1月南九州旅行の思い出(2014年)

1月29日6時出発。

羽田発8時半のANA0641便は
思いがけず話題の
ボーイング787−8型機。
バッテリートラブルが続いている
少々不安な新型機で
愛称「ドリームライナー」。
きれいで明るく広い機内を楽しみ、
新しい設備に驚き、
エンジン音が静かな分
機内放送の反響がうるさいと
ぼやきながら、
2時間のフライト。

10時半熊本空港到着。
今回も空港でレンタカーを借り、
天草へ向かう。
途中熊本市内で
寄り道することも考えたが、
旅行の初めにゆっくりし過ぎて
後にしわ寄せが来ることを考慮し、
今回はスルー。

お天気が良く、
快適なドライブになりそう。
美しい海岸線が待っている♪
・・・・・と
思っていたのだが・・・。


汚れひとつない大きな窓、
けれどもブラインドがない。
おかしいなと思っていたが、
なんと、電子ブラインド。
窓の色の濃さが5段階に調節でき、
太陽の向きによって変えながら
景色を楽しむことが出来る。
翼もなんかかっこいい。


これが電子ブラインドの調節ボタン(?)。
明るくする時は
上の方をプッシュプッシュ。
暗くする時は
下の方をプッシュプッシュ。
すぐに反応しないのが不思議だが、
ガスを充填させているのではないかと
夫。
そうかも。


熊本空港では
いたるところでクマモンがお出迎え。
残念ながら
この車でドライブするわけではない。


今回の旅のお供。
トヨタヴィッツ。
2ヶ月前の北陸では
慣れない車で混乱したけれども
そのおかげで
トヨタのコンパクトカーとナビに
今回は余裕を持って臨めた。
3日間よろしく。


国道3号から57号に入ると
すぐに有明海の海岸線。

「御輿来(おこしき)海岸」が
見えてきた。
宇土半島の北側
約5キロにわたって続く
穏やかな海岸で、
「日本の渚百選」や
「日本の夕陽百選」に選定されている
景勝地。

しかし
晴天にもかかわらず
遠景はいまひとつ。
海は穏やかでまるで瀬戸内海のよう。
でも全体にかすみがかっていて
対岸に見えるはずの島原半島は
ほとんど見えず。
春霞ならば風流なのだけど、
中国からのPM2.5のせいかもしれない。

この海岸にある道の駅
「宇土マリーナ」の漁師食堂で昼食。
今朝この海岸で水揚げされたという
イカのかき揚げ丼を堪能。

次に車を降りたのは「三角西港」。
明治時代の築港施設が
ほぼそのまま残っているという
珍しい場所。
NHK「坂の上の雲」の
ロケ現場にもなったそうだ。

一昨年行った門司港を
ちょっとだけ思い出した。
ただシーズンオフなのかどうか、
資料館を見たり
お茶でもしたかったのに、
どこも入りづらいくらい活気がなく、
早々に車に戻ることに。


三角西港の埠頭。
波は穏やか、
陽はキラキラと波間に輝いているが、
遠景はぼ〜んやり。
これから渡る
天草五橋の一号橋が見える。


「浦島屋」
「小泉八雲」の紀行文の
舞台となった旅館。
資料館と喫茶店になっている。


「ムルドルハウス」
三角西港の設計者
「ローウェンホルスト・ムルドル」の
名前から着けられた。
お土産物屋さん。


埠頭、水路、石橋などに
見られる石積みが
当時のままだという。
国の重要文化財。


三角西港から見えた
「天草五橋」の一号橋を渡ると
いよいよ上天草市。
天草五橋をつなぐ道路を
「天草パールライン」という。

一号橋(天門橋)
二号橋(大矢野橋)
三号橋(中の橋)
四号橋(前島橋)
五号橋(松島橋)

上天草市では
「天草四郎公園」に降りてみた。
天草といえば
「天草四郎時貞」。
南国情緒豊かな公園の
丘の上に建つ不思議な造りの
「天草四郎メモリアルホール」。
「愛の鐘」、
銅像、お墓などを見た後、
残りの4橋を渡る。

