2022年4月5日 No.284 |
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![]() ![]() 2018年7月19日に株式会社オリエンタルランドを相手として提訴したパワハラ裁判の判決が出るということで、3月29日、千葉地裁601号法廷の入口には12時頃からユニオンの仲間達、原告Bの支援者、マスコミ関係者らが続々と集結。13時からくじ引きがあり入廷。緊張感漂う13時10分、裁判官が会社に対して「88万円支払え」との判決を命じました。小さな声で一瞬の「88万円支払え」だったので、勝訴なのか、敗訴なのか瞬間分からず。我方の弁護団の先生方が勝訴だよと言ってくれた瞬間、原告Bが震えて泣き崩れました。OLCユニオンの仲間二人が駆け寄って、原告Bを抱きしめました。 14時30分から県庁記者会見室にて記者会見が行われ、広瀬弁護団団長と三宅弁護士がその場で裁判所から出されたばかりの「訴状」を基に「88万円支払え」という判決の評価について提起。原告Bから現在の心境、そして取材陣からの質疑応答が続き15時30分終了。記者会見場に入ることもできなかったのに最後まで居続けてくれた仲間達、ありがとうございました。裁判提訴から3年8ヵ月の長きにわたりご支援いただいた皆様、本当に本当にありがとうございました。
(1) 原告Bが訴えたパワハラの出来事12件(以下@〜K)について、判決はこれらを「社会通念上相当性を欠き違法であるとまではいうことはできない」とした。 (2) そうだとしても、「被告は他の出演者に事情を説明するなどして職場の人間関係を調整し、原告が配役について希望を述べることで職場において孤立することがないようにすべき義務を負っていたということができる。ところが被告は、この義務に違反し、職場環境を調整することがないまま放置し、それによって原告は周囲の厳しい目にさらされ、著しい精神的苦痛を被ったと認めることができるから、被告はこれによって原告に生じた損害を賠償する義務を負う。」とした。つまり、上記言動をパワハラではないとしつつ、安全配慮義務違反を認めた。 (3)ゆえに、パワハラが一つもなくても苦しんでいる労働者に配慮せよとの判断は、会社のあるべき姿(一歩進んだコンプライアンス)を示したもので、他のいじめで苦しんでいる労働者の力になる画期的判例といえる。 [原告Bが訴えたパワハラの出来事12件] @ 2013年1月頃、同年1月7日にゲストから右手薬指を反対側に折られて負傷したことについて、原告が被害届の提出と労災申請への協力を求めたとき、SV(スーパーバイザー)らから「エンターなんだから、それくらい我慢しなきゃ」「君は心が弱い」と言われた。 A 2013年1月以降、原告が上記@の行為を理由としてキャスティングの変更を相談した際、SVから「○○さんの我儘には対応できない」「解雇対象だ」と言われた。 B 2016年1月頃、原告がロッカールームで来期、同じ舞台に入る旨を挨拶した際、先輩Mから「お前みたいにやる気のない奴は全力でつぶすから」「ショーベースには神様がいるんだから、お前は神様に嫌われているから3か月後に絶対怪我するから覚えておけ」と言われた。 C 2016年1月3日、ショー出演後に体調が悪くなりトイレ内で過呼吸となっていた際、SVから「体調悪いなら早く言ってくれないと」言われ、トイレから出た原告が「過呼吸は予測できない」と応えたことに「ショーがキャンセルになったら、どう責任を取るつもりなの」と言われた。 D 2016年1月6日、ショー打ち上げの飲み会で、UM(ユニットマネージャー)が参加者らに「20歳代を集めて来い」と発言後、前に座っていた原告に「目障りだからどけ」と発言。同じ席上で、ショーベースの楽屋が合わず、喘息が起こることを相談した際、「病気なのか。それなら死んじまえ」「死んじゃえNISSAN」「30歳以上の婆あはいらねーんだよ。