下々の者へ(その851)

 事務所移転の際、自宅に闇雲に送り付けといた多量の荷物を、今週末やっと少しだけ整理。多くの育ちの悪い貧乏人の例に漏れず、どうでもいい物が捨てられない(植木の肥やしとか、使う当てのない食器、何年も手にした事もないシャープペン他)。しかも都会人のように、すみかの狭さには苦労してないので余計に。自ら読むのはおろか、売ったり、人にあげても迷惑がられそうな本や雑誌は、焼却炉の灰に変身してもらうしかない。

 立ち喰いそばで思い出したが、三信ビルの近所にも一軒あるのよ、「むさしの」という独立系の店が。結構古くて、10年前くらいに1度だけ。凄くつゆが濃くて、味も気に入らなかったので、前を毎日のように通りながら、以来素通り(神保町への通り道)。その後は知っての通り、独立系の店にはるかに稀少価値が。しかも御近所だしと、久々に入る。思ったよりまずくはなかったが、多分もう5年は来ないな(漫画屋自体が消滅?)。かきあげ&あじてんそばを(500円)。ユニークなのが券売機。商品ごとではなく、100円単位の値段ごとに。客はまず注文、値段を聞いて券を買い提示。衛生を考えてとの貼り紙。俺は衛生より、超くたついたそばを何とかすべきと思ったが、繁盛してて椅子は一杯。こういう、まずは清潔な店が好きな人も多い時代だ。が、ラーメンの「秀栄」を持ち出すのもアレだが、大衆向けの店で、清潔で安くて、量が多くうまい店ってまずない(加えて民商加盟店はまず駄目。喰い物屋系は、気違い大作カルト、つまり、創価学会員の方がなぜか昔からいい味を)。

 昨夜は帰る前に、下の「まさみ」で軽く一杯やったが、驚いたのは男でもおしゃべりを生き甲斐にしてる人がいるのを、初めて眼の当たりにした事。作業服着た、40代の柔道経験でもありそうなオッサン、カウンターで俺のすぐ近くに座り、いざ口を開くと丸まる1時間、“男黒柳徹子”状態。本人は気分良さそうだが、大変なのはお店の人。客だから無視する訳にも行かず、肉入り野菜いためやカキフライ作りながら、仕方なくテキトーに御相手。帰るなり深いため息ついてたが、俺ならとっくに顔面に味噌汁ぶっかけてる。

 泊まりでもないのに、何で昨夜はくつろげたか?実は上信線が3ヵ月限定ながら、4月4日から金曜日のみ、従来の最終10時25分に加え、11時15分を走らす事に(つまり、東京駅を10時前後の新幹線で出れば間に合う。今までは9時代前半)。日本一高いと言われる狂気の運賃取った上に、近隣市町村から数億もの補助を受けながら、別会社のタクシーや不動産でボロ儲け。しかも3年連続で脱線事故を起こすという、デタラメツーレロド乞食ダンチョネ私鉄。世間様への一時的アリバイ作りじゃなく、最終は毎日11時代に走らせよ。

 その11時15分高崎発の車内で開いてたのが、『キネマ旬報』1968年12月上旬号(表紙/ジュリー・クリスティ)。当時俺中3で、高校受験勉強の真っ最中。表紙裏の広告は、藤純子主演の『緋牡丹博徒 一宿一飯』(監督・鈴木則文)。俺んちのコンニャク畑から良く見える、宮崎神社下の県道でロケしてたと、母ちゃんが昔から良く言ってたのが本作(今は工場団地に。当時の俺は映画より断然色気。怖いのでヤクザ映画には、特に無関心)。増村保造の抜ける芸術映画、『濡れた二人』の紹介も本号。田舎は半年遅れの上映なので、俺は富岡高校入学後に、「富岡中央」で観て息を荒げ、股間をしたたかに濡らした。この通称“中央”の館主は乾一雄という人で、当時、富岡、藤岡、安中の各市でで計4館を経営してたようだ(61年版『キネマ旬報年鑑』による)。(08.4.5)

下々の者へ(その852)

 極貧なのに前向きで、常に他人に親切で優しく、明朗闊達な退屈男は、以下のような副業を始めなさい。“人生は上を見たら切りがないのよ昔から。より下に眼を向けて幸せ気分になりましょうよ業”(森崎東監督の映画題名とは無関係)。接待時給1200円(経費は別)。俺も「まさみ」で、瞬時のブルジョワ気分を味わった。年収200万のヤング花さか爺さん?

 落ち穂拾い気分で週末は2本の書評仕事。まずは新規依頼のトコで『信じぬ者は救われる』(香山リカ・菊池誠・かもがわ出版)。かなり笑える下品な原稿に仕上がったが、雑誌の論調と異なると、クレームが来るかも。即刻書き直しますよ、昔から俺はそういう場合(タダ原稿は別)。俺も漫画家に日頃そうするし。今日は『記録』の「奇書発掘」で、金井美恵子の『小説論』(朝日文庫)。高崎市立図書館の、郷土出身作家コーナーから始まるが、前回と異なり、ふんふんと楽に書けそう。ふんふんふん♪で、『オーマイニュース』の書評はどうなったのか?ネタかぶりのため、1ヵ月配信が遅れるとの話だったが。稿料さえ出れば、別に配信されなくてもいいけど。

 古本売りが、趣味から生活の糧になりつつある(ハー…)。まず4月20日に新宿ゴールデン街のフリマに。「レカン」前で。朝10時頃からかな?(エロ本&DVD安く売ります)わざと一箱形式にして、南陀楼綾繁に嫌がらせするか?5月3日は、恒例の本家本元、“千駄木一箱古本市”(午前11時から午後4時。「嫌記箱」は旧安田邸前に出店)。更に5月3〜4日の、池袋「古書往来座」の外市にもってんだから欲深い(ただ困ってるだけで…)。さすらいの初老白髪行商者と呼んで。自分の本(『東京の暴れん坊』)も売ろうかな?

 反戦ビラ有罪とのトンデモ判決を下した、最高裁第ニ小法廷には、超厚顔無恥で国賊の極み、今井功の他にも以下のような三百代言裁判官が。島田仁郎、津野修、中川了磁、古田佑紀。この国家権力の、糞尿まみれで腐臭漂うサポーター共、年収1500万で高級車での送迎付き(当然裏金も)。しかも来年からは、本来の職務をも納税者に下請け。なら給料もその分下げろ!せめて死刑に関しては、“死刑マニア”の鳩山法相の独占事業のままに(世襲可)。“擬装法治国家”の日本を、何とかしてよアルカイダ(ムスリム同胞団でも何でもいいが)。参考資料。『サイコーですか?最高裁!』(長嶺超輝・光文社)。

付記。先週の金曜日、一応は鉄筋なのに、漫画屋の隣室の会話が筒抜けな新事務所で(管理費込みで家賃9万ゆえ、文句は一切言わない。約10坪)、極貧ヤング花さか爺さん(退屈男)が言っていた。「この『本当にあった禁断愛』って、ヘンテコな一水社の漫画誌の、南陀楼綾繁さんの〈居眠り名画座〉のコラムカット担当の人、天下の『朝日新聞』で島田雅彦の小説の絵ををやってる人と、少し画風似てません?」「流行りゃすぐ真似する。日本人の一番イカすトコじゃんヨ!」「ま…まあそうスけど…」(亜流だから稿料は税込み3000円。30000万円じゃないヨ)。草1号よ、『『BUSTER KOMIC』連載の、「塩山業界無駄話」のデータ化もヨロピク!明日は晴れるか?(BGMは『ザ・ワイルドワンズ・ヒット・コレクション』。A面8曲目、「あの人」に例によって痺れる。当時は濃さが気色悪かっただけの鳥塚繁樹こそ、一見明るい同グループの暗部をも、果敢に歌っていたのだな)。(08.4.13)

下々の者へ(その853)

 4月20日のゴールデン街でのフリマ、「レカン」前で午前11時から(確か夕方は5時まで)。白髪頭の初老男が、生活苦のためわざわざ群馬から上京、路上商売に励みますのでヨロピク。あとりKの新刊、『ホータイ少女』(ティーアイネット・定価1000円)が6月上旬発売予定。DVDの次はホータイですヨ。また研究なすってね。

追記。16日夜、またもや渋谷「ショウゲート」でキネマ原人さんの白髪頭を目撃(すぐ前の列)。試写室で馬鹿話する、初老連中ほど見苦しいモノはないので、またシカトさせてもらう(ここじゃ色んな人見るよ。ま〜君のヨイヨイ親父とか。めったに来ないのに)。『いま ここにある風景』ーほとんど寝てたので何とも言えないが(言ってるが)、趣味外の一作。

 ケツが痛い。今日(19日)は愚妻が留守なので、プールまで往復50分かけて自転車で。数年ぶり。帰りはさびれ果てた富岡銀座通りを。まだ肉屋や「ひともと」なんて店があるので驚く。「富岡電気館」「富岡中央」の跡地は、相変わらず駐車場のまま(閉館以来ずっと)。パチンコ屋が1軒だけに(かつては3軒)。「おさく茶屋」なる、個性的な店名のそば屋も解体されていた。子供の頃、舟木一夫の映画観た帰り、1度だけ叔母さんと寄ったな。通りに飛び出してるためもあり、1回見たら忘れられない名物建物だったが。

 『BUSTER COMIC』の「塩山業界無駄話」を書く予定だが、ケツも痛いし、明日の商売の事もあるし、早寝すべきか?(往復ハガキで申し込んだ、23日に弁護士会館である、映画『靖国』の試写会が当るのを祈りつつ。前売り券も買ってあるので、「シネマテークたかさき」が本当に上映してくれれば、その時に使おう)。

 追々記。16日朝(でもないが)12時少し前、乗ってた「たにがわ406号」が上野駅に着くと、ホームにドハデな横断幕。何百万人目の客か何かが記念品でもと見るが、そうではないらしい。竹田久なる、同乗の一職員が単に退職するだけ。なのに同僚が20〜30人ホームにズラリと並び、お客さまの乗降をしつこく妨害(客が線路に落ちたらどうする?)。ドコの組合所属の職員か知らないが、いかにも反社会的銭ゲバカルト企業、JR東日本らしい景色。俺にしても、ダイヤ改悪前までは、1本前の「とき316号」で通勤、12時20分前には事務所に入れたのだ。ところがお前らが、指定席券をより売りたいがために、ときを2階建てからあえて平屋に。上野まで絶対に座れなくなった俺は(以前は高崎は駄目でも、大宮でまず座われた)、仕方なく30分遅れのたにがわに。新幹線勤務の職員共よ、馬鹿面さらして横断幕などヒラヒラさせてる場合か?それとも鉄道マンとしての矜持など、とうに荒川のあしの群れか、マングローブの森にでも捨てたか?近いうちに必ず大事故起こす体質の、道義なきデタラメ鉄道だ。(08.4.19)

下々の者へ(その854)

 明日は一客として、千駄木一箱古本市に行く予定だったが、年に1回の村の用水路の泥上げ日と重なり(田植えを控え)、オジャン。早朝から2時間前後の土方仕事だが、かなり過酷なので、今日オープンした、高崎の「ブックオフ」上大類町店に午後から遠征なんてのも、当然夢のまた夢物語。月曜は腰に来るぞ…。

 自分のいいかげんさに今さらながら気付く。先般も触れた富岡ロケの『緋牡丹博徒・一宿一飯』(監督・鈴木則文・’68東映京都)、俺は当然今の「王子シネマ」に隣接してあった、「王子100人劇場」のオールナイトで見物済みと確信(当初、ホテル1階に2館併設され開館した。今は1館のみが残る)。が、今日再見、それは『お命戴きます』の間違いで、全くの勘違いと判明(熟睡してた?)。いくらセピア色のブツ切リフィルムだったからとはいえ、少しでも観てたら、忘れられようのない場面が数カ所あったから。

 “上州・富岡”とのテロップが出て約15分。水島道太郎に加え、天津敏までもが善玉扱いで、「いくら何でも理不尽な…」と義憤にかられ始めた頃(水島は本当に最後まで善玉。“無頼シリーズ”で、焼け火箸を襲ったチンピラの両眼に突き刺す男が…)、突然一瞬だが、今でも老いた両親が住み、俺が育った実家の屋根が映るのだ。無論、ほんの一瞬で、DVDをストップしないとわからないが…。一番奥に妙義山、手前に大桁山、その下の丹生地区、一ノ宮地区がバババーン!!俺が子供の頃から、一番見慣れた故郷のアングル。それが一望出来る唯一の場所こそ(今も愚妻の転がす車で毎日通過)、母ちゃんが父ちゃんと畑でコンニャク植えしながら見てた、国道254号線から貫前神社付近で分かれる、県道菅原富岡線の、宮崎神社付近の高台なのだ(地元の人は“新道のてっぺん”と昔は呼んだ)。「旗ぁみてえなもんいっぺぇ立ってたいなぁ」とか言うので、祭りシーンでもと勝手に想像してたが、そこから撮っていたのだね(撮影・古谷伸)。

 甘楽の谷間をロングショット(シネスコ)で捉えた後、カメラはググッと右手にズームアップ、 俺んちの裏手を流れる丹生川を隔てた、寺田地区の黛さん宅を舐める(同地区は全戸の99パーセントが同姓なので、プライバシー上の問題はない)。1階と2階が同寸で長方形の箱状の、典型的な養蚕用の付近の農家の作り。恐るべき事にこの数軒の農家は、40年後の今もそのまま残っている(クッソー!左に寄って、映るのが俺んちだったら良かったのに!!)。

 その養蚕農家が悪玉、天津敏(ホッとしたヨ)、遠藤辰雄、菅原文太(新東宝、松竹流れの本格的悪役時代。『現代やくざ・与太者の掟』で主役を張るのは、翌69年)の巣という設定。撮影者、この谷間が気に入ったとみえ、以降も丹生の貯水池、その下の木橋、桑畑と、ガキの頃からの懐かしい景色が次々に登場。当然半年遅れ位で、富岡銀座通りにあった東映とピンクが売りの、「富岡電気館」で公開されたはずだが、大して話題にならなかった。映画が力を失った、アングラサイケ時代のせいもあるが、一番大きいのは、スターが実際にロケに来なかったせいだ。訪れたのは、水島道太郎の娘役で村井国夫の恋人役、城野ゆきだけと推測(貯水池下の、妙義山を望む木橋を渡る。天津敏に、絹糸の山の上で手込めにされる少し前)。

 また例のロングショットを再生、止めて眺める。季節はちょうど今。一番の変化は40年前と違い、桑畑が絶滅に近い点。おまけに画面右下、俺んちのコンニャク畑があった所は全部工業団地に。右上寺田地区の裏山にも、工場、ゴルフ場、老人福祉施設。ただ、後方の浅間山よりも妙義山が大きく見える、この地区特有の眺めは変わらない(ここが盆地のため。富岡中心部からだと、当然浅間の方がはるかに高く見え、威圧感もある)。光栄だよ、鈴木則文映画に、消え去りし我が故郷の光景を取り入れてもらい。こりゃレンタルだが、絶対に1本買わねば。

 聖火リレーの警備でワイワイ言ってるが、我が日本の首都のド真ん中、渋谷でのサウンドデモヘの、公安やゴロツキ機動隊の気違いじみた暴力警備に比べりゃまだマシ(海外マスコミは、日本記者クラブ所属の馬鹿共ほど小心じゃないし。で、自粛)。彼方の独裁国家の“デタラメリンピック”より、国内の腐れ裏金公務員の違法な蛮行を報じよ。オコボレもらってる記者連中に、期待する方が馬鹿?『東京新聞』の白鳥龍也記者はそのサンプル。例の“75歳以上の年寄り早く死ね法”をめぐり、“欠陥放置 与野党に責”だと。結びじゃエラソーに“混乱は、突然「降ってわいた」のではない”。気違い白痴馬鹿かテメー!!今権力を握ってる連中と、野党を同じまな板で論じてどうする?第一義的責任は、予算編成した与党にあるに決まってる。こんな子供だましの、“中立ぶりっこ自公ヨイショ記事”、よくシラフで6段も書ける。普段よっぽど、ふんだんに鼻薬かがされてるな。目前の政権交代が、安楽な記者クラブ制度の崩壊にもと杞憂する“オベンチャら記事”、昨今の朝日や東京に特に目立つ(なら最初からナベツネのケツを舐めてろ!)。日本の納税者の政自意識は確かに低いが、大マスコミの“エリート記者様”程じゃないと痛感。

 27日付記。『一宿一飯』での、西村晃の名演に触れぬのはおだやかでないので。お竜さんに対抗する女賭博師が、何と白木マリ(必殺シリーズでの、“婿殿”ブレイク5年前)。男根切られた、意気地のない不能亭主役が西村。凶悪・天津敏、着物が似合わない城野ゆきだけでなく、マリ様にも触手。更に、自分で命じたインチキ賭博がお竜さんに暴かれると、凄惨なSM風リンチ。いずれの場面でも物陰で、西村の嫉妬に悶える様がリアルにしつこく描写(既にこの嫉妬、快楽の境地と見た)。『赤い殺意』や『散歩する霊柩車』の水準にまでは達してないが、黄門様のもう1つの顔を知りたい方は、是非。そういや“元祖黄門様”、東野英治郎の市内七日市の生家、「東野酒店」は凄い寂びれようだが、大丈夫なのか?帰郷直後は大いに繁盛していたのに、やっぱバイパス沿いのスーパーに客を奪われたのか。大型資本にゃ負けないで欲しいが、俺も同酒店じゃ最近何も買ってない。(08.4.26)

下々の者へ(その855)

 いいかげんにして欲しい!!(どっかの老人キラー作家兼俳優兼楽団屋の口調の真似)。「ブックオフ」高崎上大類町店て、近所の超退屈店で有名だった貝沢町店が、ただ移転しただけじゃん。追加商品もほとんどないし、目立つ値下げは更になし。例えば映画パンフ。105円が普通だが、『キル・ビル』のような厚いモノには250円。貝沢町店時代から、本当に小姑のように細かい商い(今時ビデオに350円だつけるか?)。埼玉の国道17号線沿いの店舗も、広いだけでロクなのないが、高崎市内も負けてない(隣接する前橋はそうでもない)。退屈男の遊び場、同飯田橋店と、「一誠堂」の店頭値付けをミックスしたような、スーパー駄目店舗。出来たばかりの高崎問屋町駅から、片道25分もかけてテクテク歩いたのに!!(運動にはなったが…)

 帰りに全観客10人の、「シネマテークたかさき」で30年振り位に観た、『昼顔』の素晴らしさを確認出来たのでまあいいが(プリント状態は下)。その間の上信線、両毛線、ロビーで開いてたのが、『三國一朗の世界 あるマルチ放送タレントの昭和史』(濱田研吾・清流出版・本体2000円)。過去の2冊、つまり『徳川夢声と出会った』(晶文社)と『脇役本』(右文書院)が、各々最初の私家版に比べ、まるでさえないというのは有名な話。3度目の正直で、遂に懸念を吹き飛ばしたか?

 確かに3冊の中では、今回の商業本は一番“やせてない”と思う。しかしそれは、著者の全貌を知る者の間での話。初めての読者は、やはり喰いたリなさを感じないか?つかみ所のない三國の人物論が中途半端ーこれでは読み手は2重の歯がゆさを抱く可能性が。とにかく著者は折り目正し過ぎる。“しかも、亡くなるまでの六、七年はテレビに出ていない。不謹慎かもしれないが、新聞の訃報欄を見たときも「意外と大きいな」と思った”(9ページ)。

 全く不謹慎じゃないし、そもそも読者には余計な1行なのだ。こういう律儀さは、取材協力者(遺族を含む)には絶対示さなければならないが、あんたの人格など読み手にゃ無関係。書き手がゴロツキでも、鋭利な描写があれば俺は満足(他の人も多分)。もっと言うと、これは一種の逃げと言うか、〈予防線〉でもある。物書きの姿勢は多様で構わないが、余り若いうちから自己規定しない方がいい(面白けりゃ下ネタゴシップでも何でもいいジャン)。従来の2冊は60点だが、今回は68点。ちなみに三國の文章、俺は著者より高く評価(森茉莉ヘの底意地の悪い反論文は、著者もスタイルを学ぶべき)。この版元も、“ 底抜けに明るい右文書院”みたいなトコだね。担当のキネマ原人爺さんも、もっと売れそうな本出さないと(せめて『出版業界最底辺日記』や『東京の暴れん坊』クラスの)、首都高速の下で青テント生活だったり(俺もか…)。(08.4.30)

下々の者へ(その856)

 雨の千駄木一箱古本市(3日)、「古書往来座」外市(4日)と、東京での連チャンの出稼ぎ疲れで、今日は一日ずっと自宅に。虫酸が走るシオニズム万歳ボンクラ映画、『巨大なる戦場』に続き、『任侠秘録人間狩り』(監督・杉作J太郎・’06男の墓場プロ)を。最初から期待しなかったので特に腹立たしくもなかったが、封切り時、「シネマアートン下北沢」での、終映後の重苦しいムードを同時代で体感したかった、との酔狂な思いも(DVD、俺は中古屋で980円で入手)。

 監督・脚本・撮影・制作を杉作が1人で担当してるが、なら編集も絶対すべきだった。吉川亜沙子のそれは余りに稚拙で、終始イライライラ(切れ!切れ!切れ!)。車の乗り降りを無意味に丁寧に描写。一番笑ったのが、熱海までの高速料金所。行きと帰りをいちいちキッチリ。ド素人か?脚本もまずいな。飯島洋一とチンピラ共の宴会までに50分も要しているが、『新宿アウトロー・ぶっ飛ばせ』や『斬り込み』の頃の永原秀一なら、12分で済ました。当然、山場が不自然な“急ぎ働き”に。

 基本的に水野晴郎系列の映画だが、見所も。出て来る新宿を中心とした景色が、70年前後を地方で過ごした、発情期の若者が思い浮かべた東京の姿なのだ。昔からテレビや映画はワンパターンに東京を描写するゆえだが、21世紀に再現すると奇妙な味が(一番高く評価)。宴会の貧相さも傑出。予算不足と言ってしまえばそれまでだが、敗戦後の闇市でももっと豪華だったはずだ(撮影終了後、ただちにタダ働き同然のスタッフの腹に消えたろう)。何せワンカップと煮込みうどん。せめて東映得意のすきやきにして、“飯を上から喰う場面”をソーニューして欲しかった。

 役者では嫌な野郎だが、いしかわじゅんが案外上手かった。ギンディ小林もいい味。ダースレイダーも、児玉誉士夫邸にセスナ機で突っ込んだ、日活の傍役、前野霜一郎そっくりで笑った。他は枯れ木も山の賑わい。確かもう1本とのセットだったはず。例の店でまた探そう(めっけ物が多い優良店なので、店名は秘密)。

 〈今週の名言〉。千駄木一箱古本市、終了時刻4時直前の旧安田邸前にて。「雨で午前中は文庫本が2冊しか売れねんで、どうなるかと思ったけど、午後から尻上がりに良くなって、去年の1万円減の1万8千円近くに行ったよ。愚娘のバイト代も出ねんじゃと、マジで心配したけど…」との俺の発言を受けて、“一箱古本市の中興の祖”、南陀楼綾繁氏が放つ(“獣”との巨大な刺繍文字入りのハンチングをかぶり、本来は悪い目付きをほころばせ、壊れたちゃぐちゃぐ馬っ子のように、顎を何度も上下に振りながら)。「これこそが一箱古本市の底力とでも申しましょうか…」「………………」(遠い眼さえした満足状態のモクロー君に、さすがの俺様も突っ込むスキなし)

 これを翌日、池袋「古書往来座」の外市で、「古書現世」の向井透史に再現すると馬鹿受け。ただ千駄木に魂を売ったせいか、3日の売り上げ、外市で「嫌気箱」はダントツのビリと。トホホホ。7月で取り返したる!!(懲りない下手の横好きオヤジ)尚、リコシェのアベちゃんヘの俺のセクハラ疑惑が、本人の糾弾を浴びましたが、全くの冤罪!!(へんてこなスカートはいた通行人の姉チャンの説明に当り、当人の脚部に指が触れたと。それは事実だが、偶然。本当にセクハラるのなら、若いのが他に腐る程って…そーゆ問題じゃねえか。今後は良く相手を見て、いや注意しますんで、今回だけは勘弁して下さい。←ドコが冤罪なんだヨ?)。

 『東京新聞』の新連載、「ニッポンの空気ーこの息苦しさ」は充実。今日は横浜「シネマ・べティ」で10年前、『南京1937』を上映の際の、神奈川県警伊勢崎署警備課職員2人の発言を冒頭で紹介。「右翼が上映をやめろと言っている。どうしますか」つまり、上映の安全を保証すべき警察が、騒音街宣右翼の下働きを忠実に。とんだ“民主国家”もあったもんだ。今回の映画『靖国』問題でも一番語られるべきは、実はここ(連中はダンマリを決め込み、責任の鉾先が向くのを姑息に回避中)。マスコミやインテリは(自称)、「皇室警備や自分達の裏金疑惑潰し並に、真面目に警備しろ。今のお前らは、社会保険庁や厚生省の人殺し役人と同じだ!!」と糾弾すべき。記者クラブマスコミにさえ、この程度の記事書く記者はいるのだ。ちなみに2名の警備課職員の名前は、公務なのだし明記すべき(早川由紀美の執筆と。もっと書け!)。警察や検察が組織的に平然と公金を遣い込み、誰1人首にならない民主国家なんて、世界のどこに?(しかも権力者にはともかく、納税者には職務放棄状態なのだ)

 例の通行人の女性のスカートだが、膝上数センチが、部分的にグルリとシースルーに。エロかったので凝視、「フン!」といった面された。勿論、かなりの美脚の持ち主(プレストン・スタージェス映画での、台詞なしの脇役くらいは可)。まずいな、警察の悪口言ったりしてると、セクハラで別件逮捕されかねない。反抗的左翼には免許証不実記載とか、契約とアパートに住んでる人間の数が違う、あるいは宿帳に偽名書いたとかで、ポカポカ逮捕状が請求され、ホイホイ100%裁判所が認めちまう…そういう“ギャグ的民主国家”に納税、居住してる事を忘れるトコだった。

 最近のド糞本。『掃苔しましょうー風流と酔狂の墓誌紀行』(小栗結一・集英社新書・本体720円)。ケチン坊な俺が、20〜30ページで放棄といえば、その退屈振りはおわかりいただけると。都内の墓地案内なのに、ほとんど地図や写真がなく、漢字の多い駄文が延々と。というか、昔からある類書の説明等を(ビジュアルで当然より分かりやすい)、無理に抽象的な漢文調に再編成したって感じさえ。漫画のメッカ(他社の猿真似とはいえ)、集英社からこういう形態の愚書が出るとは驚き。著者は57年群馬県前橋生まれ。明大を出て徳間書店で『問題小説』の編集長を務めたと。底辺のチョイ上の純粋馬鹿。坂崎重盛の鼻糞でも煎じて飲んだら?(坂崎にも種々問題はあるが…)(08.5.5)

下々の者へ(その857)

 確か「空想書店」のブログだったと思うが、下らない作品でも途中退出しずらいので、試写会には行かないと、福田和也がどっかのトークショーで言ってたとあった。見識だが、身銭払った映画館でも、家族的な単館系だとやっぱ出ずらい。嫌みなプチブル的家族ムードが売りの「岩波ホール」で、昨夜は地獄の思いを。バルザックファンとしては無視出来ない、『ランジェ公爵夫人』を町内でかけてちゃね。ただ137分と聞いて不安も。「神保町シアター」の『浮草』の方にと反省したときゃ、既に無限あくび地獄。2時間17分の間、17歳の発情ガキの、半年間の総オナニー回数以上に、腕時計を明るい場面でチエック。

 老いた巨匠(ジャック・リヴェット監督)が撮る典型的駄目糞映画。キャリア故に、撮影、美術、衣装他は危な気ない。けど一番肝腎な、脚本や尺を切れと言う奴がいないパターン。緩急を欠いたダラダラ演出を延々137分!!程度の低い右翼でなくとも、スクリーンを刃物で切り裂きたくなる(主演女優がまた、演技が上手なだけで、華と胸と色気のないギスギス熟女でウンザリ)。先週試写で観た、これまたほぼ同尺の『シークレット・サンシャイン』と五分か?(韓国の村上龍みたいな作家が撮ったとか)嫌な女(男)でも魅力的キャラクターってあるが、両作共に滑りまくっての2時間強。制作陣は自信満々。俺の残り少ない人生の〈時〉を返してくれ!!

