塩山芳明@漫画屋
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ズリネタ特選館
〜夕刊紙の風俗記事編〜
『オッパイ大好き』2000年3月号 桃園書房


 中高年夫婦の性生活がしみじみとつづられた感動エッセイ!! そういや、最近飛び込みの仕事以来が来なくて寂しい。仕事くれっ!! 【塩】

 合理的なんじゃなく、単なるケチン坊。自らの否定し難い根性のため、オカズに金かけた経験がない。46歳にもなるオヤジがこの性格じゃ、若い姉ちゃんは鼻水どころか、屁もひっかけない(嗅ぎたくなくもない)。で、中年も当然やんです、妻子に隠れて。ヘチャな愚妻に陵辱され、つい「汚れちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる…」と、我が身の不幸を嘆き、中原中也を気取るより、一人で済ませた方が、よほど精神衛生上もいい。

“ケチな中年オナニスト”がたどりついたオカズが、御存知『
日刊ゲンダイ』の「盛り場ニュース」。一部120円。抜群の安さ。落ちている日も多い。筆者の同紙の読み方はこうだ。1〜5面でボンクラ小渕&自自公政権批判を、「うんうん」とうなずき熟読。6〜9面の経済欄は、『週刊ダイヤモンド』や『エコノミスト』のパクリ、いや後追い記事が多いので斜め読み。書評欄は低脳なのに自己陶酔的与太文書く、狐のコラム以外は読む。健康欄もサッ。芸能欄は精読(吉川潮最高!)。横山まさみちの「それいけ大将」はシカト。反対側の「盛り場ニュース」を読む前に、同紙をバック責め。長嶋&ナベツネ罵倒記事に溜飲を下げたら、いよいよ敵の牙城に攻め込む番!!(何言ってんだバカヤロ!)

 今年1月14日付の、同欄の池袋のマンションの熟女専門店を、風俗情報誌を元に体験取材した下りにこうある。

〈…何とわちきの両足を持ち上げ、アリの門渡りからアナルをレロレロ!「オシリ好き?」なんて聞かれ、「ウン」と答えると、四つんばいにさせられ本格アナルなめ! 舌の奥までねじ込む厳しさで、アナルがふやけそうざんす。攻守交代ってんで今度は彼女を下にしてオッパイチューレロのおマタ開かせ赤貝なめまくり! ヌルヌルの大洪水をすすりつつそのままシックスナインへ。彼女の生のディープフェラにうっとりしつつ赤貝に中指挿入! そのままの状態でドピュピュの口内大放出! しばし休憩の後、またしてもネットシの長時間のアナルなめ!〉

 10年1日のごとき同欄特有の文体だが、名文である。同種の記事は数多いが、「盛り場ニュース」が傑出してるのは、記者の視線の位置。高からず低からず、実は10度ほど低め寄りって辺りに好感が。担当記者か、複数の取材者の記事をチャックしてるのだろうが、説教臭さが抜けぬ『
夕刊フジ』とは雲泥の差(逆に妙に馴れ馴れしいのも不)。

 オヤジはどこに感じるか? 谷岡ヤスジ調の、的確な擬音とスピーディーな文体、女の人権を一切無視した、唯我独尊の姿勢にまずしびれる(一見ヘコヘコしながら)。〈アナルがふやけそうざんす〉の下りは涙物。盆暮れの愚妻との義理マンでは、絶対に味わえぬ境地だ(むろん、あんなブス馬鹿女にしてほしい訳じゃないが…)。

 文体が70年代風なのに(念のために言っとくが、劇画調ではなく、谷岡ヤスジ調なのだ)、取材者の精力が20代で絶倫風なのも良い。「あんた何これ?」と、〈ふやけたアナル〉ならぬ、〈ふやけたイモ虫〉のような、固さ不足の粗チンを、古女房につままれた屈辱の経験があればなおさら(担当記者が団塊世代なんだろう。

 さて、オカズは確保したがどこで? 幸い夕刊紙は『
週刊実話』『ザ・ベスト』『ニャン倶楽部』、あるいは『さぶ』と異なり、思春期のガキのいる家庭にも持ち込み可能。さりげなく自室に持ち込めば、後はこっちのもの。ざまあ見ろっ!!(はあ…)トイレでやれば心配ないが(換気扇を忘れぬこと)、寒いのでコタツでシコやってると、「あんた、今度○○の父兄会に出てよう!」「ば…馬鹿野郎! ノックくれしろっ!!」「フン! あたちの家よォ!」「ケッ!!」。
 実を言えば筆者はこの時、「盛り場ニュース」の西川口本番ピンサロの記事を使い、実践中だった。コタツの中の下半身は、ジーパン&ガラパン引き下げスッポンポン。しかし、冬場の常で長目のハンテン着てたので、切れ痔がちだが色白で、キュートな美尻を愚妻にさらさずに済んだ。コタツ上の『日刊ゲンダイ』も、襖に手の掛かる気配がするや、パッと1ページめくり、芸能欄になってた。敵は一抹の不審をだきつつも、ふたくされたツラして出ていった(単身赴任先の旦那に女が出来たと邪推、連絡なしで突然訪れたが、部屋に女はいなかったという、昔観たつまらん二時間ドラマを思い出していた)。
 これには後日談が。ある日、犬の散歩から帰ってコーヒーが飲みたくなる。女房を捜したが醜い姿が見えない。二階の女房の寝室を開けると、奴がポケーッ。前に『日刊ゲンダイ』。柄にもなく、パクリばかりの経済欄を。「コーヒー入れろっつってんだろ!!」「いつんなったら、景気が良くなんのかしらねえ…」「………」。若い時も中年になっても、人生は孤独なものだ。

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