● 「トリック・オア・アリス」ゲーム感想  ●

B008MVGOS6トリック・オア・アリス
little cheese

by G-Tools



18禁乙女ゲーブランド、little cheeseの第2弾です。
シナリオはひよさん、原画はななやことえさん。ブランド違ってもいつものひよさんカラーな乙女ゲーです〜!


水無瀬亜理紗(みなせ ありさ)は、優しい両親と仲のいい兄・静久(しずく)と暮らす、明るくておっとりした女の子。
もうすぐ来る誕生日も友達がカフェでお祝いしてくれる予定で、毎日楽しく、のんびりと学園生活を過ごしている。
誕生日の前日の夜遅く、あとわずかで日付が変わろうと言う頃に、「二人きりで、誕生日を迎えないか」と兄の静久が亜理紗の部屋を訪ねてきた。
ケーキを囲んで、2人は誕生日のカウントダウンをはじめる。
時計の針が0時を回り、「さあ、時間だよ。アリス」と静久が告げた時、亜理紗の足元が、すっと抜けた。
気がつくと、亜理紗は見知らぬ場所に立っていた。
そこには、知り合いによく似た人たちがいて、何故か自分のことを『アリス』という少女だと言うのだが……?



落っこちてくる前の『元の世界』と、『不思議の国』の2つを行き来しながら進む、「不思議の国のアリス」をモチーフにしたお話です。
ディスクレスプレイ可。
主人公を含めてフルボイスで、攻略キャラによる、主人公のデフォルトネーム呼びもあります。
主人公のデフォ名呼びは全ての乙女ゲーに完備して欲しいと思っている機能なので嬉しい……!
システム周りやエクストラ(おまけの鑑賞)も、ブランド前作よりも使いやすくなっていました。
マウスホイールでのバッグログ(文章履歴の確認)も最初からありますし、エクストラも、スチルのあるイベントは漏れなく回想出来て、エンドリストもついていました。
さらにおまけとして、攻略後に(各ルートのベストエンドを見た後)に攻略キャラのラブレターボイスが立ち絵付きで鑑賞できます。


初回プレイはボイスほぼ飛ばさず聞いて、文字表示速度は最速(ノーウェイト)で6時間20分くらい。
2周目以降は1キャラルートコンプするのに大体4時間半〜5時間ほどかかりました。
フルコンプまでにかかった時間は約28時間ほどでした。
1キャラ辺りのボリュームも、トータルのボリュームもちょうどいい感じでした。
CGは差分抜き(フルコンプおまけの1枚を含む)で、全部で90枚ありました。
メインの攻略キャラ5人は差分抜きで各16枚ずつです。
でもシーン回想の数はキャラによって多少違い、黒うさぎ、チェシャ、シャドウは13個、ラウンドは14個、ライトは17個。
エンド総数は、30個。メイン攻略キャラのエンドは各5個ずつ、他は物語エンド3個、クロノエンド(恋愛エンドではありません)とタイムエンドが1つずつです。
(でも双子のバッド系のエンド(エロ)は、何故か物語エンドの中にカウントされているのでシャドウとライトの双子は、それぞれエンド6個ずつと言ってもいいと思います)


ひよさんの演出の特徴なのか、立ち絵がぴょんぴょん動く様子が、ひよさんが以前手がけた「赤ずきんと迷いの森」同様に可愛かったです。
元の世界でも男女ともに可愛いデザインの夏服(制服)を着ていますが、「不思議の国」では、さらにふりふりひらひらした服を、攻略キャラも着ているので立ち絵が華やかでした。


