APPENDIX  水晶振動子(Xtal)

自己満足の ガラクタ 博物館

【 何とも 珍しくない ガラクタたち! ラジオパーツに 留まらないのが 珍しい 】 

APPENDIXはただ今編集中です。内容が変更される時があります。ご了承下さい。

ここでは水晶にまつわるエピソードを拾ってみました。 まだまだ新しい発見があります。乞うご期待!

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水晶振動子

一般の方には耳慣れない電子部品ですが鉱物資源として”水晶”と云えばどなたも一度は見たことがあると思います。
ひかりの屈折が神秘的であることから占い師の道具としても使われますが、
此処では電子部品としての水晶について考察します。

昔の真空管ラジオなどでは使われることの無かった電子部品ですが最近のラジオやテレビ、コンピュータ、 その他家電製品にはまず間違いなく使われています。 そんなにポピュラな部品も4〜50年前までは特殊な電子部品でした。 実はまだ電子とか電子部品と云う言葉が使われない頃から”水晶発振子”は貴重な部品として先端の技術者に使われていたのです。

水晶は電気石とも云われるように電気的刺激を与えると変形したり、逆に応力を加えると電気が発生します。 このような現象を圧電現象、そのようなモノを圧電素子などと云います。1880年フランス人により発見されました。

一般的に電気振動を発生させるためにはコイルやコンデンサを使いますが外部の影響を受けやすく 正確で安定な動作をさせるためには困難があります。其処で安定性の良い水晶を使うようになりました。
特に周波数の安定性が必要な送信機には不可欠の部品として放送局や軍用無線機などに使われました。 
アマチュア無線の送信機も例外ではありません。 しかしとても高価な部品ですからアマチュア無銭家?は中古品を使ったり自分で研磨するなど工夫をした古き良き時代のノスタルジックな思い出も含まれています。

※水晶発振子・現在はその呼称は水晶振動子としてJISに制定されています。その理由として当初発振子としての使用範囲がフィルタ、センサとしての利用が多くなり”発振だけではない”と云うことから全般的な表現・水晶振動子に変更されたようです。
本文中”水晶発振子”と表記されている部分があります。これはこのmuseum全体が個人的なコレクションでアマチュア無線に偏った内容であることなどから使い親しまれた言葉として、あるいはその用途が発振器である場合”水晶発振子”と表記しています。

[Apr. 2005]

6角形の透明な柱状結晶が水晶の普通の姿です。

水晶ってどんなモノ


このような結晶構造が悪かったり小さい水晶では発振子としては使えません。


この水晶は高さが30センチ以上あります。
※茨城県自然博物館収蔵品

水晶は一般的には6角柱状の酸化珪素の結晶です。酸化珪素は岩石に含まれる石英です。 大きな岩石は風化して小さくなり砂になりますがその中に白い半透明のガラス状のモノが見られます。 それが石英です。石英の中で結晶状態の形を整えているモノを水晶と呼んでいます。
石英はほとんどの岩石に含まれ地球上でもっとも大量にある鉱物資源の一つと云われています。

水晶発振子として使われる水晶は初期には天然のモノが使われましたが 結晶構造がキチッとした高純度のモノが得られにくいことなどから現在は人工水晶が使われています。
半導体に使われるシリコンも珪素ですから同類です。 こちらは酸化物ではなくテンナインと云われるような高純度の珪素です。

電子部品としては水晶振動子(水晶発振子・単に水晶と云う時もある)、水晶発振器(発振回路一体のモノ)、 クリスタル、クオーツ、radio crystal、crystal、xtal、quartz、等の言葉で表現されますが違う意味に使われることもあります。
crystal radioと云えば鉱石ラジオ、クリスタルは高級ガラス、クオーツは水晶制御の時計などを云うこともあります。

[Apr. 2005]

天然水晶を使う時代は終わり、人工水晶が主役です。

資料提供・Chappyさん<http://www12.plala.or.jp/Chappy-DIY/>

この固まりが人工水晶です。大きさは300X200X100mm程です。六角柱でないので不思議に見えます。
人工水晶の歴史は古く1940年頃には日本でも研究が始まっていたようです。

水晶振動子に使われる水晶は結晶構造がハッキリして純度の高いモノでないと使用できません。良質の水晶はほとんどがブラジルで産出され早くからその重要性に気がついたアメリカはその採掘権を押さえていたと云われます。
日本では山梨県が水晶の産地として有名ですが水晶振動子の材料として使えるものはわずかでした。それでも使用量が少なかった当時は何とかなっていたようですが人工水晶の研究はされていました。

