《 二天王立像 》


臨済宗 天龍寺派 萬年山 松尾寺
木造二天王立像(写真上 観音堂安置)
木尊右:持口天 吽形
木尊左:増長天 阿形

 三浦の松尾寺は、町内随一の古刹で、大同元年(806)に弘法大師が開基と伝えられています。その後、基燈法師によって承平6年(936)に伊豫高野家の祈願所として、真言宗の一寺を建立したのが万年山松尾寺といわれています。永禄9年(1566)に、永玉禅師が住職になって臨済宗に改宗し現在に至っています。
 従って多数の仏像仏画古文書等が所蔵されています。なかでも二天王像は有名で、平安時代後期作。昭和41年に山口県の文化財に指定されました。虫蝕等による破損がひどかったので、昭和60年から2年間にわたり京都美術院において修理され、立派に復元されて帰ってきました。
 この二天王は、僧長天と持国天の二尊です。境内の奥にある観音堂の本尊聖観音の両脇侍として安置されています。ともに背丈約80cmの榧材の一木造りで、阿吽形をなしており、顔の向き腰のひねり、手足の形などは相似形です。 小像ながら彫成はしっかりしており、甲冑を着けた勇ましい武将姿の立像です。
 天王は仏法の守護神、仏敵がどこから攻めてきても見逃さないように、カアーと見開いた大きく鋭い目、拳をにぎり上げた手、腰をひねり両足を踏ん張って身構えた姿は、勇壮で力強さにあふれています。左右になびいている広袖や裳裾にも躍動感があります。
 一千年の昔、一彫り一彫り祈りをこめて彫り上げた仏師の篤い信仰心に想いをよせて拝観致したいものです。
橋から左折し、車で10分
東三蒲・松尾寺(しょうびじ)

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