海は穏やかで、
たくさんの大小の島々が
ぽつんぽつんと
浮いているように見える。
瀬戸内海にも似ているし、
宮城県の松島にも似ている。
その名も松島橋を渡ると「天草上島」。
その西端にある「天草瀬戸大橋」を
くるくるっと回ると
そこは「天草下島」。


天草四郎メモリアルホール


愛の鐘


天草四郎の墓


レトロなプランター


1泊目のホテルは
「アレグリアガーデンズ天草」。
天草市の中心本渡町にある。
九州最大のリゾートホテルだそうで、
別棟のチャペルや大浴場がある
南フランス風のきれいな建物。
海に突き出た半島の高台にあり、
300度くらいのすばらしい眺望。

喜んだのもつかの間、
ここでショッキングな出来事が。
このホテルの売りでもある
別棟の天然温泉の大浴場が、
レジオネラ菌が出たための大掃除で
使用が出来なくなっているという。
ホテルの建物内の天然温泉小浴場は
使えるということと、
大浴場2回分の入浴料1,200円を
戻してくれるという
誠実な対応をしてくれたので、
まあ我慢。
これも思い出。

そうして通されたのが
広くてきれいでお洒落な和洋室。
おわびにと、
グレードアップしてくれたのだ。

それから再び車に乗り、
下天草の北側の海岸線をドライブ。
よくわからないまま
富岡城に行ってみる。
細い砂州で繋がった
風船のような半島の山の上。
島原・天草一揆の
舞台となったところだそうだが、
勉強不足で何も知らなかった。

その夜は
地の海の物山の物を
贅沢に使った豪華な食事に舌鼓。
しかたなく入った小浴場も
まあまあの広さと設備で、
ほぼ満足出来た。


富岡城。
熊本県富岡ビジターセンターと
なっていて、
さまざまな催し物を行っているようだ。
西の遅い日没が間近で、
期待したが、
ちょっとのタイミングのずれで
その瞬間は見ることが出来なかった。


富岡城からの眺望。
風船のように突き出た小さい半島の
かなり山の上にあるので
ほぼ360度眺めることが出来る。


グレードアップしてくれた
モダーンな和洋室。
すばらしいオーシャンビュー。
セミダブルベッドが2つで、
畳の部分も
転げまわれるほどひろい。
大きなガラス張りの内風呂もあり、
2人では使いこなせなかった。
もったいなかった。


2日目の
アレグリアガーデンズ天草の
概観。
アースカラーの建物は
雨に濡れても美しい。
敷地内の木々も
関東とは全く違う。

1月30日は雨。

まず向かったのは
「大江天主堂」。

ロマネスク様式の
白亜の美しい教会・
まわりは山と畑と
少しの普通の住宅という
不思議な雰囲気に驚く。

近辺はきれいに整備され、
色とりどりの花が植えられた花壇と
たくさんのお墓が。
そのお墓は一見仏式だが、
よく見ると
どこかにキリスト教の印がある。
この教会は
信教の自由が認められた後に
建てられたものだが、
それまで近辺は
隠れキリシタンの里だったそうで、
その悲しい名残りなのかもしれない。

そんな隠れキリシタンの歴史を
色濃く伝えているのが
「崎津教会」。
天草におけるキリスト教は、
ここを中心に栄え、
弾圧された。

この教会は
漁村にあって
海から数歩のところにあり、
「海の天主堂」とも呼ばれる。
この辺り一帯は
平成8年
「キリシタンの里・崎津」として
「日本の渚百選」に選ばれ、
平成13年には
「河浦・崎津天主堂と海」として
「日本のかおり百景100選」に、
平成23年には
「国の重要文化的景観」
にも選ばれている。

隣の漁師さんの家の前では
今朝水揚げしたばかりのカマスを
小母さんがさばいていた。
昔懐かしい
日本の漁村の風景と
ヨーロッパの立派なゴシック建築。
違和感なく溶け込んでいるように
感じるのは
隠れキリシタンの歴史を
思い浮かべるからかもしれない。


大江天主堂
1933年にフランス人神父
ルドビゴ・F・ガルニエが
私財を投じ、
長崎の浦上天主堂を設計した
鉄川与助の設計による
ロマネスク様式の
白亜の美しい教会。