辞めちまえ」「てめーの我儘は聞いていらんねーんだよ」「俺の前に汚れた面見せるな」「お前は来期、シーに異動かな」「行っちゃえNISSAN」と言った。 E 2017年1月頃、原告がバックステージで過呼吸を繰り返した際、SVから「次に倒れたら辞めてもらう」と言われた。 F 2017年2月2日、楽屋にて、「どっち」と質問された際、原告が「え? 何ですか」と答えた際、先輩Sから「A(役名)とB(役名)どっちかを聞いているのに決まってるじゃん。他の人は2ポジションやりませーん。バカ?」と言われた。 G 2017年2月7日、楽屋にて原告が衣装の順番を間違えそうになったのを見た際、先輩Sから「はいー。出たー出ましたー」と言われた。 H 2017年10月27日、楽屋にて、3か月の休職を余儀なくされた2017年5月4日発生の労災事故のため従事できる業務が限られていると言った際、先輩Iから「私もできないとか言ってみたいわー」と言われた。 I 2017年11月22日、原告が楽屋内でコスチュームをクリーニングに出す旨を伝えた際、先輩Iから「あー最初からわかってたのに言わなかったでしょー。意地がわるーい。」と大声で4回繰り返された。 J 2018年2月3日、楽屋において、後輩Aから「カーペット敷きたいんですけど、早くその大きなお尻をどかしてくれます。本当に邪魔」と言われた。 K 2018年3月12日、喫煙所において原告が新人出演者から相談を受けてアドバイスしていたのを見た後輩Aが、新人出演者に対して「○○さん(原告)の言うことなんか聞かない方がいいよー」と言った。 |
勝訴しました!!
![]() 原告B
度重なる延期でしたが、やっと判決を受けることが出来ました。 3年8ヵ月という長い期間、多くの方に背中を支えられ続け、2022年3月29日千葉地裁にて安全配慮義務違反による賠償命令88万円判決を受ける事が出来ました。 私にとってはパーフェクトな結果です。 判決内容は、「一つ一つの上司や同僚からの言動が不法行為とは言い難いが、会社は職場の人間関係を調整し、原告が配役について希望を述べることで職場において孤立することがないようにすべき義務を負っていた。にも関らず会社はこの義務に違反し、職場環境を調整することのないまま放置した。それによって原告が周囲の厳しい目にさらされ、著しい精神的苦痛を被ったと認めることができる」というものでした。 弁護団の先生方は、判決は一個人の不法行為を認めるのではなく、原告本人が困っていた事実を上司は知っていたのに放置したこと、上司を含む会社全体が職場環境を悪化させたことを認め、会社が職場の人間関係を調整して孤立することがないよう配慮する義務に違反したと認めた意義は大きいと評価しました。 私は、何度相談しても放置され、徐々に病気が悪化してしまい、その結果自主的に退職するように仕向けられてきました。いじめを見て見ぬふりをし、臭い物には蓋をして隠蔽する。守秘義務の言葉や報復に怯え助けも求められない。我慢出来なければ辞める選択肢しかない。そんな職場環境にうんざりし、裁判を決意し、一番求めていたのは、職場環境の是正です。元々、加害者達への責任追求の為に始めた裁判ではないので、個々の加害者の問題行為自体は重視しておりませんでした。それよりも、そんな行為が起こっている会社の責任を求める事が1番の目的でした。出演者は我慢するべきだ! とゲストの夢を盾に押さえつけるのではなく、いじめやパワハラという行為自体が悪いことであると認識し、続けたいのに我慢出来ずに続けられず辞めていく人がいなくなって欲しい。その思いで闘い続けた私にとって、この判決は、まさに求めていた結果そのものでした。 賠償金額88万。これは、私が4年近くの時間を費やし、思い出したくもない過去の詳細に向き合い、聞きたくもないボイスレコーダーの声を何度も聞き、裁判で人格攻撃を受け、沢山沢山苦しんで傷付いて勝ち取った金額です。 