● 「自律機動戦車イヅナ」ゲーム感想  ●

自律機動戦車イヅナ 初回限定版自律機動戦車イヅナ 初回限定版

TEA-CROWN 2006-12-15
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TEA-CROWNのデビュー作です。
妹シナリオでは乙女ゲーム、兄シナリオではボーイズゲームという、ちょっと変わったシステムに興味を惹かれて購入しました。


両親を亡くし、年の離れた兄・総一郎と二人きりになってしまった、朝倉晶乃。
その後、晶乃は叔母夫婦に引き取られるが、兄は晶乃を日本に残してアメリカに留学してしまう。

数年後、晶乃は、兄の勤める箱実テクノバレーの学園に転入し、一緒に暮らすことに。
久しぶりに再会した幼馴染の少年二人は、兄と秘密の研究を行っているらしい。
しかし偶然、晶乃は彼らの開発する、”自律機動車両イヅナ”の存在を知ってしまい……。



妹ルートをクリアし、そのエンドを引き継ぐ形で兄ルートがプレイできるという、一風変わったシステムの乙女ゲームです。
一応、「乙女+ボーイズゲーム」と謳っていますが、ボーイズ要素は希薄です。
個人的な印象では、妹ルートではわからなかった、『イヅナ』に関するフォローのためのルートのように感じました。
それぞれの男の子キャラとの交流はもてますが、エンドは共通で、途中のイベントも、友情イベントと言うよりも、同僚イベントといった雰囲気だったので……。


システムは快適、選択肢が多いこともあって、セーブ数も多いです。
ただし、妹ルートエンドのデータを引き継ぐ形で兄ルートをプレイするので、妹ルートで頻繁にセーブすると、セーブポイントが足りなくなるかも、です。
通常のスキップのほかに、「次の選択肢へ進む」があり、一気にショートカットできて、とても便利でした。
「前の選択肢に戻る」もあり、選択肢の多いゲームなだけに重宝する機能だと思います。
ただこの「次の選択肢へ進む」は未読シナリオもスキップしてしまうので、その点は要注意です。
ディスクレスプレイ可です。


シナリオは5話構成になっていて、1話の終わりには『次回予告』が流れ、話の始まりにはOPムービー(共通)が流れます。
日曜朝や土曜夕方あたりにある、アニメのようなテイストでした。
お話の雰囲気は、乙女ゲーというよりも、女の子にも楽しめるロボットアドベンチャーといった感じ。
オフィシャルサイトには、『豪華キャストで贈る爽やかサイエンスファンタジー』とあるので、乙女ゲーとして売り出すよりも、むしろ一般ゲームとして売り出したほうがよかったのではないかと思いました。
ボーイズ要素は希薄だと先にも書きましたが、乙女ゲーとしても割りとあっさり目だったので……。
シナリオは主人公一人称で、地の文は少なめで、会話文が主体です。
特に癖がなく、誤字脱字も(たぶん)少なく、読みやすかったです。
ロボットの薀蓄部分では、目が滑りましたが、しつこい、と感じるほどではなく、バランス的にはちょうどよかったのではないでしょうか。
ちなみにシナリオバランスは、

イヅナ(ロボット)>>>兄(妹)>>>恋愛

……と、言った感じです。
恋愛要素よりも、イヅナに関わることや、しばらくぶりに一緒に暮らすようになった兄妹の戸惑いやすれ違いがメインで、恋愛要素はメイン(イヅナ・兄妹)のシナリオに多少絡んでくる程度、といった風でしょうか。
なので、乙女ゲー的な甘さはさほどありません。
(全くない、とは言いませんが……)
見所は、乙女ゲー的な恋愛云々よりも、ラストのイヅナの手紙だと思います。
泣かせますよ……!
兄妹関連ででは、それぞれ、兄エンド、妹エンドで、第3話が2パターンに分かれて展開して、がっちり楽しめました。
予想以上にガチで近親相姦な展開もありますので、そういうのが苦手な方は要注意かな……。
全年齢ゆえ、本番はありませんが、ほとんどそうだろう、という描写はありますので。


ボイスありですが、残念ながらフルボイスではありません。
これはホントに、もったいなかったなー。
フルボイスだったら、まんま、アニメのようだったのに。
声は、主要キャラのみについていて、ほんのちょい役程度の脇役には声はついていません。
全部声がついているのは1話と最終話の5話だけで、他の3話分は、ところどころに声が入っている、といった程度でした。
声優さんがメジャーな方ばかりでよかっただけに、フルボイスではないのは実にもったいなかったです。
ちなみに、女の子主人公・晶乃にもボイスあり。
デフォルトネーム呼びもついています。


スチルは、妹ルートと兄ルートの2ルートあるわりには、少なめ。
差分抜きで45枚です。
デートシーンや告白シーンを、立ち絵のバリエーションですませているのは、乙女ゲー的にどうなんでしょうか……!!
あそこまで立ち絵に変化をつける(立ち絵で、二人のキスシーン絵とか)のなら、いっそもう、一枚絵でいいのに!と切に思いました。
立ち絵は、以上のような理由もあって、豊富です。
普段のバリエーションも多いので、それは見ていて楽しかったです。
目パチも可愛かったです。
背景は、写実的な手描きで、これもキレイでよかったと思います〜。
BGMも、シーン毎にあっていたと思いました。


事件を通しての真相が、どのキャラを攻略しても共通なので、あまり話に変化がなく、繰り返しプレイがやや作業のように感じられたのが、多少もったいなかったです。
真相が同じなのはいいので、もう少し、このキャラでしか見られない出来事、というものが(恋愛イベント以外で)あってもよかったのではないかと思いました。
そういう意味では、イザンエンドは妹ルートでも兄ルートでも変化があってよかったです。


あまり乙女ゲー(ボーイズゲー)的な要素を求めず、お話としての面白さ、楽しさを求めるのなら、十分に満喫できるゲームだと思います。
メカメカしい外見ながらも、どこか人間っぽく、やんちゃなイヅナが可愛く、『ロボットと心』と言うと、少女漫画でも良く見られるような、すでに手垢がついたような主題ながらも、切り口が違って新鮮にプレイできました。

『自律機動戦車イヅナ』応援中!


2007/10/15
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