● 「蝶の毒 花の鎖」ゲーム感想  ●

蝶の毒 華の鎖 初回限定版蝶の毒 華の鎖 初回限定版

aromarie 2011-05-27
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



18禁乙女ゲームブランド「アロマリエ」の第3弾(ファンディスク除く)です。
こちらのブランド、興味はあれどもプレイした事はなかったので、『蝶毒』がアロマリエ初プレイです!
同月発売の別ブランドの18禁乙女ゲームを購入したので、少しでもお安く!とモニター入札し、無事落札できたのでプレイ出来ましたv


時は大正時代。
子爵家の令嬢、野宮百合子(名前変更可)の誕生日に、盛大な夜会が行われた。
子爵家の台所事情は厳しく、夜会はそんな中で父親が無理をして開いてくれたものだった。
幼なじみの秀雄から、子爵家の内情を指摘され、この夜会が彼女の見合い相手を探すものだと言われ、百合子は動揺する。
堪え切れず庭に逃げ出した百合子を、庭師の真島や兄の瑞人が慰めてくれる。
多少気を取り直した百合子だったが、家の方で騒ぎが持ち上がる。
貴族に不満を持つ暴漢が襲って来たのだ。
怒りに駆られて飛び出した百合子を、見なれぬ青年が救ってくれ、ほっとしたのも束の間。
百合子の父親が、何者かに襲われ、亡くなってしまう。
悲しみにくれる百合子のもとに、暴漢から助けてくれた青年、斯波が彼女に求婚してきて……。


体験版をプレイしてみて、貧乏な華族のお嬢様のお誕生日パーティーで父親が謎の死をとげ、その悲しみも言えぬ間に成金から求婚!と、怒涛のプロローグに、先が気になって購入しました。
大正時代、没落した家のお嬢様……と、昔の少女漫画にありそうなロマンあふれる設定で、ベタといえばベタなのですが、むしろそこがたまらない、って感じでした……!


ディスクレスプレイ可。
システム周りは、同月発売の別ブランド18禁乙女ゲーム、キャラメリアトルテの「赤ずきんと迷いの森」と似ていました。
上部ツールバーに「進行制御」があるところとか。(ツールバーの構成もほぼ同じ)
キャラメリアトルテはわかりませんが、キャラメリアとアロマリエは、流通が同じラッセルなので、もしかしたらゲームシステムも同じものを使用しているのかもしれませんね。
そういうわけで、一応体験版で動作確認もしていましたが、製品版のプレイも特に問題なく、快適にプレイできました。
ただ、メッセージウィンドウ枠の左の「保存(セーブ)」「再開(ロード)」などのボタン類の中に、クイックセーブがなかったので、ついてないのかな…?と思ったら、上部のツールバーの「ファイル」に『クイックセーブ(F11)』『クイックロード(F12)』がありました。
これに気付かない人が私以外にもいそうなので、メッセージ枠横のボタンに、クイックセーブ&ロードは入れて欲しかったですね。
代わり(?)に、「赤ずきんと迷いの森で」は、上部ツールバーの「進行制御」で操作出来た『次の選択肢に進む』が、「跳躍」という名前でボタンになっていました。
(進行制御からも『次の選択肢に進む』『前の選択肢に戻る』が実行できます)


ボイスは、主人公以外フルボイスです。
主人公にも声が欲しかった……!
18禁ゲームだと、エッチシーンでえんえん相手キャラの声だけを聞く事になって、どことなく居たたまれない心地になるので、出来れば主人公にもボイスをつけて欲しいです(^_^;)
その代わり、デフォルトネーム呼びはありました!
最初気付いてなくて名前変更したのですが、もしかして、と思ってデフォルトネームでプレイし直してみて良かったです。
やっぱり、攻略キャラから名前を呼んでもらえる方が、名前の部分で変な間があくよりいいですね〜v
攻略キャラのボイスは、女性向けゲームではおなじみの方々が多数出演されています。
個人的には、お兄さま役の平井達矢さんの、アンニュイな感じが特にキャラにハマってて好みでした。
物憂げで、エロい、という……v
主人公の立ち絵、顔グラフィックはありません。
スチルでは、ちゃんと主人公の顔がわかるものが多数用意されていました。
テキストは、主人公一人称が多いこの手のゲームではめずらしく、三人称でした。


