「Daylight-朝に光の冠を-」ゲーム感想
新規ブランドによる、学園伝奇ホラー風味の、女性向け一般全年齢PCゲームです。
サイトのカテゴリ上、BLゲーム感想に入れちゃってますが、公式のアナウンスでは、BLではなくあくまで一般向け(恋愛要素なし)です。
伝奇モノって割と好きなので、購入してみました。
全寮制のチェルニア・アカデミーに通う10年生のルカは、新学期早々、ついてなかった。
快適な一人部屋を雨漏りにより、二人部屋に引っ越す事になったのだ。
ルームメイトのユースは、寝てばかりの一風変わった一つ上の先輩。
おまけに、二ヵ月後に行われる「降夜祭」での「朝の使者」にも指名されてしまう。
よくわからないルームメイトに、面倒な「朝の使者」の早朝特別講義。
それだけでも十分憂鬱なのに、クラスメイトのメイに巻き込まれる形で、学園にまつわる七不思議探索までしなければならなくなってしまう。
手がかりを求めるうちに、チェルニアの昔話にまつわる「降夜祭」の謎がしだいに明らかになっていくが……。
新規ブランドのデビュー作ですが、システム回りはとても快適でした。
オフィシャルサイトで体験版もDL出来るので、それでまずは確認してみるといいんじゃないかと思います。システム回りは製品版と一緒ですので。
セーブ数も100個と多く、クイックセーブ＆ロードもあります。
セーブには、コメントを書き込める機能や、保護機能も付いています。
コメントを書き込まなくても、日付・時間と共に、シーンタイトルが自動で記入されるので、時間を置いてプレイする時も何をセーブしたのか分かりやすくていいですね。
クイックロードが、タイトル画面やロード画面からも使えるとなおよかったですね。(クイックロードは、ゲームプレイ画面のテキストウインドウ枠上部のシステムメニューからのみ使用できます)
ゲーム起動時にディスクを必要としますが、起動後はディスクを抜いてもプレイできます。
既読スキップも速く、個別のボイスオンオフもあります。
あとは、これもあったら便利だったな〜と言うのは、「ひとつ前の選択肢に戻る」くらいでしょうか。
まだ聴いていないのですが、初回版にはディスクにシステムボイスが同封されています。
不親切にも説明が無いのですが(なので、気づかない人もきっといそうです)、場所は、ディスクをセットして、マイコンピューターからDVDロムドライブを右クリックで開くとあります。
ところで、もしかしたら初回版のみかもしれませんが、ケースが、通常の見慣れたDVDケースではなく、スーパージュエルボックスです。
「鬼畜眼鏡 初回版」にも使われていた、プラスチックのCDケースをDVDサイズにしたようなケースです。
これ、薄いし、場所取らなくていいですよね！
これからは、これがPCゲームケースの主流にならないかなあ。
このゲームの特徴としては、シナリオに地の文が全く無い事でしょうか。
「花帰葬」と同じタイプですね。
こちらも、モノローグにまでボイスが付いています。
全キャラ、脇役に至るまでフルボイスなので、ドラマCD感覚で楽しめます。
ただ、モノローグも、台詞部分も、同じトーンでしゃべっているため、耳で聞いているだけだと、口に出してしゃべっているのか、心の中の言葉なのかの区別が付きません。
実際は、ゲーム画面を見ながらプレイしているのでモノローグだと言う事はちゃんとわかるのですが、モノローグ部分のボイスには何か心の声っぽくエフェクトをかけるとか、変化をつけて欲しかったかも。
スチルは、背景、立ち絵、一枚絵どれも崩れたものが無く、塗りも丁寧でキレイでした。
スチルによって印象が違う〜というのもなく、絵に関しては大変満足です！
特に、ユースやメイなどの、美青年・美少年系は麗しかったです〜ｖ
かと思えば、立ち絵のみですが、ディプル先生のようなおじいさんもきっちりと描かれてあって好印象でした。
BGMも、ゲームの雰囲気によくあっていました。
OPは女性ボーカルの、ロック風？ですが、意外にゲームの印象とよくあってました。
お話のほうは、一言で言うと、ライトノベルですね。
レーベルで言うと、講談社X文庫ホワイトハートの伝奇ものっぽい感じ。
内容はもちろん全然違いますが、雰囲気を例えるなら、ちょっとBL色のある、「英国妖異譚」とかあのあたりでしょうか。
直接的な恋愛表現は無く、BLではありませんが、攻略できるキャラクターは男性キャラのみなので、女性向け一般ゲームですが、ボーイズゲーム、くらいには言ってもいいんじゃないかと思います。
個人的には、全年齢でもいいから、いっそBL的な恋愛描写までした方がわかりやすいんじゃないかな、と思わなくも無いような……。
まあ、この辺は好みだと思います。
ライトノベル風伝奇ファンタジー好きなら、かなり楽しめる作品なのではないでしょうか。
基本的には一本道のお話ですが、キャラルートによっては、結構BLっぽい雰囲気が漂っているものもあります。
ホラーと言うか、スプラッターな要素も含まれますので、血は全然ダメ!と言う方はご注意ください。