 で、同ホールも古びたな。“神保町の「新宿昭和館」”と言ってもオーバーではない。特にトイレのたたずみは似ている。思わず赤マジックで白壁に、“天津敏さん素敵!!”と落書きしたくなった(“遠藤辰雄さん素敵!!”でも可)。昔から心底大嫌いな小屋だが、『奇跡』や『旅芸人の記録』、『鏡』をここで体験したのは事実。凡々作なのに、金曜日の最終回に50人以上の客が。「神保町シアター」に比べ、学歴も年収も高そうな客筋だが、男女を問わず権威主義的風な白髪頭族が主(当然俺様だけは別ヨ)。元文学&映画青年少女が、生前用意した墓場のような景色で怖かった。

 愚妻が出掛けてるので、今日も25分かけて自転車で「富岡スイミングスクール」へ。俺が通称“エロ爺さん”と呼んでる、70前後のやせた白髪爺さんが、また40位の人妻風にひっついてた。このスケベ爺さん、泳ぎを教わるのを口実に、若い(自分より)女性の匂いを嗅ぎまくり、時には眼まで泳いでるドエロ恍惚振り。当然、本当に若い娘は相手にしないが、人のいい奥様風が毒牙に時々。図々しさも格別だ。俺がいた40分間引っ付きっぱなし(常連女性も相手にしない)。水泳好きの好々爺を、女性には上手く演じてる自信があるようだが、同性には本心を見抜かれてるとの自覚はあるらしく、トイレで俺と眼が遭ったりすると(互いに挨拶は無し)、警官に見つかった老人強姦魔並の無惨な表情を。その醜悪さは格別で、人間の業の深さを顔面に押し付けられるようで、実に楽しい。エロ爺さん、長生きしてくれよな(男に教えを乞う姿は、勿論1度も見た試しなし)。

 今月中旬、『シナリオ』の増刊で、白坂依志夫の「人間万華鏡」の総集編が発売予定と。もう東京では出てますか?少なくも昨日の神保町では見かけず。発表当時のままでないと価値ないが、果たして?この人、昔の同誌で成城学園にアパート建てたので、入居者募集とか書いてた事も。つまり資産家らしいので、訴訟を考慮したりするとと、勝手に心配する暇な俺。ついでに付録として、コピーか何かでいいから、「これが新藤兼人の民主集中制風女関係だ!!」てな小冊子、サービスではさみ込んでくれると最高だ(桂千穂との共同編集)。

 どうでもいいけど、最近ちっとも書き込みないね。無視されたくらいでめげんじゃないよ。アクセントとしてはあった方がいいので、たまにゃ下らねえ事も頼むな…て、何様のつもりだか。WOWOWで土曜夕方放送してる、『キル・ポイント』が面白い。役者も粒揃いの演技派ばかり(脚本も)。その後観たモーム原作の『雨』(監督・ルイス・マイルストン・’31米)、突如、池玲子が主演でビックリと思ったら、ジョーン・クロフォード。バンプ振りがそっくりだし、向かって右唇下の黒子の位置までが…。94分で一切の無駄なし。BGM.『やさぐれ歌謡最前線 女番長ゲリラ』より、「女番長 感化院脱走」「恐怖女子高校 不良悶絶グループ」(いずれも荒木一郎)。

 富岡市のド気違い防災無線を管轄する、市役所行政課がさっそく中国四川地震に便乗、今朝(18日)午前9時に臨時放送。火事の際のサイレンをしつこく繰り返した後、避難所を設けたので市民は急いで避難をと。場所を言う訳でもなく終了。腐れ役人の頼まれもしない、調子こき無駄行政のサンプル。「富岡スイミングスクール」の理事長でもある市長、岩井賢太郎よ、こういう馬鹿やってると、あんたの再選はおぼつかない。朝っぱらからブルジョア役人の低能生ゲロ声で叩き起こされちゃ、怒りの余り人のいい富岡市民さえ、岩井君が主犯的役割を果たした(実は家族ぐるみ)、けど調活費豪遊前橋地険や、裏金ジャブジャブ群馬県警の擁護で見逃された(泥棒役人は放置しとくと役立つ)、福祉疑惑事件を眠い眼をこすりながら思い起こすだろう(そのために俺も地味に努力するが)。この馬鹿な真似にゃ、俺の遠縁で元地元高校の番長だったのに、なぜかトップに昇り詰めた、富岡消防署長も一枚噛んでるのか?久々に行政課に行ってみるか。1年以上顔出してないよ確か。納税者に無用な説教こく前に、お前らの給料まず下げろよな、群馬の夕張状態の富岡市役所よ!!(鼻糞並の市会議員も何十人とおるらしいが…)。(08.5.17)

下々の者へ(その858)

 勿論、会費はその後も一銭も払ってません。親から絶対にタダ酒だけは飲むなと、幼少の頃からあれほど言われてたのに…。“エロ漫画界の泉麻人”と呼んでネ!(昔、みうらじゅんが『酒とつまみ』で、泉は宴会で絶対に金を払わないと証言)。自らの吝嗇さを自覚してるからこそ、昔は絶対にそういう真似はしなかったけど、老化でこらえ性が失せ、先週の「富岡スイミングスクール」での、エロ爺さん状態になったのだと(今日は誰からも相手にされず、1人寂しく早めに帰った)。実に人間の本性は隠し難い。

 あの日はその他にも、「あんたのアバタ面振りも、末井昭や俺に負けねえな!」と柳下毅一郎にもほざき、嫌な顔と言うか、ガン飛ばされたりで。救えませんな、“酔いどれ吝嗇初老白髪男”は。穴埋めという訳でもないが、多分今日発売のコンビニエロ漫画誌、『本当にあった禁断愛』(B5判・中とじ・定価390円・一水社)で、山崎邦紀監督の書評コラム、「山崎邦紀のカルト図書館」がスタート(裏ページが南陀楼綾繁の「居眠り名画座」)。セブンイレブン以外で物色してみて。無論、一般書店でも販売中。

 いがらしの旦那、読みましたぜ『映画秘宝』。大西祥平の平凡で小さな脳味噌から発せられる、凡庸極まる愚昧な質問が、旦那の非凡さを引き立たせるという、意図せざる名インタビューになってたと。でも大西、伊藤剛(気鋭のウスラ馬鹿)ほど行っちゃってないのは、御同慶の至りって、コイツ、1度だけどっかで会ったような…。どうでもいいが。どうでもよかないのが、来月の18日夜の件。千駄木の「古書ほうろう」で南陀楼綾繁と、『続 東京裏路地〈懐〉食紀行』(藤木TDC・ブラボー川上・ミリオン出版・本体1600円)を出したばかりの、TDCとのトークショーが。俺も員数ゲストに呼ばれてるが、あんなモツの煮込みを喰い過ぎたげっぷと、1週間はいた地下足袋の臭気をブレンドしたような脂汗コンビを前に、どんな話をすりゃ?TDCの“初期包茎調美文”でも暗記、流れるように朗読して嫌がらせするか?

「嫌われ者の記」第198回をカリカリ。飽きないね俺も。水呑み百姓スピリッツ?(『BUSTER COMIC』連載、「塩山業界無駄話」もヨロピク?)残りは明日にでも書くとして、古本整理でも。実は去年に続いて6月1日に、市内の「もみじ平公園」でフリマがあってね。千駄木一箱古本市や池袋外市の売れ残りじゃなく、蔵から持ち出した面白い本を売ろうと。雨だと参加費(1000円)は富岡青年会議所に没収。ゼーッタイに晴れろ!!

 思い出した。大西と会ったのは、倒産したソフト・マジックの新宿での忘年会だ(参加費無料)。間違って俺、平口広美の靴はいて帰っちゃったんだ。その平口が一時、メディアックスの加藤健次と同じ都営団地に住んでたなんて、どうでもいい話だな。渡辺文樹の映画、実はまだ1本も観てない。今後も特に観たいとも思わないが、こういうイカレた人こそが自由な表現活動出来るのが、自由主義国家。俗世間の馬鹿共(大マスコミも含む)の偏見に乗じ、官憲は変人奇人、カルト、極右、極左、ヤクザ他をまず法的根拠もなく弾圧、治安保持(国体の護持)を名目に自らの利権の拡充を図る(税金元に税金泥棒)。日本の警察、検察、裁判所のやってる事は、香港のテレビ局が報じた、四川大地震救援物資を堂々と横領している、腐れ中国軍幹部と同列。公務員は(特に日本国公務員は)基本的に、いや1人に残らず厚顔無知な 泥棒なのだとの前提なしに、民主主義は我が土人国家に具現化しえないと悟るべし。

 特に“現代内務省”、総務省は存在自体が日本の恥さらし…って、いつまでも演説してても仕方ねえな。前に言ってた『オーマイニュース』の書評版て、延び延びになってたけど、近く配信される模様。大分たつので、立ち消えにでもと諦めてたが(本業界じゃ、よ〜くあるこってすヨ)。何か執筆メンバーに森達也が入ってるのに、俺が奴のちくま文庫を徹底的にこき下ろしてるのも、遅れの遠因のような…(奴が入稿しないので何とかなったらしい)。何でもいいから仕事くれ!!!(未知の各方面にペコペコペコ。生活のためなら無限に謙虚になれる、立派な俺様だ)(08.5.24)

下々の者へ(その859)

 今日(1日)、富岡市内の「もみじ平総合公園」で午前9時から午後3時まで開催されるフリマに、古本で参加(教育的健全本を100円〜300円で)。近所の方、是非いらしてね。

付記。は〜疲れた(午後9時)。結局、7500円きゃ売れませんでした。去年は1万円突破したのにぃ…。世間は甘くないっすね。俺って、千駄木一箱古本市しか人並の商売が出来ないらしい。つまり、「一箱古本市の底力」(南陀楼綾繁氏談)に対しては、より謙虚になる必要があるのか?(これ以上の謙虚さなんて、およそ想像し得ないが…)。まだ、ズンジョも200行残ってるの忘れてた。早寝、朝早く起きてから書くか?

 かの小説は題名と意気込みのみで、結局1行も。今後も絶対書く事はないと。小説という形態にそもそも魅力感じないもの。今、数年前から読んでる『バルザック全集』第22巻収録、「人生の門出」をチビリチビリ味わってるが、こんなの知ってから自分で…なんて到底考えられない(謙虚な塩チャン)。久々に渚ゆう子の「北からの手紙」を。猫の糞以下のハワイアンゲロ映画、『フラガール』の悪夢を消し去ってくれる。とはいえ同糞ゲロ映画も、音楽は割と良かった。だから余計に腹立たしい。

 映画音楽といえば、『パレスチナ1948 NAKBA』も吐きそうに(担当・飯利友季子)。監督の広河隆一、自分勝手に1人で善良だが、かなり行ってる人格と想像(悪い意味で)。それと、婆さんの腰巻きのように延々と続く制作協力者名簿、何で客が強制的に見物させられる?銭払った者に対して失礼だろう。音楽が池野成だから、わざわざ愚作と知ってて出掛けた『越前竹人形』の、富岡市の気違い防災無線並の騒音にもゲッソリ(「神保町シアター」)。やっぱり東宝時代が一番いいのだな、この人。吉村公三郎監督も、50年代でカンペキに終わったデブ人。

 さてBS11録画、『激動の昭和史・沖縄決戦』(監督・岡本喜八・’71東宝)の後半でも観ながら早めに寝るか。凄いよ、余り語られない本作での大日本帝国の人命軽視の徹底振りは。特攻、斬り込み隊、重負傷者の集団自殺強制(実質殺人)、当然、上等、立派、あったりめーヨ。一切の逡巡なし。ヒトラー総統、ゲーリング総司令官、ガン首を並べてド真っ青!見たか神国日本の前衛的愛国精神!!(誰が遺族への年金等を払うのだ…?)。脚本・新藤兼人。馬鹿な内地兵隊にスパイ扱いされ、射殺された沖縄民間老人が大切に持っていた白い風呂敷を開くと、ガラスが銃弾で割れた、若き天皇裕仁の額縁入り御真影だったというのも凄い(笠原和夫も裸足で逃走?)。今では東宝はおろか、かの東映でも絶対に…。確か公開当時は、単なるドンパチアクション映画と散々の評価だった。新藤も脚本だけ書いてりゃな。(08.6.1)

下々の者へ(その860)

「日本のあらゆる公務員は犯罪者である!!」(レーニン。←ウソ。鍵カッコ内は真実)

 大久保清や宮崎勤の犯行発覚に対して、「罪を犯した本人より、性欲の存在そのものが問題だ」との意見は当然起きなかったが、なぜかタクシーたかり泥棒官僚問題では、ちゃんと手当も別にもらってるのに、残業自体が問題かのようなすり替え論議が横行。町村“ボンクラ”官房長官が責任逃れにほざくのは順当だが、“10年前から横行 同業者も批判「そこまで…」”と、『東京新聞』の社会面までが第3者的に報じるのは、本当に恥ずかしい。そこまでやるに決まってるじゃねえか、民間人は。喰うために必死なんだ。乞食役人共を内心軽蔑しながらも、民間人はせざるを得ないのだ。各省庁に“居酒屋記者クラブ”を血税で設けてもらいながら、納税者を無視、乞食役人集団の白髪陰毛&糞まみれの腐れ肛門のみ嬉々となめまくって来た、自分達の厚顔な“精神的かつ知的ドメクラ振り”こそ深く恥じよ。

 千葉の公園の女子トイレ覗いて、書類送検された上野署の巡査部長(45歳)の報道もひどい。建造物不法侵入容疑だそうだが(立川反戦ビラまきと同じ)、そもそもなぜ逮捕しない?更には匿名報道。〈警官様〉の犯罪だぞ(事案なんかじゃなく、純然たる〈犯罪〉)。唯々諾々と裏金警察の発表を報じてるだけのテレビや新聞は、世界基準じゃ100%マスコミとは呼べない(御役人様の糞ケツ舐め広報機関)。こんなハレンチ警官の人権(言葉がむせび泣いてる)を守り、退職金までポケットに無理矢理ネジ込む一方、小遣いが欲しくて女房の財布から万札を抜き、代わりにカラーコピーを入れといた運ちゃんが逮捕、実名報道。遣ったかみさんがうっかりしてただけだし、酒代が欲しかった旦那も凄く可愛い奴じゃん。厳重注意処分で充分。点数稼ぎにノーズロース逮捕状自販機こと、糞壺地方裁判所と組んでパクって、白痴マスコミ使い実名報道までしやがって。納税者様の人権を何と心得る?先の覗き警官や、痴漢後に線路に逃げた、神奈川県警組織犯罪分析課の、これまた巡査部長(27歳)を即刻逮捕、本人写真及び実家ロングショット全景&実名報道後に懲戒免職にせよ。同時に“居酒屋ピンサロ本番タクシー”を利用した、裏金高級警察官僚の実名一覧の公表もな(写真、住所付き)。

 てな罪もない『時事放談』も子供時代から好きだが、“雑誌評論”も前からやりたくて。『記録』で今単行本化が進行中の、「エロ漫画で喰う」の連載が終了した際も、俺はリクエストしたのだが、結局はアストラ側の意向でありふれた書評の「奇書発掘」に(無論、平凡な題名は編集部の命名)。その後もドコからも依頼ないし、結局はここで物好きにも。でもアストラの単行本、本当に実現するのか?(同社、内容にかなりビビりまくってますぜ)年内に本当に出れば、3年連続の拙著(塩チャン本)無謀刊行で、この泥沼不況下、なかなかのド快挙だけど。

 『シナリオ』7月号。桂千穂、末期ガンと公表後何年もたつのに、2本もの原稿が読めるのはうれしい。21回目を迎えた「映画漂流」、相変わらず面白いが、師匠・白坂依志夫の「人間万華鏡」と異なり、自らの性的趣向等が一切出て来ないのは寂しい。それぞれの人生美学はガンとあるが、『古川ロッパの昭和日記』もだが、それを欠いては読んでいて“かたわ感”が終始ぬぐえない。巻末の「日本シナリオ作家協会ニュース」は、『靖国』問題についての対談。同協会の抗議文に、“憎悪する”の主観的下りがあったのには違和感を感じたが、西岡琢也が書いたと。仲間に誉められ即納得してたが、全然わかってない。冷静なありふれた文の方が、この場合は人の心を打つんだよ(脚本は上手いと)。ただ監督協会の広報担当とした出席した、緒方明に比べりゃはるかにマシ。本〜当〜に馬鹿。“…スクリーンが切られた、ということに対しては肩を組んで運動できますよ。ただ、今回のように作品の内容が絡んできちゃうと非常に難しい問題になってきます”。信じ難い根源的愚昧さ。本人は自らが、稲田朋美と同じ立場、つまり創造者でありながら、〈内務省の検閲官〉様になってる事に気付いてない。『靖国』は、一時はスクリーンを切り裂かれる機会(権利)さえ奪われていたのに(ドドド白痴?)。一番真っ当な発言を続けた、劇作家協会の坂出洋二もさすがに呆れ果ててたが、脇のパイプ椅子でボコボコに殴ってやればよかったのに。そういや『いつか読書する日』も、一応愚作でこそないが、長いだけの煮え切らない平凡作だった。荒井晴彦も笑えない茶々ばかり入れとらんで、坂出の原則論を正面から見習え。置き屋の隅で出がらし茶を曳く、歯並びの悪い年増幇間の立場から。

 続いて『実録・連合赤軍』特集の『情況』6月号にと思ったが、何となく飽きたので最近読んだ愚書に。良く知らんが、野崎歓て気持ちのいい奴らしいね。「田村書店」店頭で、こいつへの献名入り贈呈本を良く見るんだよ。前に笙野頼子のを。そしたら先週は鈴村和成の詩集、『黒い破線、廃市の愛』(書肆山田)を。笙野の小説はともかく、こんな下らねえ詩集は邪魔なだけだし、売り飛ばす気持ちは良く理解。けどその速攻振りは見事。普通はも少し時を置くが、そういう通俗な躊躇は一切なし。数年前、「小宮山書店」のガレージセールに、献名部分のみ切り取った、70年代作家中心の“かたわ本”が山と出て痛々しかったが、あれに比べりゃ立派なもん。野崎の本、何だか無性に読みたくなった。

 本当に止めときゃ良かった。お通しの不味い飲み屋は、何頼んでもロクな物出てこないと、百も承知してるのに。九十九一の芸レベル並の、カックンパロディストとして知られる、長谷邦夫の『マンガ編集者狂笑録』(水声社・本体2800円)をついうっかり「日本特価書籍」で。魔が刺したとしか言いようがない。まず構成がバルザックの『人間喜劇』気取りなのが笑止。『貸本マンガ史研究』に傑作自伝を連載した大山學と違い、漫画人生における敗者との明確な自覚のない、スケベ根性タップリの君がこういう真似をすると、見苦しさだけがモクモクと立ち上がって来る(『大魔神怒る』の山場のように)。長谷老人は緒方明監督と違い、多少自覚はあるのな、自らの凡庸さについては。なのに老人性功名心からか、時々棺桶抱えた座頭市もどきに(仕込みの使えない)。

 構成はバルザックで、後は業界の有名人を山田風太郎の明治モノのように、時々交錯させとけば、何とかカッコが付くとの妄想を。ハコさえ出来りゃ、三流小説になると考えてる所が浅はか兼深馬鹿。細部の描写能力を欠いた凡人の“純粋喜劇”。例えば巻頭の「風たちの断層ー長井勝一の巻」。大病後、再び編集現場に戻ると、編集工程が一変してたとある。なぜそれを具体的に書かない?繋ぎ部分(傍役)がスカスカだと、いくら若き白土三平が画面を自意識過剰に横切ろうとも、緊張感も抑揚もおよそなく、ただただ眠いだけ。無能だが人間性は善良で周囲からも愛され、喰うにも困ってねえらしいのに、なぜわざわざ恥をさらしたがるのか謎。屁っぴり腰で漫画界著名人の記念碑に(将来すずらん通りにでも?)、つたない自分の愚名を刻もうなんて僭越な努力は即刻中止、書き下ろし評論、『漫画における天皇観の戦後的変貌』にでも、内田栄一的センスで挑戦したら?老若男女を問わず、安全地帯で凡人が名を成すのは無理な話なんだよ、洋の東西は勿論、いつの時代でも(当然、あの世でも)。

 850回記念とはいえいつまで書いてんだよ、一文にもならねえのに。久々の純粋休日なもので、ついうれしくって。明日は「シネマテークたかさき」で『アイム・ノット・ゼア』の予定だが、かなり気色悪い愚作との確信的予感。で、「神保町シアター」の『赤い天使』だが、やっぱスクリーンだと色々な発見が。増村保造監督の間違いなく代表作と思うが、欠点も。助演陣が貧弱。テレビだと特に感じないのだけど。やっぱ、西村晃か加藤嘉あたりに脇を固めて欲しかった(ハデな火薬代に金が?あるいは有名な永田雅一の公然たる制作費流用が、特にひどかったとか?)。大傑作なのに、場内は3割の入りとガラガラ。前日の『不信のとき』は8割方埋まってたが。もちろん『不信〜』も脚本が井手俊郎なので退屈せずに観られるが、千田是也の映画出演時の手抜き芝居と言うか、今井正の端正だが情熱のない演出にはため息。川島雄三なら爆笑怪作に絶対になったろう。風呂入って寝よう。

 付記。確信的予感はもろくも外れ、『アイム・ノット・ゼア』、結構楽しめた。客も30人前後詰め掛け、「シネマテークたかさき」としてはヒットの部類。1階では『実録・連合赤軍』を(2スクリーンの小屋)。若松孝二の舞台挨拶も昼頃あった模様。帰宅するなり車中で秋葉の虐殺事件を知る。愚妻は早速、子供の所に安全確認の電話をしたと。当然。俺も自室から一番秋葉に出没する可能性の高い、いトうにまず連絡。「あちこちから電話ありましたけど、幸い無事で…。今日も午前中に行く予定だったんですが、寝坊して…」ホッ!続いて矢上健喜朗。「大丈夫です。けどあそこ、昨日僕も車で通ったばかりで…」再びホッ!カワディMAXやさどっこも無事と。あと週末付近でふらつく奴は?鬼姫か…。多分きっと無事だろうし、面倒なのでシカト。皆さんも、くれぐれも刃物片手の気違いには注意してね!(安全確認電話の順番と、単行本の発行部数は当然無関係です)。(08.6.7)

下々の者へ(その861)

「日本のあらゆる公務員は犯罪者である!!」(幸徳秋水。←ウソ。でも鍵カッコ内は真実)

 秋葉の歩行者天国中止して、監視カメラ増加と。石川雅己千代田区長は腐れ役人上がりだけに、火事場泥棒政治家の生き見本。禁煙条例作って監視員を新天下り職場にして、薄汚ない白痴禁煙標語で区内の景観破壊(見えにくい巧妙な新ハコモノ行政)。一方、飯田橋の首都高速沿いにあった、公衆トイレを2カ所も廃止。住民の利便性より役人のフトコロ第一の、インチキ国賊区長。禁煙など利権確保用の単なるお題目。主語は何でもいい。その手法で、秋葉での事件をもっけの幸いに醜悪な舌なめずり。歩行者天国やめても、秋葉、いや千代田区から雑踏が消える訳ではない。監視カメラいくら増やしても、レンズがナイフを奪ってくれるはずもない(白痴マスコミの特ダネ映像を税金で!)。昨今の、少しも増えてない日本の犯罪の背景には、深刻な雇用問題が。予算の振り分け先は明白なのに、ビルマの独裁軍事政権が、海外援助を自国民から盗み取るかのようなド汚ない真似を、コイツラは白昼公然と(増田寛也総務相もな)。

 裏金警察も例によって、新たな刃物規制をと鼻息。お前らだろう。今までも違法な強制職質を歌舞伎町や秋葉で繰り返し(大人しそうなおたく狙って。いトうも被害者)、下らねえカッター類にまでケチつけ、アリバイ的な検挙率の数字アップの具にして来たのは?そんな弥縫策は、糞の役にも立たねえと証明されたのが今回の事件なのに、他省庁の火事場泥棒に遅れを取るなと醜態。馬鹿やってねえで、例のお手柄警官早く表彰したら?小心で並の警官ならすぐ射殺しちまったろうし、特に非難もおきなかったろう(日本人は常に永遠の世界の被害者だし。ウププ…)。しかし今回のように、凶悪犯を“豚衆”が群れる街頭で吊るさず、腐り切ってるとはいえ司法の場に立たせる事で、泥だらけの国家は少しだけ威厳を増すのだ(どうでもいいが)。奴の愚書で大儲けしたのに、『週刊文春』は正当にも“ボンクラ馬鹿坊っちゃん”安倍晋三を徹底批判して実に立派だが、未だに見苦しくも唯一持ち上げてる『週刊新潮』(街宣右翼下請け御用達雑誌)は、警視総監賞が当然だが、何しろ被害者の数がと書いてたが(ここ1年以上は「珈琲美学」のを斜め読み)、警官の手柄と被害者の人数は無関係だ。民心の離反を招くのみで、犯罪防止に一切役立たない、帳尻合わせの北朝鮮的違法強制職質を隠すのにも、きっと凄く有効。

