*遺跡6*




様々なクエストをこなしつつ、とうとう遺跡6へ足を踏み入れたカナン一行。最初のフロアで出会ったのは、おやびんの怪我を治すため、癒しの根を探している子分ちゃんでした。ナタブーム盗賊団の結束の堅さを思えば、この図式は特に驚くにはあたりません。しかし、次のフロアを探索する白鳳さんまで、どうやら癒しの根を求めている模様。フローズンやハミングの捕獲などと、バレバレの言い訳をしたところで、すっかり皆に見抜かれています。普段は躊躇いなく口から出任せを言えるのに、肝心な場面では案外、しどろもどろになる様が可愛いです。あくまで違うと言い張る見苦しさも、意地っ張りマニアには堪りまてん。きっと、この後、はぐれ子分の引率をする羽目に陥るのでしょう。さすが盗賊団の姐さんです(は)。もちろん、おやびんに重傷を負わせた責めを感じているのでしょうが、それにも増して、躊躇う自分に活を入れてくれた気遣いに、心を動かされたに違いありません。苦節ンヶ月、ようやっとつまみ食いから昇格です。本来なら、おやびんを祝福すべきなのに、むしろ砂漠のアリ地獄へ片足突っ込んだ感じが否めないのはなぜでしょう(笑)。資料集のひさとさんとふみゃさんのコメントに全面的に同意しますとも。


遺跡5での”真実の愛”成就で(めっさ人工的だけど^^;;)、すっかり気を良くした萌流さんは、主従に再びカプ作りのための捕獲を依頼します。今回の組み合わせはオーディン×神風v彼女は王道好みなので、ニーズも極めて分かり易いです。男の子モンスターの中ではもっとも修業熱心、且つストイックそうなふたりなのに、貰った写真は期待を上回るえろえろでした(≧∇≦) 。生真面目で堅いタイプほど、一旦たがが外れると、果てしなく愛欲に溺れ込んでしまうのかしらん(白鳳さんの絶好の狙い目・笑)。神風を見つめるオーディンの瞳が実に優しげです。頼もしくて包容力もありそう。そして、神風の表情を見る限り、オーディンは意外にテクニシャンなのかもしれまてん(をい)。DEATHフロ、えろ度はもちろん、らぶ度でもどうも旗色悪いです。まあ、DEATH夫たんはラックさまのハニーだし(まだ言うか)、ダーリンとして至らない点が多くても仕方ないかのう。そんなこんなで、個人的には実に楽しめた男の子モンスターカプですが、一枚絵だけじゃなく、ミニストーリーめいたものがあれば、更に萌えだったのになあ。もっとも、しょせん怪しい薬の効果だと言われたら、それまででしゅが(;^^)ヘ..。ところで、設定資料集によると、カプ写真の背景は皆、同じ部屋と書いてあったのですが、もしかして、ジェイキンラボでは男の子モンスターたちは、大部屋で共同生活を営んでいるんですか!?っつーことは、”真実の愛”=見世物プレイ・・・Σ(゜Д゜;)。。←逝って良し


エンジェルナイトに苦戦しながらも、迷宮を囲んだ根っこの壁を枯らし、遺跡を沈めんとしたカナンたちの前に、ユーリに操られたきゃんきゃん党が現れます。大詰めに来て、とうとうギルドチーム(というのもおかしいけど)の片割れ登場です。傷付いたおやびんが人質にされているので、うっかり戦うことも出来ません。これよ、これを待っていたのよう(><)!!なんて囚われの姫の座が相応しいの、おやびん。王レベ界のヒロインは白鳳さんだけど、王レベ界の姫はおやびん以外考えられまてん(病気)!!ああ・・・うっとり(*^。^*)vぷちハニーに変身したころっけを、お得意のぶん殴り作戦で元に戻した一行の前に、白鳳さんが颯爽と助けにやって来ます。へたれおやびんを凛々しく救助する白鳳さん。おやびんと白鳳さんの力関係が(私的に)あるべき状態になって、ワタシもなんだかほっとしました。白鳳さんってば、しっかり帰り木まで持っていて、珍しく抜かりがありません。もっとも、行きがけに無理やり神風に持たされた図が、ぼんやり浮かんで来ないでもないですが(笑)。。


