262号2月28日 |
|||
|
![]() 2月21日、全国ユニオン「2020春闘開始集会」が行われました。集会冒頭、鈴木会長が「全国ユニオンとして申し入れ行動に取り組み春闘を可視化しよう。スト権を確立するなど多様な戦術を駆使して春闘をたたかおう。底上げに取り組み、格差是正春闘にしよう。」と挨拶がありました。続いて各ユニオンから春闘の取り組みが報告されました。なのはなユニオンは、今年の4月1日に施行される「パートタイム・有期雇用労働法」を活用し正社員との格差是正を柱として春闘をたたかうということで、Mさん(ロイヤル)とSさん(オリエンタルランドユニオン)が報告しました。春闘開始が宣言されました。全国ユニオンは2月27日春闘申し入れアクションを取り組みます。一番はOLC本社(舞浜)です。 |
格差是正春闘2020、全力で取り組む!
オリエンタルランドユニオン
オリエンタルランドユニオンは、2020年4月1日に施行される「パートタイム・有期雇用労働法」<不合理な待遇差の禁止、待遇に関する説明義務の強化>を活用して、正社員との格差是正を柱に2020春闘に取組みます。
1.正社員と非正規社員の格差是正を求めます。具体的には以下のとおりです。
![]()
1.出演者の賃金について キャストに支給されている時間帯手当、着替え手当、高温度作業手当、ボーナスを同額支給に。
2.評価制度の撤廃を求めます。
3.無期転換者については、年に一度のオーディション制度を廃止する。
4.労働環境 (1)楽屋の環境整備、(2)着替え場所の整備、(3)悪天候時のキャンセル判断の変更を求めます。
(1)事前協議・同意約款(賃金、諸手当、労働条件等)の締結、(2)組合事務所、組合掲示板の設置、 (3)チェックオフ協定を締結、(4)組合員の特別扱いを行わない |
![]() ![]() N支部長が解雇されたことを契機に、一緒に辞めた9名の仲間で支部を結成し、昨年8月から交渉を重ねてきました。N支部長解雇問題、Na組合員に対するパワハラ問題は別途解決しましたが、「残業代未払問題」は1月23日に行われた第5回交渉で決裂したので、労働審判でたたかいます。 残業代問題の対立点 (1)労基法「1日8時間・週40時間」をクリアするために、就業規則と雇用契約は、(A)レッカー部門は始業9時〜終業19時(休憩120分)、(B)レッカー部門は始業19時〜終業9時(休憩360分/仮眠含む)、(C)事務部門は始業9時〜就業8時(休憩60分)となっています。しかし、実際には、出動依頼がいつあるかわからず、依頼があれば即出動という実態で、労働から解放される時間ではない「待機時間」となっていたので、休憩は取れていませんでした。 組合は売上表(1ヶ月分520枚程)を基に、1日の労働時間・1ヶ月間分を図案化して、休憩が取れていないと主張しました。しかし、会社は取得できているという主張を変えませんでした。 (2)賃金規定には基準外賃金「職務超過手当、運行管理者手当、無事故手当、特別手当、調整手当、資格手当」などについて、「予想される時間外労働に対する割増賃金を概括し、個別に設定した額を支給する」と明記されていて、各自の労働条件通知書の各手当には「所定時間外労働の割増分(最大○○時間相当分)を含めた固定額を支給する」と明記されています。 会社はそれらを根拠に、残業時間があったとしても、固定残業制で残業代は手当に含んで支払ったので残業代未払はないと主張。 組合は●手当に含んでいるという時間外労働時間の総計は1ヶ月45時間をこえて設定されている、●組合員の半数は過労死時間(月80時間)超えで設定されている、●基本給が県の最低時給ラインギリギリのところ(月16万円)で一律に低く設定され、100%時間外労働分であるとされている手当が総支給額の50%を超えている賃金体系は問題である、●基準内賃金と基準外賃金という趣旨が違う賃金を混在させている手当は、どうやって基準内と基準外を区分できるのか。等々、議論を5回重ねましたが、交わることはありませんでした。 現在、9人分の労働審判を申し立てるための準備を、大忙しですすめています。そのための聞き取りをやればやるほど、この業務は、保険会社からの電話依頼を受ける際、依頼案件にとってどこの営業所の誰が出動することが効率的なのかを瞬時で判断しなければならないとか、現場での処理は経験と技術によってかかる時間・費用が違うなど、経験と職人的技術が求められる仕事であることを実感しました。 また、出動時間及び日々のルーティン業務以外の時間、何もすることがない空白の時間について、トイレやシャワーのときも電話を携帯、夜勤時は仮眠室・仮眠ベッドがあっても、布団をしかず制服着用で横になる、横になると眠るのが怖いので起きている、食事時でも中断して出動しなければならないのでラーメンは食べない等々、いつかかってくるかわからない依頼電話に支配された時間をすごしていることもわかりました。いわゆる待機時間であるということをしっかりと裁判官にわかってもらえるような申立書面を作らねば、と思っています。立証の資料作りも大変な作業で、N支部長が連続徹夜で9人分の不払い残業時間の計算など、裁判をやるからには勝利しようと頑張っています。 |