 無関係といえば、『東京新聞』、今日の「こちら特報部」のデスクメモ(編集後記)で、通り魔両親への追求は筋違いとサラリーマンの友人に徹底批判され、驚いたと素直に(“隆”って奴)。正直は罪ではないが間抜け。“居酒屋記者クラブ”諸君の常識は社会の非常識。同紙は社会面で両親の会見を報じる際に、2人の首を切り落としたした写真を大きく掲載。もちろん、無念な被害者の顔写真掲載も全く不必要だが(名前のみで充分)、同様にこんなグロテスクな両親の写真見たがるのは、低能マスコミ関係者と一部ゲス読者のみ。居酒屋タクシーに群がった高級官僚、犯罪警官、ハレンチ最高裁判事の今井功(最高裁のエリート事務屋上がり)&横尾和子(元社会保険庁長官。私財はたっぷりワッハッハ…。NHKさん、助けて上げたんだから、アタシの過去は報じないでね!)他のド汚ねえ面だよ、俺が本当に見てえのは(ついでに会見で両親の社会的責任を問うた糞記者も)。1枚だけでなく、顔のアップ、バストショット、全身の3種類で頼む(撮影は3年以内が厳守)。公務員犯罪報道は最低限これを基本とすべし。

 『記録』の「奇書発掘」、今回は『マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』(日隅一雄・現代人文社)。書名に引かれて買ったが、本体1800円分の価値はなかったので、多分ケチつけんだろうな。本来俺は、他人の悪口は心底嫌いなので、どうも気が進まない。いいや、書くのは明日で。『記録』もさすがに赤字に耐えかね、ネット配信を画策中と。で、来週の18日はいよいよ千駄木、「古書ほうろう」(文京区千駄木3ー25ー5)での藤木TDCと南陀楼綾繁のトークショー(ホッピー付きで参加料1000円。要電話予約。03ー3824ー3388)。俺もちょこっと後半でゲスト出演するが、ああいう育ちの悪い連中と机を並べるのはユウウツの極み。もう1人のゲスト、クドウ ヒロミはどんな野郎なのかと、『モツ煮狂い』第ニ集も昨日帰りに眼を。俺様と同様、行儀良く品のいい文章書く御方。語る内容との落差に妙味。実を言えば俺、梅雨時に1週間はいた靴下の臭気的藤木&南陀楼コンビと違い、モツ煮は大好きと言う訳ではない。喰ってる時はいいが、後のゲップがなあ…。美女の鉛級の口臭とでも言おうか。カツ煮は大大好きだが(事務所ビル隣の「まさみ」のは特に)。

 墓場プロが戦争モノの新作撮ったのか?冒頭の10分ばかり『幽閉者』(監督・足立正生)を見物した、素直な感想。いや、墓場プロの方が予算かけてるかも。その位、チャチで安っぽい画面(中身も、つまり出来も)。田口トモロヲも相変わらずニンジンで(大根以下)、1日15分以上観る気がしない。半分まででレンタルの1週間終了。赤瀬川原平に似た爺さんの前で、使えない60年代風濡れ場が展開してたが、以降急速に面白くなるのか?松島利行や松田政男の顔も見えたような気も。35年振りの映画だそうだ。まあ撮るのは勝手(出るのも)。同様に愚作見物を途中放棄するのも。

 その足立正生も退屈な対談に参加してる、『情況』6月号の『実録・連合赤軍』特集、類似企画に比べかなりの充実振りだが、中でも以下の3本が良かった。「京浜安保共闘の女性たちーわたしの交流」京谷明子。インタビュアー、大下敦史も鋭い。「三国工業での活動−京浜安保共闘の拠点」佐藤保。「森恒夫について改めて思うこと」西浦隆男。塩見孝也だ荒岱介だの有名連中の無反省文は、アホ馬鹿らしくて読むに耐えない。まだ人様の上に立って、歓呼の中で赤旗が振れるとの夢想で内心ギラギラ。安倍晋三と同一精神構造。

「東京堂書店」3階で買った『サンパン』第14号、奥付け見て懐かしかった。印刷・製本、モリモト印刷と。大学1年(73年)の時にバイトしてた、旧古書会館内の第一書房が出していた、『国訳大蔵経』『書画落款印譜』他の復刻本は、全てこここだった。印刷所の営業マンを初めて見た。村口社長が留守だと、いきなり俺達にゾンザイな口を利き、世間勉強を有り難くも。確かモリモトの社長の自宅が市ヶ谷付近にあり、その地下室を倉庫に。当然濡れて売り物にならない本が続出。ありゃ倉庫代タダだったんだろうな、いくら何でも。

 東京堂3階の例の一角もすっかり畠中店長、いや畠中ペ−ペ−従業員のサロンと化し、脂ぎった面で肝臓の悪そうな版元のオヤジ営業マン風、行き倒れ寸前のふらふらモヤシ爺さん(何だ、八木福次郎か)他が、入れ代わり立ち代わり。俺が先輩店員なら、激ヤセする位“スターペ−ペ−従業員”をいじめまくってやるが。ケケケケケ…。

 付記(15日)。まずい。最近文章が婆さんの腰巻き状、あるいは遠藤哲夫化と言うか、長いだけの無内容文に。反省。けど1つだけ。再び『東京新聞』だが、あんなに面白かった「こちら特報部」の藤本由香里のコラム後任が、何で堤未香みてな左側斜めショット顔が自慢なだけの、超馬鹿タレ女なのか?“ワンパシャチハタ左翼”は常連の鎌田慧、やたらゲスト出演する森達也で充分。右翼ブームからの揺り戻しのせいか、“営業用ワンカップ麺左翼”の横行、及びその安易な起用には呆れる。先の大下敦史、松本哉とか、いくらでも適任者はいるが。マスコミ業界の安易さを見るに、出入りの文化人芸能プロダクションでもあるのかと(数年前まで右翼で稼いでた)。同紙社会面、秋葉の事件に関して、被害者の有人の父親(51歳)を匿名で登場させ、以下の文で結んでいる。“「容疑者を追い込んだのは親の育て方もあるのでは」とも指摘した”。よくこんな馬鹿親の寝言をそのまま載せる。度し難い執筆記者の人品。強硬派死刑肯定論者の中には(マスコミ関係者も含む)、本村洋の陰に隠れて、声高に匿名で自己主張する奴も多いが、2人は典型。ここまでの暴論をマンマ掲載するなら、友人の父親も記者も、名前と写真を明かすべき。例の会見で親の社会的責任を追求した馬鹿糞記者って、東京所属のコイツだったの?(08.6.14)

下々の者へ(その862)

 新潟のとりオバンよ、臨時熟女草に任命するので、読者への公正を期すために、『週刊金曜日』4月25日号掲載、俺様の香山リカの粗マン、いや粗本への、真情溢るる書評を本欄に全文掲載するように。もっとも、あんたが香山ファンなら無理にとは言わない。(08.6.21)

下々の者へ(その863)

 とりオバンよ、ついでに、今発売中の『週刊金曜日』の2本目の拙文への批判、及び1本目(掲載号不明)も順番に打ち込んでくれると嬉しい(自分で買って。テヘへヘ…)。今度、高崎で上州名物のみそまんじゅう奢るから。池袋「古書往来座」の外市仲間、アバタのNEGIの職場にも1人いるらしいが、良く見れば同誌の隠れ読者は、創価学会員の百分の一くらいの割合で存在するよ。(08.6.23)

下々の者へ(その864)

「日本国の役人は片っ端から盗人でごわす!!」(西郷隆盛。←ウソ。でも鍵カッコ内は真実)

 貞操観念の強固そうなとりオバン(口元から推理)、いえとりお嬢様、右横の白髪紳士の方って、俺が昔から崇拝している、詩人で劇作家、しかも京都精華大学教授であられる、高取英氏に似てますね(例の永山薫はなぜ、駅弁大学の講師風情にもなれねんだ?伊藤剛ほど馬鹿じゃねえせいか?)。何でもいいからパンツ早く脱げよ、じゃなかった、早く本欄に深く打ち込んでよ(生で)。他の読者の方で資料持ってたら、勝手にやってもらって構わない(年寄りには常に優しく)。昨日に続いて「神保町シアター」へ。(08.6.26)

下々の者へ(その865)

 使えねえとり婆さんだな、まだかよ?(いんだよ、自分の熟女写真なんぞはどうでも)。純粋な忠誠心を欠いた、他人のタダ働きは当てにならぬと、自ら打とうとしてたのに、掲載誌のスクラップ持って帰るの忘れた。昨日は一杯荷物下げてたし。おまけに3日連続で「神保町シアター」通い。ただ、補助椅子まで出てたけど、有名な割に退屈な『煙突の見える場所』。だらだら長くてあくび数度。テレビ版じゃ感動したけど、ありゃ20分位切られてたんだな、多分(芥川比呂志も田口トモロヲ並のニンジン演技)。『大阪の宿』や『朝の波紋』の方がよっぽどいい。とにかく、作風を感じさせない演出家。凡作も晩年を除けば少ないが、すぐ内容を忘れそうな気も。黒澤明作品での志村喬的な扱いで、必ず田中春男が登場。腹黒い支社長や廃品回収業はともかく、『今ひとたびの』での、伯爵出の長髪洋画家には笑った(絶対に自殺する顔じゃないヨ)。

 この手の旧作邦画の上映があると必ず現われるのが、男だと孤独な老人(1人)、女だと生活感のない中年(2〜3人の場合も)。前者、とにかく誰かとしゃべりたいらしく、孫、下手するとひ孫に近い、券売所の姉チャンに、「この映画は続編もあって、××が良くってねえ…」と一方的にまくしたて、勝手に遠い眼。姉チャン達も慣れてるらしく、適当に相槌うってるが、話し終わって入り口へと、方角を変えた際の爺さんの、この世のモノとは思えぬ不機嫌(無惨)な顔が、人生の含蓄を感じさせ味わい深い(今日は珍しくいなかったが、女性会員にストーカーに近い振る舞いに及ぶ、「富岡スイミングスクール」のエロ爺さんが、興味なき男性会員に示す典型的表情)。

 中年女性はほとんど独身と思われる。全員がツルンとした皮膚と表情(自身の脂か化粧かは判別不能)。1人だと特集に神経質に毎日通う(なぜか、強烈な悲愴感が周辺にモクモク。単なる映画見物なのに)。複数だとロビーで、互いの弁当を広げてペラペラパクパク。遠足気分。小学生位の女の子なら可愛いが、“ツルン顏の邦画女性マニア”はどっか不気味(フン!お互い様だわヨ)。昔、『平凡』や『明星』の巻末色ページにあった、邦画5社の新作紹介、心ときめかせながら読んでたのだな。けど昔(60年代前後)は家の野良仕事や、妹の子守りさせられたので、めったに町の映画館に行けなかった。行けるようになった今は、既に老後の心配や、更には両親の介護も。生活感、実はありすぎなのか?同じく色ページの桃色スターだった、ドクトル・チエコ先生方面はいかに?(全員が99%現役とキッパリ推測。相手が…)。

“21世紀の背広姿の超悪相首切り朝”こと、13人生殺しの鳩山邦夫法相が(現時点)、単なる“死神”だなんて、穏便かつ上品すぎる比喩で退屈至極。“鳩山御殿に住む2重アゴの気狂い必殺屠殺人”。敗戦後最悪の死刑マニア法相には、最低でもこれ位の尊称を捧げるべきだ。最近、洋泉社からも出たが、今後刊行される大量殺人鬼本に、邦夫チャンは大久保清(通称ぼくチャン)と並んで、絶対欠かせない世界的ビッグ・ネーム。血まみれの首切り朝“邦夫”効果で、名門鳩山家も益々安泰だ(麻生家も、九州の炭坑でかなりの朝鮮人をナニしてるようだが、数より相手が自国民てトコが凄い鳩山家)。“人殺しに対する国家の人殺し”。死刑制度の本質。以下でも以上でもない(死刑執行の瞬間、国家は幼女殺しと同水準の、腐った道徳を自らまとうハメに)。40年ほど前に、“社会主義国家の原爆は清潔だ”とかの珍論があったが、死刑は国家の正当防衛だから、人殺しにあらずなんて屁理屈も?(敗戦を終戦と偽るようなパターンで)読者から抗議が何件こようが、自説をすぐ撤回するとは、『朝日新聞』も情けない限り(果たして本当の購読者が何人いたことやら。ほとんどプロ右翼市民じゃ?)。

 実は俺、死刑にはほとんど関心なく、最近までどうでもいいと。が、小谷野敦を読むようになって、奴が余りに粗雑な死刑擁護論を書くので、必ず反対に回ろうと(加えて被害者意識のみの、一部“知的下流糞馬鹿国民”の白痴声にも腹が立って)。一時の部落解放同盟並に尊大な、「犯罪被害者の会(あすの会)」にも超むかつく。昨日の『東京新聞』によれば、「執行を願っている被害者遺族も死に神なのか」と、朝日に抗議したと。70年代の極端でイカレ切った、滑稽と恐怖の、全体主義的差別語狩りそっくり(一種のインネン)。裁判官にも被害者の会の代表をと、将来言い出しかねない傍若無人ぶりだ。人は誰も、殺す側にも殺される側にも回る可能性が。その前提なしに、民主主義なんて成立しない。この面でのスーパー白痴土人国家日本で、調活費泥棒検察や、半官半民記者クラブ所属盗人アホ記者、最高裁以下の詐欺司法集団と闘う安田好弘は、文字通りの国境を超えた国士と呼ぶべき人物。

 今週の映画雑誌。『映画評論』68年12月号、『続 わたしは女』(スウエーデン・デンマーク合作の成人映画・MGM配給)の1ページ広告の惹句が素晴らしい。“前作を遥かに凌ぐ凄まじいセックス描写!カラーでとらえた空前のクライマックス!「これが本当の大人のセックス。いままで凄い凄いと云われていたものは、すべてこの映画にくらべれば“幼稚園の子守唄”みたいなものだ」スウエーデン評論家 ベルテル・エスペさん評”。主演女優、ギオ・ペトレさんは今何を?(エスペさんはもう死んだか…)(08.6.28)

下々の者へ(その866)

 エロ本系出版社も、廃業したいトコは腐るほど。が、急にそれすると、日本出版界諸悪の根源の2大取次が(東販&日販)、難癖付けて売り掛け金を払わない(高層ビルに住む表やくざ系闇金業者?)。だから、徐々に業務を縮小している版元が大半。景気いい頃に下請けを安く使うのみで、銭と手間と経営能力を要する、有能社員編集者の育成を怠って来たボンクラ世襲糞版元に多い。ざまあ見さらせだが、連中は数十億の資産を20世紀中にため込んでるからいいが、零細下請けはなあ…。何とか、その日暮らしの拾い喰い生活が続いてるが、本当に厳しい。お互い、借金がねえのだけが救い。製版業、DTP屋も地獄の様子。下流民の生活を支えて来た、日本経済の毛細血管がブチブチと消滅しつつある(懸命に自民党を末端で支持して来た人々でもある。例の拉致被害者の会のように、政治的利用価値がなくなり、冷酷無情にも見捨てられつつあるのだ。盲目的に国家権力に頼り過ぎると、往々にこういう眼に。機動隊の盾の彼方の安楽さとは、つまりこういう事だ。厚顔無礼なな犯罪被害者の会の、明日の哀れな姿でもある)。あんたもまだ若いが、今更リーマンか?

 ペトレさんに間違いなし。車のドアを開き、後方から男に両乳揉まれてる、当時の有名なポスターの面影がタップリ。今でも優雅な生活を送ってるムード。池玲子は大変そうだったよ(徳間康快の何だらかんだら薬だら)。昨日の「古書往来座」の外市店番に続き、今朝は裏の堤防の草刈りをタップリ2時間。疲れ過ぎて逆に眼がさえ、真っ昼間からこんな真似を。睡魔よ米国上空の爆弾をつんだアルカイダの旅客機のように、情け容赦なく素早く確実に俺を襲ってくれ。

 社会保険庁以下の日本裏金ヤクザ警察(調活費泥棒検察もな)。デモ参加者の人数以上の警官を出動させ(我が税金で)、サンドイッチ規制で表現の自由、誰でもがデモに参加する自由を奪った上に、抗議する者をデッチ上げ不当逮捕。並の民主主義国家なら司法が許さないが、擬装三権分立民主国家ゆえ公然と。それを自慢げにやってるトコが(腰抜け記者クラブ痴呆記者の全面的協力で)、世界の笑い者になってる事に全く気付かない(機動隊無法黄渦の風景。ここまで許す民主国家など存在しない。ロシア以外は)。ビラまきに無闇に干渉したり、昨今常軌を完全に逸した感があるが、政権交代の可能性が深まった今、与党に期待される以上の恩を売る一方、自分達の利権に踏み入ったら、与野党の区別つけずにパクってやるとのブラフ。泥棒が国家内独立国家宣言。盗人公務員は甘やかすと全てこうなる。公安警察裏金産業は、スターリン時代のラ−ゲリ産業と同一構造(“国体の護持”など単なる窃盗犯の免罪符)。幹部をオール徹底粛正しないと、莫大な警察予算は無限に連中の懐に消えてゆく。にしても、いわゆるチャンコロやチョンコウは(NHKの男性アナ口調で)、政治面に関しては実に立派。前者は命がけで公安庁舎に殴り込むし、後者も機動隊をフランスデモで、逆サンドイッチ襲撃。納税者としての意識が高い。我が同胞は黙って自殺しちまうんだから、日本国は泥棒公務員の地上のパラダイス(天国良いトコ〜1度はおいで〜♪)。

 今日は外市どうだったかな?昨日は嫌気箱もまあまあ。昨今、余りの売り上げの悪さに、「軒下スペースの無駄だから、嫌機箱は外市断固追放だ!」との罵声も、一部極右反動勢力間で上がってただけに、ホッ!(死ね!ネオナチ!!ただ、退屈男に同情されるようじゃ俺もおしまい)ここんトコ、打ち上げに全然参加出来てないのは残念。「古書往来座」のロシアのアナキスト風店長、新婚ホヤホヤのせいか、顔がさっぱりしてると言うか、凄く清潔になった(昔は内澤旬子が海外旅行中の、薄汚れた南陀楼綾繁レベル)。

 今週の映画雑誌。『シナリオ』74年9月号、笠原和夫の「海軍落第生」より。“…海軍出身の士官たちの「死」に向かっての余りのいさぎよさで、その死に急ぎの精神の徹底さは呆れるばかりである。軍艦が沈む時は必ず艦長以下高級幕僚は艦と運命を共にし、飛行機が火を吹くと直ぐ自爆である。これでは国民の税金をいくら注ぎこんで士官の大量生産をやっても追いつかない。当の海軍当局も慌てて、艦長は艦と運命を共にするに及ばず、という訓令を出した程である。それでも、不幸にして鑑と共に沈まず生き残った艦長は長く白眼視されていた。戦争は生き残ることが目的だから、死にたい死にたいと言ってる側が勝てる訳がない。アメリカ太平洋艦隊のハルゼ−提督とか欧州戦線を席巻したパットン将軍とかは、戦争が好きで好きで仕方がない殺人狂であった。海軍兵学校はもっと女郎屋とか馬方の子弟をどんどん採用して、損得勘定にうるさく、どぎたなく相手の裏をかいて生き残ることしか考えないような士官を養成すべきであった”。(08.7.6)

下々の者へ(その867)

7月12日…土曜出勤。1時に待ち合わせた某漫画家から、15分前に電話。申し訳ないが、夕方6時にしてくれと。ギャフン!!さすがに仕事する気にもなれず、やくる〜とに「じゃあ夕方再集合って事で…」と告げ、東西線で高田馬場へ。「早稲田松竹」が番組代わり日で、3時過ぎから題名の覚えずらい映画が。早稲田の「ブックオフ」との手もあるが、昼食はゆっくり食べたい。馬場駅地下鉄商店街の「串轍」で、きじ丼(570円)とビール。鳥肉にかけ過ぎたとんがらしが良い風味で、ビールのたまらないつまみに。中ビンだが、漫画屋事務所下の「まさみ」のように、大ビンなら文句ない。この店舗も飯田橋店のように、夜になると大混雑なんだろう。ここの飯田橋店と同じビルにありながら、売り上げ不振で閉店した焼き鳥屋、「一番や」の同い年の気柄のいい店長、ちゃんと就職出来たかな?(あそこも大ビンでうれしかった)。

 半年振りくらいで「芳林堂」へ。その前に先のビールを吐き出そうと、同書店ビル内のトイレへ(1階下の、中華料理屋他が入居してるトコ)。流しの鏡前で、20代前半の人品卑しからぬ青年が、素早くヒゲを剃っていた(数分後に書店内でも目撃。住所不定者には見えなかったが…)。相変わらず趣味のいい本揃えだが、映画書コーナーに、今もなお拙著『東京の暴れん坊』(右文書院)が、川原テツの名著『名画座番外地』(幻冬舎)と並び、平積みされてる事に深〜く感動。早く読みたいのに、「日本特価書籍」になかなか並ばないのでイラついてた、『〈盗作〉の文学史』(新曜社)を仕方なく定価でと、本以外には一切の関心のなさそうな、草1号こと小倉智充を肥満化させた感じのメガネ兄チャンに
尋ねたら、「売り切れです!」と。他店でなら典型的な言い訳の台詞だが、ここなら真実に違いない。同書、著者名を思い出せないのは失礼千万だが、拙著や福田首相似の坂崎重盛本と違い、“超特殊部落”神保町だけでなく、全国ネットで売れてるのではないか?(ケッ!ムカムカするな)

 上映開始20分前の3時に、「早稲田松竹」に到着(入場料1300円。1本しか観る事が出来なくて残念)。ロビーで『崇高なる者』(ドニ・プロ・岩波文庫)を。退屈ではない程度か。館内はいつの間にか、朝8時の埼京線状態に。しかも若者メイン。いくら初日とはいえ、『潜水服は蝶の夢を見る』(監督・ジュリアン・シュナベール・’07米仏)、それ程の映画か?(スーパー恥知らずな題名だ…)見物無事終了。チ〜ン!要するに難病モノには、ヤンガ−ゼネレーションも弱いんだ。「制作費をかけないで当てるにはこうしろ!!」との、正に見本のような一作。粋なソーニュ−音楽以外は、特に俺は興味なし。昔はイタリアが、よくこの種のエロ入りインチキ感動作を撮っては、大いに儲けてたがな。

 午後8時過ぎ、やっと完成した20ページの原稿を、徒歩10分くらいの救世軍ビル(集英社の隣)5階の図書印刷へ持参。このフロアー、普段は50人前後の営業部員でひしめいてるが、土曜日はさすがに5〜6人。すずらん通りも閑散。明大前の坂をお茶の水駅へテクテク。途中で「カザルスホール」側に渡り、「ファミリーマート」で『日刊ゲンダイ』とアルミカップの「菊水舟口」を。確か8円だかの端数が出たので、1000円札と共に差し出すと、学生風姉ちゃんが「これでよろしいでしょうか?」。どうせいっつんじゃいこれ以上?

