどのエンドが好きです。
残念な点を1つ上げるとしたら、バッドエンドが即死系が多く、バッドエンド系のエロがほとんどなかったことですね。(かろうじて館林さんルートの双子エンドがバッドエロかな、ってくらい)
せっかく黄泉だの怨霊だのの設定があるんだから、バッドエロに触手の1個くらい紛れ込ませてほしかったですね……!
エロは一部をのぞいて、ほぼ同意のラブラブ系で、そこは甘くてよかったです〜。
ルートによっては初めてなのに大変積極的な京一郎も見られて美味しかったです。
ちなみに京一郎は総受けですが、やろうと思えば京一郎は攻めもやれるポテンシャルがある……と心ひそかに思いました。
まあこの先、京一郎が受け以外をやることはないとは思うのですが(惜しい……!!)。


ボリュームたっぷりな大正伝奇浪漫、京一郎の天命の行く末を、未プレイの方はぜひ見届けてください!
個人的に、普段乙女ゲーしかしないわ、と言う方にもお勧めです。
本編の記憶が薄れないうちに(今度は三年も積まない)、続けてFDの帝都備忘録もプレイしようと思ってます。

2016/1/15




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