なのはなユニオンニュース

2024年1月24日 No.304






2024年 、 元気にスタート


 全国ユニオン鈴木会長が年頭の挨拶。そして乾杯の後、参加いただいた議員、弁護士、他労働組合などなど、日頃活動をご支援いただいている29名の来賓の方々からお祝いの挨拶をいただいた。

 最後に首都圏傘下ユニオンが2024年を闘う決意を述べた。なのはなユニオンは7名が参加し、富士そば争議が昨年末に終了したことの報告と支援に対するお礼、OLCの原告Aの裁判の報告、首都高KRMユニオン結成の報告、そして原告Bが最高裁をたたかう決意、Mさんが今年も“一人春闘”を闘う決意を述べた。




OLC原告A裁判(業務過重) 敗訴!

 原告Aが、2018年7月19日に株式会社オリエンタルランドに対し、安全配慮義務違反を問うた裁判の判決が12月26日に千葉地裁にて下された。

 2017年8月10日、船橋労働基準監督署は過重労働による「上肢に過度の負荷がかかる・・・運動機能障害」と認定されたので、会社に業務過重の改善を求めて団体交渉を重ねた。しかし、会社は「労働災害に認定されたことは認めるが、安全配慮義務違反はないので、改善すべきことはない。」との返答を繰り返したので、2018年7月19日に裁判を提訴した。

 判決は「棄却」。原告A、弁護団、そして支援の仲間たちの予想を裏切った全面敗訴で、大いなる疑問が残った判決であった。

 2024年1月4日、原告Aは東京高裁に控訴した。引き続き、ご支援をお願いしたい。

判決を受けて

 まず今日この日は絶対勝つと信じて先生たちと迎えたこと、判決で私達がやってきたことは正しかったと認められなかったこと本当に悔しく思います。

 2018年7月19日に提訴してから5年以上が経ちました。ここまで支えてくださった皆さまへお礼申し上げます。ありがとうございました。

 かなりの時間がかかりましたがようやく一区切りがつきました。今回の判決を受け今後どうしていくはこれから先生方と相談していきますが、今はただ残念な気持ちでいっぱいです。

 私達は着ぐるみアクターという特殊な職業で存在してはいけないと会社に言われ続けてきましたが働いている生身の人間がいてそれをなかったことにするのはとてもできないことでした。ましてや過重労働で首や腰のヘルニアなど次の生活に繋げられないようなケガをして退職する人の多い職場です。夢だけでは語れません。

 ケガからの職場復帰にあたり、国が過重労働で発症した労働災害であると認定したので、前と全く同じ状況で働くことは難しいと思い、労働条件の改善を求め団体交渉を重ねました。しかし、会社の答えはいつも同じで「あなた以外は発症していない、あなたの自己責任です。今まで通りに働いてください」と言われました。私は何も変わらない職場に疑問を覚えたし、従業員は使い捨てだからどんな無茶をさせてもいいかのような経営者を、尊敬してついていこうとは思えず、裁判に至りました。

 今回の判決は労災が認定されたことすらなかったことにするような内容で、25kgや30kgを着せられて走り回ったことによるケガなども全て自己責任といわれるのは到底納得できません。

 会社が、裁判所からの衣装の提出命令を無視したので、原告が主張する重量で判断すると決まったはずなのに、裁判所が会社の不誠実な対応を不問にしたことも理解ができません。

 ファンの皆様からも、夢を壊したことは許せないという言葉をいただくこともありましたが、好きだからこそ全てを肯定するのではなく、世間に誇れる優良会社であってほしいと思うのは何もおかしなことではないはずです。

 これからも理不尽に対する闘いは続くかも知れませんが、本当の最後までどうか温かく見守っていただけたらと思います。
(原告A)

原告Aに対する判決「棄却」の要旨

1.原告側が安全配慮義務違反を主張し、損害金385万840円を求めた根拠

(1)重量(8s以上の着ぐるみを着用させるべきではない)