 新幹線で天才映画評論家、秋本鉄次の待望の単著、『映画は“女優” で見る!』(近代映画社・本体800円)を。“裏目読み”ならぬ“エロ目読み”映画批評の先駆者として、映画史にその名を永く刻もう。ワンカップ片手に、あるいは居酒屋で、卑猥な笑い浮かべつつ読むのに最適。本書は、下世話な手法で女優を凌辱しまくる、ハードボイルドな1册だが、同様なスタイルで実は秋本、『大日本帝国』他の奥の深さを、公開当時に既に熱く語ってもいる。石井輝男や笠原和夫は今や、映画ファンの通俗的ファッションだが、同時代にくだけた口調で高く評価した秋本の本は、最低もう30冊は出ていい(四方田犬彦の俺様自慢本など、300冊出ようがひからびた猫のゲロ。悪臭さえ無し)。

 高崎まででたちまち読了。上信線では『青いムーブメント』(外山恒一・彩流社・本体1900円)に。仕事や結婚で忙しく、80〜90年代の10代の政治活動は全く知らなかったので、種々参考に(特に異常な弾圧を受けた、「秋の嵐」の背景は興味深かった)。ただ著者は、周囲の人間の評価に関しては割と理性的(平等)なのに、自分に関してはドメクラの極みで(俺様大天才!!)、1度に50ページ以上は読む気になれない。『黒時雨の歌』(福島泰樹・洋々社)に。7月は中旬まで暇だなあ…。 (08.7.13)

下々の者へ(その868)

 『週刊金曜日』2008年4月25日号、「読み方注意!」より。素材は、『信じぬ者は救われる』(香山リカ・菊池誠・かもがわ出版・本体1400円)  塩山芳明(エロ漫画の下請け編集者)

「リカ様の、思いつきくっちゃべり本」(リード)

 理想主義と内ゲバ体質をブレンドした奇怪な政党、日本社会党が大好きだった俺は、社民党に淡い期待を抱いた時期も。が、気色悪い語尾上がり会話しか出来ないおばさんが、党首に平然と就任するのを眼のあたりにし、ドブッコにポイ! (人間三〇すぎたら、会話とツラ、飯の喰い方は、他人を不快にさせない程度の鍛練を、終了してる義務が)。

 外見じゃなく中身こそが問題!? 世迷いごとを。犬のウンコを塗った老舗のだいふくに、誰が手を?(念のためだが、福島瑞穂の演説は犬のウンコ並だと言ってる)。『信じぬ者は救われる』(かもがわ出版)の対談者の一方(物理学者の菊池誠が相手)、香山リカが犬のウンコだとは言わない。ただ無数に出てる著作が、週末の繁華街の裏路地の方々に咲いた、ゲロ(人間の)のように書店で見えるのは事実。必ずカバーにソーニュ−される、著者の“御真影”の口が、常にだらしなく開かれてるせいも(ゴロ巻き対象、“会話”から“ツラ”へと移動中。

 本書も含め、リカ様の本をレジに持参するのは、『メガストア』や『マニア倶楽部』以上に恥ずかしい(『スピリチュアルにハマる人、ハマらない人』『セックスがこわい−精神科で語られる愛と性の話』等)。編集主導の場合もあろうが、承認してるのだし、露骨な下品さは本人の趣味かと。

 帯も凄い。“江原啓之さんをウソ発見器にかけてみたい!”。スピリチュアル批判本が、ンなモン絶対化しても? てな疑問は本書にゃヤボ。リカ様の思いつき九九%の本(菊池は割とフツーだが、後半は完全に“リカ化”)。

  “……白衣を着た写真は絶対に出さないという線引きがある。白衣を着た私が「こうですよ」と言ってるのは、それはやめてもらって、(重複部分略)線引きがあるんだけど、それは全然あまり意味のない……”(四六P)。著者校正してんの? 版元は共産党系の割に商売上手(京都だす)。たった一六〇Pで一四〇〇円(ページ単価八・七五円)。新書一冊分の、“思いつきくっちゃべり本”でだ。江原啓之クンに深く同情したくなる。

 アップ遅れてすいません。再読するに、我ながら気品&知性あふれる名文かと。同誌投稿欄に反論が2通も採用されたと知り、益々うれしくなった。本業がド暇なので、どっかの編集の方、稿料も安くていいから何か仕事下さい。文の悪口加減は、全て編集部の意のままに(イメージと異なり、大人でげしょ?)。  (08.7.14)

下々の者へ(その869)

 19日、「富岡市民プール」の初日(入場無料日)。愚妻外出中のため、昼過ぎに自転車で約20分。母校、富岡高校の前を通り七日市を抜ける。同校在職中、生徒に凄惨なテロ、リンチを加える事で“実績”を積み、後に校長にまで出世し、遂には去年、群馬県の教育功労者として表彰された(ギャグにあらず)、日体大出のゴロツキ暴力教師(ハンドボール部顧問)、小林進(本名)が我々の血税で、安寧な老後を送ってるのもこの付近。「おめーらだけは殴らねえよ!」と、体育の授業中に同級生に暴力を振るった事に抗議した、俺他に言い放った小林進の第一の舎弟で、脳味噌が筋肉で出来てるこれまた日体大出の白痴体育教師、宇佐美某(本名)も元気なのか?近く2人に突撃インタビューしようか等、罪のない追憶に浸ってるうちに、もうプール(最近、同校の同窓会名簿も入手。新たな展開を待て)。

 何と4時30分までの大長居。本当はやる事一杯あるんだ。次回の「嫌われ者の記」書きだろ、再構成の済んだ「エロ漫画で喰う」のチエックもな(この仕事もう3年越しじゃ?何となくアストラからは、もう本出ないんじゃって気も。ちなみに『記録』、近くネット配信に移行と)。泳ぎと読書の繰り返し。『〈盗作〉の文学史』(栗原裕一郎・新曜社)を250ページまで(約半分)。本書、「日本特価書籍」はおろか、神保町の新刊本屋じゃまず見ない。唯一、東京堂には平積みされてるが、俺は自著を売ってるトコでしか、定価で本は買わない主義。昨夜、凡作『モダン道中 その恋待ったなし』を「神保町シアター」で観る前に、念のため三省堂1階の文芸評論コーナーに行くと、棚に1册さしてあったので早速(ここの並べ方は一考を要する)。後半は明日またプールで。楽しめるが、1カ所だけ異論が。“旧病名である「らい」は現在、差別用語である”(234P)とあるが、本書執筆者らしからぬ表現。差別語なんてこの世には存在しない。使い方により、どんな言葉もが差別語になる可能性はあるが。最初から一部の言葉を隔離するのは、旧らい予防法のようなもので、日本語の可能性を摘むだけだ。軋轢の中でこそ、言葉は進歩も退歩もするのだと(らいの言葉と一緒に、政治家や厚生官僚の無責任さは消滅しようが)。

 俺も昔は盗作編集者ならぬ〈コピーエディタ−〉で鳴らしたので、偉そうな事は一切言えないが、後半に当然ながら登場の寺山修司について、小林信彦が中原弓彦名で、『映画評論』61年1月号に興味深い記事を。題して「贋者の季節ー寺山修司氏の「御返事」ヘの御返事」(単行本に収録されてるかどうかは不明)。寺山のミュージカル、「蚤または第百交響楽」が、永六輔の「貧しい国の貧しい歌」の、いかにひどいパクリかを、永作を上段、寺山作を下段に並記、ビジュアルに立証するという周到さ(コバノブのこういうトコ大々好き!)。実家自慢開始前の大センセイは、舌鋒も鋭いの何ので痺れまくり!!(引用部文はミュージカル盗作問題から、寺山が書いた『乾いた湖』の脚本の質へと移っている)。

“…寺山はこう書いている。「何としても話しあいはむずかしい。この文章もせいぜい弁解にしかとられないだろう」と。「弁解にしかとられないだろう」と書くことによって、弁解でしかない文章を、そうでないように見せようとする卑しい下心が見えすいている”。

“大島渚と自分をならべるなど思い上がりもはなはだしい。所詮、月とスッポンではないか。(中略)なに言ってやがる。榛葉英治が「小さなバケツ」だったら、寺山はタンブラーかお猪口だろう”。

“もし寺山があれを喜劇だと信じこんでいるとしたら、その神経はふつうではない。三年だか、病院に入院しているうちにノイローゼになったのだそうだが、まだ全治していないのではないか”。

”もっとも、前に述べたような詐術の巧妙さをみると、まるまる精神病とも思えないフシがある。とすれば、これぞ、音に名高き「サイコ」というやつだろう。私は、こういう人間と「コミュニケーションが成立しない」ことをむしろシアワセに思う者である”。

“しかし、氏はそれを書くかどうか、まだ決めていない。なにしろ、今夜は、デートがありますからなあ。しかし、寺山氏がやたらパロディとか喜劇などという言葉を用いたのはマズかった、と氏は思った。とくに、おれのような日本のパロディ学の権威に向かってはな。そして、彼は、残っているパイン・ジユースを飲みほすと先程の寺山修司氏作るところの戯作(パロディ)を呟いた。 東京へ行こうよ 自由に虚名の得られるところ”。

 最高。しかし“青森の盗作ホラ吹き百姓”の方が、大センセイより若者に益々の支持を広げてるというのだから、世の中一寸先は闇。白坂依志夫も寺山の図々しい盗作振りには終始呆れているが、読者には羞恥心をわきまえた、知的な2人の都会派作家(一方は脚本家だが)より魅力的なのだ。俺も実は寺山のパクリの方が、内心は面白いと。日本文化の本質は厚顔百姓文化にありか?(自分の出自を重ねてるので、客観性と説得力に欠けるが…)。(08.07.19)

下々の者へ(その870)

7月24日…“誠実な凡作映画”、『猟人日記 狼』(監督・ロマン・バラヤン・’77ソ連)が、「神保町シアター」で始まるまで少し時間があったので、東京堂の3階へ。給食おばさん風の肥えた中年女性が、熱心に本の陳列変え中。畠中店長、いや平ペ−ペ−下流女店員だ。「今晩は!」「あら久し振り。すっかりお見限りですねぇ」「良く来てるよ2時頃。昼飯どきじゃ?」「そっかー。この前の往来座の外市、売れたらしいですね。あたしなんか全然で…」「2日で約2万になったけど、考えたら千駄木の一箱古本市は凄いよ。たった1日、営業時間にしたら外市の3分の1位で、それ以上売れたりするから。“中興の祖”の南陀楼の野郎が、脂顔で威張るはずだよ」「威張ったりしませんよ、南陀楼さんに限ってえ」「けど糞うるせんだよ、奴も一箱に関しちゃ。事前に連絡よこせとか何とか。もっと鷹揚になりゃいいのに」「南陀楼さんもゼッタイ寂しいんですよ、きっと!!」「???」「内澤さんにもこの前久々に会ったんで、南陀楼さんお元気ですかって聞いたら、“多分元気なんじゃない”だって。ユニークなご夫婦ですよね」「どうでもいいよ。ロクに読むとこねえけど、ついでだから惰性でこれ買うか(『彷書月刊』を)。そだ、下にあった“地藏の本”(右文書院刊、『文士の行藏』の事)はここにゃ?一緒に買いてえし」「ま…待って。すぐに運んで来るから。最近それよくやってんの。む!その割にやせないって顔してますね?」(いつから千里眼に…)「ふーふーふー(5〜6冊持参)。言っちゃ悪いですけど、この前のに比べて(香典袋風装丁で有名な、『市井作家列伝』の事か?)、素敵な表紙ですよねえ」「そういや今日、『週刊現代』の編集と××××が事務所に…」「え〜本当ですか〜。それはきっと…」(9月24日発売予定の、『BUSTER COMIC』VOL・8、「塩山業界無駄話」に続く)。“地藏の本”で全て了解とはさすが。ちなみに、千駄木一箱古本市で、“爺さん”と言えば『北方人』の発行人を意味する。

7月27日…嵐の中今晩は。『東京新聞』評論家の塩の字だす。漫画屋HPのカウンター、いつになったら直るんでしょうじゃなく、オカタケ旦那の力のこもった3回連載の終了した、同紙書評欄に今週もこぶし書房本が。先週に続き2週連続。高崎駅構内の「くまざわ書店」でもあるまいし、ビルオーナー(JR東日本高崎支社)&多数派革マル派系労組の圧力って事はないだろうし、やっぱ編集部に黒田寛一信徒がいるのだろう。でもちょっとわざとらし過ぎ。広告出稿量を鑑みたとしても、創価“大作”学会が怒らんか?ただ海外面での、中国&ロシアの独裁国家振りの実態への切り込みは立派(元『産経新聞』記者が多いせい?)。特に中国に関しては、『赤旗』を併読してるので、その熱血ファイト報道が鮮明。何しろ『赤旗』は、先日のバス2台爆破事件もベタ扱い。共産党、『蟹工船』&小林多喜二人気にはしゃいでるが、築地署の特高にリンチの果てに虐殺されていなければ、中野重治のように除名されてた可能性も強いのだし、落ち着けよ見苦しい(警察の虐殺と言う歴史的事実も、意識的にぼかされて報道されがちなのが、日本記者クラブメジャーマスコミの情けなさ)。

 けど同紙、群馬版にゃトンデモ記事が平然と。7月20日の加藤益丈の署名記事はその見本。“住宅街に防犯カメラ 暗号化でプライバシー配慮 伊勢崎 群大グループが開発、試行”のリード。自宅に3台も設置した、連取町区長、力丸宇中(67)が登場、「治安の悪化を感じていたが、これで少し安心できる」だと。治安悪化なんて根拠なしと、教えたれよ加藤君。この手のおっさんがいつか、正当なビラ配りを警察に密告するのかも。群大工学部の藤井雄作教授は、“プライバシーの問題は解決しており”とほざくが、実態はこう。“…データは暗号化されており、家庭のパソコンでは現在の映像しか見られない。事件が起きた場合は、暗号を解除する鍵の役割を果たすソフトを持つ伊勢崎署のパソコンにデータを移し、鮮明な映像を捜査に活用してもらう仕組み”。

 加藤ちゃんよ、警察や検察こそが、日本で一番ひどい人権侵害犯罪を、昔も今も起こし続けてる事を知らんのか?知ってちゃ、こんな脳天気(ウスラ馬鹿)な裏金警察宣伝文は書けないわな。御用マスコミの中には、英国ではより多数の監視カメラがとの媚び報道も目立つ(NHK)。むろんそれも問題だが、かの身分差別社会国家には警察労組もあるし、取り調べは完全録画、しかも弁護士の立ち会いも。同時に代用監獄はないし、21日もぶち込めるような土人国家的悪法もない(“逮捕状自動販売機”のような、ド腐れ警察下請け司法もどきも)。フランスデモもOKだし、ビラ配りに警察が介入などという、中国&ロシア&ビルマまがいの警察国家でもない。官憲が海外を引き合いに出す時は、自分達の私的利益実現のために、都合のいい部分的をつまみ食いするのが常(児童ポルノ所持問題でも同様)。そんな事も見抜けない加藤君は、この際キッパリ役所の広報課にでも転職したら?(藤井雄作教授の単細胞振りも国宝級)。しかもこれが写真入りのトップ記事。群馬支局長のドタマのレベルも知れる。

 文春新書に疲れが出たと思ってたら、アスキー新書に馬力。『著作権という魔物』(岩戸佐智夫)、『ロシア 語られない戦争』(常岡浩介)、いずれも「富岡市民プール」のベンチでダラダラ泳ぐ合間に読了したが、己の信条と生活を賭けた執筆態度に心打たれた。欠点は種々あってもさわやかな読後感。“議会制を備えた独裁テロ国家”ロシアに、21世紀型の腐敗国家の象徴を見た。もはや北朝鮮やベトナム、中国は古いのだ。民主主義を擬装してこそ、1流のファシズム体制が。ナチスのドイツにも、大日本帝国にも、考えれば一応議会はあった(今の走りか?)。これにプ−チンのロシアは倣ってるのだろうか?更に日本が再びこれを追う。最高裁が改憲の旗ふり役をなし、調活費豪遊検察と、裏金警察が手下となってる(すねに傷のある十手持ちヤクザは使える)。捜査礼状無しの持ち物検査が横行する国に、それを禁止するまともな司法のない国に、自由を語る資格一切はない(北朝鮮を罵る資格も)。他の民主主義国家には、確かマスコミとかが?『東京新聞』万歳!!(08.7.26)

下々の者へ(その871)

8月1日…夜、また「神保町シアター」へ『ワーニャ伯父さん』を、フラフラと観に行きそうになるが、「いくら何でも、週に3回も“ロシア文学全集”特集通いでは、編集者として芸がないんじゃ?」との心の声に、机のフィルム下を物色すると、「映画美学校」での『恋愛上手になるために』(脚本・監督・ジェイク・パルトロウ・’07米・今秋公開)の試写会のハガキ。題名からするに、ガキがさかったハメた別れた泣いたの類いの映画ではと、半ば引きかけるが、90分との尺に好感(たとえ凡作でも後悔しない長さ)。会場は東京駅八重洲口から徒歩10分程度。定期の内だからそうすればタダなのに、つい地下鉄東西線の飯田橋駅へ(潮出版の先の入口)。160円を小銭と言える身分じゃもはやない
のに、やはり年?日本橋駅で銀座線に乗り換える。地下鉄だけは尺、いや車体幅が広い方がいい。この線に載る度に息苦しくなりつらい。幸い京橋駅は次。フ−…。

 ブリジストン本社ビルと、中央公論ビルを結んだ線の中間の裏路地にある、「駒忠」京橋店でビンビール(同グループは今でも大ビン。偉い!)にホルモンいため。ここの板前さんのパンチパーマは、本当に立派。神々しいくらい。映画、編集が不器用な以外はなかなか。けどあの題名では、まともな“大人”は入らないのでは?主演のマーティン・フリーマンも、吐きそうな愚作、『レンブラントの夜警』に比べ好演(やたら力まないし)。あと最近のプレス・シートって立派過ぎない?糞馬鹿高い劇場パンフレットで回収してるのかも知れないが、主客転倒もいいトコ。チラシ2枚分くらいの規模で充分。片手に『増補版 書を読んで羊を失う』(鶴ヶ谷真一・平凡社ライブラリー)。『逝きし世の面影』(同)
の著者、渡辺京二のように、何事につき高みに立った物の言い方をする訳ではないが、精神構造に似た臭気を。こちら慇懃無礼。非常に読み易い造本の平凡社ライブラリーだが、読書関係は『素白随筆集』も含め、どうもいちいち気に入らない。担当者と趣味が合わないのだな(講談社学術文庫や岩波文庫の逆)。

 「千疋屋」ビル脇から八重洲地下街に降りようとして、独身時代はよくこの辺に映画見物に来てた事をふと。八重洲通り左側に(東京駅から見て)、かつては3館も(全部古びたビルの地下)。一番手前に「観光文化ホール」(「国際観光会館」地下)。既に70年代後半は洋ピン専門館になってたが、かつては(50年代)記録映画を主として上映した個性的小屋で、支配人が良く『キネマ旬報』にも登場。天皇のための駅、東京駅のすぐ脇でピンクやってたんだから立派。次の「八重洲スター座」は、清潔で観やすい造りで、ロビーに各種新聞ラックまで。池袋の「文芸座」とは、全くムードの違う都心の名画座。『ミツバチのささやき』他、売り出し中の蓮見重彦推薦作品をやたら上映した(大塚の「鈴本キネ
マ」の洋画版)。一番奥の「ヤエスシネマ」は和製ピンク専門。造りはスター座とそっくり。信じ難いブスが主演するので有名な(中には日本語のしゃべれない、東南アジア系女性も。喘ぎ声しか出さない)、松竹系の東活ポルノを良く上映(松竹の総会屋対策事業だったとの噂も。桜散る冒頭の、脱力感溢れるトレードマークで有名)。さすがに物好きな俺も、3本全部観る事はめったになかった。見事な住み分けの3館だったが、『シティロード』90年1月号では、既に一番通った「八重洲スター座」のみ消えている。表記は「ヤエススター座」だったかも。80年代の『シティー〜』が見当たらない。蔵か?

 いつもの東京駅発21時16分発、高崎止りの「たにがわ475号」には余裕を持って。『キネマ旬報』70年12月上旬号を、冷えたワンカップの友に。ダイニチ映配提供、『野良猫ロック マシン・アニマル』(監督・長谷部安春)の1ページ広告の惹句が、しゃれた日活というより(藤木TDC)、格安風俗マニア揃いの、地下足袋臭い東映東京の土方センスでおやおや。いや正しくはたそがれの、セピア色大映テイストと言うべきか?“ヒップに伝わるバイクの魅力!ボインにひびくマシンの威力!一発火を吐くワイルド作戦!こんどは何をやらかすか!!”。やっぱ、学術的には月亭可朝センスと言うべき?ポスター役者序列2番目(トップは梶芽衣子)、笵文雀がメチャ色っぽいのう。近く紙もの形式廃刊の
、『記録』(アストラ)編集部の勝ち気美人妻、奥津裕美さんそっくりじゃ。勝手に今夜のおかずにしちゃおうっと!(個人の絶対的自由じゃもんネ)。脇で青山ミチや黒沢のり子も出とる。実に抜きがいのある一作でありんす。 (08.8.2)

下々の者へ(その872)

8月4日…いつもより30分早く、夕方5時30分頃に事務所を出る。有楽町駅前(角の立ち喰いそば&焼そばの店は、もう影も形もないのね)、交通会館1階ののチケット売り場で前売り券を買い(1300円)、東映会館内の「丸の内TOEI2」(館名センス最悪。「丸の内東映2」でいいじゃん)で『スカイ・クロラ』。地下のこの小屋、改修後は初めて。昔はポルノ(洋ピン)とホラーを交互に上映、『死霊のしたたり』はここで観た記憶が。ロビーは閑散。やせ野郎おたくが1人退屈そうにベンチに。押井守映画は、相変わらず当らないようだ。最終的には常に黒字になるらしいが(だから次々に撮れるのだろう)、こうなると映画興行は宣伝の一環か?『坂井三郎と零戦』(三野洋・PHP新書)を開いてると、効果音がはでに外に漏れる。偶然だがいい組み合わせの映画と読書。開場。ここの定員は360名。全観客数40名前後。月曜日の最終回とはいえ、かなりきつい数字(雑誌の返品率だと約9割)。女子供の姿がほとんど見えない。で、『イノセンス』と比べると、かなり好感を。独善的な説教臭さがなく、すっと入って行ける(製作費もそうはかけてなさそう)。女もやたらエロいし。ただ、主人公と女隊長が招待所のようなトコで宴会するが、その際に傾けるワインのビンのパーツが、狂ってるように俺には見えた。まだ未見の押井ファンの某漫画家に告げると、「それは塩山さんの老眼のせいじゃ。僕も今度観て確認しますが…」だと。失礼しちゃうぜ!尚、ここの椅子は一見豪華だが、非常に座り心地が悪い。モロ毛唐用じゃ?

8月9日…こんな、一文にもならない事をやってる場合じゃないのだ。『書評のメルマガ』の「版元様の御殿拝見」(これもタダだよ。今月は芳賀書店の巻)、最後の紙発行になる『記録』の「奇書発掘」も(今回は文春文庫の群ようこ、『平林よう子伝 妖精と妖怪のあいだ』。こちらちゃんと稿料出ます。まとめて半年に1度だが)。もちろん今夜は全然勤労意欲わかないし、明日は高崎で映画見物だし、どうしたら?前はよく早朝、追い詰められると原稿書きを(通勤に不向きな大型本中心の、早朝読書も毎日)。ただここ数カ月多忙だったのと暑いせいで、出勤電車を1本早めた。今ではすっかりそれが通常になっちゃって…。今朝久々に、東京創元社版『バルザック全集』第22巻収録、「人生の門出」を30ページ程読んだら、やっぱ松尾スズキや金井美恵子、ましてや狩野俊あたりに、先も既に長くねえ歳で貴重な時間さいてる場合かと、幅は浅めに深く反省。天才バルザックは何でも傑作だが、田舎出で世間知らずな青少年の、ついえた夢(妄想)を主題に据えると、特に冴え渡るような。

 頼むからオリンピックで、「日本新記録です!!」と何度も絶叫するな。国体じゃねんだから。島国根性、深〜く恥じ入るべし。いくら現役選手に寄生する、能無し元選手&コーチの生活用の、4流保身芸とはいえ。中国共産党幹部の胸焼けがする、脂まみれの自画自賛を笑えない幼児的精神構造。説得力ゼロの、マイク際での日本人選手へのヨイショといい、日の丸反吐が出そう。なるべくWOWOWに固定してるが…。

8月10日…『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、昨日に続く2日目の初回(10時より)。「シネマテークたかさき」の2階、新設スクリーンにて。定員64席。全観客数は25名には達してないが、こことしてはマシな部類。『ブギーナイツ』の監督でもある、ポール・トーマス・アンダーソンには、新藤兼人と今井正(順序が逆か?)をブレンド、篠田正浩で割った程度のイメージしかなかったが、割と退屈せずに鑑賞。監督が兼ねてる脚本は、伏線張るだけで客に買わせてないし(息子の放火)、偽の弟出現のてん末の下り等、無駄に長いシーンも多いが、まあまあ。主演は、ダニエル・デイ=ルイスで決まりか?(風貌に加えて、声がいいものね、この人。日活の平田大三郎を彷佛とさせる)。けど2時間38分は長過ぎる。2時間で脚本の矛盾も、“赤いセシル・B・デミル”、山本薩夫監督なら即解消、しかもエロシーンまでねちっこく挿入したはず。まだまだケツの青い、ハリウッドの包茎糞ガキにため息。ただ、原作(アプトン・シンクレア)は是非読みたいと。そういう映画は久々。帰りの上信線で、『椿姫』(デュマ・フィス・光文社文庫)を274ページまで。面白いが、人間観察が甘過ぎる(バルザックに比べ)。

 勝負に一切こだわらず、地球規模のサッカー人口増加のために、国費を遣って終始全世界に、仲間内だけで球のけりっこ見せて、競技の“醍醐味”の宣伝している日本選手団を、嘲ってはいけないのじゃ?(冗談ですがあ、一応…)。にしても『ゼア〜』、宗教のいんちき性を象徴する人物を理論的に打ち負かし、果てには撲殺、なのに主人公が全然反省しないトコには感動。原作は果たして?

8月11日…竹書房と目白通りを隔てた所にある、洋食屋「津つ井」が今月下旬で閉店と。コックさんが近所の人に、今まで世話になったと挨拶を。「次の勤め先は?」「営業中なんで面接に行ってる時間も…」「そうですよねえ」高くて量が少なく、味も趣味じゃなかったので、1〜2回入ったのみだが、店構えは周囲の景色に良く溶け込んでいた。キッチン「伊香里」も消えて、既に4〜5年たつのか?「津つ井」裏手の「珈琲美学」に午後(ここで『椿姫』読了)。同店、夏休みは無いのだと。皇居と眼と鼻の先の、千代田区の飯田橋でこれだもの、前橋や高崎、富岡がシャッター通りで溢れるのは当然。ゴキブリと世襲白痴政治家と泥棒公務員、あとは創価学会員と革マル同盟員他のカルト人間しか、“公務員独裁警察国家”日本じゃ生き残れない?(08.8.9)

下々の者へ(その873)

8月14日…今日もお仕事(明日から月曜までが夏休み)。10月頭に発売予定の、“獣姦専門エロ漫画誌”『獣欲』(一水社)の参考になるのではと、昼飯に「小諸そば」のミニかきあげ丼セット(500円)を食べて後、眼と鼻の先の「昭和館」3階の(今月31日まで開催中)、“戦中・戦後をともにした動物たち”展へ(無料)。お猿の電車で少女が、車掌姿のエテ公共に輪姦される話とか(通称“猿まわし”)、ハチ公像前でたたずむ戦争未亡人を襲う、鬼畜米英とのあいのこ(混血)不良犬の話とかのアイディアが、次々に浮かぶ(混血犬にチューインガムかませるか?やっぱこりゃ売れねえな…)。展示は神国日本の神髄に溢れるモノが多く、日本国在住人なら誰もが感動の涙を禁じ得ないのでは。“軍用兎報国の家”用、カラーステッカーのコピーが素晴らしい。“兎も兵器だ興亜の力 赤い眞心に飼う白兎”。躍動的かつヴィジュアルで、思わず日の丸がはたはたと胸中にたなびく(ステッカーの赤心コピーの上には、もちろん日章旗)。原武史の『昭和天皇』(岩波新書)によれば、当時天皇家ではいよいよ宗教儀式に打ち込んでいたと。上が神頼みで、下々の者は動物頼みだったか?(皇軍中枢は絶対安全地帯からの、末端兵士への特攻強制1本槍し)。「昭和館」、展示の各種キャプションが、前ほど右翼っぽくなくなった。

 帰りに「珈琲美学」に。ガラガラ。『病中集』(巴金・筑摩書房)を30ページほど。小説はまだ読んだ事ないが、肉親や友人をこれだけ客観的に語るのだから、面白いに違いない。文革下10年の芸術家への陰湿な迫害スタイルが、実にアジア的と言うか、日本の裏金公安警察っぽいと言うか、新左翼の内ゲバテイストでもある。同店近くの、「穴子屋」なる店も営業中(22日で閉店の、「津つ井」の裏手路地)。最近までとんかつ屋だった(店名失念)。10年チョイ前、絶頂期だった、モンキーパンチ似の真弓大介と来たな。 尚、『病中集』は「小宮山書店」の3冊500円のガレージセールで(ペンのライン個所、約10ページあり)。 (08.8.14)

下々の者へ(その874)

8月15日…豚夫(南陀楼綾繁)の羊妻(内澤旬子)が推薦してたので、大した映画じゃないとは思ったが、「シネマテークたかさき」の『ぐるりのこと。』(原作・脚本・監督・編集・橋口亮輔)へ。3週間近い上映の最終日(1時20分から。4時過ぎにもう1回)。観客数約25名(全64席)。同館としてはヒットの部類。尺(2時間20分)だけでロクな映画じゃないと悟るが、休憩時間に開いてた『先師達人』(竹内静雄・講談社文芸文庫)を閉じ、素直な気持ちで画面へ(竹内勝太郎って、お釈迦様とキリスト合わせたような人だったのね。ゲッソリ。館内の照明が暗いのも、読書好きには気になる)。

 最初の20分は観てられる。週3回セックス論議には特に笑った(他の客は誰も笑わなかった)。路上のスッテンコロリン以外で、バナナをこう上手く使った例も知らない。ただ直後に失速、この人は映画監督に根本的に向いてないと知らされる。寝室へ結局豚夫、いやフランキーは引っ張り込まれるが、普通はこれで切る(靴修理中、売春経験ある姉チャンをナンパしながら、ラブホシーンを省くように)。ところが襖がもう1度開き、アヌスセックスがどうのこうのだ、更に見たくもないフランキーヌードが。凡庸な監督がすべてそうであるように、凄くおしゃべりなのだ。基本的に述語描写過剰。観てりゃわかんだよ馬鹿野郎(アン・リ−、是枝裕和が同タイプ)。映像と観客の想像力を、基本的に信じてない(自分が一番頭いいと考えてる)。だから画面で観客にいちいち余計な指図を。当然長くなる(しかも脚本、編集までが自分。気狂いに刃物)。普通はプロデューサーが止めるが、無能な奴なのだろう。けど橋口、1人4役とは肩書きだけはエイゼンシュテイン級。

堪え性のないおしゃべりが、役者の自然な演技力を引き出せようはずがない。ギャラの高そうな個性派が無駄に出演、意味なく通り過ぎる。寺田農や柄本明は何のために登場?幸い彼等は基礎が出来た人々なので、まだ“無意味な存在”になっただけだが、若手は悲惨。裁判シーンなど下手で臭くてマヌケで、観るに耐えない(かつての日本テレビの俗悪番組、『ウイークエンダ−』再現フィルム並)。裁判所の記者クラブも同様。更に演出者は、日本の司法、記者クラブ制度を、固く信じ込んでいるらしい。裁判官席、あるいは既得権大マスコミ視線で終始演出。羨むべき幸せなウスラ馬鹿(周防正行や万田邦敏に比べるほど、俺も失礼じゃないが)。是枝や佐々部清と同じく、入場料をだまし取られないように、今後は絶対に観ない監督リストに。凡人は常に悪がりハッタリかますが、橋口も。採血シーンや壺割りの笑えないギャグ等、赤面して顔を伏せた。木村多江、倍賞美津子、リリーの演技はなかなかだったが、アホ監督を無視してたからじゃ?

