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ハガキ文集第31号

文集に寄せて
ハガキを読んでくださった方へ 
 ―もし歌声喫茶「エリーゼ」が今も続いていたら―

 エリーゼは、若い人達が職場を越えた人間関係をつくって活動していたグループ同士の交流の場になっていたように思います。ユースホステルクラブとか、ユースサイクリング、ボランティア「やまびこ」、フォークダンスクラブ、山友会等々。それはそれは活発でそれぞれいいリーダーを持っていました。
 コーラスタイムは毎週木曜日と日曜日の夜7時からありましたので、彼らのミーティング場所にもなっていたようです。ですからエリーゼは、さわやかな、それは素晴らしい若者達が集まる喫茶店でした。

 しかし、多くの若者達をはぐくんだエリーゼのコーラスタイムは、いつの間にか入船町の「ミモザ」の二階に移転し、そこで小規模ながらしばらく続いていましたが、時代の変化のせいでしょうか、さまざまな事情があったのでしょうか、残念ながらとうとう姿を消してしまいました。

 もしあのエリーゼのコーラスタイムが今日まで続いていたとしたら、続くような時代背景があったとしたら、今福山はどのような町になっていたでしょう。おそらくおびただしい数の若者達が、独自のレクリエーションクラブをつくり活発に活動し、輝いていたことでしょう。

 年の経過と共に、今頃は彼らも中高年と呼ばれる世代になり、活動の内容も、社会が抱えるさまざまな問題を自分自身のこととして取り上げて、草の根が広がるように次から次へとNPOを生み出している、そんな町になっていたのではないでしょうか。
現実にはそのような方向に行かず、私達は歌声喫茶を失ってしまったのですが、とても懐かしく思っているのは、ひとり、私だけなのでしょうか?
                     ―さわやかな時 筆者―