なのはなユニオンニュース

2022年12月29日 No.292






パワハラ裁判、高裁へ



 12月14日15時30分から高等裁判所809号室にて第1回裁判が行われた。寒い日であったが、東京ユニオン、シニアユニオン、東京管理職ユニオン、そしてなのはなユニオンの仲間たちが14時30分から裁判所前で宣伝行動に取り組む。原告Bの裁判を個人で支援する方々も駆けつけてくれた。

 809号室の傍聴者は裁判所入り口右脇に並んで下さいとの掲示板があり、5人程オーバーとのことで、傍聴券はくじ引きとなる。

第2回裁判 809号室は満席で、第1回裁判が始まる。裁判官から次回はZOOMでとの話があったが、原告側弁護団から「これだけ多くの傍聴者が来ているので次回以降も公開で」との返答で、次回も809号室で開催となる。




原告Bから
原告Bから 本来ならば高裁は1・2審で終結するとの事で、昨日判決が出る覚悟をしていましたが、結果として判決は出ませんでした。しかし、第一審の結果を元に今一度改めて内容を精査し、今後審議される事になりました。地裁判決で「会社は他の出演者に事情を説明するなどして人間関係を調整し、職場において孤立することのないよう原告が配役について希望を述べることは職場環境を調整するべき義務を放置し、それによって周囲の厳しい目にさらされ著しい精神的苦痛を被ったと認める事が出来るとし、会社の職場環境を調整する義務を怠った。一部認められる発言等についても、社会通念上相当性を欠き違法となるとまではいえない。」という、1個1個のいじめ行為は的確な証拠に欠け、パワハラとしては認められませんでしたが、会社は知っていた上で放置した一連の経緯は認められました。今後の審議次第では、併せてパワハラ部分も認められる可能性も出てきたと期待しております。

 オリエンタルランドが「原告が主張するパワハラは認められなかった」と周知した部分を「パワハラがあり、職場環境を調整する義務を怠った」と、認めてもらえるチャンスを掴み、私自身は良い方向に向かっていると感じました。勿論、地裁判決が覆されてしまうのではと不安もありますが、パワハラの言動が立証できず違法性が認められなくてもパワハラ被害の救済が拡大される可能性に願いを込めたいと思っています。

 そして、昨日傍聴に来て頂いた皆様、本当にありがとうございました。私自身に余裕がなく、1人1人に、ゆっくりお礼をお伝えする事が出来ずに大変申し訳ありませんでした。傍聴席も埋まり、更には抽選にもなり、裁判官に対し世間に注目されていると表すことが出来ました。今後ZOOMで弁論が進められる可能性もありましたが、これだけ応援の方が来ているので次回以降も法廷で行って欲しい旨の希望も通り、皆様のご支援のお陰だと心から感謝致します。息を抜くにはまだ時間が掛かってしまいますが、今後もご支援お願い出来ましたら幸いです。

 次回は3/6(月)の15:30から809号法廷に決まりました。(14:30から裁判所前でアクションも行います)まさかの長期戦に突入という結果で、まだ続くのか・・・と、先の見えない不安と緊張の日々を過ごす結果に一瞬は落胆しましたが、改めて同じパワハラ被害に遭っている方々にとっても大きな意味のある裁判と捉え、引き続き気を引き締めて頑張ります!!



富士そば店長ら15名の残業代請求裁判、和解!
イラスト
 富士そば労働組合の店長ら原告15名が、株式会社富士そばを相手として2020年10月に労働審判を申し立て、本裁判に移行して2年2ヵ月にわたり係争してきた残業代請求裁判が、12月27日に東京地裁にて和解しました。今回の和解にあたり、会社が原告に支払うべきものとされた解決金は、原告らが訴え提起時の請求額より相当程度減額されたものですが、一括で和解しました。

 長い間ご支援をいただき、本当に本当にありがとうございました。これからも富士そば労働組合支部長らの懲戒解雇と残業代請求裁判、団体交渉拒否などの不当労働行為を申立てた都労委などの闘いは継続します。富士そば労働組合全力でがんばりますので、ご支援を引き続きお願い申し上げます。



2023春闘セミナー開催

 12月3日、全国ユニオン主催の「2023春闘セミナー」が開催された。冒頭、鈴木会長より挨拶。

写真(鈴木会長) 第1単位「どうあるべきか? フリーランスの保護法制」は沼田雅之教授(法政大学)が講演。沼田先生は連合総研「働き方の多様化と法的保護のあり方」2017年より)などの資料を元に、個人事業主の労働条件、働き方の満足度などを提示。フリーランスで働く人が“自由”を基軸とした労働の在り方に満足度が高い、一方で年収200万円以下が30%、半数が400万円以下、労災の対象外など法整備が不十分なので安定した生活のために法整備が必要であると提起。フリーランスの働き方は子育中の女性や、障がい者などにも働く選択肢を広げる可能性があるともいえ、労働者としての保護が進めば働き手の満足度を活かした新しい働き方になるのかな…など、沼田先生の話は興味深かった。