 終わったら4時近く。高島屋屋上で昼食にするのが最近の習慣だが(パンとカンビールで)、あそこの地下酒類売り場のババア共が、馬鹿揃いでむかつくので(ロングカンを横倒しにしてビニール袋に入れたり、テープ張るだけでいいかと言ったり。KIOSKかよ。カンビール片手に食品売り場彷徨?)、地元デパートのスズランへ。問題なく購入、屋上へ。クソ暑い所で冷えたカンビールにカレーパン。最高!が、我に戻ると面前に悪夢の建物。去年屈指の愚作『包帯クラブ』の山場で、吐き気に蒸気機関車並の拍車をかけた、高崎市役所の魅力ない高層ビルだ。気分が悪くなり、6階の人気のない食堂街へ退避(人気のないのは本デパート全体だが)。クーラーが効いてるので、『学歴・階級・軍隊』(高田理恵子・中公新書)片手にしばらくすずむ。サンダル姿のお婆さんが、片隅でボー。近所で避暑にきてるのだろう。30分ほどして下りエスカレーターに乗る俺を、まばたきしないで力なく見つめていた。

8月16日…「富岡市民プール」には、帰郷以来15年近く通ってるが、この3〜4年気づいた事。入場券(100円)を眼の前で切らない。使い回している(今日のなどテープで繋いであった)。映画産業全盛期、窓口の従業員は同じ真似をして儲けたと読んだが、ここでもか?単なるバイトが、プール内のロッカー周辺に落ちてる半券をわざわざ拾い、印刷代(公金)の節約してるとは思えない。悪びれた様子はないので、責任者も公認なのか?類した話を、倒産前の「吉野家」でバイトしてた奴から聞いた(ズンジョかヤケジョでも1度書いたが)。例えば本部から牛丼100杯分の原料が配達されると、悪知恵の働く店長は、120杯分も作って余剰利益を懐に入れるのだと(バイトにも分け前を支給する場合も)。確かに“明日はホームラン王だ!”のCMが流れてた末期は、タマネギ丼に近かった。本部でもそれは察知してて、各店を流れ歩く悪質アルバイトの、指名手配書もあったと言うから笑える。そこら、立ち喰いの「ゆで太郎」は偉い。もりそばの量、いつも眼の前で秤で計量。客も従業員も本部も安心。

 山崎邦紀の書評掲載誌、余ってるので後で送りますよ(どうせ捨てるんだし)。本業は集中力を要するほど量がないので、趣味に余生を。特に映画狂いは極まってて、8月は既に14本(映画館11本)。定期の範囲内の小屋が多いせいか、飲み屋に行くよりは経済的(ほとんど外での1人酒をしなくなった。というか時間がない)。一番の原因は「神保町シアター」が出来たせい。廃館になると元の生活に戻るかも。(08.08.16)

下々の者へ(その875)

8月23日…午後、『UNloved』(監督・万田邦敏・’01)を「シネマテークたかさき」に。普段会員の入場料は1200円だが、旧作のためか1000円。先週の『動物、動物たち』も、1時間くらいのドキュメントのせいか、同額(150円の価値もないクズ映画だった。とても同館が上映する水準の作品ではない。何かと抱き合わせで買わされた?)。『接吻』が公開中のための特別上映(日に2回)。午後2時10分からの回、全観客数15名(1階のスクリーン、定員58名)。やぼったい陰気そうな単身女性客多し。1時間57分と、どう考えても15分長いが、『接吻』に負けてない水準。脚本が素晴らしい(万田邦敏・万田珠実)。画面の不必要な重み、主演陣の会話の固さが取れると、黒沢清より面白くなるのでは?にしてもひでえ題名。キャスティングも、『接吻』に比べかなり弱い。

 約1時間後、蕨駅東口の「ブックオフ」3階に。9月6日〜7日の、池袋「古書往来座」での外市に備えなきゃ。本当は大宮駅前店でと思ったが、優良店で知られた同店も最近荒されボロボロの駝鳥。ここも見回すと、“携帯セドラ−”が何と4人も!!(50代、40代、20代2人)カート持参の小汚い野郎まで。文教地区で高級住宅街の多い浦和に接しながらも、“埼玉のスーパー賤民地帯”と呼ばれる蕨、西川口らしいいじましい景色。ただまだ結構いい本あった。文庫は昔から駄目だが、単行本にめっけものが。10册買う(1050円)。重いのであきらめたのも5〜6冊。地元民、坂田明の『笑うかどで逮捕する!』(晶文社’83)が105円棚に。見返しに落書きのようなサインのような…。署名本で売っちゃうか?俺が蕨駅西口の芝園団地4号棟に越す、数年前に出た本。川口の青木町、藤マンションてトコに住んでた頃だ。夏は青木公園内の、国体用プールに良く通った。

 山崎邦紀と言えば、9月12日に「気流舎」っていかれた代沢の古本屋である、南陀楼綾繁と高崎俊夫のトークショー、「映画本に憑かれて」に奴と一緒に参加予定。入場料800円。ヴィレッジプレスの『ぐるり』編集部まで要予約(03ー3928ー7699)。山崎、数日前まで老人ポルノを撮ってたらしい。60歳の極貧監督にピッタリコンの素材。で、高崎さんて善良って言うか、優しそうなオッサンだし(宴会でゲロ掃除するタイプかまでは不明)、あんまし一番聞きたい、業界人の悪口を披露しそうにないが、そこらは豚夫、いや南陀楼センセイのテクニックだろう。けど定員15名って、居酒屋でやった方がいいんじゃ?(そこをあえて古本屋でという所が、南陀楼スタイルなんだろう)。

8月24日…豪雨の中、カッパ姿で朝8時から堤防の草刈り(9時半終了)。俺の住む地区だけ年に3回も(他は1回)。3回やると市から援助金が出るからと。さすがは昔、あそこにだけは娘を嫁にやるなとの伝説を残した村。そこらは既に悟ってるが、最近どうも進行が間抜け。今日など、休憩が終わった後でペットボトルのお茶が届く。そりゃそう。恒例の事なのに、休む直前にノロノロ車で買いに行くんだもの。草刈り機や鎌を片手に仕事始めた人に、お茶渡してどうせいゆうの?再び無意味でだらけた休憩。前々回は刈った草を片付ける、熊手が用意してなくて、俺が自宅から持参。前回はせっかく用意した熊手を、お茶買いに行った車に、全部乗っけてってその間使えず。そして今回。次回が楽しみ(尚、草刈りは雨の方が、鎌も切れるし疲れないので楽)。

 似たような場当たり主義を確か…。そうか、昨日読んでた『地獄の日本兵 ニューギニア戦線の真相』(飯田進・新潮新書)における、大本営の戦争計画だよ。本当に単なる思い付きで(数字的裏付けゼロ)、何万もの兵隊をジャングルの中、食料もロクに持たせず数百キロも歩かせるんだもん、死ぬし仲間も殺すし、終いにゃ同胞の死体も喰うよ。ただ東京の清潔な本部で、紙上指揮を取る連中は気持ちいいだろうね。「あっちに転進!今度はこっちだ!!」。夜になりゃ軍需産業関係者の豪華酒色の接待、家に帰れば愛しい家族(途中に妾)。ミミズや人肉喰ってる兵の地獄など、「関係ねえ!!」。今日のNHK教育テレビ、午後10時からの『ETV特集』に著者登場と。

 『赤旗』は盛んに同シリーズを誉める。確かに〈NHKとしては〉頑張ってるが、数十年前の歴史的事実だからの奮起。歴史的事実は、現在をも同時に告発しなければ無意味(その先に未来)。つまり、いくら朝日が『新聞と戦争』で自社の過去の罪状を明らかにしようが、そこまでは出来っこないNHKが、世界的常識を今さらおさらいしようが、洞爺湖サミットにおける、日本のロシア並の警察国家振りを追求出来ない両者は、常に出し忘れた証文で“回想の真相”に涙する、良心的負け犬に過ぎない(泥棒が逃げた後でしか吠えない馬鹿犬)。客観的実相は、小林よしのりで大儲けしている小学館が、井上ひさしの少部数の戯曲集出して、表面的に左右のバランスを繕うに等しい。

 そういや俺の富岡高校時代の校長だった藤生宣明は(1〜2年時代)、同校名物の夜間歩行が大好きで、病気の者までしつこく参加させたがった。同校長の武装ナチ親衛隊とも言うべき、おなじみの低能ゲス血まみれテロリンチ教師の頭目で、ハンドボール部顧問の小林進(本名。今も市内七日市在住。群馬県教育功労者)、古典担当のマザコン小心者密告教師、三木十一(当時、吉井町在住)他を使い、ずる休み組自宅にガサ入れしたりも(一体どういう法的根拠が?)。停学者数人。俺?1回ずる休みで、1回出たような(記憶実にあいまい)。藤生校長は、群馬県教育界極右派のドンであると同時に、瀬島龍三気分だったのだろう。そうだ。藤生の配下には、網中、黒岩なんて、救い難い人格のドチンピラ教師まがい物件も。ゴロツキやくざ真っ青だったくせに、今は俺達の税金で安寧な老後を送る、群馬県教育界のゲロゴミ連中のエセ教師人生の軌跡追求を、老後の唯一の趣味にしようかな。こういう納税者からの、告発的自費出版物があっても無論いい。特に小林進よ、俺はあんたの極道まがい教師人生を、忠実に記録するよ。特に礼はは要らない。当時弾圧された元左翼教師も含め、同業者はヘラヘラ手打ち済みだろうしな。そういう偽善が許せない!!

8月25日…「津つ井」最新情報。既に営業してないが、白い割烹着のおばちゃんたちが、テーブルや椅子をを拭いたり片付けているのが、午後2時半頃に玄関から見えた。ここの味が俺の趣味に合わないのは、関西風でぴりっとしないから。塩分過剰の東北人にも合わないと考えがちだが…。32年前、遠山企画入社直後、事務所があった神田小川町から靖国通りを渡った、古本屋「源喜堂」付近にあった洋食屋、「資生堂」がこういう味だった。60過ぎた遠山老人に時々奢ってもらったが、焦茶色の年寄り向けオーバーを煮付けたような味が、先日「津つ井」のランチ喰ってて、数十年ぶりに甦った。“格差世襲”特集の今週の『週刊ダイヤモンド』、面白い(創価学会特集もまたやれ。ミスを恐れるな)。(08.8.24)

下々の者へ(その876)

 昨今の各版元PR誌の情況。伝統ある『波』は、久しく1本も読むトコなし。『青春と読書』も(誌名は覚えてないが、角川書店、徳間書店、毎日新聞、小学館のも同様。特に角川の紙資源の無駄使いは眼に余る)。『本』は原武史、『未来』は渡辺武信、『本が好き!』は松尾スズキのみ。タダだからまあ1本でも読めればいいや、か。『ちくま』や『月刊百科』は、著者を特定出来ないが、1〜2本は読めるモノが。『図書』は隔月くらいで前記2誌状態に。『本の時間』は、久しく底辺のPR誌として名をはせたが、こんな日が来るとは…。小林信彦と吉行和子の連載は充実してるだけでなく、ボリュームあるのがうれしい。9月号では岡崎武志が、プロは退屈な本でも誉める振りを装い、こう本音も匂わせるのだとの見本のような原稿を(素材は池谷伊佐夫の『古本蟲がゆく』)。トップは『一冊の本』で、相変わらずの独走状態。いつも読むレギュラーの上野昂志、小谷野敦、寺島靖国、金井美恵子に加え、9月号は野見山暁治まで。原稿料枠がこんだけありゃ、面白くなって当然てな見方も出来るが、角川の電話帳みたいなゴミ束見ると、決してそうじゃないと。ただ映画関係は、昔、芝山幹郎、今、藤崎康と、四方田犬彦よりはマシなだけのセンスの悪さ。中核派系書評紙『図書新聞』あたりでくすぶってる、高崎俊夫あたりの方がまだましじゃ?(ヨイショ!)で、『図書新聞』、革マル派系版元、あかね図書の本もちゃんと紹介してるのな。数少ない広告主だから当然との見方も出来るが、要は“商売は思想を超える”という事。創価学会はそこら昔から徹底。従来の左翼系団体のように思想を上に置くと、日本じゃなかなか生き残れない。本質的な意味での、“営業左翼”の出現が待たれるのかも(『話の特集』の矢崎泰久は無関係)。

8月31日…『記録』(アストラ)は、“日本一高い”上信電車の運賃並の値段で知られる生意気なミニコミだが、遂に今月末発行分でネット配信に移行。今俺は「奇書発掘」なる書評もどきを連載してるが、荻編集長に新企画をと。雑誌評論、書店評論等をふと考えたが、これって対象が廃刊ないし廃業したら説得力なくなり、余計に本にしてもらえなそう。映画だと余りに安易だし。こう見ると50半ばになるのに、俺の引き出しも貧しい(人物論には少し興味)。編集部の真理アンヌ(70年代限定)似の美人妻、奥津さんが病気でしばらく休職というのも、執筆意欲を大いになくす。かなりの美女がもひとりいるが、野郎コンビ、大畑&宮崎との脂ぎった交接、いや接触が増えそうで気色悪い。

 結局起きられず。昨日から「シネマテークたかさき」が『歩いても 歩いても』を上映、超下らないと99%わかってるが、是枝裕和“スーパーアイドル”監督が舞台挨拶に来館と言うので(真田広之気取りのブロマイドが、麗々しく同館通信に。憂いを帯びたカメラ眼線といい、容姿に自信タップリなのだな。「キモイから止めろ!」と言ってくれる友人は居そうにない相)、話のネタにと考えてたが…。『芥川龍之介』(小島政二郎・講談社文芸文庫)の残りでも片付けてから、午後の予定を立てよう。

2時過ぎの上信電車で上京、いや上高(崎)。その間、『不許可写真』(草森神一・文春新書)を8割方読み、「シネマテークたかさき」に割と近い、店名失念の個人経営の喫茶店で読了。同人の本としては説教臭さもなく、エラソ−さも少ないしで、気分害せずに読めた。日本軍の残虐行為写真が、不自然に小さく扱われてたのが不満だが、文春新書としては、担当編集者の奮張りがビシビシビシ。で、『純喫茶磯辺』(監督・吉田恵輔)、2階に入ってビックリ。午後4時10分からの回、何と40名以上が!!(定員64名)しかも確か2週目。期待がおのずと高まる(同作への予備知識ゼロ)。

 佳作でした。出足がまずいいし(土方の脱力系朝礼)、離婚した元女房も含めた親子3人の、ファミレスでのオーダーの下りで爆笑!(「アナゴメシ、アナゴメシ、アナゴメシ」の場面。本当は「アナゴメシ3人前!」だろうが、嘘でもおかしいからいい)。途中だれたりするが、ヒロイン、仲里依紗にいびきかかせたり、脚の臭い嗅がせたりする趣味の高級さに感服。仲よ、今後少しくらい売れても、君の出立を築いた、こういう芸術的表現を嫌がったりしちゃいかん。尻軽女、麻生久美子の雑な扱いも説得力あり。原作・脚本も担当の監督に将来性をヒシヒシ(少なくとも三木聡の300倍くらいは)。そういやここで観た、『キャッチボール屋』の大崎章監督、類したセンスの良さを感じたが、新作の噂を聞かない。俺が知らないだけならいいが…。

 帰りの上信線では『アイヴァンホ−(下)』(スコット・岩波文庫)を。未知の英雄登場の下りが、『清水次郎長』(小島政ニ郎)に似てると思ったが、こっちの方が古いんだよな。それより問題は、今日午後の或る音楽の記憶。『純喫茶〜』の主題歌、「男の滑走路」(横山明)もかなりだが、1度聴いただけなのに、もっと凄くて耳から離れない曲が。500円DVDで上高(方言)直前に観た、『ならず者』のテーマ音楽だ。ヴィクター・ヤングのそれは、例によってかなり感傷的だが、ホロッとなる直前に、急にメロディは必ず、トロンボーンによると思われる、ギャグ後の通俗的表現、つまり“ホワホワホワ”となり、「何のためのヴィクター・ヤング起用?」と(ブレヒトの異化効果導入?)。ジェーン・ラッセルの巨乳映画と思いきや、拳銃使い3人のホモ映画で、SM残酷シーンもバッチリの上、馬と女とを同列視したりの差別味も強烈で、含蓄の深過ぎる1作。全体的なバランスの悪さから来る、場面ごとの奇怪さはひとしおで、石井輝男、鈴木則文ファンは必見。いつかもっと本作を詳しく論じたい。映画音楽の記憶に悩まされたのは(いい意味で)、メキシコ時代のブニュエルの傑作、『嵐が丘』以来。(08.8.30)

下々の者へ(その877)

  池袋「古書往来座」の、外市終了後の楽しい宴会(「世界の山ちゃん」)も無事済ませ(武闘派、武藤良子の襲撃を、多分苦手であろうと推測した、田中ピッポを盾にして無事回避。だてに歳を喰っちゃいねえ。売上げもまあまあ)、12時過ぎにヨタヨタ事務所にたどり着くと、お隣の『実話時報』編集部から明りが漏れている。追い込み仕事なのだろう。御苦労様。下請けエロ漫画編集業30余年、日曜日の夜なべ仕事なんて、1度もした経験がない。自業自得のお気楽編集者人生の末期。今や休日出勤したくても、そもそもする仕事がない。でも今朝は、宴会翌日らしく早起きし、7時から漫画原稿のエロシーン修整を2本済ませ、屋上に毛布も干す。高層ビルに囲まれた、このボロビルから回りを見渡す度に、1972年の春に上京して住み込んだ、目黒区東山2町目、山手通り沿いにあった、「熊沢牛乳店」屋上でも同じ事をしてたなと。今見えるのは「ホテルグランドパレス」や光人社ビル、東京レジデンスだが、あそこからは、ソニーPCL、上目黒アパートメント、少し遠くに東急修学旅行会館が(本当はこの建物は見えない位置だったが、3物件出さないと語呂が悪いので)。目黒川近辺、一変してるだろう。

 向かって左隣が、個性的な名字の蒲団屋さん。店頭で配達後、森永ホモ牛乳のビンをガチャガチャ整理してると、やせて小柄な20歳代の男が付近をウロウロ。たまに500CC入りのパックを買う事も。ただ陰気というか、妙なムードの男なのだ(今考えると、「古書往来座」の瀬戸店長ソックリ)。そもそもこちらをロクに見もせず、視線は隣家の2階に据えられたまま。四谷の八百屋の娘さんで、気柄のいい牛乳屋の奥さんに尋ねる(家族と従業員に全く同じモノを食べさせた)。「あの人にも困ったものなのよ。お隣の娘さん美人でしょ。勝手に惚れちゃってね。ああやって娘さんが出て来るの待ってるの。娘さん、気持ち悪がって最近は裏口から出入りしてるみたい」「警察に頼むとか…」「とっくにやってんのよ。けど暴力振るう訳じゃないから、どうにもならないんだって。調べて田舎の親にも言ったらしいけど、もう子供じゃないし、手の打ちようがないんだって。ウチにはお客さんだけどねえ…」週に何度かは必ず立ち尽くしてたこの青年を、後に映画『去年マリエンバードで』を観た際に、わずかの同情を伴い、懐かしく思い出した(女性の抱いた深い不気味さまでには、思いがはせられなかった)。ストーカーなんて言葉のない時代の話だが、この種の男はいつの時代にも必ず存在する。君子危うきに近寄らず。

 自分のミニコミの200部増刷にはしゃぎまくる、西日暮里の眼付きの悪いパンダ(モクロー種)にガツンと一発左ストレートパンチをと、高田馬場のジャイアントパンダ(セドロー種)に頼まれたが、そもそも知人の悪口を書くのは趣味じゃないし、放っといても“第2のトートバック”と化すのは自明だと、今の所は優しく見守る事に。

9月11日…明日は南陀楼綾繁と高崎俊夫のトークショーが、「気流舎」なる下北沢のイカれた本屋で。場所確認をとHPを見ると、地図(略図)がない。下らねえすかした御託なんざ要らねえのに、若いモンはこれだからしょうがねえ。山崎邦紀(60歳・ホモ映画監督)も、無事に到達出来るのか?

 田舎の頭の悪い貧乏人が東京へ出るには、その日から衣食住が保証される、住み込みの新聞屋か牛乳屋が頼りだったのに、後者ははほぼ消滅。明大夜間部も数年前に廃止になるし、今の下層は苦学するチャンスさえない。確実に退歩する日本。コンビニの前で、カップラーメンかっこんでる、日焼けした自転車の配達便屋さんを見ると、昔の自分を見る思いが。ただ牛乳配達、俺は一応原付で。高校時代まで1度も乗った事なかったのに、免許のみ富岡警察署で上京直前に取得。「熊沢牛乳店」裏手、国土地理院手前の公務員住宅で特訓、数日後から青葉台地区メインに配達開始。若いって〜素晴らしい〜♪

 今でも拙宅はパックよりうまい、高めのビン牛乳を。下仁田牛乳(昔の下仁田酪農牛乳か?)ってトコで、車で1日置きに配達。週末は好物のコーヒー牛乳も。これのみ数年前からパックに(ビン生産中止のため)。実にまずいが、惰性と便秘対策で。初老になると、全身が乾く感じしません?尚、空きビンは必ず水洗いを。何本も溜め底を黄色く腐敗させたり、灰皿代わりにしては、シケモク何本も突っ込んで出す糞お得意様、結構いたんだよ。(08.9.8)

下々の者へ(その878)

 昨夜の高崎俊夫&南陀楼綾繁のトークショー、会場の「気流舎」(下北沢)に江戸川橋での下版終了後に、やっと9時頃たどり着いたら終了直後。そのまま打ち上げに。老若男女を問わない、貧乏そうな映画マニアの実態に触れ、興味深かった(俺様は別棚)。万田邦敏や渡辺文樹を若い姉チャンらと、山本薩夫と豊田四郎を初老白髪男共と語る。文樹映画体験者に(女性)、「あの方は、上映も御自分でなすってますから、捕まったままだと来週の上映会は…」と聞き、ガックリ。けどこれ、戦前の予防検束そのもの(皇族移動の際に特に露骨に実施)。ビラ配りも、整然たるデモも、大学構内での集会でも、映画の宣伝でも即逮捕!!(裁判所は警察の便所スリッパ)山薩の怪作、『武器なき闘い』そのもの。裏金汚職警察が仕切る、とんだ“管理民主国家もどき日本”になりつつあるが、厳戒下、あのポスターを都内に100枚も貼るとは大したモノ(俺は神保町「悠久堂」前、東京駅の「八重洲ブックセンター」前で目撃)。

 身を挺して日本も民主国家だと実践した彼には、成熟した国家なら勲章を授け、土人国家は鉄格子で囲む。『靖国』であんだけ騒いだ映画人も沈黙。外人じゃなく、せっかく自国人が踏み込んだのに。「新文芸坐」か「シネマテークたかさき」あたりで、是非やって欲しいが…。

 放り出したままだった、アストラの単行本原稿の直しを今朝少し。スピードアップしないとな。書店関係者の話じゃ、同社の美人営業ウーマンが、既に年内発行予定で、注文を取り始めてるらしいし。マジメにやるかな、健さんに意見される前に。そういや昨夜のトークショー参加費(800円)、山崎邦紀に先に払ってもらったまま、返すの忘れた。いいや、このままバックレよう。貧乏人がより下の貧乏人をいじめる快楽。そういや昨日は、『寄宿生テルレスの混乱』(ムージル・光文社文庫)を読んだ。(08.9.13)

下々の者へ(その879)

 初年兵は中国戦線において、“皇国の日本男児として度胸を付けるため”に、よく銃剣で身動き出来ない中国人捕虜を、皆の前で突き殺す命令を受けたと(やむを得ずやった…との“落ち”も)。そういう話を子供の頃(60年代前半)、“知ってる奴がよっく言ってたんだけんども…”との、わざとらしい上州弁の前説(弁明)付きで、北関東の貧村の方々でで腐るほど聞いた。辞任必然の保岡興治法相が、3人もの死刑執行を断行し、“鳩山家の首切り朝”こと、鳩山邦夫に続く終生の“殺し屋一族の名誉”を引き受けたのも、同一の精神構造だろう。法務“事務的人殺し”省バンバンザイ!!!(公務員が税金で、公然と人を殺す事の醜悪さに、過半数以上の人々が賛成する日本国民にもバンザイ追加)

