週刊仏教タイムス(’99.4.15)

脳死・生体臓器移植 職業別アンケート
  
判断に違いが
      
 脳死・臓器移植論議では国民のコンセンサスを得られるかが課題の一つ。一口に国民というが、職業により意見に違いがあるようだ。京都教育大学の友久久雄教授(障害児医学)らがまとめた生体臓器移植に関する職業別アンケート調査では、生体・死体(脳死) の両臓器移植について、職業で判断が異なる結果が出た。

 アンケート結果は、最新医療への関心や生体臓器移植で長年、職業別の意識調査を続けている京都教育大学の友久教授と大脇万起子氏(同大非常勤講師)が、昨年三月の大学紀要別冊で発表した「生体臓器移植をめぐる精神的・社会的・倫理的諸問題に関する研究」。三回目のアンケート結果の報告だが、同種のアンケート調査では、他に例がなく最新のものといえる。

 生体臓器移植とは脳死者からの臓器移植より治療効果が優れ、医学が治療効果だけを追及するなら向かう先にある治療といわれる。現在、日本ではドナーが肉親のみに許されているが、健康体にメスを入れることから、ドナーの許容範囲、倫理的検討など問題が浮かび、脳死移植の議論と共に今後、宗教者の意見が求められてくると思われる。

 調査は、その生体臓器移植の許容範囲や倫理性について、法律家(九十五名)・宗教家 (七十五名)・教職者(九十三名)・医師(七十二名)・看護婦 (八十二名)の計四百十七名を対象に調査した結果をまとめたもの。ちなみに「宗教家」とは僧侶とキリスト者で、僧侶が多数を占めるという。




 質問の中には、死体(脳死) 臓器移植と生体臓器移植について意見を求めるものがある (図)。
 全体でもっとも多い回答は「死体臓器移植も可能なのだから、脳死を認めて死体臓器移植だけにすべき」「わからない」「その他」で、いずれも一八%。

 職業別で宗教家の回答をみると、「治療結果がよいのだから、生体移植をもっと進めるべき」(一八%)は他に比べ一番低く、「治療効果がよくても、生体臓器移植は倫理的によくない」(二五%)は一番高く、次いで法律家(一六%)との回答で、「これらの職業の者は倫理的な理由で生体臓器移植に対して否定的」と分析。

 また、宗教者の「死体臓器移植も可能なのだから、脳死を認めて死体臓器移植だけにすべき」(一三%)は看護婦(一〇%)に次いで低く、生体・死体(脳死)臓器移植ともについて、宗教家は否定的であることがわかる。一番高い回答は医師(三二%)だが、過半数を占めるには至っていない。友久教授は、今年二月の脳死・臓器移植の事例が「各職業の方の考え方を変えていると思われる。今後も調査を継続していきたい」と話しているが、どのような意識変化がみられるか関心が寄せられている。