![]() 2月17日、原告Bの「復職」を議題とする交渉が行われました。原告Bが個別で会社と話し合いをしてきたが埒があかないということで、ユニオンの交渉議題としました。 原告Bは、「頸椎捻挫・頸椎椎間板ヘルニア」で労働災害に認定をされて休職中ですが、主治医から復職可能と診断されました。ただし、主治医は「就労に関する意見書」に、就労上の注意事項として「急な負荷は禁なので、週2〜3の勤務から開始」と明記しました。 原告Bは、その主治医の意見書をもとに、ユニットマネージャー(UM)とやり取りしてきました。しかし、原告B「体力が落ちているので、すぐに100%復帰は無理」に対し、UMは「体力を戻してからでないと復職させられない」。「体力はやりながらでないとつかない」と言うと、「復帰するならすべての業務への復帰である」との返答でした。 ユニオンは、復職の流れということで、「週2〜週3の時短勤務→週2〜3の1日勤務→週5の時短勤務→週5の1日勤務」を求めました。交渉の中で明らかになったこと (1)会社とユニオンとでは、「復職可能」という概念に大きな違いがありました。 会社は、休職前と同じすべての業務を週5×同労働時間できるということでなければ病状回復とは言えないと主張。ゆえに、主治医の意見書に復職可能と明記されていても、「週2〜3の勤務から開始」ということでは、復職可能とは言えないということでした。 ユニオンは、会社の主張は復職可能との主治医の診断をあまりに無視しているとしたうえで、身体状態は復職可能であっても、1年以上休業しているのだから、会社が言うような即100%復帰は無理なので、まずはリハビリ復帰が必要だと話しました。 (2)原告Bは「現在の休職前も労災で休み、その復職時にも会社にリハビリ的復帰を求めたが、会社は認めず、結果、復職直後にすぐ怪我をして休職で現在に至ったという経緯からして、会社の言う通りの復職をしたら、また怪我をする可能性が高い。他の出演者もその繰り返しである。リハビリ復帰を認めてほしい」と話しました。 このことに対し、会社は、休業者に対しては「復職支援プログラム」(原則5日間)を組んでいる。原告Bには前回の復職にあたり、5日間+4日間延長の配慮もしたと返答しました。原告Bが1週間休んだ人も1年以上休んだ人も同じ「5日間」では支援プログラムとは言えない。主治医の意見と各人の要望に応じたプログラムにすべきではないかと提起しました。 会社は、休職中に筋トレなど努力すれば、5日間でも問題はないと返答しました。ユニオンは、一般的筋トレを努力しても、重い衣装を着て、動くのとは使う筋肉も違う。筋トレをというのならば、会社は衣装の重ささどを示して、こういった重量をかけたトレーニングを、など具体的に指示すべきではないか。そういったこともせずに、本人に努力すべきだ、復職は即100%からという会社のやり方は、原告Bだけではなく労災を何回も繰り返している出演者が多いという実態からしても、労働安全衛生の観点からしても問題ではないか、と議論しました。 ![]() 付け加えるならば、この交渉は代理人弁護士と行われました。ユニオンは会社人事の交渉への参加を求めました。 |
「時間外労働の割増賃金」、残業代の正式名称です。どういう規定なのか、ということから議論が始りました。 I「時間外労働の割増賃金と言うけど、この時間外って、どういう規定なの?」 S「法定労働時間を超えているという規定だよ。法定というのは、労働基準法で定められた労働者の勤務時間、それが労働基準法(労基法)で制限されている、ということだよ」 I「具体的には?」 KT「1日8時間・週40時間が上限だ。8時間労働制についてちょっと余談。1886年5月1日に8時間労働制を求めてアメリカ、シカゴで大規模なストライキを労働者は行った。これにヨーロッパの労働者もこたえて、国際的なたたかいになった。これがメーデーの始まりと言われている。」 M「思い出したわ。歴史上で8時間労働制を初めて法律で制定した国はどこでいつなのか、とよくKTさんが話しているわね」 S「そう。1917年にロシア革命で誕生した労働者国家でだよ。日本はなんと、戦後の1947年になって、ようやくアメリカ国家による占領下で労働基準法が施行されたんだよ。」 I「脱線したから、本題にもどすよ。時間外労働、割増賃金を規定すると。(1)法定労働時間をこえて働かせたとき=時間外労働。(2)法定休日に働かせたとき=休日労働。(3)午後10時から翌午前5時まではたらかせたとき=深夜労働。これらの テーマは「雇用保険」でした。どうしても私が担 当したくてお願いしました。 雇用保険は「雇用の継続が困難となった場合、次 に進むために生活や雇用の安定」のための保険で、職業訓練を受けることができたり、失業給付をもらえる制度です。一方で会社側には雇用の安定の ための助成金が支給されています。 割増賃金率はそれぞれ(1)25%増以上(2)35%増以上(3)時間外労働の25%増+25%=50%増以上 となる。 