9月14日…『きみの友だち』(監督・広木隆一)。午後1時からの回、全観客数13名(「シネマテークたかさき」の2階、定員64名)。最初の20分、つまり女の子2人の小学生時代は非常にいい。特に字幕が出るまでの、撮影、それより何より、編集センスの切れは抜群(緩急が凄く効いている)。けど残りの100分の苦痛たるや…。過俗な原作のせいとはいえ(推測)、串だんごみたいな無芸な脚本(斉藤ひろし)で、広木もよく撮る気になったと。ピンク出身の監督は、小器用だが貧乏臭くて、うす汚ない感じの作品撮る人が多いが(“南会津のタルコフスキー”こと、山崎邦紀はそれ以前だが)、広木は数少ない例外と思ってたのに。駄目だよ、こんな糞脚本に妥協してちゃ。成長後のびっこの姉チャンは、そもそも台詞がほとんど聞き取れない大根。俯瞰的視点がクルクル変わる、泣かせ至上主義の場当たり的無責任脚本に、客は疲れてシートで即死状態(125分!!)。

 今日2本目の『イースタン・プロミス』(クローネンバーグ)は、午後3時30分から。全観客数12名(2階同)。他の監督ならともかく、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の人が、この程度のモン仕上げてもな。ガックリ。ナオミ・ワッツって、監督(作家)至上主義の完璧な破壊者?本作で同館の会員証が、今年3册目に(1冊で10本)。帰りの上信線で『眼の引越し』(青山二郎・中公文庫)。少なくとも、小林秀雄よりははるかに面白い(梅原龍三郎への評価は、とうてい理解出来ないが)。

 9月15日…古本屋にも映画にも出かけず、アストラの単行本原稿の大幅加筆修正作業(2000年初頭の連載のため、仕方がない)。元気で登場する、刹那やパンチョス石綿に、××年に死去と書き入れるのは、悲しいというより、傲慢な気分になる。途中、『徳川セックス禁止令 色情大名』を、DVDで再見しただけで仕事に励んだのに、まだたった4分の1。やっと調子は出てきたので、案外と後半は早いかも。再構成は『記録』の連載仲間、斎藤典雄の「サイテイ車掌の JR日記」単行本化の際の担当者、荻編集長に頼んだが、やっぱりなかなか上手(無論おせじ込み)。けど年内刊行はやっぱ…?終章に「断末魔の下請け編集者赤裸々銭金日記」を、40〜50枚新たに書き加えたいと。95〜96年が漫画屋の経済的絶頂期のはず。当時の通帳も残してあるので、今との月々の収入の落差と生活振りを具体的に記したら(振り込み額、当時の3分の1)、部外者にはかなり楽しめるはず。

 そういや、高崎俊夫のトークショーで一緒になった、『〈盗作〉の文学史』(新曜社)の著者、栗原裕一郎、昭和30〜40年代の、正統派2枚目風なのでむかつく(一見、ハゲかかった加藤剛。声も良し)。数多く出た書評の割に注文は少なく、決まった増刷の部数もわずかで、執筆依頼も皆無と謙遜してたが、あの外見ならすぐ売れっ子。少々売れ、いくら若い女房をもらっても、小谷野敦みたいにキモイ顔なら腹も立たないがな。その点相変わらず可愛いのが南陀楼綾繁。腹はすっかり布袋様で、顔の脂身もギラギラ増す一方。あの出腹では、駅のトイレで自分の粗チンも見えないだろう。シャツの前部分も、ボタンが宙に飛びかねない弧を描いてたが、一昔前の杉作J太郎は必ず1〜2個、腹部のボタンを紛失していた。

 忘れる所だった。いがらしの旦那、アストラの本で帯の文を頼むかも知れないので、そん時はヨロピク!!(『続・出版業界最底辺日記』の解説を思ったが、出そうもないので)。イラストも欲しいかな。原稿料?タダって事はないと思うけど…。 (08.9.14)

下々の者へ(その880)

『記録』に連載中は「エロ漫画で喰う」だったけど、今は既に喰えてない職種だし、もっと芸のある、「エロ漫画の全盛時代」的な意味合いの書名を考える必要が。ま、こりゃ版元のお仕事。さっきまでやっぱり加筆修正作業を。本業界編集者経由の文化人一覧に、亀和田武、高取英、大塚英志と並び、なぜか山崎邦紀が。悪口だけじゃオモロないので、“ピンク映画界のデビッド・リンチ”と呼ぶ声も等、いいかげんで適当な書き加え(高取のトコにも当然、京都精華大学教授様と)。その後に続く、思い出の女性アルバイト一覧も結構いけるかと(素直に自分で言うのさ)。1人だけ、自分で書いたのに顔が思い出せないコが。初老ボケ恐るべし。

『イースタン・プロミス』、もちろん凡作とは言わないが、画面がたるんでませんでした?音楽も間抜けだったし。それ以前に平凡すぎる脚本。変態監督が演出中に気付き、途中で投げ出した感じが(安倍や福田と同一視?)。『ヒストリー〜』は、まだ学生だった上の娘と「東劇」で。ガラガラだったが、完全に打ちのめされた(無理して買ったパンフは、豪華なだけで中身がなかった。というか字が小さ過ぎて、未読)。「シネパトス」の反対側のビアホールで2人で飲んだ生ビールが、珍らしくうまかった(ビンビール派の俺はめったに生は。“映画効果”だったと。けど娘とじゃなく、愛人とは一体いつになったら?)。明日は高崎に『リボルバー』でも観に行くかな。

 今日も愚妻が留守なので、自転車で30分かけて「富岡スイミングスクール」へ。名物、“ストーカーエロ爺さん”がここんとこ姿を見せない。清々する一方、一抹の寂しさも。もし本欄を読んでたら、1ヵ月に1回は許すので、是非眼の覚めるような老残を運んでおくれやす。ここも、会員は減る一方。だが理事長の岩井賢太郎富岡市長は、土建屋と福祉屋、つまり2大公共事業で大儲けしてるので、屁のカッパピア(プール経営も昔から選挙対策の一環。カッパピアは群馬県人なら即理解)。そういえば去年の台風被害で、一躍富岡市を全国区にした、忠霊塔がある一峰山の崖崩れの復旧超大工事も(オーバーな事業な気も)、予想通り岩井建設。台風様様様か?明日の予想される豪雨も心配。土建屋が儲からないよう願う。

 この山の裏手には、今はどうか知らないが、自衛隊が払い下げた初期ジェット戦闘機、F86が飾られていた。俺が入学した年(69年)、上信線を隔てた所にある、富岡高校の反戦高共メンバーが、同機にハデな落書きを(何しろ、ドキュメント『圧殺の森』で知られる、高崎経済大学も比較的近い。同大は中核派の拠点。北海道出身の貧乏人の巣窟)。文面は忘れたが、ベトナム反戦関係だったような。同校校舎は当時と比べ一変してるが、懐かしの旧校舎の姿を最近。新刊、『陸軍中野学校の真実』(斎藤充功・角川文庫)の、229ページだ(中野学校は1945年4月から8月の敗戦まで、富高に移転していた)。旧校舎は木造2階建てだったが、中央部分のみ3階で塔状に。ただ俺が入学した時、既にそこヘの階段はベニヤ板で閉鎖されていた。反戦高共によるロックアウトを、当時の藤生宣明校長らが恐れたのだ。先の写真は、その前の庭で将来のスパイが2人、肩を並べているもの。例のテロリンチ低能ゴロツキ教師、小林進(本名・当時のハンドボール部顧問・後に暴力の功績で校長にまで出世し、最近〈群馬県教育功労者〉にも)が、罪なき生徒を血の海に沈めてた頃は、既にボッロボロだったが、枯れた威厳があった。69年には、富高が高校総体のハンドボール会場に。これまた面白いエピソードが腐るほどあるが、いつかまた。

 結局、今日(21日)は一歩も出かけずに、例のお仕事。業界の筆頭出世頭として、いがらしの旦那も登場(書いたの忘れてた)。帯の件もあるので、悪口少し削っとくか?市内の「エーツー」で100円だった、ヒッチコックの『舞台恐怖症』のDVDを20年振り位に再見後、再び仕事。永山薫にまた校閲してもらった方が、無難か(チャリンと小銭出して…)。明後日には終わりそうだが、渡す前にもう1度眼を通さないとな。全ページ真っ赤かだし、大畑“裏声”太郎センセが嫌な顔するな、きっと。

 いつもは退屈な退屈男のブログが、珍しくまともな主張を。「田村書店」店頭にのみ、アーケードを設置せよとの一件。昨今類を見ない勇気ある究極の正論で、一切の異議はない(古本好きの200%が賛成必至)。無理なら、人気のない「一誠堂」と、店頭部分のみスワッピングするとか、「長嶋書店」のように軒下にビニール屋根付けるとか、いくらでも方法はあるよ。まあ、要は店主の趣味。この際だ、退屈男よ田村の社長にそう直言してこいよ。店頭の100円箱から1冊取り出し、1万円冊ヒラヒラ片手に奥の帳場に押し掛けて。何お前の骨は、ライブで高いびきかく度胸のある、西日暮里のドラえもんだかパンダだがかが拾ってくれる(保証は出来ないが)。けどその楽団関係者も忍耐強い。普通はその種の騒音元は、スパナで血まみれにされて当然。もっとも隣に有名な鬼妻がいるとなると、例え俺が楽団マネージャーでも、「本当に心がいやされる、おいたわしいおいびきでございますねえ」位のおべんちゃらは、恐怖の余り吐こうが。(08.9.20)

下々の者へ(その881)

 室内温度21度。さすがに半袖のポロシャツじゃあ、鼻水ポローリ。夕食後、長袖のシャツを引っ掛ける。北関東はこんなあんばいですが、東北の仙台あたりじゃ豪雪で、かまくらの中のホッペの赤い子供らが、もち焼いて喰ったり、お医者さんごっこしたり、明日は鍋にされる予定の放し飼いの赤犬が、外でキャンキャン吠えてたり…。いいなあ、素朴で野蛮で極貧の東北の雪深き僻地は。俺んちの庭でも、前の実家の80過ぎでヨイヨイに近い父ちゃんが、汚れた手ぬぐいでほっかむり、収穫した豆(百姓の長男なのに名前も知らずに、手伝いもしない薄情者)を震える手で摘んでは、籠に分けている。まるで萩原恭次郎の晩年の詩集、『もうろくずきん』の世界だ(客観的になってる場合?)。

 『Mate』の読者欄、「ヤケクソジョッキー」書きのため、例の本の加筆修正が進まない。けどいがらし旦那とも、洋食の味覚、映画といちいち好みが違い、非常にいい感じ。チンポの毛が生え揃わない、小便よだれガキのうちだけっすよ。「お前とはやっぱ趣味がピッタリ合うなあ!」なんつって喜んでるのは。何事も同レベルの奴と付き合ってちゃ、進歩しませんて(まだ低レベルの糞馬鹿との方が、見聞と話題を広めてくれる)。ヤケジョ、やっとこさ約半分の300行(16字詰め)。今夜中にもう150行アップ、明日の午前中に残りもな(全部で665行)。もし午後「シネマテークたかさき」に行くと、単行本の仕事が出来なくなるが…。今号から待望の、“変態淫乱汚マンコマゾ女界のエース”、生汁女史の挿入体験穴具合即描写コラムも、果敢に復活してますだ。

 昨夜の「神保町シアター」の『からみ合い』(監督・小林正樹・’62にんじんくらぶ)、108分もあるのにとろいの何の…。新東宝時代末期の、渡辺宙明や平岡精二に比べればはるかに質は落ちるが、武満徹のジャズ風音楽が一応軽快だから、余計にイライライラ。はったりだけで退屈な監督だが、昔からなのだな(戸田重昌の美術とは、そういう意味でフィット)。高度経済成長時代は、大鑑巨砲主義というか、戦艦大和や武蔵みたいなこういう大味な監督が、大衆にもインテリにも受けたのだ(画面の役者も、無理矢理西洋人風に描写されるのも特徴。秘したる、恥じ入るべき皇民の南アフリカ志向)。見所は平幹二郎と蜷川幸雄のチンピラ振りだけ。素材から言って、“反共俊英監督の切札”、市川崑監督なら傑作間違いなし。10分程度、フィルム事故で上映が中断、終わると9時53分くらい。東京駅発、9時16分の「たにがわ475号」高崎行きに間に合うか心配だったが、幸いにも余裕で。 (08.9.27)

下々の者へ(その882)

 日本の“女アンゲロプロス”になったつもりか、井口奈己監督?137分もある『人のセックスを笑うな』を今日「早稲田松竹」で観て、朝からグッタリコンコン。佳作『犬猫』を川本三郎他に分不相応にほめられ、モロ舞い上がっちゃったんだな。これまた分不相応な製作費もらった上、暴走を止められない無能プロデユーサーの加勢で、『七人の侍』並に台詞が全く聞き取れない、同時に同作のようには見所は一切ない、“自然ぶった長いだけの超不自然映画”が出来ちゃったって訳。早稲田青空古本市に脚を伸ばす気力も失せ、すごすごと地下鉄東西線で大手町。歩いて東京駅八重洲地下街へ。「R・S・Books]の新刊特価コーナーを覗く。『頗る非常!』(前川公美夫編・新潮社・本体2200円)が1400円、『小銭をかぞえる』(西村賢太・文藝春秋・本体1571円)が1000円。青空古本市、行かなくて正解だったか?オーサンキュー、テオ・井口奈己監督!!

“ 中卒”が売りの西村の小説を、初めて帰りに半分ほど(南陀楼綾繁の悪影響)。所かまわぬ野糞が売りの車谷長吉も、東大卒女房へののろけがくどくなる一方なので、いいあんばいの登場か?誌名は忘れたが、80年代半ば頃に無数に出ていた、白夜書房のエログラフ誌の一誌の中に、“中卒マガジン”てコーナーが。具体的内用も忘れたが、面白いので愛読していた。エロ系実話誌、エロ劇画誌、エログラフ誌。次は何が死語に?

 前橋に「朔詩舎」なるフランス料理屋があるらしい。是非1度行ってみたい。料理にじゃなく、経営者親子の人格に深い興味が。「シネマテークたかさき」にあった『クラブスワン』なる同レストラン宣伝パンフに、スワン(経営母体らしい)社長・萩原康充の氏名不詳の息子は、1988年頃池袋でキャンパスライフを送っていたと述べた後、こう書く。“萩原朔太郎は当時、まだ埋もれた詩人であった。明治に生まれ昭和まで生きた間近な人だからまだ評価も定まらず、多くの人は朔太郎という名前すら知らなかったと言う。「前橋文学館」も無く、初版作品や原稿は保持されておらず、系統だった研究書物も少なかった”。

 “多くの人は名前すら知らなかった”方、「朔詩舎」オープンと同じ1988年に出た、『増補改訂 新潮日本文学辞典』で、堂々3ページ以上(何と合計336行)にも渡って触れられてますが?(ちなみに村上春樹はわずか17行)。全集も小学館、創元社、新潮社、筑摩書房(俺もこれは所有)と4種類も。ひょっとして、全く別のの萩原朔太郎がいるのかな、しかも前橋付近に?前出の辞典で担当執筆者の伊藤整は書く。“この前後から(塩の字注・昭和10年頃)、朔太郎は近代の日本の詩を代表するような大詩人であるとの認識が後進の詩人たちの間にもたれるようになり、一〇年には堀辰雄の創刊した詩の雑誌「四季」に中心的な存在として迎えられ…(中略)。また同郷の詩人としては萩原恭次郎、伊藤信吉らと親しく、十三年前橋市立川町新昇ホールで、「上毛新聞」主催の萩原朔太郎歓迎会が二月十六日に開かれた”(995ページ)。「朔詩舎」は前橋市岩神町4ー15ー5(敷島公園入口)と。その“虚実皮膜の味”はこの舌で必ずや(レポートを待て!!)。ただ途中のガタピシ上信電車の中で、思わずつぶやきそう。“火焔は平野を明るくせり まだ上州の「朔詩舎」は見えずや”。「シネマテークたかさき」も、余りいいかげんな物は置かない方がいい。国辱ならぬ県辱。

10月5日…「シネマテークたかさき」、『東南角部屋二階の女』(監督・池田千尋)、2日目午後2時30分からの回へ。全観客21名(定員58名)。『人のセックス〜』は、素人でも100分は安心してカット可能。120分もある本作品も30分はと思ったら、104分しかねえ(終了後、チラシで確認)。信じられないダラダラ思わせ振り感。無論、池田監督は、少なくとも井口奈己よりは数段まともだが、大石三知子のくだらねえ脚本、まんま映像化されても…。85分なら傑作かも。役者、撮影に助けられてるが、次回作あたりで超長尺の愚作撮って、見放される可能性も。帰りの上信線で、『ジョゼフ・フーシェ』(ツワイク・岩波文庫’79)。ツワイクの書が退屈なはずないが、本文庫の字の小ささと言ったら…。老眼者には1度に30ページが限界。内ゲバサイケな70年代のように、傍若無人な一気読みを是非したいのだが…。

 長いあいだ旅に出ていない。金が無いというより、面倒なんだな。『エロ漫画の黄金時代』(仮題・年末にアストラより刊行予定)、巻末の特別版「嫌われ者の記」を、18枚までアップ(400字で)。ここまで書いていいのって感じだが、もうどうでもいいよ、本業界の事は(ヤケクソ!)。50枚までは行くな。各版元関係者、俺様の舌鋒を抑制しようとのワイロ、出すなら今が最後のチャンス。前書きに途中から移らないと、構成上まずいかも。一切どうでもいいらしいのだが、やはりな。 (08.10.4)

下々の者へ(その883)

 その山崎邦紀から昨日電話。「君、筑摩書房の幹部に知り合いいない?」「いねえよ。俺の文庫担当した奴なんざ、どう見ても“初期裏ビデ男優”だし、いかれた本ばっか出してたから(杉作J太郎、藤木TDC他)、もう首んなってるかも」「何か頼りないなあ。実は今度、鳥取県で尾崎翠のシンポジウムがあってね。著名人も参加してくれるらしんだけど、例によって資金不足でね。あそこ尾崎の本出してるし、協賛金少しでもと思って…」「120%無理。倒産後のあそこは、俺の本出すくらいだから、志は昔と同じで高いけど、お金は相当シビア。著者への自社本販売だって定価の8掛け。尾崎みたいな“志”部分で出してる作家に、余分な銭出すはずねって」「そうかなあ…。一応、その元裏ビデ男優の方に…」「違うって!」「駄目元でいいから、聞いてもらえる?」「いいけど、淡い期待は一切いだかないでな」「わかってるよ」当然、予想通りの結果だったけど(幸い例の方はまだ首になっておらず)、やっぱり“南会津のタルコフスキー ”、声がモロ脱力。今時その手に金出すのは、一代でビル建てたパチンコ屋、あるいは居酒屋チェーンを展開した、中卒(ないし定時制高校卒)の独裁俺様社長くれだって。尾崎をめぐっては、地元ブンカ人の間で、血で血を洗う派閥抗争もあると。退屈なシンポジウムより、そっちの方がよほど興味深い。

 名題名映画が傑作とは限らない。そのくらいは承知してるが、愚作だと余計にむかっ腹が立つ。昨夜の「フィルムセンター」、『あの旗を撃て』(監督・阿部豊・’44東宝)の事だ。3分の2を占める、カダログ語や英語に字幕が無いのは我慢するが(センター側は、筋を要約したコピー位は事前に配れ)、スローモーション並の兵隊の動きや、あくびしながら弾頭に倒れる大木にはうんざり。撮影も暗くて切れが悪く、とても60年代後半の安保闘争ドキュメンタリー、『怒りをうたえ』を監督した宮島義勇とは思えない(よく明大夜間部自治会・学苑会が駿台際の折りに、11号館から5号館の壁面をスクリーン代わりに上映)。また快楽亭ブラックが。憮然とした肥満ハーフ面で地下鉄へ。9月30日夜、岡田茉莉子の「お布団敷きましょか?」の台詞しか面白みのない愚作、『熱愛者』(監督・井上和男・脚本・新藤兼人・’61松竹)上映中の、「神保町シアター」でも見た。まあ、両作共にブラックの芸と同水準。関係ないが、死んだ “いきばり”の緒方拳が名優だなんて、俺は毛頭思わない。『あの旗を〜』をで、名優・田中春男が誠実な軍医役を。笑った。

 富岡商工会議所の並びで、上州富岡駅への閑散とした道の角地にある、支那そばとお団子の「飯島屋」、本当に昔のまま。昭和30年代半ばから、東京オリンピックのあった昭和39年頃まで、よく母ちゃんや叔母さんたちと、農閑期になる度に上信バスで商店街へ。母ちゃんは映画嫌いだから(頭痛がすると)、宮本通りの「いりやま」他でで特価品あさり一筋。叔母さんらとなら銀座通りの映画館、「中央劇場」で日活映画だ。母ちゃんも叔母さんも、帰りには必ずここで食事を。その後で富岡駅前から出る、丹生行きのバスに乗った。支那そばは50円くらいの頃。こんなにうんめえもんはねえと、食べるたんびに思った。だんごも時々。その他のモノを食べた記憶がない。貧乏だったからかと、最近店頭の看板見たら、そもそも種々の中華系のメニューなんてない。駅前を出た上信バスは、後にハンドボール部顧問で、生徒をテロ・リンチで血の海に沈めた功績で校長に出世、果ては群馬県教育功労者として表彰された、小林進(本名)のような白痴ゲスが平然と教育者面した、我が母校富岡高校を左手に見て進む。200メートルも行くと、横尾製作所(現・ヨコオ)の敷地が同じ側にデーン。丁度その工場入口右手のあたりが、上信線の踏み切りに。バスガイドさんが降りて、「ピッ!ピッ!ピッ!」と笛を吹きながら、オーライの合図(雨の夜だと一際カッコ良かった)。輝いていたね、あの頃のバスガイドさん。青年団のオナペットだったか? (08.10.11)

下々の者へ(その884)

 一段落したら、夜は高崎へ映画にと考えてたが、栄昇ビル立ち退き問題をめぐる、裁判資料等を確認しながら書いてたためか、結構時間を喰った(お陰で20枚はアップ。今夜中に30枚は大丈夫か?)。同ビル問題、遂に最近最終解決した模様。実は明日、最後の店子、波乗社の坂崎重盛老他の旧店子と久々に宴会を。ここでの最新情報を入れないと、今度の本も画竜点晴を欠くしな。

 何か右のけつっぺたが痛い。一昨日の深夜に染井霊園を横切る際、どっかの墓石にでもぶつけたか?おったな、そういうペンネームの、まともな点、丸も打てない日本語しか書けない、工専の愚鈍投稿者が。一度引退しながら、女々しくもかもいけ同様に再登場、恥をさらした純粋下等物件。ただ一時有名人だったのは事実なので、今度の本でも投稿者編で名前を。で、“黒ランニング”の奇怪な投稿者、はぎのやっていたけど、どんな表記だったっけ?是非記したい奴だけに、誰か正しいスペルをお願い。こいつは前出の2名と異なり、スパッと引退して気持ち良かった。女性投稿者と違い、男は後ろばっかり振り向いてたな。 (08.1015)

下々の者へ(その885)

 例の本の前説、30枚突破したが終わらない。とにかく明日の午前中までに、40枚以内で切り上げよう。昨日までに、最近廃刊になったエロ劇画誌、『スーパーコミック』30余年の複雑な歴史、今日は檸檬者出身の編集者、菅野邦明(元マガジンファイブ社長)の紆余曲折人生をカリカリ。終章はヒラヒラ派、坂崎重盛&タコ多田の素描で、編集者人生のはかなさを淡々とつづる予定。で、アストラの荻編集長、ちゃんと出してくださいよ。栗原裕一郎の『〈盗作〉の文学史』を刊行する予定だった最初の版元(太田出版)のように、最終段階で結局中止なんて事ないように。全編加筆修正した上に、100枚近い書き下ろしまでしてそれじゃ、心身共に仏様の俺もよたるよ。大手新聞の記者出身のせいか、いざ高田馬場の場面で軟弱なトコあんだよ(外見は場末の薄汚れた浮浪者だが)。

 昨日は「岩波ホール」で『シロタ家の20世紀』(監督・藤原智子)。最終日だったせいか、あるいは共産党系の9条の会の組織的動員で、終始こうだったのか不明だが、7割以上の席が埋まった同館は10数年振り。真面目で平凡な監督だが、91分だからそうは退屈はせず。もう15分長いと発狂したかも。今朝仕事の合間に、『バルザック全集22』(東京創元社)の巻末に収録されている、「アディユ」読了。中盤のナポレオン率いるフランス軍が、ロシア軍の攻撃にボロボロで敗走する描写が素晴らしい。『シロタ家〜』なんか足元にも及ばない、重厚で深度の深い多色的ビジュアル性。痺れまくる。小説の最後は、天才とはいえちと出来過ぎだが…。

現物は未見だが、今発売中の『アックス』の、清水おさむの自伝的連載漫画に、俺様が登場してると(他の用件でメールを寄越した、同誌の編集が教えてくれた)。どうせ、とんでもないキャラに仕立て上げられてるんだろうが、面白ければ何でもいい。清水も律儀な奴で、数年前に連載に登場させるがいいか、といった内容の封書を。もちろん、俺個人のことなら何でも好き勝手にと返事したが、腹立たしくならない生半可な内容なら、ゴロ巻くかも(嘘)。午後、「シネマテークたかさき」に行くついでに、書店に寄ってみよう。あるいは高崎に同誌は、1部も配本されてないか?

10月19日…「シネマテークたかさき」で『ジャージの二人』(監督・中村義洋)。公開2日目、午後2時半からの今日3回目、全観客数21名(同館2階・定員64名)。可も不可もない一作だが(画面を無闇にいじり過ぎ)、堺雅人の演技が最悪(鮎川誠は合格)。超勘違い顔面ヒクヒク芝居に、吉岡秀隆2世はあんたに決定と、心で数度つぶやく。痴呆な当人は、今年の演技賞と確信してるのかも。ジャージ口に詰めて窒息して死ねよ馬鹿!!開始30分くらいで、隣の隣の男が貧乏ゆすり。「脚、静かにしてよ!」即静まるが、度々ペット飲料を飲む音がうるさかった(のどがゴクンと鳴るのだ)。映画館、生まれて初めてのド百姓野郎?

 楽団関係者は昔から演技上手が多いが、古本関係者にも確か同類がと見物中に考えてて、拙著とCDを交換した孰女イカレポンチ歌手、田中ピッポの事をふと。絶対に100歳まで生きそうな脳天気おばさんだが、いつか二日酔い明けに1度のみ聴いたCDの感想、こうどっかに書こうとしてて、忘れてたので今。「あんたの歌が一見下手だけど、本当は上手いとか、女ウディ・ガスリーだとか、日本のビリー・ホリディとか言う奴は、まあ、単なる孰女オマンコ狙いのスケベ中年だな。どう対応するかは個人の自由だけど!」数日前に南陀楼綾繁が、無警戒に“やな”に入る熱帯夜の、肥満ボケウナギのような愚感想を書いてたので、思い出し記す。敬愛する内澤姐御、最近豚夫を甘やかしすぎじゃ?

