塩山芳明@漫画屋
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ベスト&トホホ 選評
『映画秘宝EX・この映画を見ろ!'99』 洋泉社


『映画秘宝EX・この映画を見ろ!'99』表紙  ホントに不況のドン底。その証拠に、飛び込みの原稿依頼は、今年たったの3本。しかもその内1本は没。まずは『映画秘宝EX・この映画を見ろ!'99』。発売は今年だが、入稿は昨年末。同誌のゴダール石井輝男を、こんだけケチョンケチョンに書いたのに、無修正で載せた同誌は、『映画芸術』より太っ腹!?(でも、そういや今年は依頼がない)。 【塩】

 ベスト 

なし

 50、60、70年代の汗が飛び散る傑作映画を、ビデオで日常的に観られる時代に、90年代のエキストラもろくに出てない、ガラ〜ンとして寒々しい貧乏映画を十本も選ぶのは、古女房のシミ付きパンティでオナニーにふける以上にむなしい。

 トホホ 

(1) 第七官界彷徨 尾崎翠を探して (99年公開 旦々舎/浜野佐知)
(2) ねじ式
(3) L.A.コンフィデンシャル
(4) トゥルーマン・ショー
(5) ブルース・ブラザース2000
次点 プライベート・ライアン

 (1)は能天気ピンク映画のエース、浜野監督の履歴に泥を塗る愚作。文才は並外れているが、役者としては所詮ボンクラの、杉作J太郎の出番増加に比例、石井映画は退屈になる。(2)『ねじ式』で極まった。(3)は暴力に悩む振りして、見せ場のために暴力の一方的礼讃へ。大不快。(4)のジム・キャリーの大根ぶりに、“毛唐番男松原智恵子”の名を捧ぐ。(5)のランディス旦那の、昔のヒットでのどさ回り振りは、『浪曲子守唄』の一節太郎も真っ青。引退しろ。『プライベート〜』は、前半と後半の20分ずつのみビデオ化すりゃ、『タイタニック』以上の大セールス間違いなし(同作の馬鹿げたドーナツみたいな脚本は、(1)の山埼邦紀のそれを凌ぐ)。

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