おれたちつきあってんの?


「ゆーとゆーとゆーとっ!!」
「うっせーな、通陽。飯くらい静かに食わせろ。購買のメロンパン、売り切れてたのか?」
「メロンパンはあった。でもコロッケパンは売り切れてた……」
「そっか。俺の弁当のコロッケ、半分ならわけてやってもいいぞ」
「え、ほんと!?」
「ああ。ただし、たまごやきはダメだからな。たまごやきは!」
「わかってるってば。もー、優斗ってばホントたまごやき好きだよねー」
「わかってて、何故俺のたまごやきを食うのかが俺には理解不能だ……」
「今日は食べないってば。って、ちっっがーうっ!!」
「うわ、びっくりした!」
「おれが言いたいのは、メロンパンのことでも、たまごやきのことでもなくて!!」
「だから耳もとでどなるなって。何」
「3組の酒井に告られたってほんと!?」
「あー。うん」
「こ、断ったんだよね、もちろん!?」
「……断ったけど。なんで『もちろん』なんだよ」
「だって! 優斗はおれと付き合ってるし!」
「は?」
「付き合ってるよね!」
「付き合ってるのか? 俺たち」
「付き合ってるよ!」
「どのへんが?」
「登下校一緒だし、休みの日だって一緒に遊びに行くし、今だって2人で昼食べてるし、クラスだって同じだし!!」
「最後のは関係ねーと思うけど」
「でもいつも一緒だよね、おれたち!!」
「それは否定しない」
「じゃあ!」
「友達づきあいはしてるよな、確かに」
「ともだち………」
「だろ」
「ほら、早く食わないと昼休み終わっちまうぞ」
「優斗にとって、おれって、ただの友達なの?」
「ただの友達ではないな。心の友、くらいには思ってるぞ」
「いやそんなジャイアンみたいなこと聞いてるんじゃなくてっ!」
「だって俺、お前に告白とかされてねーし」
「う……」
「大体そういう付き合いってのは、何らかのセレモニーを通して、初めて関係が変わるんじゃねえの」
「セレモニー……」
「そう。なんとなく始まるんじゃなくてさ。つか俺らの今の関係って、ただの仲いい幼なじみじゃね?」
「じゃ、じゃあ、おれが優斗に告ったら、優斗はオッケーしてくれんの!?」
「それはされたその時に考える。ほら、だから早く飯、食えって。からあげも1コわけてやるから」
「わーい、だから優斗って大好き! ってだからそうじゃなくてっ!!」
「言っとくけど、昼飯のついでの告白は受理しないから」
「……いただきます」
「ほら、コロッケ半分と、からあげ1コ」
「ありがと。優斗って、優しいのかいじわるなのか、時々わかんないよね……」
「俺はいつだって、優しいだろ」


ごちそうさま。

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