日本で人工水晶が実用化され始めたのは1960年頃からです。そして現在はそのほとんどが人工水晶によるモノとなっています。

[Jan. 2008]

人工水晶はどうやって作るの

製造原理はそれほど難しいものではありません。ラスカと呼ばれる屑水晶を硝酸などの溶液で溶かしその中に結晶構造のしっかりした種結晶を入れることにより結晶が成長することを利用し大きな水晶を作ります。
実際には温度や圧力、種結晶の吊し方などには多くのノウハウがあります。
これらについては別掲の参考サイトをご覧下さい。

中央部薄い板状の部分が種結晶の痕跡。
黒い2本のスジはつり下げ痕。

ここに掲出した資料写真の一部は
Chappyさんにご協力頂きました。

ラスカと呼ばれる屑水晶、上段は透明度が低く品質が悪い。

結晶構造を確認しカットされ振動子として使用できない部分は再度溶解、再結晶化されます。

水晶振動子関連サイト
*【水晶連載・目次】人工水晶の「釜揚げ」を見る
<http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060629/118700/>
*天然水晶から人工水晶へ−科学と技術の流れ−  岩崎文子・岩崎秀夫
<http://www.ricoh.co.jp/net-messena/VM/QUARTZ/index.html>
*Chappy・資料提供
<http://www12.plala.or.jp/Chappy-DIY/>

これは水晶発振子を初めて見る方のために構造が判りやすい発振子を例に開封してみました。

FT-243とその中身

戦後のHAMに一番なじみのある水晶発振子[FT-243]簡単に開封できるので磨き直して(厚さを調整して)必要周波数に変更して使うことも1960年代までは常識的作業でした。

開封は周波数変動や安定度に影響がありますので
むやみに開封する事は避けてください。

【FT-243 水晶発振子・Xtal の構造は】

開封したところ。下左2番目のすりガラス様のものが水晶片です。この水晶片を左右にある電極で挟みケースに挿入します。ケースには電極に対応した引き出し線が付いています。これらの部品が安定して動作するように絶縁板、スプリング、防水ゴム板が重ねられ銘板を被せ封入されます。このFT-243型は圧接電極型の代表的なモノですが安定度向上のため水晶片に直接電極を取り付けるワイヤマウント・蒸着電極型へと進化していきます。 1円硬貨(直径20mm)は大きさ比較用です。

初期の水晶発振子の構造もこれとほとんど変わりません。強いて云えば圧接電極がバネ押さえ、あるいはネジ押さえ等の違いがある程度です。
また、経時変化を避けるために構造的に丈夫なケースや電極等に工夫が見られます。

*圧力などを外部から調整できるようにして周波数の微調整をするように創られたモノもあります。[Apr.2005]

【ワイヤマウントのXtal】

水晶の表面に電極を蒸着しそれに引き出し線を接着(ろう付け)したモノです。
FT-241などもその代表的なモノと云えます。
ワイヤマウントの初期製品では接着部分の剥離が多く見られます。

国産品(金石舎VC-51昭和35年)ではワイヤマウント製品として初期の製品です。米軍のVC-5をモディファイしたモノと思います。
この製品は導電接着剤により電極を接続してるようです。(ハンダではないと思われる)
近年のワイヤマウント製品は製品はハンダ付けのようです。

ワイヤマウントの電極剥離はその後の技術的進歩により故障が無くなり殆どの製品がワイヤマウント方式になりました。

【容量結合のマウント】

このタイプは電極がXtalに対し機械的の接続されていません。Xtalと電極の間に間隙が存在するのです。
コレについてはいくつかの現物を見ていたのですが内部で水晶辺が動いたりすることもあり「固定用部品が紛失したのではないか」と云う疑問を感じハッキリ記述できませんでした。
「容量結合のマウント」について電気通信大学コミュニケーションミュージアムの先生にお尋ねした所、過去に於いてこのような製品が存在したことをお話しいただけました。
また発振素子ではありませんがこのような間隙を有する構造のフィルタを見ることが出来ました。

その一例として写真に示す製品は、下部電極と上部電極の間に水晶片が挟まれています。上部電極と水晶片は密着して居らず0.5mm程度のギャップがあります。
この状態で発信回路に組み込むと安定に動作します。上部電極とは容量で結合されていることになります。