写真(関口事務局長) 第2単位は「全国ユニオン2023春闘方針(案)」を全国ユニオン関口事務局長が提案した。

写真 第3単位「アメリカ労働運動の現在地と日本の労働運動が学ぶ際の視点」は菅俊治弁護士(東京法律事務所)が講演。レイバーネット「米国労働運動情報誌」からアメリカの労働運動の現在を具体的に解説。アメリカ労働運動がソーシャル・ジャスティス・ユニオニズム(社会正義を掲げる組合運動)を掲げて広がっていることに共感。全国ユニオンが結成当初より掲げてきた「社会的労働運動」を、もっと具体的に積極的に取り組むことが、運動の幅を広げ、組織化に求められているのではないか、と思った。

※菅先生訳の「職場を変える秘密のレシピ47」は組織化のスキルなどをわかりやすく提示。




 日本において、アマゾンをはじめとしたプラットフォーマーと呼ばれる企業と、その影響下で働くギグワーカーの労使関係においては、現状、「労働基本法上の労働者」の基本的な権利最低賃金や労働時間規制などはほとんど与えられておらず、その搾取の構造は非常に問題です。

 去る11月25日、東京都目黒区、通販大手アマゾン本社前での抗議行動が行われ約30名が参加。なのはなユニオンからも参加しました。国際キャンペーン「メイク・アマゾン・ペイ(アマゾンは責任を取れ)」に連帯した、世界同時アクションのひとつとして全国ユニオンの主催で「東京ユニオン・アマゾン配達員組合横須賀支部」が荷物量の軽減や団体交渉を求めた行動です。

 「ブラックフライデー」開始日にあたるこの日、組合はセール期間の荷物量の調整を求める要求書と、組合員ら20人の署名提出を試みて声を上げましたが、会社側は受け取りを拒否しました。

 一方、同じ日、東京都労働委員会において「ウーバーイーツ」の配達員について「労働組合法上の労働者」と認める判断が出されました。これは団体交渉権やストライキを行う権利が認められたという事で、同じギグワーカーである他企業の方々にもいい影響えそうです。

 フランスで2018年、飲食配達員を労働者とする最高判決が出され、EUの欧州委員会は21年、ギグワーカーを労働者として保護するかどうかの判断基準を示した法案を発表するなど、欧米先行でギグワーカーの権利保護に取り組む方向に動いているように思います。しかし日本では、ギグワーカーの保護について、議論すらこれからという段階です。

 今後、日本でもますますギグワーカーが増加していくことが予想されており、労働者の連帯による今回のような行動から議論がすすみ、早急に適切な労使関係が取られた法整備が進んでいくことを願います。



東京ユニオン
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 12月23日、東京ユニオン富士アミドケミカル支部が親会社である南海化学株式会社(大阪本社)に、計画解散は許さない! 組合員の職場を奪うな! 南海化学の上場阻止、組合つぶしをやめろ! 緊急大阪アクションが行われた。なのはなユニオンからも3名が参加。

 朝11:00、大阪の四ツ橋駅に集合。関西・関東共に、多くの仲間が集合し、強い風で旗を持っている事も困難で、挙げ句に雪の降る中でのアクションが行われた。

 各ユニオンが、寒さでかじかむ指先でマイクを握る。外では会社に対し必死に問題の早期解決を訴えている反面、要請書を提出に入ったビルは暖かく、社長はいるが対応出来ないと人事が対応に、身を粉にして従事してきた従業員に対し、会社の利益の為に労働者の生活を奪い、寒空に放り出す姿が重なり、怒りが倍増。

 富士アミドケミカルの支部長と書記長もマイクで思いを伝えました。社内の重要機密を漏らし、懲戒解雇の疑いがあると恫喝された内容は「googleで会社が自ら出した情報」という誰もが目にする事の出来る情報で、社内掲示板等の社内での話かな? と思っていた為、まさかインターネット上に公開された情報を機密情報と言っているとはで、思わず行動参加者達から会社に対する呆れた笑いが出ました。強風で、たくさんの幟が怒りを表すかのように荒々しく揺れ、大勢でのシュプレヒコールは本当に圧巻!!

 その後は、パワハラでの不当解雇撤回の要請にドクターキューブ株式会社へ移動。試用期間中に社長からパワハラを受け続け、適応障害になったAさんに対し、メールで解雇を通告。商業施設内にある立派なビルの18階に会社を構える会社で、厳重な警備員体制でしたが、負けずにアクション!!