瀕死のおやびんを治癒させるべく、エルダーのところへ行くと、たんこぶが消えた彼の背には、一枚だけの白い翼が。話を聞く間もなく、エルダーは窓から飛び去ってしまいます。やむなく、カナンたちは癒しの鉱石を採るため、再びダンジョンへ向かいました。そこにはエルダーとアルニカがおり、彼らの正体が明らかになります。エルダーは八翼のひとりで、アルニカはユーリとレイブンが融合した姿だったのです。1のプレイ雑記でも散々語りましたが、ワタシ、ユーリ&レイブンは大大大好きですv芸風にまるっきり合わないので(苦笑)、この先も創作はしないと思われますが、今回、彼らのえろがなくて、マジで落胆しましたil||li _| ̄|○ il||li。美形に極めて関心が薄いワタシが、レイブンの幻の黒い翼に不覚にも(をい)見惚れてしまったです。まさに美しく咲き誇る悪の華。彼らに比べたら、白鳳さんの偽悪的な振る舞いなんて、本当に薄っぺらですよね〜(白鳳さんはそこがいいんだけど^^)。まあ、人間からすれば、ユリレイ(設定集にもこう書いてあって嬉しや)はとんでもない悪者でしょうが、人智を越えた生命体たる彼らの価値観は、人の物差しで測れるものではありません。フォンティーヌやロードライトに対する態度を見ても、仲間意識はかなり強いですし、相対的に悪なのは否めませんが、個人的には絶対悪とは言い切れないと考えています。ユリレイは人類にはとことん冷淡だけど、人間だってゴキブリやハエには容赦ないしね〜(;^^)ヘ..とにかく、彼らは改心などせず、最後までこのまま突き進んでいただきたいです。翼をむしられた過去云々は、果たして次作で語られるのでしょうか。めちゃめちゃ気になってます(><)。どうせなら”白鳳団VSきゃんきゃん党”とセットの番外編が出ることを激しく希望(やめれ)vにしても、八翼はウルネリスの分身でありながら、一体一体独自のしっかりした意思を持っているんですね。まだ未登場の八翼の動向も、非常に気になるところです。


ああ〜ん、ユリレイ最強じゃないですか(喜)!!資料集の数値でもロードライトより全然強いし♪いえ、プレイヤーとして大間違いなのは百も千も万も承知なんですけど(^^;;)、カナン主従とユリレイだったら、むろんワタシは後者の味方(最低)。あまり強すぎて、読心もきのこもなかったのが、唯一の心残りでした。でもでもん、オヤジ&ジジィ愛好家として、ヘルムトさんが死ぬのは困っちゃう(><)。一時退却したカナンとセレストの前に、いずれにも与さないと言ったはずのエルダーが来て、ヘルムトのみならずおやびんまで治療してくれました。彼はカナンにかつて魅せられたルーシャスの面影を見ているに相違ありません。エルダーの情報を元に、カナンたちはユリレイが復活させた、新たな八翼のロードライトと戦います。治癒の鉱石のため、苦戦を強いられたものの、エルダーが鉱石を破壊したおかげで、どうにか勝つことが出来ました。かと言って、エルダーは完全に人間側に付いたわけでなく、まだ人間を試している段階のようです。ユーリとレイブンは再び姿を消しました。また、どこかで力を蓄えて、新たな仲間を復活させるつもりなのでしょう。そうそう、資料集にユリレイの詳しい属性が載っていましたが、レイブンの”闇””黒””即死”って、スケールは違うけど、ほぼDEATH夫たんと一緒じゃないですか(はっ、カラーリングも)!?神に背き、人間の魂を狩る、とか言ってたし、どうせなら、ユリレイ悪魔と結託してくれないかしらん。そうなれば、ラクDEATHも目一杯期待出来るかもっ(寝言は寝て言え)v


最後の戦いを終え、カナンとセレストが街へ戻ると、遺跡6はすでに跡形もなく消え失せています。操られていたきゃんきゃん党も、白鳳さんに助けられ、どうにか難を逃れました。そして、正気に戻ったヘーゼルとグレートから、彼らの衝撃の過去が判明します。幼少時、実の親に捨てられたふたりは、森にいたおかし男に命を救われたものの、男の子モンスターハンターのせいで、不本意な別れを強いられたのです。きゃんきゃん党の原点が、この辛い体験にあることは言うまでもありません。確かに、バカ兄弟の思想は極端&迷惑過ぎますが、年端もいかぬ時期に両親から見放されるなんて、ある意味、白鳳さんよりよっぽど悲惨な過去ですよねえ(本人たちには何の落ち度もないし)。だから、セレストやカナンの反応には正直、激しい違和感を覚えました。もっとも、白鳳さんがフォローを入れてくれたおかげで、モヤモヤ気分はかなり緩和されたけど。やっぱり、兄弟ふたりきりで苦労してきたから、同じ境遇のヘーゼルたちに感情移入する部分もあったのかしらん。まあ、一番大きかったのは当然、下心でしょうが(笑)。案の定、カナンたちを追っ払うやいなや、即座にバカ兄弟を押し倒す白鳳さん。複数プレイはお手のもの、3P、4Pもどんと来い!!まあ、ころっけもいたことだし、せいぜいキス止まりだった気もしますが、結局、真相は藪の中(;^^)ヘ..。それでなくとも、ヘーゼル&グレートは、おかし男との平穏な生活を奪ったハンターを憎んでいたのに、このアクシデントでますます憎悪が増したに違いありません。次回作(番外編でもオッケー)では、ぜひぜひ白鳳さんVSきゃんきゃん党の激闘を見てみたいものです♪ミニSSはヒライナガオでの最後の夜、語らう白鳳団を。



