水晶振動子(Xtal 1-g)

自己満足の ガラクタ 博物館  (0608)

【 何とも 珍しくない ガラクタたち! ラジオパーツに 留まらないのが 珍しい 】 

戦後、日本のアマチュア無線局で一番印象に残るのがこの水晶振動子[ FT-243 ]でしょう。
これらのほとんどが米軍のジャンクとして放出されたモノです。 もちろんアマチュア無線局のために新しい水晶
振動子メーカも誕生しました。

米軍のジャンク品には周波数以外にchannelの表示があります。 この表記がアマチュア無線局用民生用にも用意されていますが使われていることはほとんど無かったように思います。
左5点は米軍ジャンク品・周波数表示の他チャンネル表示も有ります。 右端は国産品チャンネル表示は空欄のまま記入はありません。

アメリカのメーカはその国民性かユウモアを忘れません。 民生品には地図模様、イラスト、ブランドをアピールするロゴなど楽しくなるプレートが色々あります。 日本のメーカは型にはまったようにすべてアメリカの初期のスタイルどおり文字だけです。

 

FT-243にも別の名前が付けられています。

米軍では使用機器に合わせてそれぞれ固有の名称を付けていますので全く同じでも別の名称を持つモノがあります。
一番ポピュラな呼称はFT-243ですが多くの呼称があります。国産品はft-243の名称を使っています。

下段右は明電舎のE-4で日本式の名称です。
この名称の他社製品は未見です。

FT-243を模したE-4?

日本製・MEW明電舎のE-4です。実は写真にとってから気が付いたのですがよく見ると足のピン間隔が違います。 僅かですが広いのです。0.3〜0.5mm程度ですがこれを誤差と考えるか規格が違うと考えるか他社製品もないので今となってはまぼろしです。
当然ですがFT-243のソケットにも入ります。
M型同軸コネクタのように同じ名称で無理にミリ規格にして互換性のない製品もありました。
このE-4型は使用上の互換性はありますが明電舎以外には見たことがありません。

このE-4の場合よく見ると外観も若干大きくなってます。製造年は表記がありませんが(-)ネジが使用されていますので昭和40年以前の製品と思われます。
米国品崇拝の時代、トップメーカだった明電舎が意地とプライドを持って作った日本名を冠した規格だったと思いたいです。

このプレートにはなにも書かれていません。 実測したところ7037kHzです。しかし発振余裕度は低くアマチュアが再研磨したモノと思われます。 開封したところプレートは裏返しに嵌められていたことが判明しました。

これも怪しい表示です。周波数のみ7105KCとなっています。 発振余裕度は悪くなく安定に動作します。プレートは再利用ではなく無名品です。 ジャンク品を安く売るために業者が作ったのでしょう。

アマチュア無線活動を社会貢献のために非常通信へ積極参加と自主的訓練を推進した時代もありました。
この水晶発振子にはJARLエマージェンシーの刻印とその指定周波数であった7050KC刻印があります。
JARL(日本アマチュア無線連盟)が各バンド毎非常通信用周波数を設定し効率的な非常通信のため準備をしていました。 7050KCはそのうちの一つです。

よく見るとこの水晶は再生品であることが判ります。(箱に再生の文字が印刷されています)

【FT-243 水晶発振子・Xtal の構造は】

開封したところ。左側の写真・下左2番目のすりガラス様のものが水晶片です。 この水晶片を左右にある電極で挟みケースに挿入します。ケースには電極に対応した引き出し線が付いています。 これらの部品が安定して動作するように絶縁板、スプリング、防水ゴム板が重ねられ銘板を被せ封入されます。 このFT-243型は圧接型の代表的なモノですが安定度向上のため水晶片に直接電極を取り付ける蒸着電極型へと進化していきます。 1円硬貨(直径20mm)は大きさ比較用です。

初期の水晶振動子の構造もこれとほとんど変わりません。 強いて云えば圧接電極がバネ押さえ、あるいはネジ押さえ等の違いがある程度です。
また、経時変化を避けるために構造的に丈夫なケースや電極等に工夫が見られます。
しかしこの圧接電極は圧力や組み立ての方法で周波数や安定度に影響が有るため次第に使われなくなっています。

FT-243には希に右の写真のような蒸着電極の製品やバネで挟んだ電極の製品があります。

開封は周波数変動や安定度に影響がありますので
むやみに開封する事は避けてください。