 そこで私は心に残った出来事があります。ビルの中が広く、会社の方向が分からず迷った際「すみません、すみません」と謝るAさん。その言葉に「仕方ないよな。入社の時一回しか来たことないんだから。」と仲間の一人が言いました。パワハラを受けていた人は、何に対しても謝り癖が付いていて、口を開くと謝罪してしまいます。そんな状態の時に責める言葉ではなく、「仕方ない」と肯定してもらえたら、どんなに嬉しい事か…。自身の経験と重ね、たった一言の1場面での出来事ですが、私は改めて組合の方と連帯する心強さを感じました。その一方、社長からは悪いことをした自覚が一切無い言葉。Aさんに対し「久しぶりやな! 元気だったか?」と。社長本人のパワハラで適応障害を発症した者が元気な訳が無いだろう! と怒りが湧き、組合に対し「遠い中わざわざご苦労さん」と、何のために来ているか一切理解していない嫌味満載で見下していると感じる社長の態度に、同じ人間でもこんなに違うのか…と落胆しました。

 再び南海株式会社に移動。寒さが増して疲労の色が見え始めましたが、再び一丸となってシュプレヒコールを行う。東京ユニオン、そして富士アミドケミカルの支部長と書記長も「各ユニオンからの連帯の挨拶に胸が熱くなり、こんなに多くの人が集まると、改めて一丸となって闘う気持ちが強くなった」との言葉に、私も胸が熱くなりました。最後もシュプレヒコールで、行動は16:00頃に終了。

 仕事を奪うということは生活を奪うこと、命を奪うこと。労働者の使い捨ては決して許してはいけない。関東・関西の仲間が連帯して怒り、問題の早期解決を願い、お互いに助け合う大切さを学んだアクションでした。次回は右記のとおり1月に再び予定されています。

 なのはなユニオンの皆様も、是非この東京ユニオンの闘いを応援しましょう!






☆☆おしらせ☆☆

2023年


 1月 7日(土)14:00
全国ユニオン旗開き
「映画/関西生コン「ここから」上映」
連合会館

 1月13日(金)
東京ユニオン大阪行動

 1月20日(金)
東京ユニオン大阪行動

 1月21日(土)18:00
なのはなユニオン執行委員会

 1月24日(火)16:00
全国ユニオン首都圏幹事会

 2月17日(金)
全国ユニオン春闘決起集会





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なのはなトーク
 何か息苦しい2022年が終わりますが、物価高や終わらない戦争など2023年も良いことを捜すのに苦労しそうです。そんな中、来年は(今年は?)きっと、太田愛さん作「未明の砦(とりで)」が単行本として出版されるのではないかと楽しみにしています。この作品は千葉日報に21年の5月ごろから1年以上に渡って連載され、22年の7月か8月頃に終わった新聞小説です。もう細かいところは忘れてしまいましたが、毎朝楽しみに読んでいました。作者の太田愛さんはテレビドラマ「相棒」の正月スペシャルの脚本なども担当され、人情味あふれる作品を送り出している印象です。詳しくは「太田愛」の名前で検索すると公式ホームページやブログが見つかりますので、是非ご覧ください。

 さて、「未明の砦」に話を戻すと、作品の主人公は自動車工場に勤務する4人の非正規作業員です。職場では正社員がいばりちらす中、寮住まいをしていますが、何日か連休の夏休みも行くところがなく、帰省する実家もありません。(帰省する交通費がないだったかも)そんな夏休みに正社員の先輩に泊まりがけで房総の(?)海水浴場に誘われて、この時の出会いがきっかけで、正社員も非正規社員も加入できる労働組合を立ち上げることになった、というのが話の中心になっています。そのお世話になった先輩社員の過労死も大事な物語の背景になっていますが、単純に読み物としても面白く、楽しめるように書かれているのが、さすがテレビドラマの脚本家だなぁと思いました。4人は職場の、ベルトコンベアで運ばれてくる自動車の部品組み立てに秒単位で追い立てられる様子を皆でシンクロするパントマイムとして演じて動画サイトにアップして組合員の募集をするなど、文章から情景が目に浮かぶ感じがしました。会社との第1回団体交渉もトリッキーなしかけで、指定された貸し会議室ではなく、本社の特別会議室で行うことに成功するなど笑えるものでした、内容はネタバレしすぎないようにこの辺でやめておきますが、なのはなユニオンの仲間には是非読んでほしい作品です。

 新しい年は心穏やかに、本やテレビや映画などを楽しめる年になってほしいと切に願います。
(市川地域支部 片岡)

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