残念ながらこの製品はメーカ不詳です。
参照:
水晶振動子(Xtal 1-h)

(0910)追記 ja1cvf

自作のXtalホルダ

このようにXtalホルダ(水晶補治具・水晶ケース)には水晶片のカットと密接な関係があるのですがその初期に於いては当然のように自作品もあります。

左側の丸形電極(上下2枚有り)の間に水晶片を挟んで使用します。簡単な構造ですが充分機能したモノと思います。
円板直径は約25mm程度です(否実測)

水晶片はガラス同様割れやすく油や埃などが付くと急に発振状態が悪くなりますので、このような開放型では管理が大変だったと思います。

(0910)追記 ja1cvf


資料提供: 電通大コミュニケーションミュージアム収蔵品

水晶発振子と水晶発振器 この違いにこだわる必要はあまり無いと思いますが、高精度の発振器が必要な時には気になる言葉です。
正しく云うなら水晶単体の場合・水晶発振子。水晶発振子と発振回路を組み合わせたモノが水晶発振器でしょう。
水晶発振子と云えど発振回路や温度、電圧変動など外部要因で発振周波数が変化してしまいます。 それらを考慮して周波数変動がないように適切な発振回路と組み合わせたモノを水晶発振器と呼ぶのが通例です。
当然のことながら水晶発振子に対応した発信回路をユーザが組み立てたモノと水晶発振子のメーカが組み立てたモノが存在します。 近年はメーカが水晶発振器として供給するモノが多くなっています。 この流れの理由のとして周波数安定度の追求、生産性の向上などがあります。

温度の変化に対しては 一定の温度を保つ恒温槽にいれる。 温度変化をキャンセルするような感熱素子を使う。
電圧変化に対しては 供給される電源に安定化回路を組み込む。
正しい周波数で発振させるためには・適切な発振回路を使い適切な負荷を接続することです。
負荷変動に対しては 緩衝増幅器(バッフアアンプ)を組み込み負荷の変動が発振回路に影響しないようにする。
など厄介な要素があります。 これらのことを考慮してユーザの仕様にあった発振器を供給することは利便性と信頼度の向上につながります。

特異な例としてはアマチュア無線機などに使われるVXO回路と呼ばれるモノがあります。
周波数安定度を要求される水晶発振器ですが微少範囲で周波数を変化できる回路です。 自励発振器より安定度が良いために簡便な無線機などで周波数可変回路として使われています。

[Nov. 2005]

発振器に求められる安定度 使用される機器が高度になるに従い求められる安定度は次第に厳しくなってきます。

安定度を征するためにたどり着くのは温度であります。 一番はじめに思いつくのは使用環境より少し高めの安定した温度環境に置くコトです。つまり恒温槽です。 電源回路や発信回路も含めて恒温槽に入れてしまいます。 勿論これの制御にも問題が有りますが比較的簡単に10の-7~8乗をクリアできます。
しかし槽内温度が安定するまでは数分から数時間に及ぶ時間が必要です。それまでの時間は使えないことになります。 そしてさらに悪いことは高温環境が使用されるデバイスに悪い影響を与えます。 このことは機器の寿命やコストに影響します。

恒温槽が使いにくいと云うことで考えつくのが感熱素子です。熱を感じて部品定数が変化するモノです。 上手に組み合わせれば総合的に安定なモノが造れます。これの最大の利点は補正に時間的ズレが少ないことです。 しかし”云うは易しなすは難し”です。此処に水晶発振器メーカのノウハウが詰め込まれているのです。

さらに最近は振動、気圧などさらなる不安定要素を克服する必要が出た来ました。 使用条件によってはそれぞれの機器単体で安定度を確保するのが難しい状況です。
其処で浮上したのが同期という方法です。基準になる原器に自分が合わせてしまう方法です。 原器は専門家がしっかり管理して安定度を保証します。それと比較してずれたら合わせるのです。 最近流行の電波時計がまさにこの方法です。
電池さえ入れておけば時刻あわせは全く不要・そんな時計が千円もしないで売られています。これは驚きです。
[Nov. 2005] 

