おれたちつきあってます!


「ねー、ゆーと。今日、おれんちこない?」
「こない」
「即答!? もしかして、なんか今日あるの、優斗?」
「何もねえけど」
「だったらさー、」
「用もねえのにお前んち行く必要ないし」
「そんな! おれたち付き合ってんのに!?」
「付き合ってても、俺は用もなく他人の家に行く主義じゃないから」
「他人じゃないよね! 恋人だよね!?」
「あー……うぜー……。昼飯くらいゆっくり食わせろっての。いつも言ってっけど」
「言うにことかいてウザいって! なんで付き合いだしたばっかなのにそんな倦怠期の夫婦みたいなこと言うの優斗は!?」
「物心のついてない2歳までを除外するとして、通陽、お前との付き合いはかれこれ14年。そろそろ倦怠期に入っても全くおかしくない頃間」
「いやいやいやいや! その理屈おかしいからっ!! 第一、物心ついてない2歳までを除外して13年間はただの幼なじみだったよねおれたちっ!!」
「つか今日数学の課題出ただろ。大人しく課題しとけ」
「そうだ、数学の課題! 一緒に、」
「断る」
「せめて最後まで言わせて!!」
「お前に数学を教えることほど時間を無駄にする行為もない。俺が1人でやった方がさっさと終わる」
「そこまで言う!?」
「うるさい。人に散々教わっておきながら赤点スレスレとか意味わからん」
「赤点じゃないだけでもすごいことだよ!?」
「ぜんっぜん、すごくないから。恥を知れ」
「ふええええ………」
「情けない声出さない。ほら、俺のたまごやき、半分わけてやるから」
「うー」
「ほら、口開けろ、口」

(ぱくっ)
(もぐもぐもぐ……)

「美味いか?」
「………美味い、けど」
「けど?」
「ねえ、今日ウチ来てもらうのはあきらめるから、代わりに今、ちゅーしてもいい?」
「通陽、顔、近い」
「ちゅーだけ! ほんとそれだけだからっ!!」
「だから……って、お前ホント必死だな」
「だって! つか、ねえ、優斗、怒ってる?」
「何が」
「次は絶対、痛くないようにするからっ!!」
「死ね」
「ゆーと〜〜っ!! ごめん、ほんとごめんね、優斗!!」
「………あー、マジめんどくせえ………」

(ちゅっ)

「ほら、これで満足したか?」
「………うん。ありがと、優斗」
「じゃ、さっさと飯を……」
「ね、もいっかい、いい?」
「駄目」


ごちそうさま。

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