初夏号
第34号 平成19年6月3日発行
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彩りを競い合った春の花々の時も過ぎ、
木々の葉を渡る風のさわやかさに、山を恋しく思う日々・・・
今日6月3日は、50回目の針ノ木岳慎太郎祭の日です。
日本の近代登山に大きな足跡を刻んだ大町の岳人・百瀬慎太郎。
晴れわたる空の下、多くの山を愛する方たちが
慎太郎の心の山々に思いを馳せ、今年も開山祭に参加しました。
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天候に恵まれて、扇沢駅には早朝から
慎太郎祭への多くの参加者が集まりました。
そして今年は50年の歩みを記した
記念誌も上梓されました。
山の安全を祈り、慎太郎を偲びながらの
一年に一回の針ノ木岳慎太郎祭。
50年の歴史は岳都大町の
大切な山岳文化のひとつといえます。
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この慎太郎祭に毎年心を寄せて関わってきた人の中に、横川仁さんがいます。
横川さんの造るお味噌は、昔ながらの自然な味わいです。
そんな横川商店のお味噌造りをいーずらスタッフの太田亜希子が取材しました。
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前回の【氷餅】に引き続き、2回目となる太田亜希子の「〜ができるまで」取材。
記念すべき第2回目は、大町で6代続く味噌蔵【横川商店】の味噌造りです。
横川商店では味噌の他に醤油も造っています。造りに関する店主・横川仁さんのこだわりは、もちろん良い意味ですごいものがあります。
どのようにすごいのか…、それは後ほど語ることとして、まずは味噌造りの様子を写真を交えて御紹介していきたいと思います。
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取材1日目。今日は「味噌玉」造りです。
お味噌を造るために絶対必要となる「味噌玉」。
全く味噌造りに関して知識の無かった私は、このとき初めて聞く言葉でした。
味噌玉は煮た豆をつぶし、玉のように形を整えた物のことで味噌の元となります。
右の写真はその作業風景です。
機械でつぶしたものが押し出されてくる、これを一定の大きさに切り並べていきます。
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長年のチームワークを感じる作業風景。
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切られたこれらは形を整えて板に並べられ吊るし、カビを生えさせます。
このカビが後々コクや旨味の元となってきます。
昔は20日ほど吊るしていたそうですが、今はそれほど日数はいらないそうです。
その理由は、今は麹を味噌に入れる為とのこと。
そもそもカビを生えさせるのは、旨味の他に味噌を発酵させる為にカビの力を使うからです。
けれども麹はカビの倍、発酵をうながす力をもっているため、
発酵に関してカビの力に昔ほど頼る必要が無くなったからです。
「じゃ、昔の人も最初からそうやって造ればよかったじゃないか」と考えがちですが、
そこは今と昔の違いなんです。
麹に必要な「お米」。昔は大変貴重品でした。普段の生活で口に入ることが無い人もいた…
そんな中で今のような製造は出来なかったということです。
今の時代は、昔ほど食に困る事はないですから想像もつきませんが、
こういったお話は貴重な歴史の1ページとして大切にしていってほしいと思います。
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味噌玉造りの横では次々と
豆が煮えては運ばれていきます。
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作業中の店長・横川仁さん
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横川商店の味噌は、豆はもちろん
麹の元となる米も自家製で極力農薬を使わず
栽培されています。
店長は商品製造のかたわら、
農作業もこなしています。
味噌造りに使われる機械は
どれもかなりの年代物です。 |
これぞ達人の技!!
味噌を造って60年という
ベテラン中村さんの技がきらり。
1メートル以上深さのある窯の中から
豆を取り出す作業です。
この体勢で何十回とこの作業を
繰り返しておりました。
心から感服いたしました!!