今回の旅は順調だったとは言い難いものの、ヒライナガオでの捕獲はどうにか一区切り着いた。次の国へ移動すべく、男の子モンスターたちは、てきぱきと宿を引き払う準備をしている。旅慣れているだけに、室内の後始末も、荷物の梱包も、実に手際が良い。
「・・・・ムダ遣いしなかったおかげで、かなり路銀が余りました・・・・」
作業に勤しむ仲間の傍らで、そろばんを弾いていたフローズンが、おもむろに顔を上げ、可憐な口元を綻ばせた。享楽的な白鳳への徹底した管理も功を奏し、長期滞在でもまず予算オーバーになったりしない。
「僕たち、すっかり節約のコツを身に付けたよねっ」
「オレもどんぶり飯10杯を9杯に減らしたぞー」
誇らしげに胸を張ったつもりで、ハチがお腹をぽっこり突き出した。
「浮いた予算は明日、一番で預けよう」
「うむ、万が一のことがあるといかん」
「・・・・いえ、近隣の温泉にでも立ち寄って、のんびり休養するのはいかがでしょう・・・・」
神風・オーディンの慎重策の後に、締まり屋の大蔵大臣らしからぬ提案がなされたので、誰もが一瞬、目を見開いた。が、この国での経緯を思えば、決して唐突な意見ではない。雪ん子が言うところの”休養”は、もちろん心身共に疲れ切った主人に対する進言だった。
「それはいい。ここ半年近く、余裕のない強行軍が続いたし」
「先が長いんだから、たまには充電もしなければ」
「ふん、時間のムダだな」
「・・・・時にはムダが必要な場合もあります・・・・」
賛同の流れを遮り、吐き捨てるごとく呟いたDEATH夫を、フローズンがやんわりたしなめた。もっとも、最近のDEATH夫は少々天の邪鬼なだけで、パーティーの和を乱すほどの激しい主張はしなくなっている。
「よ〜し、温泉で裸の付き合いだかんな」
「わ〜い、楽しみだなあ♪」
「きゅるり〜」
盛り上がる年少組を横目で見遣りつつ、部屋の片隅に佇む白鳳は小さく息を吐いた。平常時なら、頼まれもしないのに、脳内で脚色した武勇伝や恋愛話を延々と語り続けるのだが、今夜は借りてきた猫みたいに大人しい。そんな不自然な様子が従者の目に止まらぬはずはなかった。
「どうしたんですか、白鳳さま」
「宿に戻って以来、黙り込んだままだが」
「・・・・体調でも崩されたのですか・・・・」
「はくほー、大丈夫なのかようっ」
紅いチャイナ服の周りを取り囲み、心配そうな顔で見つめる一同。彼らの私心ない気遣いが、白鳳をかえって息苦しくさせた。過去の事情を知られたからには、もう昨日までの間柄ではいられない。全員が何事もなかった風に振る舞っても、メンバーとの間に、見えない壁を感じざるを得なかった。
「どうして。。」
おずおずと言い差したけれど、恐くて先が続けられない。自分はいつ大切な同行者を失っても、仕方がない立場なのだ。
「言いたいことがあれば、はっきり言え」
DEATH夫にきつい口調で促され、白鳳はようやく覚悟を決めて切りだした。
「どうして、私を一言も責めないのさ」
「・・・・え・・・・」
「ヒライナガオでは問題行動もしでかさず、我々も本当に楽でした」
「うむ、常にこうだと助かるのだが」
「きゅるり〜」
どうやらアックスに限っては必要悪の位置付けなのか、男の子モンスターの中では、被害と認識されてないらしい。しかし、白鳳が指摘せんとしたのは無論、××関連ではなかった。
「違うよ、そんなことじゃなくてっ」
「でしたら、どんなことなんですか」
「わ、私はかつて男の子モンスターの”学者さん”を・・・・」
きっと聡明な神風たちは、こちらの本意に気付いていたに違いない。なのに、敢えて主人の傷に触れず、いつもと変わりなく接してくれた。その優しさが真綿のように首を締め付ける。いっそ、自己満足のため、同胞を滅ぼした人非人と、罵ってくれた方がどれだけ気が楽か。たとえいかなる事情があったとて、罪科もない男の子モンスターを消滅させろと願った事実は消せないのに。