法定休日と所定休日をはっきりさせよう。前 者は1週間につき1日を休日とすると労基法で 義務づけるもの。これにたいして、所定休日は前 者以外に会社が決めた休日。」 S「法定休日に労働者が出勤した場合は休日労働 といい 35%増以上の賃金だ。しかし、所定休日の出勤の場合は25%増以上なので、会社が法定 休日と所定休日をどう決めているかを知らない と、割増賃金を少なく支給されて、ごまかされか ねないから注意だよ。」 K「大切なことがぬけている。法定労働時間は週40時間を上限と決めているのだから、この時間 を超えて働かせることは違法である。サブロク協定(労基法36条)を労働者代表と会社が交わ して、はじめて時間外労働もある程度『合法』とみなされているだけだ。」 委員長「待って!この残業代は前提が大切。本来、 法定労働時間は労働者の健康を守るために、経営者に労働者をこれ以上働かせさせないための 制限だよ。働き続けるために1日8時間・週40時間を上限とすることに意味がある。残業代を払えば、長時間働かせていいということじゃな い。そこんとこ忘れないで!」 一同「うん、うん、そうだよね」
テーマは「雇用保険」でした。どうしても私が担当したくてお願いしました。雇用保険を使うときには、やむを得ない理由のある、俗にいう「会社都合での退職」とそれ以外の「自己都合による退職」があり、それぞれ扱いが変わります。会社都合扱いであれば給付日数も多くなり3か月の待機もなく早く手当てがもらえます。 私は今までに家族の時を含め4回、ハローワーク(以下「ハロワ」という」の「自己都合決定」を「会社都合決定」へと変更を勝ち取っています。私自身の労働闘争の際、会社側は、自分たちの非を労働審判で認めたのにも関わらず、ハロワに出した離職票の退職理由に堂々と「自己都合」と書いてきました。ハロワはハロワで「労働審判の場で労働契約を合意解除したのだから自己都合」だと言い出しました。会社都合だと確信していたので、耳を疑いましたが「最後まで会社の責任を認めさせる」ことを決意しハロワと闘いました。 私はどうしても「最後まで自分の非を認めない会社」にも「会社の言い分を鵜呑みにし、関係のない理由で自己都合に持ち込もうとするハロワ」にも怒りを覚えていました。雇用保険は「雇用の継続が困難となった場合、次に進むために生活や雇用の安定」のための保険で、守られるべきは私のほうなのにと思い、自己都合扱いから会社都合扱いへの変更を勝ち取ることで、自信と手厚い保障を手に入れました。 家族に対しては、「病休の後、復職を希望したのに、ひと月もの間放置され、挙句、退職勧奨された」ケースです。ハロワは「退職届を出したら自己都合」と言ってきたそうで、状況を分析し対応を話し合い、会社都合を勝ち取りました。私は退職後の個人での闘い方を改めて勉強し、発表しました。その勉強会の場で委員長から団交時における対応を教えてもらいました。改めて団交での闘いの成果が大事であるか、を思い知りました。天野さんからは窓口での対応に関し、申請に必要な診断書の取得に関するアドバイスをいただきました。 今回の勉強会では、退職の際、会社とのやり取りの記録をきちんと取っておくことの重要性を訴えました。私の思いが先走り雇用保険の内容そのものよりどのようにして「会社都合」を勝ち取るかについての思いばかりを発表してしまい、趣旨から外れたことは大いに反省すべき点です。それにもかかわらず私の発表を粘り強く真剣に聞いてくださった執行委員の皆様、本当にありがとうございました。 ![]() 検証シンポジウム「関西生コン事件を考える」 2月15日、最初の逮捕者が出てから約1年半。戦後最大の労働運動弾圧事件となった「関西生コン事件」の現状を知り、国際人権法と労働法からみた問題点を考えるシンポジウムが、関西生コンを支援する会主催で開催された。 冒頭、関西生コン支部とともに闘っている弁護団の小川幸児弁護士が事件の概要を説明した。続いて小川隆太郎弁護士が国連の人権委員会への申立と国に対して損害賠償請求を準備していることを報告した。 シンポジウムは海渡弁護士が進行。パネラーとして登壇した毛塚勝利さん(労働法研究者・元中央大学教授)は、「労働法学を研究している私たちにとっても未曽有の事件。争議行為は威力業務妨害、団体交渉は使用者側が嫌がれば強要になる。しかし、それを認めているのが労働基本権であり、労働法の大前提だ。国家権力が介入してきたことは極めて異常」と発言。申惠?さん(青山学院大学法学部教授・国際人権法)は、「国際的な人権擁護の基準に照らしてあり得ないことが起きている。国際人権法に照らして取り組む。」と発言。安田浩一さん(ジャーナリスト)は「結成されて以来、常に弾圧されっぱなしの関西生コンは、まるで社会のリトマス紙。国家権力が今後進めていきたいことを関西生コンで試しているかのようだ」と危機感を露わにした。そして、無関心・無知との闘いでもあることが強調された。「関西生コン事件」は企業内に閉じ困った労働運動に警鐘を鳴らしていると、実感したシンポジウムであった。 |