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一日目の作業は
味噌玉造りで終了しました。
これが明日になるとどうなるのか…。
私もこの日はここで帰ることとなり、
この日の取材も終了です。
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今はまだ白いですが明日になると…。 |
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一夜あけて味噌造り取材・2日目です。
本日の作業は、1日目に造った味噌玉を使って仕込みに入ります。
昨日まで真っ白だった味噌玉は一晩の間にここまで色が変わりました。 |
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材料を並べて作業開始です。
右の機械に味噌玉と塩を
一緒にかけていきます。
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横川商店の仕込みは、お店で売る分はもちろん、お客さんの注文などもあります。
注文に応じて麹や塩の対比、豆が多めなど好みに合わせて仕込んでもらえます。
注文は県外からもあるそうで、リピートの方なども多いとのことです。
お客さんの注文の品は、右のようになった状態のものを発送し、
熟成はお客さんの好みに任せる事となるシステムです。
ちなみに食べるタイミングは、早くても半年は熟成が必要とのこと。
ただし、味噌は熟成期間が短いほどしょっぱいようなので、
半年というのは結構しょっぱめだそうです。 |
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上記の作業を終えたところで、
それを樽へと移していきます。
横川商店の樽は、これまた年代物。
どれくらい昔のものかは
残念ながら不明でしたが
そうそう新しいものに変えることは
ないそうです。 |
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左の写真は、木樽の内部。
味噌のもとを入れる前に振り塩といって塩をまいておくのだそうです。
味噌に必要な塩分を、木樽に取られないようにする為とのことです。
写真を見てわかるように、この木樽はけっこう大きいです。
この樽をいっぱいにするのはかなりの重労働だそうです。
こうやって味噌造りを繰り返していくことで、樽はもちろん蔵にも「蔵癖」というものがつき、
その店の味がある程度決まってくるそうです。 |
こうして約2日間の取材終了です。
取材の最後に店主・横川仁さんに質問をしてみました。
「横川商店の味噌造りは米や豆も自家栽培、機械なども年代物で、
それが横川さんのこだわりですか?」
それに対して返ってきた答えは
「こだわりというか、自然の味わいを楽しむ為には
昔からのやり方が合理的だからそのとおりにやってるだけだよ。」
とのことでした。
・・・そのときに聞いた事ですが、
横川商店の味噌造りの機械では、外来の米や豆は柔らかくならず、味噌造りに使えないそうです。今ほど輸入が盛んでなかった時代、海外の食材に触れる機会の無かった頃の
名残りといったところでしょうか。・・・
私の質問に対して、事も無げに返してきた横川さんですが、
その作業は言葉ほど簡単なものではないと思います。
私が見たのはたった2日間ですが、
作業の工程こそシンプルなものの力を使ったり、気を使ったり、
そこには常に職人の方たちの苦労や努力がありました。
日本人の食卓では御馴染みの味噌。
毎日何気なく食べていましたが、その何気なさの裏での大変さ。
味噌に限らず、食品・食材の一つ一つにこういったドラマがあるのだと思います。
それを思いつつ、何気なく日々の食卓を迎えるのではなく、
これからは「いただきます」と感謝を込めていきたいと思います。
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Aの2
カッターシャツの腕まくり、ピッケル片手に、ニッカーズボン。
「キレットを越えて 1988」と題された銅像が大町警察署の駐車場にあります。
指さす先は、もちろん鹿島槍ヶ岳北峰から五龍岳の稜線へと
落ち込む鞍部、「鉢峰(はちみね)キレット」の先。
この付近は今でも後立山連峰縦走登山の難所で、
鉄のはしごや鎖の連続です。
二人はきっと遭難者の救助に向かうのです。
温和な眼差しながら、アゴの張った顔立ちと強靭そうな太ももに、
その意思がみなぎっています。
「キレット」・・・とは、ドイツ語です。 いえ、フランス語です。
いいえ実は日本語の古い山岳語彙(ごい)なのです。
「キ」の字です。さて、どんな漢字でしょうか。
本当かどうか知りませんが、辞書によると「切戸」だそうです。
また、この地形を富山湾では古くから「窓」と呼んでいるそうです。
伝説の巨人「デェラボッチ」(ダイララボッチ・・・などと地方により呼称は様様)が、
稜線を大鉈でブッタ切ったようなイメージを私は覚えます。
さてこの二人、キレットを越えてどこに行くのでしょう。
稜線伝いに五龍へ行くのか、キレットから富山県の急峻な谷へ下るのか、
それとも信州側・・・、と興味は尽きません。
作者の意図をどうしても知りたい方は、銅像をじっくり見てから
署長さんにでも聞いて、ぜひ私に教えてください。
待ってます。
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しぼりたての新鮮な生酒を
厳寒の1月末から雪原に埋めて眠らせ
5月末に掘り起こしました。
まろやかでフレッシュな味わいの
人気の高いお酒です。
アルコール度数 14.9
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300ml 735円
今季は完売御礼でございます |
加水・濾過をしていない「無濾過生原酒雪中埋蔵・720ml・1732円」もございます。
取り扱い本数に限りがございますので、ご希望の方はいーずら大町特産館までお早めにお問合せください。
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特産館開館以来10年間、
多くの皆様にご利用いただきありがとうございます。
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スタッフ一同、心より御礼を申し上げます。
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これからもいーずら大町特産館をよろしくお願いいたします。 |
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