週刊仏教タイムス(’99.3.18)

曹洞宗現代教学研究センター

肯定も否定も・・・

脳死臓器移植で仏教の立場から答申

 脳死臓器移植問題について内局から諮問を受けていた曹洞宗現代教学研究センター(櫻井秀雄所長)は、昨年十二月二十四日に答申していたが、その答申書が先に開かれた宗議会で各議員に配布された。

 答申書「『脳死と臓器移植』問題に対する答申」と題しb五判八頁からなる。「はじめに」でこの問題に対する基本的スタンスを確認。その中で次の三点を提示。

 @本件はすぐれて「生死」の問題に関わるものであるが、特に脳死は臓器移植を行うために導入された便法としての死の定義である。仏教・禅の視座からはこれを積極的に支持する根拠はみあたらない。
 A脳死・臓器移植については、仏教ないし禅の世界観からは、是とする意見もあり得ると同時に、非とする見解もあり得て、宗門としてイエスかノーかといった二者択一的な結論は出し得るものではない。
 Bこの問題はあくまでも宗門人個々の宗教者としての自覚と関心の上に選択、決定されるべき事柄である− というもの。

 これをうけ「一、日本人の身体観」「二、『脳死』問題発生の背景」「三、仏教・禅における死の問題」「四、臓器移植と仏教・禅」「五、ドナーとレシピエントのありかた」「六、法制化の経緯と問題点」「七、脳死・臓器移植の実施に関わる法制上の諸条件」で構成。

 仏教・禅の立場からは、これを容認する根拠は見出せないとしつつも、その教義からは「肯定する理論も否定する理論も」導き出せる、と両論併記的な形は採っているものの、全体的としては否定的な論調となっている。

 また、ドナー(提供者) とレシピエント(受け手) についても「臓器移植が推進されるならば」として、「臓器提供者と受け手の双方と、それをとりまく家族や親族への心のケアが十分になされる体制がととのえられなければならない」とも提言している。