多少のスプラッタ表現もある、メジャーなホラー映画(例えが思いつかない…ジェイソンとか？)が平気なら、大丈夫なレベルなのではないかと思うのですが、どうだろう……。
ルート制限があり、初回プレイでは、メイかミンミのどちらかしか攻略できません。
ユースは、先に誰か二人のグッドエンドを見て、「はじめから」プレイすると攻略可能になります。
ルート制限知らずにプレイしたら、バッドに直行しそうですね。
私はガッツリ攻略サイト様に頼ってプレイしました。
せっかくモノローグまでフルボイスなので、ボイスを飛ばさずにプレイして、初回プレイ(メイのグッドエンド)では、１周にかかった時間が８時間半ほどでした。
２周目以降は、一人のグッドエンドを見るまでにかかった時間は、２〜３時間でした。
フルコンプまでにかかった時間は、ボイスを全部聴きながらのプレイで１８時間くらいかな……。
ボイスを適当に飛ばしながらプレイしたら、もっと短い時間でプレイできると思います。
エンドは、キャラグッドエンドがそれぞれ１つずつで、他にキャラバッドエンドが２〜３個ずつ、そして共通のバッドエンドがいくつかと、結構種類があります。
誰のルートにも入らず、かつ平穏無事なエンドを迎えるような、ノーマルエンドはありません。
誰かと仲良くなりつつ、「降夜祭」の朝を迎えられるようにプレイしましょう！
キャラ的に好きだったのは、メイやユース、ミンミなどの美青年・美少年なのですが(笑)、ルート的に好きだったのは、意外にもオネエ言葉な生物学のジェシー先生でした。
このゲーム、「一般ゲーム」と断言するにはBLの香りがそこはかとなく漂っているのですが、むしろそういう香りの無いルートの方が、お話しとして入りやすかったというか。
何といいましょうか、ちょこっと深読みすればBL的なニュアンスを読み取る事ができるような展開だと、そちらの方に気を取られてしまって、かえって本筋が楽しめなくなっちゃうんですよ〜。
その割りに、前提が一般ゲームなので、BLだ！と言い切るほどではないので、プレイしていてこう、モヤッとしました……。
「もういっそBLにしていいだろ！」と突っ込みたくなるって言うか。
そういう部分が、もしかしたらこのゲームの醍醐味だったりするのかもしれませんが、一般ゲームなら、かなり想像力(妄想力？)をたくましくしないとBLにならないようにして欲しいと、思ってしまったり……。
先にも書きましたが、この辺りは、各人、プレイヤーの好みだと思います。
そんなわけで、好きなルートはジェシー先生ですが、真相エンドにあたる、ユースグッドエンドにもじんわりときました。
ラストの昔語りのナレーションがまたぐっときました……！
エンディングで、ユースグッドエンドのみ、主人公ルカ役の声優さんの歌が流れる演出もよかったです〜！
ユースは、バッドエンドも、結果として他のキャラと同じ事をやっていても、連綿と行ってきた儀式だからか、どこか優しさ(?)が感じられて好きでした。
序盤から選択肢を変えて進める、どうやってもグッドに進めないやり方で見られる、バッドエンドもよかったです。むしろ、グッドエンドよりも胸にくるものがあるエンドでした。
他キャラも、グッドエンドはほのぼのとしたものが多くて(メイはちょっと雰囲気違うかな)、どれもとてもよかったのですが、バッドエンドはやや後味が悪めです……。
まあ、プレイしていると、この展開で、バッドエンドになったら主人公・ルカの命運は……、と予想がつく範囲内ではあるんですけれども。
気持ちよくプレイするためにも、先にバッドエンドを見てから、グッドエンドを見る事をお薦めします。(特にフォルバッドは先に見ましょう！)
プレイしていて、お話として気になった点は、ユースグッドエンド以外では、ルカの選択の末に世界がどうなったのかについて特に触れられていなかった事です。
全く触れられてないエンドもあって、それはちょっと不親切だなあと思わなくも無かったです。
あんなに、ルカが生贄にならなきゃ世界の均衡が崩れるってさんざん脅してくれたんだからさ……。
もうちょっとこう、匂わせる程度でもいいから世界の行く末を暗示して欲しかったです。
フルコンプのオマケは、ボーナススチル1枚と、エクストラのシークレットで、声優さんによるフリートーク座談会です。
フリートークの収録はもうちょっとキレイに収録して欲しかったですね。
何故あそこだけ、ああもぐずぐずだったんでしょう……。
キレイなスチルに、ドラマCD感覚でも楽しめるフルボイス仕様の、学園伝奇もの・ルートによってはほんのりBL風味なホラーテイストのゲームで、ラノベ好きさんに、特にお薦めの作品ですｖ
また、直接的なBL表現よりも、そこはかとなく香るニュアンス的なものの方が萌だ！という方にもお薦めの佳作ゲームです。
そこはかとないものなので、BLはちょっとね、という方でも、もちろん楽しめると思います。
(BLは全くダメだとちょい微妙な感じですが、そもそもそういう方はここをご覧になっていないと思うので……笑)
2008/4/21
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