小説 麗音 様v
『頭文字幼稚園2』
ここは頭文字幼稚園。ちょっとクセのある園児がいる幼稚園です。
さて今日は、……おやおや? 啓介くんが毅くんに話しかけているようですね…――。
「なかざと!」
「……」
「なーかーざーとー!」
「……」
「なかざとおおおお!!!」
「……」
「はぁ…」
この幼稚園のアイドル中里毅くん。
啓介くんが名前を呼んでいるんですが、全く返答がありません。心ここにあらずといった感じで、ボーッとしています。
「…おいガムテープヤロウ。なんでオレのたけし、あんななんだ」
「は?」
ナチュラルに『オレの』発言をした啓介くん。ガムテープ野郎の慎吾先生はそれに驚きながらも、「あぁ、あれはな…」と口の端を歪ませました。その悪戯っ子も裸足で逃げ出すような極悪非道な笑みは、少々恐怖です。
「今日の毅のお迎えは、アイツの好きなヤツだかんな」
「!!!」
啓介くんビックリ! 驚いて声も出ません!
その反応に慎吾先生は更に意地悪く笑い、言います。
「あの男が来る度に心躍らせてやんの、毅のヤツ」
「!!!」
啓介くん更にビックリ! 口をあんぐり開けています。
「う、うそだろ…」
やっとの事で出た声は、愕然とした思いをありありと表現していました。
「だれだよソイツ! オレのたけしのなんなんだ?!」
「さーてねぇ。そんなに気になるなら、毅に聞いてみりゃいいじゃねぇか。直接」
「! ンなこと…!」
「なんだ出来ねぇのかぁ? やっぱガキだな」
「!! だまれガムテープヤロウ!!」
慎吾先生のガキ発言に啓介くんは怒り、毅くんに迫ります。
「オイたけし! きょうのむかえ、だれなんだ!?」
「え。 あ、えっと、きょうは、
『むかえ』の言葉に反応した毅くんは、目をキラキラ輝かせて説明しようとします。
しかしそれを遮るように、外から声が聞こえてきました。
「おーい毅ー」
「あ!」
毅くんが嬉しそうに外を見ます。
視線の先を追うと、そこには短髪で金髪な頭に白いタオルを巻いた強面の男。
明らかに『普通のお兄さん』ではない風貌で、鋭い眼光で人を殺せそうです。
(こえぇッ!!)
啓介くんはタジタジ。
しかし、毅くんは嬉しそうにその男に駆けて行きました。
「たけしダメだ! ころされっぞ!!」
啓介くんの必死の叫びも、今の毅くんには関係ありません。
「きょういちー!」
地を蹴り高くジャンプした毅くんは、強面男の胸にダイブ!
強面男はそれを何なく受け止め、それから微笑みます。
「何だ毅。ビックリするだろ」
「ごめんなさいっ。 でも、うれしくって!」
「そうかそうか。 待たせて悪かったな。さっさと帰ろうぜ」
「うん!」
「ちょ、ちょっと待てぇええ!!」
あまりの展開の早さに着いて行けていなかった啓介くんでしたが、ようやく状況を呑みこみ、毅くんを呼び止めます。
「…ん? 誰だこのガキ。 毅の知り合いか?」
「けーすけ」
「…あぁ、例の高橋啓介、か」
「ッ…!」
さっきまで毅くんに微笑んでいた強面男は、ギロリと鋭い眼光を啓介くんに向けました。
啓介くんはビクッと身体を震わせ、それでも尚強面男に立ち向かいます。
「テメェたけしのなんなんだよ!?」
「あ゙? あー……、俺は毅の保護者みてぇなモンだ」
「ほごしゃ…」
強面男の言葉に納得のいかない様子の啓介くんに、毅くんが説明します。
「きょういちは、おれのかあさんのおとうとなんだ」
「たけしのおふくろの、おとうと…」
「 …毅の叔父の須藤京一だ。 つー事で毅は連れて帰る。 じゃあな」
「あ、オイッ、まて!!」
「けいすけー、ばいばーい」
「お、おう! じゃあな!」
京一に対してイロイロと言おうとしていた啓介くんでしたが、毅くんの微笑みと言葉で沈黙。笑顔で毅くんを見送りました。
そして2人の姿が完全に見えなくなった頃、大きな溜め息を一つ。
(またライバルとうじょうかよ…)
ガックリ項垂れる啓介くん。
背中には、幼稚園児にあるまじき哀愁が漂っていましたとさ。
最強のライバル
(たけしはオレのなのに!!)
|
わああ(〃∇〃) またまた可愛いお話
ありがとうございます!!!
毅くんは小さい頃から何て罪作り(≧∇≦)//
啓介たちには小さくても全力で頑張ってほしいですが
京一さんッ なんて園児を迎える姿が似合っちゃうんですかあvvv
これほどまでに似合うとはvvv
続編も是非是非よろしく御願いいたします!