大江天主堂の脇にある
「ルルドの聖母」
フランスのルルドの聖母像と
ルルドの泉を模した洞窟。


崎津教会
1569年に建てられた後、
何度も建て直しが行われ、
現在の建物は
1934年にハルブ神父によって
創建された。
重厚なゴシック様式で、
堂内は畳敷きになっている。


崎津教会にも
ルルドの聖母と
ルルドの泉ならぬ池が。


天草下島の南端、
「牛深港」からフェリーに乗る。

40分で
鹿児島県の「蔵之元港」へ到着。
乗る時も降りる時も、
あまりに自然な
車(ドライバー)の動きが、
フェリー慣れしていない私には
興味深かった。
生活に密着した航路だと
いうことなのだろう。

「長島町」を南下。
道の脇に
時々突然に現れる
不思議な物体あり。
後で調べてみたら
「ながしま造形美術展」
というイベントの作品だという。

鶴の飛来地「出水市」
ここは毎年
10月から翌3月にかけて
世界各地から1万羽以上の鶴が
越冬するためにやってくるという。
手厚く保護され、
毎日飛来数が報告されている。

すぐそばに車を止め、
近づいても
すぐに逃げることはないが、
さすがに少しずつ遠ざかって行く。
小雨の降る中、
飛び立つところを見たいと、
長居をしてしまった。

夕方には
指宿に到着しなければならない。
こういう時に限って、
ナビとの意思疎通が出来なかったり、
有料道路だから早いだろうと
選択した道が
かえって遠回りだったり、
予定より2時間も遅れて、
目的のホテルに到着。


「河童の家族」
ながしま造形美術展の
作品のひとつ。
どの作品も大きく、
流木や雑木や貝殻などで
作られている。


「キングコング」
真ん中の台に乗ると
キングコングの左手で
つかまえられているように見える。
もちろん
私もやってみた。
「キャー!」


ツル観察センターのそばにある
水田地帯。
いるわ!いるわ!
この場所は
特別天然記念物に
指定されている。


黒っぽいのが「ナベヅル」。
白っぽいのが「マナヅル」。
・・・・・と思われる。


「指宿ロイヤルホテル」は
今回で2度目。
夫の高校時代の同級生が
経営しているホテルで、
今回も特別室を用意し、
大歓迎してくれた。

前回は見なかった
ホテルの庭を散策。
プライベートビーチもあり、
夏には海水浴が出来るそうだ。

ホテルの部屋からは
鹿児島湾が見え、
ロビーからは
夕陽を頂いた
ダイヤモンド「開聞岳」が
見えるはずだった。
しかし、PM2.5のせいで
海はかすみ、
開聞岳は存在すら分からない。

1月31日は晴天。
指宿周辺の観光スポットを、
ホテルお薦めのコースで
回ることにした。

JR日本最南端の駅
「西大山駅」。
ちょうど菜の花が見頃で、
開聞岳をバックに
のどかな風景を満喫することが出来た
日本で最初に
菜の花が咲くのが指宿だそうだ。


ホテルから
プライベートビーチに続く
バナナの道。
開業前からあった
自生のバナナの木だそうだ。
ちゃんと食べられる実も
生るそうなので、
その季節にまた訪れたいものだ。


これバナナの花。
大きい!
30センチくらいあるだろうか。
上の方に実が生るそうで、
その痕らしきものが見える。


定番の撮影スポット。
線路と菜の花畑と開聞岳と
木のポール。
PM2.5のせいで
霞んではいたが、
開聞岳が見えたのは
後にも先にもここだけだった。


列車が来るのは
2時間に1本。
のどかな無人駅だけど、
観光客は次々に。
居合わせたのは
中国?の人達。


火山の噴火と侵食で
出来たという「番所鼻」。
「伊能忠敬」が
天下の絶景と賞賛したという
景勝地。
対岸に浮かんだ
開聞岳の景観は雄大!
というふうにいわれていたが、
全く見えず。