日本ではハラスメントへの認識の甘さや、認められづらさがあり、ここまでやり抜き勝訴しても、苦痛分が金額には表れません。正直、上司のボイスレコーダーの内容ですら一個人の不法行為としては認められないのか… と驚きました。こんなに辛い思いをするなら、泣き寝入りし、気持ちを切り替える道を選んでしまった方が、とも思います。 それでも私は、小学生から憧れ努力を続けやっと掴んだ職業を続けるために闘う道を選びました。金額だけ見たら安く感じるかもしれません。色々な費用を差し引いたら、手元に残るのは本当に微々たる金額です。しかし、私自身は金額ではなく、求めていた判決の内容にとても満足しています。長年勤務する中でも、毎日沢山のゲストからのディズニーへの愛を一番近い場所で感じ、自分が幼い頃にディズニーに遊びに来て人生を変える程衝撃を受けたあの日の感情を、今度は私自身が受け継ぎたいと思う気持ちを持ち続け今後も仕事を続けます。現在はまだ、業務中に別案件で怪我を負い労災で休職中なので、復職後の恐怖や不安が無いと言ったら嘘になります。それでも、出演者だからと我慢するのではなく理不尽な事には立ち向かい堂々と復職します。 ディズニーブランドの名を借り、夢と魔法の王国と掲げるのなら、これ以上ディズニーのイメージが壊れないように判決を認め是正して欲しい。従業員を大切にしない企業がゲストに幸せを与えられるとは思えません。オリエンタルランドのキャストではなく、一人のディズニーファンとして、職場環境が良くなって欲しいと願っています。その為に、キャストにとっても安心して働ける本当の夢と魔法の王国と自信をもって言える場所に変わるまで声を上げ続けます。 会社は、キャストがどんな気持ちで働いているか、ゲストがどんな思いで遊びに来ているか、今一度現場の現状を把握し、考えを見直して下さい。今回の判決は、苦しんでいる労働者に配慮せよという一歩進んだ会社のあるべき姿を示すもので、おそらく初めてで画期的な判例だと聞き、本当に嬉しい気持ちになりました。会社がこの判決を真摯に受け止め、働く者にとっても夢と魔法の王国であると自信を持って言える職場に改善することを切に求めます。 最後になりましたが、この3年8ヵ月、何度も何度も心折れる中で支えて下った皆様に、心からの感謝を申し上げます。 判決後に、仲間に法廷で抱きしめられるという場面に書記官も潤んでいたようだと教えられました。「本当に怖かった。本当に辛かった。」ホッとして崩れ落ちそうだったあの瞬間、仲間に抱きしめられながら、無意識に私が何度も発していた言葉だそうです。それ程大きなプレッシャーでした。勝訴を報告した時、仲間達は自分の事のように喜び泣いてくれました。それだけこの裁判を応援して下さった方々も、仕事に誇りを持ち、私と同じくディズニーを愛するからこそ環境が良くなって欲しいと願っていたんです。 当初、労働組合に相談した際は全てを守秘義務と思っていたので、内部で起こっている事を怖くて何1つ言えず泣いてばかりでした。いじめを訴えることや労働条件を言うことは守秘義務違反じゃない、隠すことを当たり前と思い込まされている環境こそ間違いであると、皆さんが長い時間を掛けて溶かしてくれました。そんな自分が、大きな企業を相手に裁判で闘い、今回の判例を勝ち取りました。今後は自分が支えられた分、同じように苦しんでいる方の背中を自分が少しでも押していきたい。 勇気を出して組合に相談してよかった、と心から思います。何度も何度も言いたいです。いつも気に掛け、ドン底まで落ちていく度に引き上げて下さった組合の皆様、本当にありがとうございました。 「私が原告Bです!」 舞浜にて判決を報告 ![]() このコメントだと、会社の主張の「一部」が認められなかったかのように受け止められる。が、今回の判決は会社のコンプライアンスに対する姿勢そのものを真っ向から安全配慮義務違反にあたると認めたもので、まさに原告が訴えた根幹を認めたものである。