 重量については、2022年1月27日の検証物提示命令を会社が拒否したので、原告主張の10〜30sが重量として認定された。
 女性労働基準規則2条第1項第1号、同3条で禁止される継続作業における重量は8〜20sであるが、原告の業務は単にこの重さの荷物を運ぶという事ではなく、この重量の着ぐるみを着用して演技を行うという過酷なものなので、同規則における最も厳しい基準によって制限するべきで、年齢に関わらず8s以上の着用をさせてはいけない義務があるとした。

(2)演技・休憩時間(最大30分・1時間休憩)

 同業他社では、1回あたり演技時間は30分、休憩時間は45分である。しかし、OLCでは1日あたり3〜6時間着用し、35〜75分間演技。演技と演技の間の休憩時間は30分しかなく、着ぐるみの着脱時間を除くと休憩時間は10分以下のことが多々あった。

(3)健康把握義務・軽減義務の実態

[1]原告は2016年9月1日から同年11月19日までの間、首、肩、背中の痛みないし違和感を多数回、訴えていた。(コンディション確認表に記載)

[2]原告は2016年11月5日から同年12月30日までの間、20回にわたりコンディショニングトレーナーに上肢筋骨格系障害の症状(後頭部、頚部、上腕、前腕、手指などのこり、だるさ、痛み、しびれなど)を訴えていた。(CR対応情報に記載)

[3]2016年11月15日「背部のピッキとする痛み」、同月16日は「頚肩部の違和感」、同月20日「頚背のつらさ、左上肢の震え」を訴えていた。(コンディショニングノートに記載)

[4]ゆえに、会社は原告の上司の故障について2016年11月には把握可能であり、これ以降の業務軽減などを図る義務があったのに、原告に着ぐるみ着用業務を漫然と継続させた。

2.判決

 業務に起因して上肢障害を発症したと言えるが、安全配慮義務違反による不法行為責任は問えない。

(1)原告が障害を発症したことについて

 原告は9.38sを着用して業務していたことから、頚部、肩ないし腕にかけて相当の負担がかかっていた。原告には既往症はなかったことから、上肢障害は業務に起因するものることは認める。

(2)安全配慮義務違反

[1]重量



原告は16歳以上なので、上記女性労働基準規則は直接には適用されない。


規則でいうところの重量物を取り扱う=重量物を持ち上げる業務と限定的にとらえる法的根拠はない。
本件業務が、重量物を取り扱う業務よりも身体に対する負荷が大きいとの主張自体に疑問。
同規則で年齢区分で重量制限を設けている趣旨は、年齢=身体の発達の程度に応じて身体に与える影響の程度が異なるからであり、身体に対する負荷が大きい業務であること=適用年齢区分を下げることは正当ではない。


同規則をもって8s以上の業務をさせてはならないという義務を負っているとはいえない。


ゆえに、義務を負っていることを前提とした原告の上肢障害についての安全配慮義務違反の主張は、前提が認められない以上、前提を欠いているので認められない。

[2]演技技時間30分・休憩時間1時間

 当該義務の発生根拠とした同業他社の証拠は、その調査内容や作成経過が不明で、裏付けがないので、そのことをもって安全配慮義務の成否の判断は困難。

[3]2016 年11月15日時点で原告の業務軽減措置をとるべき義務

 会社が軽減措置を講ずべき注意義務があったというためには、会社がこうした措置を講ずべき状態に原告があることの予見可能性と結果の回避可能性が前提となる。



会社は勤務開始時に「コンディション確認表」にて自己申告を求めていた。また業務中に感じた体調の変化についても日々申告するように指示していた。
業務の性質上、本人申告がなければ、適切に把握することは一般に困難であるので、「コンディション確認表」の記載に基づいて、健康状態を把握していた。


原告作成の「コンディション確認表」に2016年11月8日以降、上肢部の痛みや違和感に対する記載は11月13日、11月15日、11月17日、11月19日の4日間だけである。その申告内容も痛みの程度は5段階のうち1or2で、原告が軽減勤務を求める事情をうかがわせるコメントもない。ゆえに、記載内容から会社が軽減勤務を訴えていることを認識することはできない。




