小説

KH様



『チュウリップ 2』







数日後。交流会には参加していなかった慎吾と顔を合わせた。
「この前の交流会、面白いことがあったんだってなァ」
「はぁ?面白くねぇよ、あんな事。事故だ事故!」
「ふぅ〜ん。でもさ、最近アイツの話題出さなくなったよな」
「う、うっせぇ。慎吾」

意識してんのバレバレだ、と慎吾は毅に聞こえないように呟いた。
啓介から話を逸らすように毅は言う。

「そういえば、お前はときめ木って知ってるか?」
「は?当たり前だろ。この辺じゃ常識だろ」
「だ、だよな」

ついこの間まで知らなかったのだが、常識とまで言われたら知らないとも言えなくて話を合わせる。

「ときめ木さんがどうしたんだ?」
「この前、ときめ木って何って聞かれたんだけど、うまく説明出来なくてな」
「チュウしたら恋愛の経験値くれる木だろ?他にどう答えんだよ」
「そっ、そうだよな!はははっ」

胡散臭そうに慎吾は毅を見ている。

「でもその御利益とかって…」
「お前、まさか疑ってるわけ?何も起こらなかったんならお前の経験値が足りねーんだよ。ときめ木さんはちゃんと見ててくれるからな」
不審そうに慎吾を見やる。
「おいおい、マジで経験値低いわけ?」
「そういうお前はどうなんだよ?!」
「俺は『デンジャラスな色男』まで上がったぜ」
「は…?マジか?」

どうだ、スゴイだろう?という顔をしているが、そんな称号もらっても嬉しくない。レベルが上がる度に称号がもらえるがそれは自分では決められない。自分も慎吾みたいなダサい名前だったらどうしようかと思う。

「なぁ、毅。もし経験値上げてるなら俺も手伝ってやろうか?」
「ちょ、バカやろ!ふざけんな!」

迫ってきた慎吾を必死で押しやるが、のけ反るような形で毅の身体が傾く。
そこにメンバー数人が歩いてきた。

車の影になるえんせきに腰掛けていた二人は歩いて来るメンバーには見えづらい位置だったが、姿が見えるほど近くまで来てその様子を目の当たりにしたメンバー達は極限まで目を見開いて声を上げる。

「うわぁあ!慎吾さん!何やってんですか!?」

天の助けだと思って毅は助けてくれと叫んだ。経験値がもらえるからといって男とはキスしたくない。
だが、どうしてこんな状況になったか判断しかねて咄嗟に動けず男達は二人を交互に見た。

見たかぎりでは、慎吾が毅を押し倒そうとしているとしか見えない。
となれば、毅を助けるしかないと思い動きかけたのだが、慎吾の一言でそれは一変する。

「毅はな、ときめ木さんの経験値が欲しいんだとよ」
「そうなんですかっ、毅さん?!」

何かのスイッチが入ったように突如目の色が変わってしまったメンバーを見て毅は身の危険を感じた。

「ち…、違…っ」
「俺、協力します!」
「オレも!」
そう口々に協力を申し出たメンバー達は、こぞって毅に群がった。

次々と唇を奪われた毅は野獣の群れに襲われたような気分だった。


その夜。欲しくもなかったチュウの経験値を得てしまった毅は、ときめ木さんから「妙義の妖精」という称号を与えられた。



→終わり











わあああああ!!!ナイトキッズうらやましいです〜!!
よってたかって押さえつけられて唇を奪われてしまった毅さん
はあはあはあはあ(≧□≦)かはあああああ〜!!
ナイトキッズになりたいいい〜です〜!!
素晴らしい展開ありがとうございます!
また是非続きよろしく御願いいたしたいです〜
チュウリップでは、一度チューした相手とは、いつでもチューが
できるんですよね(〃∇〃) 毅さんはしたがらないでしょうけどv
レベルが上がったらきっとあのお方が〜(笑)

←topへ