3月7日、日曜日。 蔵人さんには日曜日も祭日もありません。
あるのは、もろみのご機嫌だけです。
白馬錦さんでは、ちょうど純米大吟醸の搾りの日でした。

@タンクの中のもろみを圧搾機に送り込む準備をする。

A真剣な表情で慎重に櫂入れをする山本さん。

B もろみを薮田とよばれる薮田式濾過圧搾機に入れてしばらくすると、出てきました。最初のお酒です。 
でもここは、ガマン。お酒らしくなるのはもう少し・・・。

Cもろみをかき混ぜていたタンクに取り付けたホースで、この薮田式濾過圧搾機に送り込まれていきます。

Dもろみを入れて約10分、そろそろ味が変わってくる頃でしょう。
もろみを入れている間、杜氏さんも蔵人さんも、もろみが酒袋の中に調子良く入っているか神経を使います。杜氏さんの背中にあるホース、ここからもろみが薮田の中に入ります。

E15分たちました。
おもむろにきき猪口をとり、新酒(あらばしり)の味をみます。



Fあらばしり


G杜氏さんのお顔がほころんでいます。
ご自身が想い描いたお酒の味わいだったのでしょう。

Hご自身のカメラで記念にパチリ。
一昨年から仕込みはじめた純米大吟醸
感慨もひとしおだと思います。



I15分、20分、25分、30分、35分同じもろみを搾っているのですが、それぞれに味わい香りが違っています。 時間が経つにつれて、口に含んだ後の甘味含み香がまるで別物になっていきます。 旨味の巾がぐんぐんと広がっていくのがよくわかります。
J搾り終わるまでにはまだまだ時間がかかります。
ついでに昨日搾った、美山錦大吟醸39%精白(39番)、一昨日搾った山田錦大吟醸(30番)
今、汲んだばかりの純米大吟醸(13番)。 味をみさせていただきました。
まだまだこの先、華やかさ増していくことでしょう。

K利き酒をする真剣な表情の杜氏、丸山陸栄さん

L異なる味を確認する蔵人の松浦さん

Mこの瓶から1升瓶が10本とれます。 無濾過のお酒なので、下の方にオリが溜まっています。

これは、昔の圧搾機。
今は使われていません。

お酒を搾ったあとの酒粕
漬物や粕汁にも使われる大切な味わいです。

Nそろそろおいとまする時間です。
丸山杜氏、蔵人の松浦さん、そして特産館のスタッフ飯島です。

O実はこの日で大吟醸の搾りが終わったんです。 杜氏さんは本当にほっとしたご様子で「まあ、いいじゃねぇかい。コーヒーでも飲んでいきましょ!!」
杜氏室では肩の荷をおろした風で、ゆっくりとお話をしてくださいました。

杜氏さん:「もろみも40日を越えてひっぱるのはえらかった。 寝れねーもんでね。 毎晩もろみのまわりを歩いていいただいね。」
飯島:「えー。大吟醸って40日以上もかけてできるんですかー!!」
杜氏さん:「それに、今日の純米大吟醸はカス歩合が45%以上、搾りには本当に神経使うんね。」
飯島:「へぇーっ」
ご苦労を伺った後、杜氏さんの後に並んでいる12種類の大吟醸を試飲させていただきました。
一日経った大吟醸、二日経った大吟醸。 この微妙な味わいの違い。
そして、吊り袋で搾った味わい。 積み上げで搾った味わい。・・・・・
なんとか、舌の上に、そして頭の中に残そうと思ったのですが・・・。

伺った日は3月とはいえ蔵の中は暖房もないので、厳しい寒さでした。
この厳しい寒さの中、蔵人さんたちの技と心意気と愛のおかげで
私たちがおいしいお酒をいただけるんだな・・・と、実感した日でした。