シンデレラ☆ガイ
									
											
											シンデレラガイ VGエンディングSS
									※いろいろ酷いことになってます
											 シンデレラガイといいつつ、シンデレラではないです
											 やっぱりいろいろ酷いです
											 オケですか……?
									
											
											
											
											
											
											「やっぱりシンデレラの劇は止めます」
											イオンは穏やかな表情を崩さないまま、ぴしりと言い放った。
									「ええーイオン様 今更…」
											「このままですと、王子役の争いがそのまま世界大戦になるようですから。
											ここまで準備していただいたのに皆さん申し訳ありません」
											「気にするな。シンデレラ用に作った衣装は、後でガイラルディアで着せかえして楽しむからな」
											楽しそうに言うピオニーに「着ませんよ!」と、ガイがあわてて突っ込む。
									「けど子供達は劇を楽しみにしてるんだろ?」
											と、心配するルーク。
											「はい、ですから演目を変えようと思います。シンデレラではなく、白雪姫はどうでしょう」
											「まあイオンがそれで良いなら俺たちは協力するぜ」
											「ありがとうございますルーク、ガイにはお詫びも兼ねて、今度は王子役はいかがでしょうか」
											「あ、ああ、女役でないなら、何でも演らせてもらうよ」
											「ガイなら王子の衣装も似合いそうですわ」
											こうして話は穏やかにサクサク進んだが…
									「あ!でも〜白雪姫って、最後に王子様が白雪姫にキスするんですよねえ。ガイにはやっぱり無理なんじゃないですかぁ?」
											というアニスの発言の‘王子が白雪姫にキス’というポイントに、周囲の面々がぴくり!と反応した。
									「では白雪姫役はまた女性でなければ良いんじゃありませんか? ガイのためです。仕方在りません、ここは雪国育ちの私が一肌脱ぎましょう」
											「まてジェイド、雪国育ちなら俺もだ」
											「そんな日焼けした白雪姫なんて論外です」
											「だー! なんだか分かんねえけど、ガイが王子役なら主役は俺だ!」
											「おやルーク、久々に前向きですねえ」
											「おっさん共にガイを好きにさせられっか」
											「ちょっと待てレプリカ野郎! 白雪姫なら……ヴァンに連れ去られた経歴の俺が適任なはずだろう…(だんだん語尾が尻つぼみ)」
											「…白雪姫役は誰でも良いのかね?(←)」
									先ほどの王子役争奪戦化してきた流れに、イオンはやはり穏やかに笑う。
									「白雪姫役は、では抽選にしましょう」
											「はいはーい、じゃあ白雪姫をやりたい人は、名前を書いた紙をこの箱の中に入れてくださいね」
									段取り良すぎるアニスによって、抽選はすぐに済んだ。イオンが箱の中から一枚だけ名前の書かれた紙を抜き取る。そして。
									
											
											
											
											
											「白雪姫役は……………  ヴァンです…」
									痛いほどの静寂が、その場を支配した。
									
											
											
											
											
											
											
											
											
											そして劇当日。
									「鏡よ鏡、世界で一番なのは、この私でしょう」
											という王妃役のジェイドの台詞で劇は始まった。
									「何の一番なんだよ…」
											舞台袖で劇をはらはらしながら見守る面々にとって、ツッコミの追いつかない劇が展開していった。
									劇は本部教会の一番広い空間で行われていて、劇を楽しみにしていた子供達もたくさん集まっていた。
									が、それよりも、神託の騎士の首席総長が…白雪姫役…という衝撃的な配役のせいで、
											ヴァンファンクラブでもある神託の騎士の殆どが詰めかけていた。
									なので、広間は鎧の兵士でみっしりと埋め尽くされ、広間を囲む上階の渡り廊下にも兵士が鈴なり状態だった。
									舞台に白雪姫の衣装に身を包んだヴァンが登場し、渋い声で台詞を一言言ったとたん、
											兵士は全員その場にくず折れ落ちた。(理由はいろいろです)
									
											一方また舞台袖にて。
									「何だかとんでもないことになっちまったなあ…」
											「兄さん…………髭はダメって、あれほど言ったのに……(でもポニーテールのリボンは可愛いわ///)」
									「おい、白雪姫が動物達と森で戯れるシーン、何でライガなんだ、ガキどもが泣きだしたぞ、いいのか」
											「アリエッタのお友達、恐くない…です」
									「コビト役は悪者と戦ったりできずに、ちょっと退屈ですわね(今度マルクトの星の上演を提案してみましょう)」
									「くっ…なんで僕までコビト役なんか(←シンク)」
											「くっ…なぜ私が、馬の後ろ足役などを!(←リグレット。ちなみに前足はラルゴ)」
									「俺など魔法の鏡役で、この美貌が生かせないんだぞ」
											「ですが陛下、ジェイドの台詞へのツッコミ、ああ言えばこう言う感じで、さすが陛下でなければあそこまでジェイドには言えないと、アドリブ感心しました」
											「おっv 分かってるなガイラルディア♪」
									「狩人役もやってるラルゴが総長を森に連れ出すシーン。めちゃくちゃ渋かったですよねえ。絵面も台詞回しも…どこの時代劇かと。
											あ!! リンゴ持ってきた大佐と、総長マジで戦おうとしてるんですけど!」
											「ヤバいぞ!ジェイドのやつ、インディグネイション詠唱してる!」
											「誰か兄さんに大人しくリンゴかじるように言って!」
									ヴァンは本気でジェイドを殺しにかかっていたが、黒子に扮したラルゴの機転のきいたアドバイスによって、何とか教会ごと奥義で吹き飛ぶ事態は避けられたのだった。(ラルゴすごい)
									