プレイ時間は、ボイスをほぼ飛ばさずちゃんと聞いて、文字送りノーウェイトで、初回プレイ時が約5時間ほどでした。
2周目以降は、2時間半〜3時間くらいで、キャラルートコンプにかかる時間はキャラによって違いますが、3〜4時間くらいでしょうか。
フルコンプまでにかかった時間は、約20時間ほどでした。
エンド数は、各キャラベストエンドが1つに、バッドエンドが2〜3個ほどで、ノーマルエンドなどを合わせて、合計21個あります。
スチルは、差分抜きで120枚でした。
(差分込みだと196枚。全体表示で枚数は確認できるけど、各スチルの差分枚数表示は無いと言う……)
エクストラ(おまけ)はタイトル画面の『特別』で、何かのエンドをみた後でないと開きません。
「画像(スチル)」「回想(シーン回想)」「音楽」「結末(エンドリスト&回想)」「終幕」の5つです。
「回想」はきちんとキャラ別には表示されませんが、大体キャラ別で区切ってありますが、「画像」の方はおおまかはキャラごとに表示されてはいるものの、ベスト寄りとバッド寄りのスチルを分けていたりもするので、若干見づらいです。
1人攻略した時に、取りこぼしたスチルがないかを確認しづらいので、「画像」もきちんとキャラ別に分けて欲しかったですね。
エンドリストの「結末」もキャラごとにはわかれておらず、グッドエンドを最初の1ページ目に収録し、そ励行にバッドエンドが収録されていました。
キャラルートコンプがどうにも確認しづらいので、こういうオマケ類は、キャラ別表示にしていただきたいものです。
シーン回想の「回想」は、最終章の直前までのシーンが収録され、最終章は「結末(エンドリスト&エンド回想)」に収録されていました。
コンプおまけスチルはありませんが、キャラエンドをコンプすると、『終幕』が見られるようになります。
ネタバレ要素を含んだ、本編とはあまり関係ない(?)コメディタッチなストーリー(選択肢無し)が、8分程みられました。
『終幕』はかなりはっちゃけた内容で、面白かったですv


攻略キャラは、全部で5人です。
主人公がほのかな想いを抱いている初恋の人・庭師の真島、主人公の家の執事・藤田、幼なじみで軍人の秀雄、主人公の腹違いの兄・瑞人、主人公に求婚してくる貿易商・斯波。
真島はルート制限があって、他のキャラ+主人公ノーマルエンドを攻略した後でないと攻略できません。
どのキャラもそれぞれに個性的と言うか、癖があってよかったです。
ルート入りすると、誰もが思わぬ一面を見せてくれて、はっとさせられました。(18禁的な意味でも!)


父親が謎の死を遂げ、犯人が分からず仕舞い、傍には庭にはないはずの桔梗の花が……、という、ミステリーな出だしなので、その後の展開もサスペンスチックになるのかと予想していたのですが、真相が判明するキャラのルート以外では、さほどその件については触れられませんでした。
なので、「結局、桔梗の花にまつわるミステリーは…?」と、初回プレイ時には思いましたが、そこはルート制限があるだけで、フルコンプすると真相が判明するような作りになっています。
ルート制限でラストにはっきり判明する真相以外のキャラルートでも、おぼろげに犯人がわかるような展開にはもちこまれていました。
でもどうせなら、攻略キャラクターと一緒に、桔梗と父親殺しの謎を解く……、みたいな展開も見たかったですね。
でもそれだと、どのルートも同じような展開になってしまいそうだから、真相判明ルート以外では、攻略キャラとの恋愛にクローズアップした展開でよかったのかもなあとも思ってみたり……。
それもフルコンプした後だからこそ思う事で、プレイしている最中は、どのルートでも続きが気になって、引き込まれるように進められて、最後まで面白くプレイできました。
BGMも、作品の世界観を損なわず盛り上げていて、よかったです。
サントラも発売決定だそうで、OPソングがゲームのイメージにあって素敵だったので、フルを聞いてみたいですv