アマチュア無線局の場合  私がアマチュア無線局の免許を取った(1959年)頃、VFO(LC発振器)だけでは免許がおりませんでした。免許を受ける周波数帯の水晶発振器が必要でした。さらに出力が10Wを越える場合は0.025%以内の確度で周波数を測定できる装置が必要でした。
0.025%以内と云うことは7MHz帯では±1.75kHz(250ppm)と云うことになります。手持ちの水晶(FT-243)をディップメータで発信させ周波数カウンタでチェックしてみました。カウンタは未校正ですから絶対周波数を云えませんがバリコンを回すと1kHzほど周波数が変化します。ノーブランド(再生品と思われる)のものは2.9kHzも変化しましたが表記の周波数範囲には入るようです。つまりかなりいい加減な発信回路でも0.025%の誤差範囲には入ると云うことです。
周波数測定装置としては比較補間式と云われる標準電波とゼロビートを取って比較しながら測定する簡易型で良かったのですが、この0.025%と云うのが甘くもない厳しくもない頃合いの確度だったことを改めて感じます。
最近のアマチュア無線用送信機では0.5ppm(0.00005%)の確度を維持しているモノもあり驚きを隠せません。
これはアマチュア無線と云えどもこれだけの周波数確度を要求するシーンが度々あると云うことです。
[Jan. 2006]

閑話休題   周波数を動かせると便利なんだけれど。
えっ!! 
周波数が動かないのが水晶じゃないんですか?

アマチュア無線局の場合、電波の使い方が放送局とは少し違います。使う周波数は固定された周波数ではなくある程度の幅を持った(周波数帯・バンド)範囲の中で混信を避けるため周波数をずらして複数の無線局が使用します。
水晶発振子を沢山用意することはコスト的に大きな負担になります。
そこで考えた逆転の発想、周波数変動が少ない水晶発振器を周波数を変えられる水晶発振器にしてしまおうというアマチュア無線局ならではの発明です。

VF1 QST Advertisement

※BLILEY社ホームページから引用
( copied by BLILEY's WEB )
QST magazine ad for the new VF1 crystal unit.
http://www.bliley.net/XTAL/History.html

写真は
アメリカの名門BLILEYが販売した水晶発振子載せん出んようリーフレットです。
水晶発振子のレバーを回すとテーパ状に研磨した水晶片の圧接位置が変化して周波数を変化させることが出来ると云うモノです。可変範囲は数百kHzに及びます。

BLILEYの可変周波水晶発振子
(VALIABLE CRYSTAL UNIT)はいくつかのモデルが販売されたようですがいつの間にか消滅しました。

次に現れたのはVFO(VARIABLE FREQUENCV OSCILLATOR)と呼ばれる水晶並みの(水晶に近い)高安定度LC発振器が考案され重用されたのです。
これは電気的な回路の工夫と真空管の発熱に対する工夫の結果ですが当時のAM送信機には充分な安定度を有し多くのアマチュア無線局で使用されました。もちろん私も例外ではありません。
しかし、周波数がVHFに及ぶとその安定度は不十分で不便を感じながら水晶発振子を使うことも多くありました。

アマチュアが簡単に実験できる可変周波発振器は作れないモノか・・・
Xtal(水晶)は等価回路で書けばLとCの組み合わせです。コンデンサ(C)を並列に接続すれば周波数が下がることは経験的に知っていました。
コイル(L)を直列に接続したらどうなるだろう。多分周波数は下がるはずだ。
予想どおり周波数は下がっていきます。コイルとバリコン(可変コンデンサ)を入れるとバリコンの調整で周波数を自由に変えることが出来るではありませんか。
この発明はアッという間にアマチュア無線家の間に拡がりました。
VXO(VARIABLE Xtal OSCILATOR)という名称で拡がった発振器ですが、コイルの使い方、広くし過ぎない可変範囲、など使い方にはそれなりの苦労がありました。

しかしこのVXOはVHF,UHFの簡易可変型発振器として21世紀の今でも実用的に使われています。・・・・・

ICが普及すると高級な送信機にはPLL((位相制御自励発振器)による多チャンネル化に対応した製品も販売されました。
ある意味では自由に好きな周波数を発振させることが出来るのですがアマチュアの自作には結構ハードルが高いモノです。[ Sep.2006 ] 

正確な時計  クオーツ時計・水晶時計

時計に限ってクリスタル時計とは云わないようです。 もしクリスタル時計と云われた時、 それは時計の装飾や細工のことであり時を刻む本体に水晶が使われていることを表現する時は前述の通りクオーツ時計、 水晶時計などと呼ばれるようです。

1964年東京オリンピックが開催されました。 そのころ日本では民生用の時計に水晶が使われはじめました。 それまでは特別な標準時計として水晶時計(クオーツ時計)がありましたが、 普通の人が使える腕時計にクオーツの時計が出回りました。