											
											
											そして…
									「なんてことなの…兄…白雪姫…白雪姫が…」
											「死んでしまった…です…」
											「師匠えええええ(涙) 俺の師匠がっ」
											「誰がお前のだ! ヴァンは俺の師匠だ!俺が一番弟子なんだ!」
											「こうなってみると、何だか悲しいもんだね… アンタのことは嫌いじゃなかったよ」
											「白雪姫は、ここにいるみんなに、愛されていましたもの…」
									コビト達の心のこもった切ない台詞の数々に
											、会場中の神託の騎士達も、もらい泣きを始めた。
									「総長〜!」
											「俺たちの総長が…」
											「総長を失ったら、俺たちはどうしたら良いんだ…」
									花畑の中のガラスの棺に横たわったヴァンを囲んで、教会中が涙に咽ぶ。
									「おや、みんな、そんなに嘆き悲しんで、いったいどうしたんだい?」
									そこに満を持して、金の髪に青い瞳、豪華な衣装に身を包んだ、いかにも爽やかな王子様が、白馬に乗って通りかかった。
									「きゃわ〜んv王子様!」
											「白雪姫が毒リンゴで……」
									後ろ足から殺気を放つ白馬から、王子はひららりと舞い降りた。
											その姿も輝くような華やかな立ち振る舞いで、会場中からおもわずホウっというため息がこぼれる。
											見に来ていた子供達の中でも、女の子達は一目で王子様に恋に落ちるほどには、ガイラルディアの王子役はハマっていた。
									「そうか、それは悲しいことだね。どれ、私も祈らせてもらって良いだろうか」
											「はい是非に」
									花に囲まれた棺に、ガイは近づいてゆく。
									棺に乗せられた白雪姫の顔をのぞき込み。
									「これは……………………ナンテウツクシイヒメギミダロウ(棒読み)
											このようなウツクシイヒメギミが、こんな悲しいことに…」
									頑張れ俺! ガイは自分で自分を励ました。
									「コビトの皆さん、もしダメでなかったら、このウツクシイヒメギミに別れのく……く………」
											「(がんばってガイ! 兄さんを蘇らせられるのは王子のキスだけなの!)」
											「く… ちづけをさせてもらえないだろう…か。」
											「さっさとやりなよ」
									ジレたシンクが王子を姫の傍に寄せる。
											ぐ…と、ガイは詰まった。
									見なければ良いのに、つい観客席の方を見てしまう。暗幕などないので、広大な広間を満たす観客達の視線が集中しているのが丸分かりだ。
									(なんでこんな役やるなんて言っちまったんだ俺は…)
									まあしかし、ここで固まっていても仕方ない。
											ちょっと唇が重なるように見える感じで顔を寄せれば済むはずだ。
									時間はかかったが何とか意を決して、ガイはゆっくりとヴァンに顔を寄せる。
									観客達は、それを固唾を飲んで見守っている。
									ふわっと、ガイは唇を触れるか触れないかの距離まで近寄せる。
											観客席の女の子達からは、きゃvという喜声もあがった。
									やれやれこれで済んだ、と、顔を離そうとした、…その時。
									白雪姫のがっしりとした腕が、ガイの首の後ろを捕らえる。そのままの勢いで、顔を下へと押しつけられたので…。
									「んん!!!!! んんんんんんんん〜〜〜〜!!!!」
									じたばたとガイは暴れた。
											ヴァンの腕に押さえられた頭は、唇を寄せたままヴァンの顔に押しつけられている。
											その唇は、ヴァンの唇と深く重なっていて。
									「んんっ!!んっんんん!っ」
									何とか抜け出そうともがくガイの足掻きをものともせず、ヴァンは余裕でガイの唇を深く味わっていた。
											遠慮なく舌を忍び込ませ、絡めて、舞台に何とも言えない濡れた音が響いた。
									「そ!総長!!!〜〜〜〜」
									神託の騎士達は、再びその場にくず折れ落ちる(理由はいろいろです)。
									「いけません、R指定です。幕を引いてください」
									舞台袖でも裏方の教団員達は衝撃で反応ができずに、幕を引くのに時間がかかってしまった。
									「王子のおかげで白雪姫が蘇ったみたいだね。よかったよかった」
									冷静なシンクがあきれたように台詞をはいた。
									「ほんとうね! 王子ありがとう! 兄さんを救ってくれて!」
									ガイはロープロープ!と腕をばたばたさせていたが、ティアの声にヴァンは正気に戻ったのか、ようやくガイを少し解放してくれた。
									「大丈夫かよガイ!」
											「おいヴァン! ガイになんてことしやがる」
											「殺す!ホドの生き残り!殺す!」
									舞台は混沌さを増すばかりで。
											最後まで見てしまった子供達は、世の中の混沌さを学んだことで、少し大人になることができたのだった(よかった)。
									「あ!!」
											「白雪姫が王子を肩にかつぎ上げて走り出したぞ!」
											「逃がすものですか。ルーク、追いますよ!」
											「お、おう!?」
									「なんだか分からんが、総長を他軍に追わせるな! お守りするぞ!」
											「お、おう!?」
									「兄さん……幸せになってね…」
									「とりあえず舞台が無事に上演できて良かったですね」
											「イオン様…」
									こうして舞台は大成功のまま幕となった。
									白雪姫ヴァンに連れ去られたガイの運命は、……。
									追っ手を神託の騎士達がくい止めてくれたお陰で、ヴァンはいくつかある隠れ拠点の一つに、無事にガイを招くことに成功した…
											とだけ、とりあえず報告させていただきます。(続き募集中!(←))