Close encounter―real blade―


chapter2-3.Steps


 僕たちは教室を後にして、屋上に向かった。
 屋上には、昔ながらの南京錠が掛かっていた。
 さっきの鍵を差し込むと、鍵はあっさりと開いた。

「やっぱり、ここの鍵で正解だった。ありがとう、フユ」
「お礼なんて……。スライムを倒して、鍵を手に入れたのは、マコトなんだから」

 さっきと同じようなやり取りに、僕は居たたまれない気持ちになった。
 役に立たない自分を、再確認するみたいで……。

「それでも、どこで使うのかを思いついたのは、フユなんだよ?」

 メッセージウィンドウに流れてきた、マコトの言葉を見て僕は、ハッとした。
 マコトは、ただ、僕の言葉をパーティーの一員として聞いて、それに対する評価をしてくれただけだ。
 それなのに僕は、萎縮して、自己卑下するばかりで。
 これじゃ返って、マコトに失礼だ。
 だけど素直に、うん、って言えなくて……どれだけひねくれてるんだろう、僕は。

「行こう、フユ」

 返事がこないことを気にした風もなく、マコトは屋上に踏み出した。
 僕はモニターのこちら側で、頷いた。
 アバターを動かさなきゃ、モニターの向こうに居るマコト……、真にはわからないのに。


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