「さんざん偉そうな発言をして、皆を騙してきて済まなかったね。私は端からマスターに相応しくない人間だったんだ」
「・・・・白鳳さま・・・・」
「きゅるり〜。。」
振り返れば、なんて軽はずみで傲慢な願いだったのだろう。当時は男の子モンスターに対して、世間並みの認識しか抱いてなかった。けれども、掛け替えのない従者たちとの旅を経て、己の過ちを思い知らされた。彼らと出会わなければ、一人前のハンターへの道も遠かったし、5年間でここまで成果をあげることも叶わなかったろう。パーティーメンバーへの感謝と愛情を実感すればするほど、皮肉にもかつての間違いを痛感させられる結果となった。白鳳が人として、マスターとして進歩したからこそ、そこまで考えが至ったのだが、心の成長と引き換えにするには、あまりにも過去の失態は大きく、重過ぎた。
「なあなあ、はくほー、元気出せや」
ハチがいつになく神妙な面持ちで声をかけたが、白鳳はしょんぼりうなだれたままだ。色褪せた真紅の双眸を覗き込みながら、神風がおっとりと言いかけた。
「これっぽちも気にしてないと言えば嘘になりますが、私を含め、誰ひとり白鳳さまを弾劾しようなどとは思ってません」
「!?」
予想外の反応に、きょとんとした白鳳が聞き返す間もなく、オーディンが朴訥な仕草で口を開いた。
「うむ・・・当事者たる”学者さん”が白鳳さまを恨むのは納得だが、我々は白鳳さまを裁く権利も資格も有さない」
「そうだよっ、僕たちには白鳳さまを非難する理由はないもん」
「・・・・むしろ、白鳳さまには十分過ぎることをしていただきました・・・・」
はぐれ系は並外れた力を持つがゆえに、同胞にも人間にも馴染みにくい、宙ぶらりんな存在になるケースが多い。でも、白鳳は種族の違いに拘ったりせず、各々の能力や個性を認めた上で、対等の立場で交わりを結んでくれた。ある意味、曲者揃いの男の子モンスターたちが人格者とはほど遠い白鳳を慕い、同行しているのは、そういう扱いが嬉しかったからに他ならない。
「だ、だけど」
「まさか、自力で1種族を滅ぼした気になってるんじゃないだろうな。笑わせるんじゃない。お前ごときにそこまでの力があるものか」
内容こそ辛辣だが、DEATH夫としては精一杯のフォローらしい。間髪を容れず、フローズンが核心に触れる見解を付け足した。
「・・・・白鳳さまが願ったところで、プランナーが手を下さなければ、何事も起こらなかったはずです・・・・」
「プランナーは人心を弄ぶ類の神だと聞いたぞ」
「我々とて殺生をしていないわけではないですし、食物連鎖を考えれば、生きとし生けるもの、全てが多かれ少なかれ罪を背負っているのではありませんか」
「皆・・・・・」
「きゅるり〜。。」
少しでも主人の気持ちを軽くすべく、慎重に言葉を選んで、励ましと慰めの言葉をかけてくれる。すでに白鳳は目頭が熱くなっていたが、紺袴の従者はさらに泣かせる決意を形にした。
「万が一、プランナーとの謁見が原因で、白鳳さまに危難が降りかかるのなら、私は命を賭して白鳳さまを御守りします」
もちろん、他のメンバーも躊躇いなく後に続いた。
「オレもっ、オレもっ、かあちゃんを守るぜー」
「僕も何があったって、白鳳さまの味方だよっ」
「・・・・私も出来る限りのことは致します・・・・」
「うむ、全力を尽くして守り抜こう」
神風の宣言に同意する仲間を尻目に、黒ずくめの死神は感激で震える紅唇を一瞥すると、面倒そうにポツリと言い捨てた。
「俺はお前のために命を賭けるのは真っ平御免だ」
「そ、そうだよね」
DEATH夫に限っては、白鳳がマスターにはなり得ないし、そこまで望めるわけがない。いや、神風たち4人と1匹が明言しただけでも、望外の喜びとすべきなのだ。とは言うものの、一抹の寂しさは否めず、微かに肩を落とした白鳳の傍らで、金の双眸が不敵に細められた。
「だが、降りかかる火の粉は払わねばなるまい」
「え」
「おうっ、やろうぜ、ですおー」
つまり、刃を交える事態となれば、一緒に戦う意志はあるということだ。白皙の美貌が喜びでぱあっと華やいだ。
「このパーティーは正義の集団とはまるっきり別物ですし、白鳳さまとどこまでも運命を共にします」
神風の力強い締め括りに、一同は瞳を輝かせつつ、大きくうなずいた。