 あと姐御の中古ノートパソコン、豚夫にそのうち持たせてね。下の「まさみ」で宴会する予定(当然俺持ちで)。坂崎重盛老も呼んでとか言ってました。「アディユ!!」 (08.10.18)

下々の者へ(その886)

 今度の本(アストラより刊行予定の『エロ漫画の黄金時代』)でも、かの故遠山孝老人ほどの重量級キャストではないが、 通称M子なる投稿者出身の色物系登場人物が。いわゆる“女エロ漫画家グルーピー”。興味ある漫画家には編集部を介して、即ファンレター即デート即ファック即バイバイ(編集との数も相当と)。一部体験談を投稿ハガキに走り書きして来たので、早速『レモンクラブ』でコラムを依頼。題して「Hした男は99人まで数えた。けど今は純愛に生きたい」。菜摘ひかるの文才には及ぶべくもなかったが、南陀楼綾繁よりはまだ読めた。

 この娘の顔付きや行動、発想は、とりオバンに類似。「熟女が喰ったエロ漫画家のキンタマの寸法と硬さの一般的傾向」なるコラム、姦るか?なおM子嬢はインテリで、『嵐が丘』論をよりによって、俺様にぶったことも。OL→編プロ(漫画屋じゃないよ。KIYO出版)→アル中→全身整形→ソープ嬢→精神病院→介護関係に就職。ここまでの足跡は把握してるが、今は何してんだか?“僕は晴れた日と他人の財布の中身、そして男女性器の履歴書のシワが大好き。”

10月24日…さっき、山崎邦紀のタコ野郎から電話。原稿の遅れを弁明しつつ、「いがらし君がこの前NHKに出てるの観たけど、堂々たるインテリ振りに驚いたよ!」だと。60面下げたプチ浮浪者ホモ映画監督に、今さらほめられても…。「昨日フィルムセンターで、『忠治旅日記』のピアノ伴奏してた柳下美恵って、柳下毅一郎の女房か?」「そう」「美人だけど、内澤旬子同様、かなりおっかなそうなだな。柳下や南陀楼綾繁が頻繁に旅に出るのも、よーくわかるぜ」「そ…そうかなあ。会った事あるけど、優しそうな方だよ」「ケッ!お世辞は当人の前だけにしとけって」「いやそういう意味じゃ…」事務所はやたら蒸し暑く、Tシャツ1枚に。刷り出し待ってます。いがらし旦那んトコのアシ、エロ本は自宅に速攻持ち帰り、必要なモノはゴミ出しする傾向ありません? (08.10.23)

下々の者へ(その887)

 『BUSTER COMIC』連載、「塩山業界無駄話」第8回アップ。似たような事あちこちで書き散らしてて、良くネタが尽きないと我ながら思う。行動範囲も通勤、職場、神保町、映画館と限定されている。書く方は妄想力を爆発させてるつもりだが、実は読者はとっくに飽きてたり(知っちゃいねえが)。それより腰だよ。この数日鈍痛が。毎日行き帰りに、バッグだけでなく、紙袋でも常に本を運搬してるから。景気いい時代は宅急便使ってたけど、新幹線定期もあんだし、節約しようとした結果がコレ。何千円か浮かせて、腰やられちゃ間尺に合わないし、册数を抑えよう。「人間落ち目にゃなりたかねえ」(映画『忠治旅日記』での、大河内傅次郎の台詞)。しかも風邪気味。明日は朝8時から、今年3回目の裏の堤防の草刈りなのに(さすがに最後)。

 今日の夕飯に、一箱古本市で隣合わせた、西荻のモンガ爺さんにもらった貝のつくだ煮喰ったら、予想外の高級品でうまかった。考えたら哀れな奴。昼飯用に買った、安物のコンビニ寿司が余った。捨てるのもアレなので、「ようモンガこれ喰えよ!」「いやあ、それは悪いし…」「オメ−何か、俺の寿司は不浄で喰えねえとでも?」「そ…そ…そんな!めっそうもない!!」腐りかけたの無理矢理喰わされた上に、何倍もするお返しを。土建屋の窓際族だというから、立ち退き交渉などで、この種のゴロツキの扱いはよく心得てるらしい。春の一箱古本市じゃ、豪華皇室アルバムや差別追放デラックス年鑑、ついでに消臭剤でも売りつけたろか?早く寝て草刈りと、午後からの高崎での映画見物に備えよう。

 “アバタ面の脂身シャワー男”こと、晩鮭亭のスノッブ野郎もひどいね。せっかく首都圏のド果てから、北関東最大の文化都市(一応ダボラ)、聖都・高崎まで来てたのなら、なぜ拙者に事前に市内古本屋事情を尋ねない?俺様を差別してるんじゃ?西荻のモンガ同様、『差別追放豪華人権推進日の丸年鑑』(部落解放総評刊・本体30000円)売り付けるぞ。今日(26日)も「シネマテークたかさき」に。とんでもねえ右翼反動差別ゲテモノ映画、『花はどこへいった』(監督・坂田雅子)を観ちゃって、今でも吐き気が治らねんだが、詳細に関しては次回で。 (08.10.25)

下々の者へ(その888)

10月26日…「シネマテークたかさき」の『花はどこへいった』(監督・坂田雅子)。公開2日目、3時50分からの回(日に3回上映)、観客数22名(1階58席)。本館としてはヒットの部類。初老客多し(お母さん連れらしき小学生くらいの少女も)。題名センスからして駄作と確信してたが、冒頭の字幕でよりその感を。“坂田雅子初監督作品”と仰々しく。誰も知らねえあんたが何の映画撮ろうが、知ったこんじゃねえ!!(終幕にも同じ文字)。何様のつもり?こういうドキュメントであればこそ、作者は余計に謙虚になるべきだが、この馬鹿女には蛙のツラに糖尿患者の小便。死んだ旦那(ベトナム戦争に参加経験のあるアメリカ人カメラマン。ガン死。枯れは剤被害者の可能性大)の写真で一旗揚げようとの、生臭い野心がギラギラギラ(団塊世代には男女を問わずに多いタイプ)。

 ただその写真は案外地味(俺には退屈)。弱いと感じたらしく、ベトナム現地に乗り込み、枯れ葉剤により生まれた、奇形児の姿を追う。実に後味の悪い映像だ。奇形児の外貌がではない。撮る側の品性下劣さがだ。カンペキに見世物として扱ってるのに、理屈を付けて誤魔化している。双頭症っぽい男の子の映像に,「被害さえ受けなければ好男子の…」という意味のナレーション被せた下りには、マジで吐き気。石井輝男や鈴木則文映画には、絶対にない反社会的非道徳性だ(2人共、興味本位で撮ってる自分らを隠さない。だから常にさわやか)。

 こういう人格問題に思想性は無関係。しかも極め付けのウスラ馬鹿熟女、最後に雪の中を散策する自分の醜い映像を長々と生挿入(何か池田大作風の御託も並べてた)。マジで刺身包丁で、スクリーンを切り裂きたくなった。そこに再び“坂田雅子初監督作品”。猪瀬直樹真っ青の、厚顔売名ド腐れスピリッツ。ここまでやってくれると、“坂田雅子第2回監督作品”への期待はいよいよ強まる。例の少女に、トラウマが残らない事を祈る。 (08.10.30)

下々の者へ(その889)

 良かった。今朝目覚めたら、幸い雑司ヶ谷墓地じゃなかった(一箱古本市じゃ、夜中に気付くと染井霊園にころがってた)。昨日(2日)の「古書往来座」の外市、1日がもう一つ勢い不足だったというので心配したが、午後から着実に売れ、ほぼ前回並に。ただ打ち上げの「世界の山ちゃん」が突然、店内でディスクジョッキー始めてたのには呆れ果てる。当然、強硬に文句言ってやったが(かなり静かに)、何勘違いしてんだ糞馬鹿野郎。いい店だったのに、こんな馬鹿やってたら口コミで潰れるぞ(俺はその方向で努力)。

 悪酔いしなかったのは、“古本界のファンタジック歌姫”こと、ピッポの呵責のない逆襲に遭ったせいも。あ〜おっかなかった(ちびりそうだったヨ…)。南陀楼綾繁や魚雷の悪口は断固続行する決意だが、女性陣は武藤良子以外はしばらく控えよう。ちなみに、古本マニア女性は確実に増えてるが(美人も多い)、交際相手は古本関係者以外との掟がある模様。ここら、おたく業界の女流漫画家、女性投稿者とやや異なる。お陰で晩鮭亭やNEGIの高貴な純潔さは、未来永劫に不滅だ。

 賀津よ、あんたのようなグロテスクな奴は、公衆の面前に頻繁に登場しちゃあかん。ましてや国会図書館だなんて…。傍の迷惑を考えろ。自室に引きこもり、日活映画『鷲と鷹』における、月丘夢路をおかずに初老猿と化し(『女を忘れろ』の南田洋子でも可)、若き日のリングでの勇姿の記憶を反芻しつつ、日々朽ちていく。これぞ“賀津新太郎の生きる道”だ。

 朝一番で読んだ詩集、那珂太郎の『空我山房日乗』(青土社)は、小手先の技術に拘泥した退屈な内容でがっくり(「田村書店」で400円)。『本の狩人』(山口昌男・右文書院)の残りを片づけたら、『夢のままに』を観に「岩波ホール」へ。前売券買いに三省堂に寄るから、やっぱ田村にも寄るのだろう。実に進歩のない日常ではある。(08.11.3)

下々の者へ(その890)

 サーバー、リンククラブ、勝手に容量アップしたからと、当方の意向を確認もせずに、俺の口座から従来の倍近い年間維持費(45000円位)を強奪、いや、一応引き落としながら、姑息な言い逃れ返事を1度よこしたのみで、従来の低容量で結構だから、無断でかすめ取った分の金を返せよとの2度目のメールへの返事、数週間もして来ない。あきれた会社。これじゃ“電脳きっちゃっきり”(つまりスリ)。

 飯田橋駅の東京都消費者センターに相談に行く前に、このズサンな会社の社長名はと“はてな”を検索したが、ない。どうでもいい俺の名前さえあるのに。同業者のプライバシーは絶対死守か?まるでネット業者の記者クラブ。こういうデタラメな対応していれば、塩山芳明君が泣き寝入りするとでも?対面販売でない事を悪用した(クリーンオフ等の規制外)、ネット悪徳商法と言われても仕方あるまい。漫画屋はこの10年、1台分の駐車場を契約してただけなのに、勝手に2台分に書き換え、俺の承諾を得ないまま、東日本銀行の口座から金を移し変えた。世間じゃコレを普通、詐欺、ないし窃盗と呼ぶ。同社の事務上の混乱のせいによる、単なる遅れと思いたいが、果たして真相は?(続報を待て)

退屈男、いや気分は退屈白髪初老男。何と今年は、上信線がまだ恒例の脱線事故を起こしていない。年末までに実直にまたやれば、“4年連続脱線事故の大偉業”を達成した鉄道として、敢然と歴史に名を残せるのに。今年も既に残すところ2カ月弱。関係者のより一層の奮起を期待したい(無論、俺が乗ってない車輌でな)。『銀河鉄道999』列車の運行も話題に。単に車体に腐れポンチ絵を描いたり、天井に安パネル貼っただけの安易で退屈な代物だが、頭と顔のの悪そうなファンの姿も、ポツ〜リポツ〜リ。

 どうでもいいが、その経費を寄付でまかなうという、上信電鉄の“ドコジキゲス根性振り”には相変わらずで、呆れ果てる。近隣市町村からの億単位財政援助ですっかり、労使共に精神は人民公社、あるいはコルホーズの幹部職員。通常の運賃取るのだから、自前でやれ。寄付募集のパンフは豪華だったが、その会計収支も公開せよ。普段から気狂い沙汰の料金搾取されている、沿線住民はまず応じなかったろうが。松本零士もその吝嗇顔を運行時に見せてたが、奴への経費はどんだけ払ったとか、詳細な収支を沿線各駅に貼り出せ。

 税金にたかる時にはプチ公務員面し、タクシーや不動産で荒稼ぎする時にゃ民間人面。金曜日の夜にのみたった1本の最終を延長するだけで、永遠にこういうアコギな商売が通用すると思うな。被差別身分を特権世襲化、一生税金で喰おうという恥ずべき某日本人組織同様、上信線を老人&学生の人質と化し、恐喝した税金で基本的経費をまかない、儲かった分は我がポッポにという、厚顔無恥な上州アルカイダ商法に即刻断を。ドコジキ共、線路ひっかついでどこにでも消えろ!!(出来っこねえが)さてそのデタラメ電車に乗って、高崎に映画見物にでも出掛けるか。 

11月9日…「シネマテークたかさき」、『トウキョウソナタ』、公開2日目、午後1時30分からの回(日に4回上映)、観客数約35名(2階定員64名)。無論、同館としては中ヒットの部類。佳作の上。119分あるが長いとは感じない。主演が大根の香川照之ではなく、役所広司のキャラに説得力が出て、引きのピアノ場面がもう少しクールなら、傑作の下の部類だったかも(小泉今日子はまあまあ)。当たらないので有名な黒沢清の映画で、観客がこんだけ居るの見るのは初めてで驚く。

 ただいつか、貧乏ゆすりしてたので文句付けた(本欄でも触れた)、チビデブで顔色の悪い30歳前後の、不潔で職業不詳タッチの男が、また近くに座わり不愉快だった。さすがに貧乏ゆすりはしなかったが、立ち振る舞いがいちいち騒々しい。例えばシートをがたつかせたり、妙に鼻息が荒い(ウゲー!!)。更に決定的なのが、ペットボトルがうるさい。糖尿で水分補給してるのか何だか知らないが、しょっちゅうゴクゴクゴク。しかも固形物入りなのか、その都度カラカラとの騒音。お前に映画を観る資格は無いと絶叫したいが、さすがにね。同館の客筋は、なぜか多くが群馬県人とは思えぬほどマナーが良く、このゲロ糞野郎の目立つ事。3度目は、温厚な俺もまず黙ってられないだろう。(08.11.8)

下々の者へ(その891)

 通りすがりの方、御親切痛み入ります。ここ(会社住所・渋谷区神宮前5ー39ー6)の頭目は、小林文雄っていう野郎らしい。一応は東京商工会議所や、日本青年会議所の会員と。肩書きだけは、“電脳きんちゃっきり”呼ばわりされる筋合はないと騙って、いや語っている。けどデタラメ振りは相変わらず。やっと来たメールへの返事でも、差額料金の返金はやぶさかではないが、対応部署が変わるだ、URLが変更になるだ、10年来の顧客に対し、事態を引き起こしたのは100パーセント自分達なのに、無礼千万非常識万万厚顔度億億(出入り商人なら、菓子折り持参で旦那が平謝りのケース)。内心は移転して欲しいのだろう。こんな詐欺まがいの商法にも黙っている、痴呆羊のような客だけ残したいのだ。甘いぜ小林チャン。俺はリンククラブの、最後の会員になっても絶対に引っ越さない。とにかく今度のメールへの返事は、引き延ばさないで迅速にな。消滅データは復元しました。嫌がらせではないだろうが…(続報を待て)。

 どっかにも書いたけど、千代田区周辺の人が死にたくなったら、「田村書店」(神保町)店頭の100円均一箱から1冊抜き、店頭のデッチ共を無視、奥の帳場に旦那が居るのを確認、1万円札と一緒に差し出す事だ。自殺の手段としては、首吊り、鉄道飛び込み並の成功率かと(奥さんだと死に切れないので御用心)。“男内澤旬子”風の黒メガネの兄チャンが仕切ってるデッチ軍団に、また角刈りの新人が入ったな。辞めた奴は常に思い出せない。女デッチもそろそろ採用すればいいのに。武藤良子や田中ピッポみたいなイカレポンチがおったら、神保町名物がまた増える。

11月16日…現在、俺が編集に関係する雑誌以外では、唯一の原稿料が出る連載、『シネマぜんざい』(名古屋の映画フリーペーパー)の「原作VS映画」を、午前中あっという間に(何せ600字)。『花はどこへいった』(坂田雅子初監督作品)の同名の原作(?)が、トランスビューから出てたので早速(お陰で金曜日は神保町に2回も)。ちなみに同誌の服部編集長(女性)とは、映画趣味がほとんど合わない。そもそも中野翠のファンだと言うし…。持て余してるのかも知れないが、依頼されてる間は編集長に媚びずに、好き勝手書くつもり。今後もよろしく(貧乏人は常にけなげ)。

 高崎に出なかったので、昨夜からDVDを3本ほど。澤井信一郎監督が、4年前に『17才 旅立ちのふたり』なる映画撮ってたなんて、初めて知った(地元の「エーツー」で400円)。たった1時間の作品だが、華のない素人娘2人を、何とか見られるようにしてるのはさすが。村上弘明、渡辺えり子、塩見三省と脇が当然ながら充実してるが、福祉関係の女性役職者として、“未亡人下宿シリーズ”の橘雪子が出ててビックリ。字幕には橘ユキコと。『日本映画人名事典』(キネ旬)によれば、51年中野生まれでアングラ劇団で修業、NHKラジオのディスクジョッキーを経て、愛京子の芸名で東活ポルノでデビューと。当然、浜野佐知監督とも知り合いだろう。

『読むので思う』(荒川洋治・幻戲書房)も読了。荒川の物言いも飽きた。『B級ノワ−ル論』(吉田広明・作品社)の影響で、『怒りの河』(監督・アンソニー・マン・’51米)も。91分しかないのに中身タップリで、今はなき神保町の洋食屋、キッチン「ムサシノ」の洋食弁当を、真っ昼間にビンビール付きで平らげた気分(今の「マクドナルド」の位置に)。けど500円DVDは画面が暗くて。「フィルムセンター」あたりで観たいとこ。

 渋谷の舗道歩いてるだけで不当逮捕された3人は、職権乱用の裏金公安刑事を訴えるのは勿論、警官に暴行等の捏造官製情報を垂れ流した、記者クラブマスコミも名誉毀損で法廷に引きずり出すべきだ。同時にBPOにも。面倒臭がり、権力のゴロツキ犬の言うがままになってては、悪例を残し、かつ連中を突け上がらすだけ(左翼面しながら〜それで生計立ててながら〜、違法職質にヘラヘラ応じてる森達也のようじゃ、人間、いや納税者として恥ずかしい)。負けてもインチキ司法の実態が暴かれる。

 狩猟が解禁になったが、いつかのキジの安否が心配。すぐ裏の堤防は禁猟区ではなくて。橋を隔てたすぐ川下はそうなのに。日本総泥棒役人のするこたわからない(超熱心な自分達の給料アップと、労働時間短縮策動、民間へのたかり根性以外は)。 (08.11.15)

下々の者へ(その892)

 余りにも明解な事件ではないか。うだつの上がらない人間の、世間への復讐だ。なぜか同階級の者を襲撃した、秋葉の事件より着実に“進歩”もしている(天下りの退職金だけで、2億以上手にした被害者の山口元厚生事務次官に、大マスコミと違い同情の声を吐いた者は、我が周囲にはゼロ。俺もだが、役所のベラボーな退職金以外でこんだけもらえるのなら、殺されたいと考える若くない民間人は、日本全国に腐るほどいよう)。

 数十年前の怒りも良くわかる。俺が帰郷後、富岡高校時代のハンドボール部顧問で、極め付けのテロリンチ暴力教師、小林進(71歳・本名)を、「富岡市民プール」や「富岡スイミングスクール」で目撃した際も、妻子がなければ殴りかかってた。つまり、小林進元校長(!)が、群馬県教育功労者で表彰されるなどという、超ハレンチ事件は起きなかった可能性が。昔の怒りとは、相手にだけではなく、その時点で反撃出来なかった、弱い自らに多くが向かう。自分が生きてる限りは、30年前、あるいは40年前の事件であろうが、常に“今の怒り”なのだ。

 あるいは仲介者が存在する、奥深い事件なのかも。だとしても、いい鉄砲玉を見つけた。小泉毅は精神の安寧さを、数十年振りで確かに取り戻したのだ。早く死刑にしてくれと訴えた、有名なピアノ殺人事件の加害者の心境ではないか。日本の死刑制度はもはや、官営自殺手段の一種。国民の8割が死刑マニアと報じられる中、我が同胞は死刑費用の自己負担くらいは言い出しそう。そういう奴は、第2の小泉にあらゆる意味で感謝されるだろう。お礼はまた死刑さ。

 さっき「嫌われ者の記」201回目をアップ。近くの畑で下仁田ネギ掘りしてる、腰の曲がった母ちゃんの手伝いを少し(収穫したネギを箱に詰め、畑から台車でフレームまで運ぶ)。「世の中全然進歩してねえな。母ちゃん今年77だいなあ」「そおさあ」「明治生まれのみねばあちゃんは、母ちゃんの歳にゃあ畑仕事なんかしてなかったんベや。引退して」「本当さあ。老人会の旅行ばっか行っててなあ。今ぁ死ぬまで引退出来ねえよ。若えもんは誰も野良なんかしねえかんな。喰えねえからしょうがねんさ」「俺、飯喰ったら高崎に行くんで、これからんトコのさくに鋤入れとくよ」「一さくだけでいいで。ネギ掘っとかねえと、次のさくはやりずれえかんな」(体験者でないとわからない会話)脚が悪くて、少しもうろく気味の父ちゃんは、最近は野良に出られない。萩原恭次郎の晩年の詩、「もうろくずきん」など思い出してる場合じゃないのだが…。

11月23日…「シネマテークたかさき」の『12人の怒れる男』。公開9日目(日に2回上映)、午後1時40分からの回、観客約30名(1階定員58名)。小手先の小器用さと八方美人振りが売りの、ミハルコフ監督の薄っぺらな芸が大爆発。ロシア民族主義、ユダヤ人、チェチェン人、その他に万遍なく愛嬌をまく振りしつつ、時の最大の権力者にしっかり従属(少し反抗する真似するトコが、茶坊主として一流な証拠)。ソ連、ロシア、いつの時代も陽の当たる場所をテクテク。才能はあるので退屈はしないが、観客である事がふっと嫌になる。

 後ろに当劇場名物の騒音ガキ。予告編の際、またもやペットボトルをカラカラ言わせたので、振り向いて叫ぶ。「お前、カラカラうるせんだよ!外で飲め!!」以降160分間静かに御用芸を味わったが、この世代だと(30過ぎかと思ったが、20代前半らしい)、両親にアニメに連れてってもらうのが映画館初体験だろう。テレビとの相違を、親自体が子供に教える常識がないのか?

11月24日…同『真木栗ノ穴』。公開10目(日に2回上映)、午後4時45分からの回、観客数15名(同)。ファッションセンス最悪のブスばかり出てる、最悪な予告編何度も観せられうんざりしてたのに、つい怖いもの観たさで。期待してなかったせいもあるが、案外楽しめた。西島秀俊の相手役が粟島麗なのは謎。担当女性編集者の方がよほど美人。そもそも撮影者(高間賢治)に、粟島を美しく撮ろうとの意志が感じられない。深川栄洋監督は初めてだが、20分カットすりゃ佳作。とにかく老いも若きも、こんだけのブス女ばかりが登場する映画はまれ。騒音ガキがいてまた同じ真似したら、外に引きずり出そうと期待してたのに、残念至極。

 本当、拙著『エロ漫画の黄金時代』(仮題)の初稿ゲラどうなってんのよ、アストラの大畑太郎センセ?明るくていい人だけど、事務処理能力に欠けるのだ、昔から。特に帯文なんて最初に頼む必要があるのに、いつかの電話以降も連絡よこさない。こんなんで年内に出る訳ないじゃん、100%。ギャラなんてどうにでもなるのに(俺が言っちゃあかんな。下仁田ネギで済まそうなんて毛頭!)。俺がケツ叩いても人間の性分は直らないし、放っとこう。 (08.11.24)

下々の者へ(その893)

 明日27日の午後6時から、漫画屋と眼と鼻の先の、九段会館(旧軍人会館)で渡辺文樹の例の2作品の上映会があると。待ってた甲斐があった。皇居も靖国神社も近く、歴史的にも最高の立地条件。「フィルムセンター」も「神保町シアター」も休んで駆け付けよう。

 27日午後5時30分。さっき行ったら、同館従業員らしき男が、ホッとした顔で「中止になりました」だと。さすがは、大学構内で集会してたり、集合住宅にビラまいたり、舗道を歩いてるだけで、裏金ゴロツキ官憲にパクられ、それを許すゲス茶坊主共が、裁判官ツラして高給はんでる、背広姿のおしんこ土人国家・ニッポンらしい景色だ。仕方ねえ、「新文芸坐」のマキノ雅弘特集にでも行こう。まさか山根貞男の馬鹿がトークショーなんかを…おっと大丈夫だ。こうなると、文樹映画は来月の日比谷公会堂に期待するしかないか。(08.11.26)

下々の者へ(その894)

 やっとこさリンククラブさんからメールがあり、全額返金すると。で、素早く移転。関係者の皆様よろしく(まだ東日本銀行の口座を確認してないが、天下のリンクさんを信用してますダ)。いがらし旦那、目腐れ金での帯文承諾、どもども。オプションとして約束した下仁田ネギ、近く送ります。今日も午後一杯手伝い、一さく掘り上げる。母ちゃんは朝から三さく片付けたと。インスタント初老百姓の限界。風は強烈に冷たかったが、これを浴びる事でネギの風味は増すらしい。ここらが、大手商社が中国に種を持ち込み、安く栽培させ輸入せんとの目論見が、成功しない要因だと。

 本当は午前中に拙著の校正もする予定だったが、昨夜は予定外の事態で事務所泊まりに。「フィルムセンター」で、今は糞映画しか配給してない映画会社(?)だが、昔からフィルム保存は完璧と痛感せざるを得ない、『信濃風土記より 小林一茶』(監督・亀井文夫・’41東宝)他2本を鑑賞、大丸食品売り場で3割引きの、酒のつまみを買って帰宅しようとすると、送電線事故で上越&長野の両新幹線が運転ストップと。高崎線を利用しろとか言ってるが、上信線最終には絶対間に合わない。即断念、再び飯田橋に戻り、「まさみ」で昔のキネ旬読みながら一杯。事務所でグーグー(お隣さんはまた泊まり込みでした)。今週は3回も泊まる。やっぱ自室の方が落ち着く。

 小谷野敦も書いてたが、富岡多恵子の芸術院入りには本当にガックリ。群れての政治的発言はしないながら、何事に対しても迎合姿勢を絶対に取らない、孤高の思考と姿勢を保っていたのに、わずか年間250万円で国家のアップリケ婆さんだなんて…。確かに売れる小説書く人じゃないので大変だろうが、永井荷風が文化勲章が現金付きと知りホイホイもらうのと異なり、全然シャレにならない。俺の父ちゃんみたいに、あるいはボケたのか?日本共産党シンパの山田洋次もだが、これには全く驚かない。共産主義者は権威主義者の同義語。特に組織の上層部は(周辺ブンカ人も)。目腐れ金に比べ、失う物の方がはるかに多い、尊敬する多恵様の恥ずかしく情けない決断だ。勿論、新刊が出ればまた買うが、俺の内部では永遠に“250万円安”。

