chapter2-4.Rooftop
「リアブレで、屋上に初めて上ったなんて、不思議な感覚だね」
屋上には、やや真ん中の位置に給水塔がある他は、何もない場所だった。
ざらざらとしたコンクリートの床、いや、屋上だから、天井? が、続くだけだ。
周囲には、転落防止用の柵が張り巡らされているが、ちょっと乗り出したら簡単に落ちてしまいそうだ。
「実際の場所も、こんな感じなのかな?」
マコトの隣で、同じようにきょろきょろ周囲を見渡しながら問うと、マコトはたぶんそうだろうね、と答えた。
鍵があったから、行くべき場所はここでいいんだろうけど、何もないな……。
ここは、ハズレだったんだろうか。
「何もないし、何も起こらないけど、他の場所に……」
行った方がいいかな、と僕が言おうとした時。
ゴウッと大きな音がなって、マコトと僕は、吹き飛ばされた!
柵があったからそこで止まったけど、何もなかったらまっさかさまに落ちていたかもしれない。
「フユ! 上だ!!」
マコトの言葉に、上空を見ると、小さな点が見る見る内に大きくなった。
バッサバッサと、せわしない羽ばたきの音を響かせる、それは……。
「ドラゴン!?」
空に溶け込みそうな、真っ青なドラゴンだった。
こんなイレギュラーなイベントで、こんないかにもラスボスって感じのモンスターが出てきた事に、僕は驚きを隠せなかった。
だって、そうだろう? さっきなんて、大きさは倍以上ではあったけど、ただのスライムだったんだから。
ゲームバランスが明らかにおかしいだろ、これは!
「来るよ! フユは、下がってて!!」
メッセージウィンドウに文字が流れ、マコトが剣を構える。
僕は………
1.
「わかった」そう言って、大人しく下がった。
2.
「イヤだ!」そう叫んで、マコトの隣に並んだ。