エッチシーンは、中盤過ぎに想いが通じ合ったくらいの時に1回、最終章でくっついた後に1回と、合計2回と回数は少ないです。
ですが、スチルも3枚程、差分ではなく切り替えて使われており、事後の抱き合ってしっとりしているスチルも用意され、じっくり描かれていて、とても良かったです!
エロい、というよりも、綺麗、という印象のスチルが多かったかな?
立ち絵とスチルでの違和感もなく、エロだけじゃなく、キスシーンや、デートシーンなどのスチルも雰囲気があって素敵でした。
スチル枚数はキャラによる偏りも特になく、1人の攻略キャラにつき、大体20〜23枚くらいのスチルが使用されていました。
主線が細すぎるからか、立ち絵の線が多少シャギって見えたのが気になりました。
繊細な絵柄なので、線が細いんだろうとは思いますが……。


次々に悲運に見舞われるヒロイン、というと暗くなりがちなイメージですが、ヒロインが強気で前向きなお姫様だったので、さほど暗くなりすぎず、恋愛に対しても、自分の気持ちを自覚した後は、割と積極的に動くタイプで、恋愛の行方を安心して見守れました。
基本的に、どのキャラもヒロインに対して初期好感度の高いキャラばっかりなので、そんなに攻略している感覚はありません。
どちらかと言えば、攻略されているような心地のキャラが多いんですが(執事と庭師は除く)、親しくなるにつれ攻略キャラの事情が徐々に明らかになっていくストーリー展開で、その点でも、物足りなさとかはありませんでした。
波乱万丈な出来事を経て結ばれるハッピーエンドでは、しっとりとしたものから、幸せだけどどことなく危うさを潜んだものまで、キャラクターによってそれぞれに印象が違って、どれも甲乙つけがたく、良かったです。
ただ、ベストエンドが1つだけだったので、パターンの違うグッドエンドがもう1つくらい欲しかったですね。
バッドエンドにはかなりダークなものもありましたが、全体的には切ない感じのバッドエンドが多めで、そう後味が悪くないのも好印象でした。


キャラルートはそれぞれに見どころがあって、もうホント、甲乙つけがたく面白かったのですが、キャラに限って言うなら、やっぱり庭師の真島がよかったですね!
真島は、庭師、というだけじゃない一面があるのが美味しいというか……。
ベストエンドの最終章が、他は主人公視点なのに、真島ベストエンド最終章のみ、真島視点で進むのが特に美味しかったです!
(しかも真島ベストエンドのみ、EDロールが歌付きと言う……)
王道の少女漫画チック、という意味で、成金貿易商の、斯波も好みでした。
斯波の、昔の美しい思い出を語るシーンに、スチルがないのはバグだと思うんですよ……!
やっぱりああいうエピソードではスチル必須!だと思います〜!!



FDが出たら、ぜひ買いたいと思うので、作って欲しいです。
キャラベストエンドの後日譚と、主人公ノーマルエンド後に改めてキャラとくっつくパラレル編(一部、結婚しちゃってるキャラがいますが……)とか。
初回版につくエクストラディスクもコメディな内容で面白かったですが、やっぱりボイスが欲しかったですね。
頑張って脳内でボイス再生させましたが(笑)
大正時代の雰囲気も良く出ていて、昼ドラちっくな展開と言い、どのキャラクターも手に汗握りながら(!?)、とても楽しくプレイできました。
ちょっとレトロな雰囲気を味わいたい方にも、お薦めの作品だと思います。


aromarie

2011/6/7
Copyright (c) 2011 All rights reserved.