05年5月

12月×日…親族の不幸等もあって珍しくいトうがベタ遅れ。予定外の人が蟹空蟹太化すると胃痛。『にっぽん話題スクープ』が始まったせいで、従来週1だった東京泊りが週2になりがち。早朝仕事してると、事情知ってるヤマトの兄ちゃんが「夕べも泊りですか?」(1度でいいから愛人宅から出勤したい)関係ねえが宅配関係者で、公安警察のスパイやってる奴、結構いるだろね(令状不要の堂々たる侵入者)。鋤焼食之介の携帯に電話。「ちょっと待って下さい。すぐ車止めますから…」(彼は関西で、大手食品会社の下請けで営業マンを)「オメーの下描きのコピー、薄くてちっとも読めねえ。何とかしろっ!!」「すいませ〜ん。すぐにぃ!」(関西弁)従来は営業テリトリーが決まってたが、本社が異業種参入を認め始め、同一メーカー商品をめぐり熾烈な競争と。「いい思いしとんのは、本社だけですわ」どこでも2極化か(本業界ならティーアイネットとそれ以外、とか…)。夜、事務所で『男であることの困難 恋愛・日本・ジェンダー』(小谷野敦・新曜社・本体2500円)読了。1度著者に、ホモ志向でない性的弱者について熱く論じて欲しい。帰りの新幹線で『夏の宴』(吉岡実・青士社‘97)。つまらん(装丁はまあまあ)。自室で『閉ざされた森』(監督・ジョン・マクティアナン・‘03米)。あんまりな落ちに呆然(70年代のエロ劇画誌も真っ青)。

2月×日…コンビニ雑誌『にっぽん話題スクープ』の、おがともよしの原稿修正。成年マーク付きの『熟女の恥ずかしいH告白』より、当然白地&スミベタ面積は増えるが、ビニ ―ル綴じになって以降、全体にきつくなっているのも事実。サジ加減が難しい(そろそろSM浣腸も?)。『熟女H告白』執筆陣の1人、花村れいらが新潟から下描きのFAX(地震被災者の1人)。獣姦物をやらせたのは大失敗だった。電話。「女子銀行員をレイプ(?)する犬、人面犬かよ?」「は…はぁ…動物はなかなか…」「人間がぬいぐるみ着てる、ドサ回りの芝居じゃねんだ。獣姦シーンだけ描き直せっ!!」「はい〜っ」ビールビンと動物に、モロに出る漫画家の画力。熟女系アンソロ単行本をさせてもらってる、松文館の“獄中派セクシーヴォイス&プチハゲ編集者”、高田編集長から電話。前号でも書いた通り、次は『巨乳熟女姦淫』に決まったはずが、高田センセが勘違い、取次への予定表を『人妻母子相姦』にしてしまい、変更が効かぬので何とかならないかと。ならねーよ! 相姦物は半年前にやったばっかじゃん!! けど高田編集長が首になると可哀想なので、必死で原稿棚をかき回し、何とかデッチ上げる(義母物なんてのも仕方なく)。神保町に行く間がないので、「エース」でポ ―クカレー(380円)にビール中ビン(400円)。左手に『ブルガリアにキスはあるか』(荒川洋治・五柳書院‘81)。詩人で散分も読める人は本当に少ない。古くは萩原朔太郎、昨今では田村隆一とこの人くらい。

3月×日…「高崎市美術館」へ。「刻む人/富田文隆 平出豊 三谷慎」展(500円)。平出豊が富岡高校の先輩で(政治&女がらみで中退。上京後、新宿西口の3畳間に下宿してた彼のアパートに、高校2年の夏休みに転がり込み、フーテンまがいの夏を。丁度35年前。『漫画アクション』連載、上村一夫の『同棲時代』の見開きで、桜が数枚しか描いてないのに驚かされた年)。偶然当人が会場に。声かけてもわからない。20年以上振りだし、俺も太ったから。平出は昔のまま。彫刻一筋の生活と。う〜む(太れねえな…)。近く飲む約束を。作品は昔の方が良かった(饒舌すぎ)。「シネマテークたかさき」へ回り、『犬猫』(監督・井口奈己)。後半ドンドン面白く。前半はだるい。特に生活音(スプーンの音他)がやたらでかく、不快(音楽入らないので目立ち、神経にさわる)。帰りの上信線で『超・偉人伝 カリスマたちは激しいのがお好き』(福田和也・新潮文庫・本体552円)。ゲラゲラ。本シリーズは著者の柄にピッタシ。自室で『宇宙大怪獣ギララ』(監督・二本松喜瑞・‘67松竹)。金髪姉ちゃんが水野久美ばりにエロい(太腿チラリシーンも)。

3月×日…“引っ越しマニア”、刹奈センセと業界のゴシップ話。某社のコミックス(実業之日本社だが)5万部突破と。「誰が買うんでしょうねえ?」「無細工で低能なマスカキ猿共よ!」「そ…そんなあ…」(心の中じゃどう思ってるやら)。電話ばかりで、去年から約束してる宴会は無期限延期状態(セクハラレポートも実現せず)。そこへ矢島Indexが久々に顔を。「またデブったろ?」「いつもそう言いますが、この2〜3年体重は変わってません!!」「このホラ吹き野郎っ!!」(旧友に顔を判別してもらえなかったのがショックで、つい仲間を…)。そういやペイントロボは何年も見てないが、腸の難病と言うし、ガリガリだろうな(数日後、何ヵ月振りで下描きが。近く本誌ないし『Mate』に掲載されよう)。そこへ、11年勤務した笠倉出版を追い出され、岩尾事務所に拾ってもらった、加藤建次が白髪頭を(元『マンモスクラブ』編集長)。「エラソーにして若手に嫌われねえようにな」「わかってますよ、そんな事!」(同事務所は俺の駄文にもよく登場する居酒屋、「作治」と同じビルに。漫画屋から歩いて4〜5分)。もう5〜6年この世界で働ければ、互いに馬鹿ガキ共のめども立つが等、例によって業界窓際族らしい後ろ向きの話を。近くタコ多田も交え、転職祝いをやる事に。

3月×日…有楽町の「スバル座」で、『香港国際警察/NEW POLI CE STORY』(監督・ベニ・チャン・‘04香港・中国)。1作目に比べると6掛け位の出来だが(85年に、廃館になった「浦和シネマ」で観て完璧に打ちのめされ、しばらく席から立てなかった)、昨今のハリウッド出演作に比べれば余程マシ。にしても、あのジャッキー・チェン主演映画も、こんな小さな映画館でしか上映されない商品価値しか、持たなくなってしまったのだな。有楽町線で『売文生活』(日垣隆・ちくま新書・本体780円)。前半の歴史編が長すぎかったるいが、後は読ませる(『犬猫』といい、このパターンの多い月だ)。そういや『香港〜』、美形男優陣がオールジャニーズ顔で、判別不能。丸っこいサモ・ハン・キンポーが懐かしいぞ。 (つづく)