全年齢PC乙女ゲームブランド「澪」の、通算5作品目です。
『あさき、ゆめみし』の続編やファンディスクをのぞけば、新作としては3作目になります。
クローバー図書館は町の片隅にある、古い洋館じみた建物の私設図書館。
幼いころから本が好きで、本に関係する仕事がしたかった相川千紘(あいかわちひろ)はクローバー図書館で住み込みの管理人として働く事になる。
管理人が不在で閉館していた図書館で、千紘は開館に向けて準備を進める。
だが、自分以外誰もいないはずの図書館で何かの気配を感じたり、夜になるとどこからともなく『昔からの常連』がやってきたりと、この図書館は何かおかしい。
不安になり、混乱した千紘は、常連たちに疑問をぶつける。
返って来た答えは、彼女の思ってもみないものだった。
彼らは人間ではなく、夜だけ人間の姿に変わる、図書館の本だと言うのだ―――。
初回限定版は主題歌CD(フルバージョン、カラオケ、ハモ、オルゴール、ショート)と、キャラクターの設定やラフなどが掲載された小冊子がついています。
それでもお値段は税抜き4,800円(通常版だと税抜き3,800円)とお手頃な価格からも推察できるように、ボリュームは控えめです。
パッケージには主人公以外に、本になる青年&少年が6人いますが、攻略出来るのはその内の3人。
専門書の一樹(いつき)、純文学の柊(しゅう)、流行本の葵(あおい)だけです。
他は残念ながら攻略できません……!
公式サイトの情報をよく見れば書いてありますし、事前情報として知っていた(ちなみにパケ裏にも誰が攻略キャラか記されています)のですが、サブキャラの3人、料理本の棗(なつめ)、絵本の莉久(りく)、画集の樒(しきみ)も攻略したかったです〜!!
ゲームとしては、同ブランドの「あさき、ゆめみし」と同じように、マップ画面で、お目当ての攻略キャラアイコンを選び、イベントが起きれば選択肢で好感度をあげて進むタイプのAVGです。
基本、マップ画面で攻略したいキャラに集中的に会いに行ってイベントを起こせば、キャラルートに入れます。
マップ画面にはキャラアイコン以外にクローバーマークのついたアイコンがあり、そこでは図書館業務に関連するイベントが起きます。そのイベントで正しい選択をすると「司書力」があがっていきます。
キャラの好感度と同時に、司書力をあげることで、攻略キャラエンドやノーマルエンドに到達できます。
好感度や司書力は、「あさき、ゆめみし」の時のように確認出来るステータス画面はないのですが、割と分かりやすい選択肢なので、そう迷うことなく図書館開館&キャラルートに突入できると思います。
プレイ時間は共通ルートが2時間、攻略キャラルートが各1時半分程(グッドとバッド両方見て。バッドは20分前後くらい)と、割と短めです。
フルコンプまでにかかった時間は7時間くらいでしょうか。
キャラルートに入って、いい雰囲気になってきたなあ〜と思った所で、エンドロールが流れだすので、正直、
あともうちょっと……!!
と思いました。
でも、短いながらも個人的には
糖度は高めだったと思います〜!
図書館の開館準備に向けてお互い協力していく内に次第に親しくなり、甘酸っぱいやり取りを交わすようになっていくので、時間ないけど胸キュンな甘い展開が見たいなーという、乙女ゲー気分な時にはちょうどいい感じのゲームだと思います。
ただ、なんで本が夜だけ人の姿になるの?
……という、根本的な理由については最後の最後まで特に触れられません。
(ちなみに、図書館すべての本が人になるわけではありません)
とにかく、よくわからないけどこの図書館の本はそういうものなんだね! と、ふわっと設定を受け止めてプレイして下さい(^_^;)
「図書館の本が人になる」という設定は、攻略キャラのグッドルートより、むしろバッドルートの方で活かされている印象でした。
甘くてほんわりした雰囲気なグッドエンドに対し、バッドエンドはちょっぴりダークだったり切なかったりと、グッドとバッドの落差があるのがいい感じでした。
攻略はできませんが、サブキャラとのイベントもマップ上で起こせます。
ちょっとした日常のやり取りって感じですが。
攻略キャラルートで、想い合いながらも攻略キャラとすれ違い状態になっていた時に、主人公にアドバイスして、背中を押してくれたりもして、ホントにもう……
なんで落とせないんだよ、このサブキャラ!
って思いました。
料理本の棗、攻略したかったー!!
キャラルート、このくらいのボリュームで構わないから、他の3人も攻略したかったです、ええ……。
スチルは差分抜きで、全部で32枚。
共通ルートで8枚、攻略キャラルートで各7枚、ノーマル、バッドエンド2種で3枚です。
ボリュームを考えると、多すぎず少なすぎずって感じですね。
細かい差分が結構ありました。
どのスチルも、雰囲気があってよかったです〜!
キャラルートでは、ここぞという場面で、主人公と寄りそう(触れ合ったり、抱きしめたり抱き寄せたりとか)スチルがあって乙女ゲーとしてのツボをきっちり押さえています。
共通や、ノーマルエンドでの、皆で仲良く図書館で過ごしているスチルも楽しそうで、スチルはどれも可愛くて眼福でした!
ボイスも、メジャー所の声優さんが演じていて眼福ならぬ聴福……。でもよく考えたらメイン3人の内、2人は乙女ゲーでは自分は(たぶん)プレイした事のない声優さんさったので、そういう意味では耳新しかったです。
浪川さんの、箱入り温和優等生系の声も乙女ゲーキャラとしては私は聞いたことなかったので、新鮮でした。
ちょっとした時間で、さっくり甘い乙女ゲーがプレイしたい気分の時にはぴったりの作品です。
主題歌も素敵なので、主題歌フルバーション入りのCDがついた限定版がお薦めです。
これで、サブキャラ3人も攻略出来ればホント良かったんですが……!!
2014/10/19