この辺りには
タツノオトシゴが生息していることから、
龍にちなんだものがいろいろ。

タツノオトシゴは
竜宮の使いといわれ、
海の中を
堤防のように続いている岩の道は
「竜宮への道」と呼ばれる。

また、タツノオトシゴは
幸運の象徴ともいわれ、
「番所の鐘」は
幸せのスポットとして
来訪者が多いらしい。

日本で唯一の
タツノオトシゴの観光養殖を
行っているという
「タツノオトシゴハウス」。
2010年に一般公開。
こんなにたくさん
こんなに身近に見たのは初めて。
タツノオトシゴ粉末入り
クッキー購入。

おもしろそうで
是非行ってみたいと思っていた
「釜蓋神社」。
海のすぐそばに建つ
真っ赤な派手な神社。
小さいながらも、
武運を祈願する神社として
有名スポーツ選手も参拝するという。
御祭神はスサノオノミコト


番所鼻は
このような海岸が
ずっと続いていて、
磯遊び場にもなっている。
この日は波が荒かったが、
磯釣りをしている人がいた。


番所の鐘は
「五つの吉祥あり」といわれ、
1つ鳴らせば幸運 、
2つ鳴らせば健康、
3つ鳴らせば恋愛成就、夫婦円満、
4つ鳴らせば子宝、
5つ鳴らせば安産。
大きく2つ・・・プラス小さく1つ
鳴らておいた。


タツノオトシゴハウスの
水槽の中には
数種類のタツノオトシゴと
熱帯魚。
タツノオトシゴは
オスが出産するという
イクメンの模範生。


釜蓋神社。
拝殿の横に置いてある
大小の木製のお釜の蓋を
頭に載せて、
鳥居から拝殿までの
階段も含めた10メートルの距離を、
落とさず歩くことが出来れば
願いが叶うそうだ。
1回でクリア出来たので、
たくさんお願い事をした。

「知覧」は2度目の来訪。
ホテルで紹介された
「高城庵(たきあん)」で
昼食をとり、
「武家屋敷通り」を散策。

「薩摩の小京都」と呼ばれ、
町並み全体は
まるで箱庭のよう。
特徴のある刈り方をされた
生垣と石垣の通りは
整然と整えられている。

建物も庭も
江戸時代のままのように見え、
見学はしなかったが、
国の名勝に指定された
庭園もあるそうだ。

前述の高城庵だが、
武家屋敷を
まさにそのまんま利用した
食事処で、
まったく改築などしていない様子で、
玄関は狭く、
段差が大きく、
中も決して広くはなく、
質素で、
おしゃれ感がまるでない。
建具、家具、置物、掛け軸、
どれを見ても古くて、
壊れたり破れたり
シミがあったりする物が
立派に現役で使われている。

注文した食事が
江戸時代の骨董品の食器やお膳で
運ばれてきたのには
本当に驚いた。


知覧武家屋敷通り。
こういう特徴的な
生垣と石垣がずっと続いている。


鹿児島特有の建築様式「二ツ家」は
居住用の間「オモテ」と
台所のある間「ナカエ」を
別棟にしていた。
その軒先を
大きな雨樋でつないだのが
「樋の間二ツ家」。
2つの屋根に小棟を付けて
つないでしまったのを
「知覧型二ツ家」という。


こんな自動販売機を見つけた。
景観にマッチするよう
野暮ったくないよう
考えられている。
そういえば、
石見銀山にもあったっけ。


高城庵入り口。
私達は裏口から入ったのだが、
普通の古い民家にしか見えず、
本当にここで良いのかと
かなり不安だった。
この表口からなら
それほどでもなかったのかも。


19時のANAに乗るために
鹿児島空港に向かう。
途中観光地や市街地を通るため、
余裕を持って知覧を出発。

結果、
かなり早く着いてしまい、
日暮れまで
飛行機の発着を見ていたり、
夕食をとったり、
ゆっくり時間をつぶす。

食事良し、
温泉良し、
ホテルの部屋良し、
珍しいものも見ることが出来、
大満足の旅行になった。
PM2.5の影響だけは
悔しかったけれども・・・・・。


地方空港と侮るなかれ。
福岡空港に次ぐ
九州第2の規模であり、
なかなかモダンで機能的。


随所にホッとする空間が
設けられている。
このデコピアノ、
自由に弾いて良いらしい。


2014年2月の
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