原告は2016年11月15日以降、トレーナーに痛みを申告していたから、会社は原告の症状を認識できたと主張するが、会社は本人申告の「コンディション確認表」に基づいて出演者の健康状態を把握していた。トレーナーに申告=会社に申告したとはならない。




トレーナーが記載していた「コンディショニングノート」は会社に提供されることになっているが、「コンディショニングノート」やCR対応情報の記載にはトレーナーが専門用語や略語が多用されていて、会社の従業員がその内容を正確に把握することは困難である。




「コンディショニングノート」の内容がCR対応情報にまとめられる過程で、客観的所見と評価等が省略されることからすれば、会社において「コンディション確認表」とは別に、会社が提供を受けたCR対応情報をその都度確認したうえで出演者の健康状態を把握することは想定されていない。
CR対応情報はトレーナーから直接会社のSVに出演者の体調等についてアドバイスがあった場合等、「コンディション確認表」では把握できない事態が生じた際の補助的資料を目的に提供されるにすぎない。
ゆえに、トレーナーに申告したからといって会社に自らの健康状態等を申告したとはいえない。




「コンディションニングノート」やCR対応情報の記載には、原告が2016年11月15日から2017年1月5日にかけて複数回にわたり痛みや違和感を訴えていることは認められる。その訴えに対しトレーナーは、ストレッチ、マッサージ、トレーニング等のアドバイスで対応している。
2016年12月20日には震えが続くのであれば受診するように指示しているが、原告が受診した事実はない。
業務内容の軽減や休業を要する旨の記載はない。
2017年1月7日に今まで感じたことがない症状を訴えたことで、初めてトレーナーがSVに症状を報告したが、それ以前は原告の業務軽減や休業を要するほどのものと認識することはできなかった。




原告が「コンディショニング確認表」やCRの利用以外の方法で、会社やSVに直接症状を訴えた事実はない。




2016年11月15日時点で、原告が軽減業務を要するほどの痛みを訴えていることを認識できたとはいえないので、軽減業務措置を講じなかったからといって、その前提の原告の病態に関する予見可能性を欠いていたので、会社が原告に対し業務軽減措置をとるべき注意義務違反があったとはいえない。




2017年1月7日、SVはトレーナーから原告の痛みの訴えの報告を受けて、初めて原告の状態を認識をして、同日のDP終了後、直接に状態を確認し、産業医の診察に同席するなどしているのだから、注意義務違反はない。





OLC原告B
職場に復帰
 2018年7月に業務災害で休職し、復職するならば100%元通りに戻らなければ復職させられないという会社側の意見と、キャラクターの衣装は10kg〜30kgの重量がある為、いきなり30kgの衣装ではなく、10kgの衣装から徐々に身体を慣らしながら復職させて欲しいという組合側の希望が折り合わず、この間5回の復職交渉を行ってきました。

 2023年10月25日に「症状固定治癒」と診断され労災が打ち切りになったため、2024年1月10日に復職可否を判断する体力テスト(腹筋や腕立て伏せ等の全10項目程の筋力テスト)が行われ、一発で合格。同時に産業医の復職許可も出た為、5年半の期間を経て2024年1月11日から復職が決定しました。

 休職している期間も筋トレを行い、毎日2時間のウォーキングを欠かさず行い復職を目指してきました。今回の体力テストの会社からのコメントでは「2014年の体力テストの結果よりも筋力が落ちている」との事でした。しかし、どんなアスリートでも、10年経てば加齢で筋力は落ちてしまうのは仕方がない事だと思っているので、結果を悲観するのではなく、5年半という長い期間、キャラクター出演者を続けたいという強い想いで、復職を諦めない気持ちを持ち続け、努力し続けた自分をまずは褒めたいです。

 最高裁に上告中のパワハラ裁判の原告という事もあり、復職には大きな不安があり、怖くて仕方がありません。しかし、もう1度キャラクター出演者としてステージに立ちたいというこの強い気持ちに背中を押してもらい、2月1日(予定)から職場に復帰します。