組合は、社内に貼られた会社のコメントも同趣旨のようだと聞いたので、判決が一番言わんとしたことを知ってもらわなければ、知ってもらいたいという思いで、3月31日、宣伝行動に取り組んだ。 ![]() 原告Bは、「私が原告Bです。」とマイクで訴えました。2018年提訴から3年8ヶ月の間、何回も舞浜でマイクを握っても言えなかったことを、はっきり言いました。本人は久しぶりのマイクでの訴えで胃が痛くなったと言いましたが、やはり当事者が堂々名のってマイクを握る迫力は違います。 何人かが「応援しています」と話しかけて来ました。中には「理不尽なことに耐えられなく、本日で退職します。頑張ってください。」と声をかけてくれた女性もいました。急遽の行動にも関らず、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。 |
![]() ![]() 組合は、@基本給の1万円アップ、A退職金規定の改定、B作業手当の1千円アップについては、「応じられない」と要求した。 会社は、現在の会社の状況経営について、●2018年〜2021年度の決算と売上高の推移及びキャディ付きの比率、●2019年〜2021年度の正社員キャディ(16名)と一人当たりのラウンド数について資料を提示して、今期は黒字になる予定であるが、コロナ禍と自然災害の影響ありの業種なので、不安定経営であると説明をし、組合の春闘要求@ABについて応じられないと回答した。 その後、「仕事がない不安でお金となるので、会社は仕事の確保に努めてほしい。仕事があればお金はついてくるので」などの意見をやりとりする中で、会社と組合は「仕事確保に努める。要求@Aについては利益が出た時に考える」を双方で確認した。また、すぐ出来る事として、会社は「ラウンド手当の50円アップ(年間で12000円相当)」を提案した。交渉後、組合はその提案を応諾した。 更に支配人が替わったばかりであることと、社長が3月末で替わるとのことだったので、「交渉議事録」を双方で確認することとした。会社は更に3月31日、臨時賞与として一人当たり10万円を支給した。 |
![]() ![]() 毎年、正社員との格差是正を要求の柱として来た。特に有給休暇取得時の賃金支給の計算の仕方(正社員は通常の賃金、パートは平均賃金)について、同じ従業員なのに違うのはおかしい、この計算式によって額にして2〜3割低くなることは問題であると、是正を求めた。毎年、積み重ねてきたことであるが、会社は検討すると答えた。その他、Mさんが昨年の春闘で求めた「食堂のアンケート」が実施された。その結果、Mさんが2019年から求め続けた小鉢数を多くという要求が、他の方も求めているという結果が出たとの事で、実現が図られる可能性が大になった。また、シフト表がゴミ箱に捨てられていた、裏紙に使用されていたことについても現認されたとのことで、個人情報なのであってはならないことであるとし、扱いに気を付けるとなる。 Mさんの春闘要求は、労働条件だけではなく職場環境も含めて多岐にわたっている。なかなか実現しないが、それでも交渉の中で前進が図られている。ロイヤルには組合があるが対象は正社員のみで、パートの組合員はいないとのこと。名実ともに会社と交渉しているパートはMさんだけである。それでもパートの声を聞くということで、会社がキチンと対応いただいていることが交渉のやりとりで伝わってくる。今回も16時からの交渉時間を会社は労働時間としてカウントしてくれた。なのはなユニオンのなかで、交渉時間を労働時間として認めてくれているところは、唯一ここだけである。なんとか、この労使関係が続き、少しずつでも労働条件が改善していくことを願う。 |
![]() ![]() 麺類関連の店で働く社員・アルバイトが軸となって結成した麺アクション・ジャパンは、“たかが毎日の1分、されど1分”をしっかり労働時間としてカウントさせたく、開始! |