不思議の国に迷い込んだ亜理紗は、
「自分はアリスじゃない、でもこの世界にはアリスが絶対必要みたいだから、本当のアリスを探して元の世界に帰らなきゃ!」
と、どうにかして本物のアリスを探そうとします。
不思議の国の住人達の不可解な言動やルール、混濁する記憶に飲み込まれていって……という展開を経たのち、攻略キャラルートに突入していきます。
話がかみ合わず、煙に巻かれたような雰囲気が、原典の「不思議の国」を彷彿とさせて面白かったです〜!
『不思議の国』と『元の世界』が奇妙に交錯して進んで行く展開も、先が気になって楽しめました。
アリスじゃないと亜里沙が主張してるのにも関わらず、どの攻略キャラも全然話しを聞かず「アリスだよね!」と言って何故かスカートをめくって確認してくるところも、理不尽なアリスワールド(R-18)っぽくておかしかったです。
ちなみに、何故パンツでアリスが確認できるのかは、最後までプレイしても謎のままですww
キスシーンを経て、エッチシーンが各キャラ通算4回(1つのエンドに至るまでだと、2〜3回)あるのですが、最初はお互い物なれない感じだったのが、段々慣れてきて通いあっている雰囲気(2回目以降)になって……と、エッチシーンで恋愛過程が着実に進んでいるのがわかる展開になっっているのがよかったです。
付き合ってから、段々親しくなる過程が楽しめるっていうのはいいですね〜。
事前事後のやり取りも甘かったり、とんちんかんだったりして印象に残りました。
もちろん、しっとりしたやり取りもあるのですがww
エロ以外の、告白シーンなどのイベントも甘くていい雰囲気だったのですが、スチルがついてないことが多くて残念でした……!


女性向けの年齢制限ありのボイスって、割と大体いつも同じ方が演じる事が多い気がするのですが、今回は耳新しい方や、いつもとはだいぶトーンの違う喋り方をされていて新鮮でよかったです。
ラウンド役の三酉さんは、おそらく18禁ゲーの出演は初めてですよね!?
可愛い系男子ボイスに新しい声が入ったのはとても嬉しかったです……!
サブキャラで、オネエ口調なヘビにしか見えない水仙・エリザベスを紀之さんが、大体いつもヒステリックにしゃべってる厨二まっさかりな帽子屋・クロノをほうでん亭ガツさん(18禁BLゲーでは普段名義がほとんどなのに、何故か18禁乙女では別名義なんですね〜)が演じているのも新鮮に聞こえました。
特に、オネエ口調の紀之さんは、なんだか聞いてる内に段々可愛く思えてきたので、またいつかオネエ口調の役お願いしますww
男性向けでは有名らしい、アリス役の一色ヒカルさんの声もとっても可愛かったです。
囁くような口調で「……バカ」って言った時は、撃ちぬかれるかと思うくらいきゅんきゅんしました……!


「不思議の国のアリス」というモチーフは、女性向けゲームではやや手あかがついた感がありますが、他社製品と被ることなく、それでいて思っていたよりもずっと、アリスの世界観を活かして物語が進んで行き、最後まで楽しくプレイできました。
多少疑問が残る部分はありましたが、一応ゲームをコンプするとつじつまがあうように作られています。
世界観の縛りがあるのである程度仕方ないとは思いますが、クライマックス付近になると攻略できないキャラが大活躍しだすのが、面白かったのですが少し気になりました。
主人公がちょっと傍観者っぽくなるので。
クライマックスで輝きだすキャラ……もちろんクロノのことですね!
(ちなみに、双子ルートではシャドウがこのポジションになります)
クロノ……もはや、影のヒロインと言っても過言じゃありませんでした。男だけどww
ここでいつもの自分なら、攻略出来ないラスボスなんて……!
と盛大に愚痴るところなんですが(そもそもクロノはラスボスではないと言うのは置いといて)、クロノエンドを見たら「アリスとのエンドはありえないな」と思い、その後黒うさぎルートコンプして、「うん、ないない!」と再確認しました。
アリスが幸せになるためには、アリス(と、攻略キャラ)だけが幸せになるのでは駄目だと言うことなんでしょうね。
そのあたりも含めて「不思議の国のアリス」らしいゲーム展開だったと思います。




2013/12/26

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