chapter2-2.Kye
黒板がぐにゃりと不自然な動きを見せたかと思うと、スライムと化して襲ってきた!
スライム自体は大した敵ではないけど、黒板いっぱいが変化したので、呆れるほどデカイ。
僕は思わず後ずさりしてしまったけど、マコトは一気に距離をつめて、剣を振りおろした。
ザシュッ! と確かな手ごたえを感じさせる効果音が響いて、スライムはあっけなく倒れた。
「なんだ。見掛け倒しなヤツだったな」
物足りなそうにマコトが呟くのに、僕は不甲斐なさでいっぱいになった。
パーティーを組んでも、何もしないのならパーティーを組んでいる意味がないじゃないか……。
「ごめん……。僕、何もしないで」
「気にしないで。一撃で倒せるヤツだったし……あ、何か落ちてる。何だろう?」
「鍵みたいだよ」
マコトが、スライムが落としたと思しき鍵を拾った。
アイテム欄に、錆の浮いていそうなちっぽけな鍵が表示されている。
「どこの鍵だろう?」
「これは、教室や部室棟の鍵じゃないようだね。見たことがない鍵だ」
ここまで実際の学校とそっくりに作られているのだから、きっとこの鍵も実際にある、どこかの鍵なのだろう。
普段は、あまり使わないような場所の鍵なのだろうか?
だとしたら……。
「もしかしたら、屋上の鍵……?」
「ああ。そういえば、生徒が行かないように、確か南京錠が掛かってたね。よく思いついたね、フユ」
「でも、違うかもしれないし……」
ただの思いつきを褒められるように言われると、なんだか面映ゆい。
「可能性は高いと思うよ? 俺は生徒会で、主だった場所の鍵は見たことがあるから。フユは、奥ゆかしいんだね」
「いや、だからそういうのじゃ……」
なんだか、何をどう言っても持ち上げられてしまうようだ。
マコトみたいに何でも出来るヤツから言われても、嫌味なだけだと思うんだけど、本人にはそんなつもりはないんだってのが分かってるのがまた微妙な感じと言うか……。
いや、もうこれ以上は何も言うまい。話が進まないし。
「とりあえす、行ってみる……? 屋上」
「そうだね。行ってみよう」
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