 無理せず頑張って参りますので、引き続き応援よろしくお願い致します。



労災で休業12年間。
職場復帰ならず、和解!
 Kさんは、脳神経外科病院に理学療法士として2006年に就労し、2009年9月に腰痛を発症。休めずに無理して働き、2010年3月に一気に悪化し、「腰椎椎間板症」と診断され休職に入る。

 直属の上司であった課長が労災の手続きを進めずに、Kさんに退職を勧奨。さらに上の上司である事務局長らとの話し合いで、やっと7月に労災が申請されて2010年10月に労災として認定される。その後、2022年5月に労基署から症状固定治癒が通知されるまで、Kさんは12年間休職。

 Kさんは、元職への復職を求めてユニオンに加入して交渉に入る。しかし体調は元に戻らず、元職に戻ることはできないということで、病院内で他職での就労を要求したが、病院内にKさんが就ける業務はない等々の話し合いの最中、法人はKさんを解雇。解雇理由は(1)12年間にもわたる休業には疑義がある、(2)Kさんの直属の上司・課長はすでに退職し亡くなっていて、他の者にKさんは話していないので当時の状況はわからない。ゆえに法人には安全配慮義務違反はないとのこと。

 組合は、(1)12年間の休業は労働基準監督署と主治医の判断によるもので、Kさんの判断ではない。疑義があるとの主張ならば、疑義の証拠を出すように。(2)Kさんが12年間も休業しても治らないほど、身体が悪化したのは、すぐに安心して休める状態を作らなかった法人の対応に問題がある。直属の上司・課長は亡くなっているとしても、Kさんは労災認定直後に、法人の会議で身体が悪くなった状況、なぜ悪くなったのかについて書面を提示して話している。また、その後に何回も当時の事務局長に手紙を出して状況を訴えている。Kさんの話しに耳を傾けなかったのは法人である、と主張。

 交渉を重ねたが復職には至らず、金銭での和解になる。




【《昭和〜平成》:ヴィンテージとレトロ、その狭間の中で】第8話

《知人<友人?》

 元旦から相次ぐ災害、2024(令和6)年の幕開けは、とても現実とは思えません。

 このような時に感じるのは、やはり人間は一人では生きられない、という事です。

 フルタイム/月〜金で働くかたに於きましては、通勤時間も含めば、それこそ一日の殆どを仕事に費やしている事でしょう。

 それはつまり、家族よりも多くの時間を、家族以外の人と過ごしている、というもう一つの事実を知る事になるのであります。

 私は独り身ですが、それでも確実に自宅以外で過ごす時間が多いのです。

 皆様は、皆様の御家族以外の、言ってしまえば「他人」と、どのようにお付き合いをされていますか?

 職場の人といっても、上司、先輩、後輩、色々あると思います。ご近所のかたにも、古くからの付き合い、最近引っ越して来たお隣さんなど、様々でしょう。

 それぞれの理由から、接し方は変わってきますよね。

 ですが、長い付き合いだからといって親密な関係だとは限りませんし、最近知りあったばかりなのに、もう意気投合、人生の大切な仲間になったように感じる、という人もあろうかと。

「歳を取れば人の付き合いや、その数も変わる」と云われていますね。 私も年々友人の数が減っています。誰かが他界した、というのでも、遠くへ引っ越した、というのでもなく、単に交友が遠ざかっていく、と申しましょうか。故に減っていくように感じる、今日・この頃なのであります。

 さて、そんな中、ふと思うのです。知人・友人の違いとはいったい何でしょうか?

