水晶振動子(Xtal 1-l)

自己満足の ガラクタ 博物館  (0608)

【 何とも 珍しくない ガラクタたち! ラジオパーツに 留まらないのが 珍しい 】 

ガラス封止は製品安定性には優れていますが機械的強度は本質的に弱いのです。 アメリカではメタル管技術の延長で金属外装のモデルが戦後すぐに作られています。
金属外装はケースを接地することが出来るため電気的安定性も良く多くの種類が作られました。

このモデルは中身も見えず小型化も進みコレクションとしての美しさには欠ける部分もあります。

金属外装のこのタイプが始めに出回ったのはHC6/Uでした。
リード線引き出しのタイプはHC6/Wと呼称されていました。 中央付近に見える太pinはFT-243と互換性を持たせるために太pinを付けたモノです。 私は最近までこれはアマチュア無線家の改造だと思っていたのですがメーカで創られたモノと確信するに至っております。(別項参照)
右側3点は特殊な構造をしています。 3本足で2波組み込まれたモノ、4本足のオーブンを組み込んだもの、 上部に固定用のフランジがあり筐体にビス止めするようになっているモノなど有ります。 また、右の写真のように薄いモノ(厚さ6mm・ML-18WS)などもあります型式記載のない製品も有ります。
上段写真左の2点は水晶ではありません恒温槽に使うサーモSWです。
標準的サイズは20X19X9、うすタイプは厚さ6mmです。

左上は外形比較用(HC6/U)です。
このように高さが低い(15mm)製品もあります。
左下は3本足のフィルタと思われますが、ハンダ封止ではなく抵抗溶接か冷間圧接と思われます。
小型のHC18/uタイプでは別名称を付け冷間圧接が多くなります。
これはハンダ付作業の熱及びフラックスの混入を避け品質向上をはかった結果です。
封止部分の縁が薄くなっています。抵抗溶接か冷間圧接かの見分けはほとんど出来ません。

size 20X19X15
型式名称は各社改良品と云うことで勝手に付けたような感じでほとんど統一されていません。 そのような理由から変形亜種については省略しているモノがあります。

太足のHC/6U

左上が普通のHC/6Uです。しかしHC/6UにはFT-243(右上)と同じ太足のモノがあります。 実は左から2番目のようなモノを見つけてしまったためFT-243の代わりにするために作った アマチュア無線家の改造品だと思っていました。
ところが左下のようなチャント型番が付いたモノを発見しました。 下段左からCR-20/U、FT-6/Uです。2番目の製品は名前からも明らかにFT-243の代用品という感じです。 よく見ると足の長さも違います。FT-243の爆発的な需要増と製品安定性の良いHC/6Uへの移行が同時に起こったのでしょう。
下段右の写真はCR/1A類似のケースにHC/6Uを入れたモノです。 同様なモノとしてFT-243のケースにHC/18Uなどを組み込んだ製品もあります。
時代の大きな流れの中で生まれた不思議な製品です。

左上は比較用HC6/Uです。

HC18/U(13X11X4.5)及びその類型です。
上段左から3点目はプラスティックケースを使用しています。
アメリカで爆発的にブームを巻き起こしたCBラジオ用に使われたモノと思います。
下段左から4点目背の低いのはHC49/U(3.4X11X4.5)でその後表面実装用パッケージに変化して行きます。

右の写真はHC18/Uをケースに入れたりバンドカラーと云われる目印テープを付けたモノです。 これはラジコン模型に使われるモノですが、混信事故防止のため考えられた表示です。 これと同じ色のリボンをアンテナに付けることもあります。

左上は比較用HC6/Uです。
左から
2 HC13/U   39X19X9  100KC等はアマチュア無線局の基準発振器などに使われました。
3 CR37/U 81.94000KC
4 XO-263 153.6kHz  *HC13/U以外は各社まちまちの品番があります。
5 ***  64kHz  51X19X9
6 12.000KC  57(68)X19X9  KrisBv
7  960.000cps  65X19X9  HILL    私の保有する最低周波数です。
下段   315.920KC  26X19X9  PIEZO

左はHC6/Uです。
サイズは32X30X12で存在感のある大きさです。
18S-3&4  5961.500KC 1959-4
CR1A/AR  7120KC
***  2000KC
***  1477.500KC  KrisBv

左はHC6/Uです。
円筒形で下段の小さい方は時計用です。
37EG 104.092KC 18X44
***     77.0KC  10X25
TO5-12U 32.768kHz 10X13 KSS
***     20.46KC 10X6.5 CCCN
CR-24/U  23.75000/3KC
                15φX14(28)
21.30MHz 3φX9
32.768kHz  1.8φX6

電子技術の進歩はデバイスの小型化も要求します。 水晶振動子も例外ではなくどんどん小さくなってまもなく見えなくなってしまう?そんな時代はすぐ其処まで来ています。 趣味のコレクションとしては面白みが無くなります。

左上の大きいのはサイズ比較用のHC6/Uです。
右隣の正方形の製品はエポキシモールドでpin間隔はICパッケージと共通性があります。 つまり上下のピン間隔は6/10インチで左右は2/10インチです。
下段の白いのはHC18/U同等のプラスティックパッケージです。
これらは部品をプリント基板に挿す方式で配線します。
他の製品はすべて表面実装用パッケージです。 これは小型化の要求に応えるべく作られたのですが一部を除いてネームを確認するのが困難です。 右下の小さいモノは3.04X7.27X1.58mmです。
実は2001年4月にリバーエレテック社が2.5X2.0X0.55mmという世界最小の製品を開発したと インターネットの日経物づくりNEWSに出ています。 最近の同社のホームページにはさらね小型の製品が紹介されています。

禁断の殻割り写真  金属ケースに入った水晶はどんな形でしょう!気になりますね。
そこでケースを開けてみました。このようなことをすると初期の性能が得られなくなることが予想されます。

このほかの形状もあると思いますが蒸着電極をスプリングで挟んだ物やワイヤマウントのものが見られます。音叉型の水晶を使った製品もあります。上段右端は3本足の中央にアース端子を出しただけです。左右のリード線は左右の電極と裏側には中央の電極を、両端の電極は手前の面に左右分けて接続されています。発振子ではなく共振子(フィルタ)と思われます。
また右下はHC/18Wのケースにシリンダ型の水晶と発振回路を封入しています。多分時計用でしょう。

そろそろ水晶振動子 のコレクションも終焉の時が来ているように感じます。
表面実装用の小さい製品はただただ小さくなるだけで面白みがありません。表面実装用の製品は収集に力が入らないのです。

小型製品の収集に力が入らない理由はもう一つあります。
電子部品のほとんどはIC化されICの組み合わせで製品が出来上がる時代になっています。 その中で水晶振動子はICチップの中に組み込むことが出来ない特異なデバイスでした。 しかし技術の進歩は水晶を必要としない時代に入り始めました。 つまりシリコンチップに振動体を形成することが出来るようになりました。 これはマイクロマシンとかMEMSと云われる技術ですがこれこそが水晶振動子が不要でICチップの上に発振器を構成できるのです。
時代は水晶の必要性を脅かし始めたのです。MEMSを手にした時(写真では見ましたが実物は触っていません)水晶は歴史的価値しか無くなるのでしょう。

別項appendixを参照下さい。 《 APPENDIXへ入場》