 首になったからと言い、工場長を待ち伏せ、金属バットで両脚を骨折させるなんてのは、やっぱ良くないぞ。そういや、「世界に第2第3のベトナムを!!」と言ったのは、ゲバラだっけ?例の男も国賊盗人役人共を、金属バットできつく可愛がるだけなら、「第2第3の小泉毅を!!」との減刑嘆願及び熱烈支持の声が、全国から嵐のように巻き起こったのに。

『〈後期高齢者〉の生活と意見』(小林信彦・文春文庫)、同題の書き下ろし部分がかなり面白い。『本の話』連載の「黒澤明という時代」も絶好調だし、コバノブの後期逆襲ファイト開始?もう三文小説は完全放棄、こういうのバンバン書いてくれ。『週刊文春』の連載も今の倍、4ページあってもいい(逆に『週刊新潮』の福田和也の見開き連載は、長過ぎてだれる場合が多い)。和菓子屋も疎開ももうゲップ。特に後者に関しては、柏原兵三の『長い道』など読むと、コバノブのそれはチャチ過ぎて、“戦時下のお医者さんごっこ小説もどき”としか思えない。仕方なく、拙著の校正をボチボチ始める。 (08.12.6)

下々の者へ(その895)

 初稿でも再稿でも、俺は自著の校正は2度読む主義だが、2度目って楽なだけじゃなく、弱点が最初よりハッキリ見えて楽しい。漫画家もコミックス化の際に手直しを。ある熱心な漫画家に「楽しいでしょ?」と尋ねたら、否定しなかった。ただ初稿も再稿も三校も、取り掛かるまでには本当に度胸と体力が。小心者の人生は苦労が耐えない。大胆者でも同じか。

 今日も午後は下仁田ねぎ掘り(約4時間)。母ちゃんが嘆く。「年の瀬にゃあ毎年値が上がるんに、今年は安くなって本当にやあさあ」「不景気のせえだんべ」「天気があったかすぎるんも良くねえやなあ。鍋で一杯っちゅう気にならねえだんべえし。亀さんなんかもう掘るんよしだなんつってるで」世界金融危機と下仁田ねぎの、遠くて近い関係。妙義山に夕方、紫煙のような帯状のかすみ。やはり明日の天気は崩れると天気予報。今日はたくさん掘ってフレームに俺が台車で運んだから、母ちゃんは明日は出荷の用意でてんてこまい。久々に「シネマテークたかさき」にでも行くか。

 昨夜の「フィルムセンター」の“JAL空の旅シリーズ”、1本目の『ヨーロッパモデルコース』(監督・亀井文夫・’65日本ドキュメントフィルム)に、加賀まり子が台詞なしの案内役で。ステテコはいた中年男は大嫌い、とおっしゃられてた頃だろうが、その権利は十二分の元祖小悪魔振り(ピッカピカ!)。本作は解説の渡辺紳一郎の話術も抜群で、三木のり平出演の他の2本よりはるかに楽しめた(場内もしばし爆笑)。

 リンククラブさんからは先週全額返金が。自分の金が返って来ただけなのに、何となく得した気分。選択出版よりは良心的だった?あそこのしつこい請求書、最近さっぱり来ないが、寂しいのでもし関係者が読んでたら、またネチネチよろしく。

 黒岩比佐子はいつから皇族扱いされるように?低能読書ブログ関係者も、数行立ち小便風書き込みしてもらったくらいで、よってたかっての甘言の叩き売り(論壇の女琴欧州か?)。50になる孰女捕まえての、テメ−のアホ面が恥ずかしくねえのか?(各自手鏡を見よ)『国木田〜』の場合だって、あんだけ書評が出て批判が皆無に近いのは、どっかに根本的(通俗的)欠陥があると考えるべき。むのたけじとの岩波新書なんて、ひでえもんだった(要するにむのが恥知らずなんだが、それを指摘しない黒岩も同罪。俺は具体的悪口にどっかに書いた)。てな事をもっと早く書く予定だったが、みちくさ市で黒岩様御本人に、1200円もの高値付けた本買ってもらったので、つい今日までズルズル延びた。だいたいだ、よだれ垂らした中年糞馬鹿共に、激無芸なほめかたされても、まともな人間なら絶対によろこばない、と俺は思う。

 皇族と言えば、チョイ前の運動会シーズン、皇太子の長女が運動会で一番だったとの報道が写真入りで。『東京新聞』はキャプションで、後ろを振り返りつつゴールする彼女に、余裕たっぷりとの意味のヨイショ言葉を連ねた。俺は全く逆で、「何で私が一番なの?」との、子供の素直な戸惑いをその表情に見た。“余裕”なんて概念をそもそも、子供が持つはずない。極端に走るからこその子供。象徴一家だって同じ、だと思う。皇太子の子供が、何で徒競走で4番やビリじゃいけない?ゲス役人の、保身ゆえの臭い作意を見た納税者は、俺以外にも多かったろう。俺の娘なら連中を、公衆の面前で一喝する。 (08.12.13)

下々の者へ(その896)

 『エロ漫画の黄金時代』(仮題・アストラ)だけど、発売は2月になっちゃうなあ、多分。午後の下仁田ねぎ掘り4時間を除き、今日はずっと脚注の追加や整理を。終えて数えたら、追加分だけで何と35カ所も(脚注は無意味な所に.適当に思い付きで付けるほど面白い)。で、明日は「嫌われ者の記」(断末魔篇)の追加分を30枚ほど。3校まで取る予定だもの、1月末などとてもとても。初校は永山薫(ロリ系)と加藤健次(エロ劇画系)にも眼を。再校はタコ多田(ロリ、劇画、BL),南陀楼綾繁(活字、映画、雑学)にも。皆様、きっと多忙でしょうがヨロピク!(ギャラ無し)。当然1月になってから。

 昨夜、『昨日消えた男』に比べかなり落ちるなと考えつつ、『待って居た男』を「神保町シアター」で観た後、「三茶書房」前の信号を渡り、お茶の水駅に向かおうとすると、俺の進行をしつこく妨害する、身知らぬ照れ性な感じの姉チャン…と思ったら、リコシェの豆ちゃん。急いでたので一言二言交わしただけだが、彼女には新刊が出たら、淫乱ハゲの武藤良子とトークショーをと言われている。この件に関しては先に、南陀楼綾繁からも話を。調整する必要があるが、発売日が未定じゃどうにもならない。豆ちゃん、どっかの忘年会だったのかい?

 今年の忘年会は先日の南陀楼、武藤、退屈男他との、“出版業界最底辺忘年会”だけかと思ったら、水曜日に中大理工学部近所の焼き鳥屋で、拡声器騒音を考える会(改名したんだけど思い出せない)のが、『AMENITY』の反省会込みで。古い会員の藤田崇文さんが作曲家だとは知ってたが、まさか昔からの大ファンの、池野成の御弟子さんとは全然知らなかった。色んなエピソード聞けただけでも楽しかったのに、まだ持ってなかった分の2枚組CDや、メモリアル・コンサートのパンフまで送っていただき、感動!!(あの陰鬱な旋律が大好き。中でも鈴木英夫監督の東宝作品、『その場所に女ありて』『旅愁の都』が忘れられない)こんなお宝のお返しが、拙著『東京の暴れん坊』(右文書院)1冊というのはどうも…(発送済み)。「古書往来座」の外市仲間で、朝風呂直後風の顔を24時間してる、大宮の野郎(通称“朝”)も池野成ファンなんだよ。1月の外市でしつこく吹聴して、うらやましがらせよう。

 富岡市のド気狂い防災無線、先日の会の忘年会でも、「以前の糞今井清二郎市長時代ほどは、悪質じゃないですよ」とか言って、相模原市のムチャクチャな運営のそれに激怒している、戦闘的反騒音活動家の高山さん(もはや中島義道など、彼に比べれば守旧派保守反動の極致)に、“地元自慢馬鹿”振りを披露してたら、久々に超ハレンチ放送ぶちかまして、俺の湿った闘争心に火を付けてくれた(ありがとうよ!)。

 昨今全然なかった迷子老人放送だ。1回目は昨夜(20日)7時過ぎ。普段の放送より音量がでかく、かなりむかついたが、久々の事だしと我慢。けどこんな真っ暗な時間帯に、服装や年令まで言って何の意味が?5万市民に寒いのに、わざわざ外へ出て老人を探せと?糞馬鹿野郎、そのために警官や消防署員、市役所職員にベラボーな給料、退職金、年金、裏金までを払ってんだよ。俺達納税者は、貴様らの24時間無料下働き者じゃねえ!(考えたら裁判員制度って、“防災無線の思想”から成っている。テメ−らのボロい待遇は維持しながら、国民に物理的、かつ精神的苦痛を強制、あらゆる面で司法関係者が楽を。アリバイ的に強制参加させ、いざとなれば国民も共犯だからと口をぬぐう。公務員の絶対的無責任思想体系の具現化。本件成立過程で、政治家は共産党を含めて、完璧に舐められている)。けど忍耐強い俺は耐えた。

 ところが今朝になり、朝8時代、10時代にも同一内容の連続放送。即電話で抗議。女性職員Yサンは、例によって警察や消防の要請でうんぬん。おかしかったのは、俺の剣幕にびびったのか、「今日は幸い市長も登庁してますので、代わります」と、電話を回そうとした事。俺はちゃんと名乗ってるし、“富岡の土建&福祉施設界のドン”、岩井君が出る訳ないじゃないの。かなり待たせた後、「やっぱりいつの間にか外出されてて…」と居留守を使われたが(Yさん、後で叱られなかった?)、俺も防災無線の問題を種々説明、電話を切る。

 その後再び例の脚注執筆。どんどん増えて、50カ所突破(新規分だけで)。2月発売も無理?俺の神経を逆撫でるように、午後2時、同5時にも追加放送。警官や消防署員は、暖房の効いた清潔な役所で茶をすすり(屁をこきながらエロ本でも読んで)、「住民よ冬空の元、昼夜を問わずに我々の命令で、外へ出て働け!!」と、戦前の参謀本部のように、一方的号令をかけているのだ。凄く気持ちいいだろう?こんな馬鹿してて、退職金が2000万だ3000万出るんだもの。役者は3日やったらやめられないというが、公務員は3日どころか3代やめられないらしく、世襲が横行してるものなあ(裏コネ採用が平然と)。

 岩井賢太郎君よ、俺は夜9時の放送を君が中止したのを過剰評価、この2年ばかりさぼり過ぎていた(『AMENITY』の「富岡騒音日記」も今回休んじゃったし)。今後は再びガンガンと抗議、行政課にもアバタ面をまた出すので、ヨロピクピク。しかし、迷子老人で合計5回も放送するとは前代未聞。賢太郎後援会の関係者が周辺に?実は彼はよくこういう真似を。毎日夕方5時の、ヘドが出るような白痴ガキの童謡放送も、その種の関係と。公人の公使混同はいけねえよ、賢太郎君。俺だってあんたとは“長い仲”だが、「富岡スイミングスクール」の会費は、定価でちゃんと払っている。下仁田ねぎ掘りが終わったら、また行くからね。

 こうなったら、6回、7回と言わずに、10回、20回と昼夜を問わずに断固放送を。そうすれば、羊のように大人しい5万富岡市民も、自らの仕事をさぼりまくり、住民に肩代わりさせて楽をしようとしてる、市役所職員、消防署員、警官の腐り切った根性に、ハッキリ気ずくだろう。早く放送しろ!行方不明の90歳の老人の、服装と消えた時間を!!30回、40回、50回、そして60回!!!(老人の御家族には同情を。防災無線はド腐れ怠慢高給公務員の、アリバイ作りの宣伝用騒音公害装置に過ぎない)。 (08.12.20)

下々の者へ(その897)

 いがらしの旦那、カットとお言葉の各2点、ゴミギャラなのにすいませんねえ(昨日届く)。使用後も高田馬場の「古書現世」に売り払ったりせず、必ず返却します。そういや同書店の向井透史や晩鮭亭、NEGI他の、性生活の実態にかなりの想像力を要する、わめぞの大幹部(大患部)やおこげが、只今仙台のいかれた古本屋、「火星の庭」だかに集結中と。行ったことありますか?女店長、1度だけ会った事あるけど、セクハラしたい感じのタイプじゃなかったが、2B弾(和製爆竹。昭和30年代の弟の友。兄は雀に空気銃ぶっ放していた。北関東ではどの家でも)を思い出した。

 NHKの派遣雇い止めニュースの特徴。急増した失業者と実情ヘの同情、各自治体や民間の受け皿活動は一応報じる。しかし、一番の本質たる、4年前に肉体労働者にまで派遣法を改悪拡大した連中の名前、かつ今これで大儲けしながら、労働者を路上に放り出してる(尻拭いを税金でさせて口を拭ってる、キャノンの御手洗他の)経営者の無責任さに、一言も触れない点。失業者対策を自治体や民家が活発に行ってる結果を、“親切な日本人のお涙頂戴物語”にすり替える気だろう(一種の“天災”に仕上げる)。さすがに『東京新聞』はここらきっちり押えてるが、自分らのベラボーな待遇は維持したまま、納税者に仕事を外注化してる、最高裁以下の詐欺ゴロツキペテン師司法関係者同様の、腐った精神構造だ。

 富岡市の気狂い防災無線の暴走が止まらない。今日午前9時、2時過ぎの2度、富岡警察署の振り込め詐欺用心の馬鹿放送。管内で事件発生のため、成績低下を恐れた同署幹部(あるいは部署が)が保身のため、仕事をしてる“振り”を(肥田め臭いアリバイ作り)。大した数の銀行が市内にある訳じゃなし、職務なのだから汗水流して、テメ−らで見回り警戒しろ!!(千代田区では実際に実践)。富岡署に抗議電話を久々にするつもりが、プール(例の“居留守市長”、岩井賢太郎市長が理事長の「富岡スイミングスクール」)疲れで夕寝してさぼった。下仁田ねぎ掘りは終了。

 ところで群馬県警は、各種HPでも署長名を意図的に秘匿してるね。地域の治安責任者がコソコソしてどうする?富岡署も検索すると梅澤孝男とか出て来るが、昔の奴だ。今は亀山敏男でいいのか?自分が堂々と名前を公開出来ない水準の治安しか維持出来ない、管内の皆様の税金で安寧かつリッチな生活送ってて、恥ずかしくねえのか?(防弾ガラスに守られた、田舎皇族気取りなのかも。不逞の輩め!)ヤボな事を俺様も。“あらゆる日本の公務員は泥棒”なのだから、羞恥心などあろうはずがない。

 飯田橋の中華の「大王」の、カレーパンを地面に叩き付けたような趣の2代目に、「最近、例の馬鹿面したガラスの根性の、元ボクサーはこねえのか?」と、先週の水曜日の夜に尋ねたら、近藤宏が銀座の次郎長(小林旭)に媚びを売るような眼で(内心は全然そう思っていない)、「そうですねえ…」と曖昧に答えた。賀津よ、そろそろ貯えもなくなる頃だ。公園の炊き出しにでも並んでるのか、新宿中央公園の?

 かんぽの宿をオリックスが超安値で買収と。“陰惨ムードのマッチポンプ政商”、同社会長・宮内義彦の面目躍如だが、この報道で宮内の規制緩和旗振り時代に触れない、自公民様のNHKはともかく、貧乏人の『東京新聞』は情けない。渋谷の街頭を歩いてるだけでデッチ上げ逮捕する警察と、それを許す検察や司法を備えた、純共産主義国家日本なら、宮内にはいくらでも罪状を被せ、即刻逮捕出来る。そうすりゃ馬鹿国民はスッキリ、また自公民に投票するかも(詐欺の被害者が何度でも似た手口にだまされるように)。見るからに腹黒〜い、使い古し便所スリッパ(汲み取り用)野郎、菅元総務大臣あたりが、和製フーシェ気取りで画策してくれると楽しい。

 昨夜の「神保町シアター」、『悪女の季節』(監督・渋谷実・’58松竹大船)は結構な入りだったが、愚作だった。この監督、部分的にはいい所もあるが、作品に背骨を通せない(『もず』もそう)。山田五十鈴も、面長の市川悦子にしか見えないし(岡田茉莉子は良かった。特にノースリーブ姿での脇の下が扇情的)。わかりもしない若者風俗描写もド下手で、観るに耐えなかった。「フィルムセンター」の亀井文夫に行くんだったよ。2本ある原稿書きは来年に回し、年末は新作映画のはしごでも。初校校正も下仁田ねぎ掘りも終わったし、体も心も軽い年の瀬のひととき。再校がドンと出たり、ますます仕事が減りそうな、来年の事は心配しても仕方ない。(08.12.27)

下々の者へ(その898)

 南陀楼綾繁センセ、仙台人にされてましたか…。どうでもいいけど、生っ粋の島根県人。映画『天然コケッコ−』の舞台の辺の出身とか。いやありゃあ御両親か。本当にどうでもいい。10数年前、俺も同業者(たのしい事務所のま〜旦那こと、松島センセ)や、肥満漫画家(DONKEY)と仙台旅行。仕事が絶頂期の頃で、無駄な豪遊を。水沢に有名な女性投稿者がいて(通称“やす◯”。今度の本にも大々的に登場)、おたくスポットを色々案内してくれた。当時は年に1回くらい、各地の有名投稿者、地元漫画家を頼りに、水戸黄門みたいなアホな真似を。毎月、月刊誌を3〜4点、単行本を2点くらいやってて、よく時間が取れたと今は思う(その他、札幌、名古屋、大阪、尼崎、博多にも)。

 秋田にも行きたかった。『レモンクラブ』の読者欄担当してた、投稿者出身の面白い人妻がおったのだが、同誌廃刊の際にまだ内密段階で、よりによって本欄でばらしたので、「テメーのドタマには犬の糞が詰まってるのか!!」とファクスで怒鳴ったら、生意気にも立腹したらしく、以降連絡が途絶えた。これまたどうでもいいが、最近彼女の名前をタコ多田から聞いた。奴は取次の窓口の人間から聞いたと。前から4コマは細々と描いてたが、それだけ売れっ子になったのだろう。良かったね。P・Nは確か華桜小桃。

 新幹線が動き始めたのを確認、上京。池袋「新文芸坐」のクロード・シャブロル監督2本立て(大人1300円)。『二重の鍵』と『気のいい女たち』。『美しきセルジュ』に出てた、「強いのね」の尻軽姉チャンが両方に出演。それだけでうれしいのに、ひっちらかした作風ながら、凄く魅力あるよな。モラリスト的説教臭さ、女性差別的と、アナクロなトコは数々あるのに、画面がエロで訴求力がある(官能的と馬鹿は呼ぶかも)。しかもねちっこい。ドンピシャ趣味。未見作が多数あるので、楽しみ。フランス映画界界の岩野泡鳴?

 5時過ぎ、西口の古本屋「古書館」へ初めて。「古書往来座」の外市仲間で“ファンタジック歌姫”こと、田中ピッポがバイトしてると昔から聞いていた。表敬訪問してみたが、出勤日ではなさそう。ビル3階分が全部古本(エロ5割)。昔、神保町の裏通りにあった(「西秋書店」の近所で、俺の昼飯時、つまり1時30分過ぎには、鍵かけ閉店してた変な古本屋)、エロ劇画が充実してた店と、関係あるらしい。青年時代に自ら編集した雑誌も散見、瞬時に眼をそむけた。

 丸の内線で東京駅に。まだ新幹線の混乱は治っていなかった。イスラエルは計画的虐殺戦争で、与党の選挙勝利と景気回復を画策。〈古典的ファシスト〉の手口。中東のナチスだから当然だ。“景気回復戦争”が方々で勃発する可能性が。アメリカはドカドカとイスラエルに、従来以上に兵器を輸出する。朝鮮戦争時代の日本のように。

 道義なき日本の経営者、つまりオリックスの“陰惨マッチポンプ政商宮内”や、キャノンの“ツーレロ商店主御手洗”、トヨタの“何だら世襲白痴大名もどき”連中は、“100年に1人の文盲首相”に、対北朝鮮戦争をけしかけてるかも。「徴兵制は要りませんて。元派遣の3流ゴミ国民が,全国にウジャウジャしてますんで!」とかね。独占資本家は、“資材”としての派遣社員を、ケツの毛のつゆまで無駄にしない(ナチスの強制収容所と同じく)。痴呆国民も大好きな〈自己責任精神〉で、「愛する人のために死にます!!」と涙で絶叫、翼賛NHK以下のコジキマスコミもはしゃいで、万事ハッピーピーで良かったね、となるのかな、いつも通り?

 で、いわゆる右翼は、影響力の失せた元自民党の実力者宅に放火したり、日本の表現の自由のために身銭切って行動している、勇気ある映画監督に圧力かける一方、何で宮内重彦や子分の小泉&竹中を放っとく?一水会の『レコンキスタ』見ても、同会はドンドン既存右翼化、退屈する一方だ(木村三浩が代表になって以来の傾向だが)。

 最近、“自己責任”と“右翼街宣車引き込み役”の本家本元、新潮社に労働組合があるのを知ってビックリコン。神楽坂を散歩しててだが、白い看板が確かに。が、組合の立地場所は創業家、佐藤家邸の敷地内だったと。つまり組合とは名前ばかりの、“佐藤家デッチ奉公感謝会”みたいなもんなのだろう。「大学出社員の名前を、“ドン”をつけて呼ぶのは止めてくれ!!」とか、前掛けにスコール状の涙落しながら、懇願してるのかも。だとしたら素晴らしく感動的な光景。

12月31日…わざわざ自宅に噂のミニコミ、『山からお宝』が届く。ラジカル下降志向の窓際族亭主、南陀楼綾繁としては珍しく気が効いてて、感心。しかし本体1000円て、“歴史的返品在庫の山商品”、トートバック(千駄木一箱古本市特製)で今も苦労している、同一人物の値付けとは思えぬない大胆さ(内澤姐御の心労が偲ばれる…)。『積んでは崩し』が少し売れたからって、すぐこれだもんなあ…。「あんたって一見負け組の顔した、脂デブのヒモじゃんヨ!!」と、俺が姐御の立場なら絶叫するが、まあ蓼喰う虫も好き好き。

 内容。実質価値は600円くらいか。カバーのグレゴリ青山、俺様、栗原裕一郎、内澤姐御(4コマ漫画面白し)しか、ページ単価分の価値はない(退屈男、向井透史は合わせて35円)。特にアンケート、“我が家の「本の山」”は読むに耐えない(登場人物、片っ端馬鹿!)。今後も年に何回か、類するミニコミを発行するとあるが、依頼原稿が続々の栗原はともかく、ド暇な俺様は結局、毎号枯れ木も山のにぎわいで付き合うのか?トホホホ…。

 あと内澤姐御、例の静かな街を考える会の機関誌、『AMENITY』の編集会議で、来年発行号において、姐御へのインタビューを仰せつかりました。面倒なので随時電話等でうかがった事を、適当にでっち上げ原稿化、校正してもらうつもりですが、ヨロピク。勿論ギャラは最低10万以上出ます(税込み)。去年、トークショーした時の、防災無線のイラストあるといんだけどな。当然、別枠でカットギャラは最低3万円保障。我が会は目的の大義を理由に、絶対に執筆者に負担はかけません!!←ほ…本当?(俺、一度も稿料もらった経験が…)。 (09.12.29)

下々の者へ(その899)

 何にでも“乗る”用意はあるけれど、『Mate』に「生汁のキンタマ博物誌」なる活字コラムを、大好評発情連載中の君に、“真面目な相談”なんて書かれると、身に覚えのない卑猥な誤解しそうな読者、急増するかも。どうでもいいけど。そういやまだ1度も会った事ないね。うらぶれた三信ビルに是非お顔を(何もソーニュ−して来なくていいから)。隣室に声が筒抜けなので、身に危険が及ぶ心配もないし。ところで、もう学校は卒業したの?

 1週間も遊んで過ごし、初老英気が養われたのか?『母子相姦中毒』の「母子相姦名画座」、『BUSTER COMIC』の「塩山業界無駄話」の2本が、あっという間に書けた。まるで青年時代(西川口ボロアパート時代)の交尾のごとし。元旦から神経の抜いてあった奥歯が、標本のようにそっくりポロリ抜けるし、ドラマチックな年に?(校正中の本がベストセラー、いえいえ、1万部くらい売れないかなあ…。←謙虚さが売りの人間でござい)

救援連絡センター発行の機関紙、『救援』第476号(08年12月10日発行)によれば、10・26麻生“文盲ケツの穴”首相豪邸見学ツアーの際、歩いてるだけの3人の納税者に殴り掛かり暴行、でっち上げ公務執行妨害で逮捕したゆでだこオヤジは、警視庁公安部公安ニ課長、栢木國廣警視と判明したと。まともな法治国家なら、とうにコイツこそがブタ箱入りしてなければおかしいが、ドコジキ記者クラブの援助交際もあって、今の所は安泰か?けどこんな珍しい名字じゃ、家族もまともな神経なら外を歩けないな。当人、および上司を国会に呼ぶべきだし、こいつの住むタダ同然の官舎、あるいは豪華マイホーム付近の公園で、ゴロツキ犯罪警視糾弾国民大集会を開くべきだ。 (09.1.3)

下々の者へ(その900)

 最悪の夜。「フィルムセンター」で、石井輝男監督の“スーパージャイアンツシリーズ”の1、2作を見物(特に『続鋼鉄の巨人』の神々しい終幕に感動)、東京駅発21時16分の「たにがわ475号」高崎行きに乗ったまでは順調。絲山秋子の高崎が舞台の『ばかもの』を開く。巻頭のエロシーンはサービス過剰。昔の中間小説雑誌、『小説現代』とかにはよくこの手の作品が。

 アクシデントは熊谷駅で。発車の途中で停車、3分、4分、5分…少しも動かない。車内放送によれば、客が閉ったドアを無理に開けようとしたせいで、安全確認中と。やっと動いたが、8分の遅れと。上信線の最終、22時24分にはまず間に合わない。高崎駅到着がほぼその発車時間。でも0番線ホームまで猛ダッシュ(同様の人がもう1人)。が、既に列車の姿はない。仕方なく上りの最終、「Maxとき352号」で再び東京駅へ(愚妻に高崎駅まで車で迎えに来てもらうほど、命知らずではない)。ところが中央線がまたメタメタで…。

 昨日も泊ったので、同じシャツを3日着るはめに(下着はさすがに事務所にも備蓄)。やっぱり自分ちが一番だよ。素面での事務所泊りは本当につらい。 (09.1.9)