 思うのですが、事務的に申しますと、私の中で「知人」とは、個人情報が少ないかた。

 そして「友人」とは、職務からではなく、住所・氏名・年齢以上の個人情報を比較的詳細で多くの事を知っている親しいかた、になるのかな、と。

 他意はありませんが、今の私の職場の人達は、一様に私にとりましては知人かなと思います。

 だからといって知人の関係が友人より悪いというわけではありません。

 また、友人も多くいれば良いというわけでもなく、その人に合った付き合い方、人数などあろうかと。

 しかし、親しい間柄の友人であったとしても、常日頃から行動を共にしているわけではないと思いますので、やはり災害時には、何と言っても「知人」の間柄の、職場の人や、あいさつ程度しかしない御近所様、といった方々の御力が必要不可欠になるのではないでしょうか。

 何故なら、先のとおり、一日の中で一番長く、そして一番近くに居る事が多いからです。

 故に、助け合いの精神を発揮する初動の為に、日頃から知人の方々にも、友人と同等の接し方が必要だと、今回の災害をみて強く感じました。 それでも陽はまた昇る、のであります。

 それでは皆さま、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。そして今月も御安全に!

(HK)



謹賀新年



車イスからこんにちは(1)




☆☆おしらせ☆☆

2024年


1月27日(土)17:00
なのはなユニオン執行委員会
ユニオン事務所
18:00から新年会

2月16日(金)
全国ユニオン2024春闘決起集会

2月22日(木)
全国ユニオン春闘アクション

3月28日(木)
厚生労働省交渉







なのはなトーク
「新しい封建制がやってくる」を読んで

 新年早々から地震や航空機事故など、穏やかではない年の始まりになってしまいました。日本でも格差社会が拡がっていると言われていますが、世界的にも大きな時代の変わり目ではないかと感じています。

 世界の潮流にも目を向けようと考え、書店で目に入った「新しい封建制がやってくる グローバル中流階級への警告」(ジョエル・コトキン著 寺下滝郎訳 東洋経済新報社 2023年(原著は2020年米国で出版)という本を年末に読んでみました。

新しい封建制が 著者は、アメリカの都市問題研究者のジョエル・コトキン。2020年に書かれたこの本は、「格差社会の広がり」、「階級の固定化」についてアメリカや世界の状況を分析して憂いています。「中流階級」が没落して、1%のごく一部の富裕層とその他大勢の貧者に分かれてしまう現状。富裕層以外は「奴隷」や「農奴」と化す未来社会に警鐘を鳴らしています。驚いたのは、ITなど先端産業で、世界経済を牽引しているカリフォルニア州が実は貧富の格差が大きくて、「現在、サンフランシスコ市では4割近い家庭が生活苦に陥っている。住宅価格の高騰により、労働者階級や中流階級の多くは、勤務地から数時間もかかる遠方に追いやられている。住民のなかには、友人宅のソファや車の中で寝起きする人や、住む家がなく野宿する人も増えている。こうした傾向はベイエリアの他の地域、特にシリコンバレーにも及んでいる」と書かれていることです。アメリカのハイテク産業に勤める人が、車中泊や知人宅に住まわせてもらっていたり、野宿したりしているというのが衝撃的でした。

 なのはなユニオンと同じく全国ユニオン傘下に「プレカリアートユニオン」がありますが、この本には、「プレカリアート」についての記述もあります。

 「(欧米では)労働組合が労働時間や手当も決めることが多かったが、今日の下級労働者は、その多くが自分の労働時間を管理できず、しがしば最低限の賃金でぎりぎりの生活を送る『プレカリアート』と呼ばれる状態に陥りつつある 注)プレカリアートはイタリア語の「不安定な」を意味するプレカリオと「賃金労働者階級」を意味するプロレタリアートを組み合わせた造語」

 豊かな人はほんの一握りで、ほとんどの人は「新しい封建制」のもと、「新しい奴隷階級」として生きるしかない世の中がやってくるというのが、この本の全体のトーンですが、最後に書かれているのが、「新しい封建制に立ち向かえるのか?」という章の「第三身分よ、目覚めよ!」と題された段落です。

 「新しい封建制に抵抗しようとする第三身分の政治的意志を目覚めさせることが必要である。子どもたちが受け継ぐ世界はどのような世界になるのか。私たちが『関与する市民』として、自らの立場を堂々と主張する決意を奮い起こすことができるかどうかにかかっている」と結ばれています。

 「目覚めよ、そして立ち上がれ」ということなのだと改めて思いました。
(片)