筑紫豊後の国真野の長者に美麗の聞こえ高い般若姫と言う娘がおりました。
ある年大変な早魃で農民は困りはて、ついに長者が『もし雨を降らせ、豊作となれば、般若姫を差し上げます。』と竜神に祈り約束したところ、ただちに雨が降り、作物は甦り、農民は大喜びしました。
その後、30代欽明天皇の皇子豊日命(31代用命天皇)に見初められた般若姫は妃として都に召された船の上洛の節、この大畠瀬戸に差しかかりますと、不思議に矢のような往潮に船は少しも動かず、海は荒れ潮は渦巻き、船が危うくなりました。
その時、一の宮明神が現れ、これは竜神が般若姫を懇望されている為と告げられ、余儀なく姫は海中に身を投じたところ、海は凪ぎ船の人々は助かりました。皇子はこれを聞き、姫を憐れみ、その霊を慰めるとともに、この瀬戸の難所の海上安全を祈願し、この五重塔を建立されたと伝えられています。
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