従者たちの本心を確かめ、白鳳は筆舌に尽くしがたいほどの感銘を受けた。しかし、厚意に甘えたばかりに、大事な同行者が犠牲となる事態は、断じてあってはならない。
「とても嬉しいけど、気持ちだけありがたく受け取っておくよ。私の犯した過ちのせいで、皆を危険な目に遭わせるなんて耐えられないもん」
深刻な表情で訴えながらも、根っからお調子者の白鳳は、無意識のうちに心のどこかで、騎士に守られるヒロイン気取りになっていた。ところが、神風の返答を聞くやいなや、頭から一気に冷水を浴びせかけられた。
「正直言って、白鳳さまのしでかした過ちなら、他にも腐るほどあります」
「あれっ」
「・・・・過ちがこれひとつだと思っているのではないでしょうね・・・・」
「ふん、認識不足だな、図々しい」
毎回、白鳳の不始末の尻拭いをさせられている年長組からすれば、現時点では実害のない過去の過ちより、××関係の暴走の方がよっぽど質が悪い。すっかり論調が変わったのを察し、きまり悪そうに顔色を窺う主人を、神風が苦笑混じりに見遣った。
「だけど、困った白鳳さまだからこそ、放っておけないんです」
「うむ、昔からダメな子ほど可愛いというし」
「・・・・ええ・・・・」
「が〜〜〜〜ん!!」
一同の忠誠心の底に隠された真意を知り、愕然とする白鳳の眼前に、ハチがぶんぶん飛んできて、腹包みを小気味よくぱあんと叩いた。
「ま、はくほーはへっぽこだかんなっ」
能天気に哄笑する様が目に入った途端、直前までの殊勝な心持ちはキレイさっぱり霧散し、バックスイング付きの豪快なビンタを繰り出していた。
「へっぽこはお前だよ!!」
「あてっ」
カーペットに頭から墜落したハチだが、しゃっきり立ち上がると、屈託なくにぱっと破顔した。
「やたっ、いつものはくほーに戻ったぞー」
「・・・・本当に・・・・」
「やっぱり白鳳さまはこうでなきゃっ」
「そ、そうかなあ」
「きゅるり〜」
手放しで認めがたい微妙なコメントに、白鳳は上目遣いで小首を傾げている。その右隣りにいたオーディンが、穏やかな物言いで言いかけた。
「起こってしまった事実は消せないが、白鳳さまが悔いを忘れず、日々心を痛め続けることで、十分償いになっていると思うぞ」
「う、うん」
生真面目に口を引き結んだ主人を、頼れるメンバーが改めて取り巻んだ。
「白鳳さま、全ての男の子モンスターを捕獲して、プランナーの術が解けるのなら、スイさまの呪いだけでなく、もしや消滅した”学者さん”にも何らかの作用があるかもしれませんよ」
「・・・・全種捕獲すれば、きっとプランナーと再会する機会もございます・・・・」
「その時は力ずくでヤツをつるし上げてやる」
邂逅の確率は限りなくゼロに近いし、仮に封印が解けたDEATH夫でも、3超神のひとりには敵うべくもないが、単なる気休めとは違う、精一杯の思い遣りが胸にじんと響く。そうだ。いつまでもうじうじ悩んでいたって、過去の結果は変えられない。ならば、罪深い自分に、素晴らしい同行者が与えられた奇跡に感謝して、現状を好転させるため、力を尽くすべきだ。
「よし、とにかく今、出来ることを頑張ろうっと」
「おっ、はくほー、やる気出て来たぞ」
「それでこそ白鳳さまです」
「・・・・ムダに前向きなのが、白鳳さまの長所ですから・・・・」
「うむ、諸刃の刃ではあるがな」
「ええっ?ちょっと、何それっ」
「きゅるり〜っ」
取り返しの付かない失敗をしでかした主人を見捨てるどころか、過ちを諫めつつも、しっかり支えてくれる従者を得た自分は、なんて幸せなマスターなのだろう。でも、彼らの受容により、己の罪が消えたわけではない。古傷に蓋をすることなく、針の穴ほどの可能性を信じて、ひたすら前進していこうと誓う白鳳だった。



  

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