写真の流鏑馬の装束は当館館長渡辺完鼓(充子)の作品です。 日本刺繍の工芸作家でもあり、1982年には大町市三日町自治会より依頼を受け、射手装束一式を制作いたしました。また、1988年には仁科町自治会へ流鏑馬射手装束一式を制作、寄贈。このページの作品は仁科町の流鏑馬衣裳装束です。
大町市古来の神事である若一王子神社祭礼流鏑馬の射手衣裳装束は羅紗布に本金糸刺繍をほどこした見事な装束です。

ボボと呼ばれる射手に選ばれた10人の童子は、化粧をほどこし、狩衣をつけ、陣羽織をまとい、太刀を差し、重藤の弓を持ち、矢を差し、三蓋笠(さんがいがさ)をかぶり、紋所を染めた白絹の鉢巻や襷をかけた凛々しい姿で馬に乗り、数人の介添え役を従えて、的場で奉射しながら市内から神社へ巡行します。

少年射手の雄姿

前 姿

後 姿
ここでちょっと楽しい裏話を一言・・・「そんな雰囲気で流鏑馬のボボは一日お殿様。欲しいものがあれば、だいたいのものは買ってもらえるし、好きなものが食べられます。地面に足をつけることは、けっしてなく、介添役、うちわ係、笠持役、弓持役がおんぶかだっこをして移動します。屋台の大きな風船も介添役が競って”自分のボボ”に一番大きな風船を持たせます。」(M.Y.談)

一日の大役を果たして、街角ごとに挨拶をして、輝く風船をたなびかせ、馬のの背に乗り家路につくボボを、私たちが特産館の前で迎えるのは、毎年夜10時ころでしょうか。「おかえりなさい。今日は一日ご苦労さまでした。」と、 胸が熱くなる瞬間です。