その後、機械で時を刻む時計は一部好事家が趣味で使うモノ以外すべてクオーツになったと言っても過言ではないでしょう。

電波時計というのも一般的になりました。クオーツと云えども多少の誤差はあります。 電波で知らせている標準時間を利用してクオーツ時計の誤差を常に標準電波と比較校正する時計も家庭で使われるようになっています。[Aug. 2005]

水晶大量消費時代  第2次大戦は戦争の方式が変わった時代でもあります。

この受信機器基板
右側約1/3のスペースに30個ほどのHC18/Wの水晶振動子が使われています。

周波数合成方式で1000チャンネルの受信に30個の水晶振動子と云うことは随分合理的に見えますが受信機のかなりのスペースを使っています。

 PLL方式の場合は
一個の発振器と比較しながら目的の周波数を作り出すので基準発振用に一つの水晶用意するだけで任意の周波数を作り出すことが出来ます。
発振器そのものは自励発振です。

第2次大戦を知らない人が多くなりましたが、この戦争は戦争の装備が変化したコトでも注目する必要があります。
ノロシや伝令、伝書鳩、電話、に頼っていた通信が無線電信、無線電話に移りだした時代でもあります。
たくさんの無線通信が使われることによりその信号の安定性が要求され正確な周波数を求め水晶発振器が使われるようになりました。

戦争が終わり(1945年8月)大量の軍用品が放出されました。水晶も例外ではありません。
特に、戦時中の規制で遅れていた日本のアマチュア無線家にとってもまたとない高級部品が手にはいることになりました。 秋葉原界隈はアメリカ軍の廃棄物を売る”ジャンク屋”が賑わいました。
水晶に限らずアマチュア無線の部品は特殊な分野ですから普通のラジオパーツ店では手に入らずジャンク屋無くして、 アマチュア無線は出来ない状態でした。

戦時中はラジオの受信も登録制で短波の受信は御法度の時代でしたから通信機器全体が一般の人から隔離された特殊な状況に置かれていたのです。

1960年頃になると日本も高度成長時代となり電子機器の輸出も拡大してきました。 アメリカではCBラジオが爆発的な人気で多チャンネルトランシーバが大量に輸出されました。 同様に国内のアマチュア無線用トランシーバも多チャンネル化で大量の水晶が使われました。
1台の無線機に100個ほどの水晶が組み込 まれたモノも出現する有様です。

それまで天然の水晶に頼っていた発振器用水晶が枯渇してきたのです。 幸い早期から人工水晶が研究され、実用化されていたパニックにはなりませんでした。水晶発振子のメーカが乱立した時代でもあります。
水晶は高価な部品でしたから無線機のコストに影響します。回路技術の研究によりその使用量を減らす工夫がなされたのです。
発振器を組み合わせて目的の周波数を作り 出すシンセサイザ方式や集積回路技術の進歩で基準発振器の周波数と比較しながら 目的の周波数を作り出すディジタル位相制御自励発振器(PLL方式)などが開発されました。 これにより水晶発振子の需要は大きく低下したかに見えました。

ディジタル技術は水晶の大量消費を抑制しましたがこれの普及は今まで使われなかった家電製品やパソコンなどにも水晶が使われ使用範囲の拡大になりました。結果として水晶は大量消費の道を進んでいます。

昔大きかった水晶発振子は回路の省電力化で現在米粒のように小さくなりました。 そしてほとんどの電子機器に使われています。 まさかと思うようなモノがコンピュータ制御になり、電気釜や洗濯機、エアコン、自動車、もちろん無線機やテレビ、飛行機などにも使われています。
水晶発振子の形も他の電子部品と見分けが付かないような状況になってきました。 もし電子機器の中を見ることがあったらどこに水晶が使われているかさがして見てください。 必ず一つや二つ見つかりますよ!
[ Oct.2005 ]

MEMS発振子の出現  (Micro Electro Mechanical Systems)

シリコンウエハ上に振動体を作ることが出来るようになりました。水晶を使わない水晶以上の安定性を持つ製品です。

水晶振動子が無くなるかも知れません。

1960年代にシリコンウエハの上にセンサーなどを形成する技術が開発されました。また1990年代にはさらに進んだ機械構造・歯車や櫛形アクチュエータ(ピンセットのようなモノ)作れるようになりました。

この機械的構造物を音叉のようにしてしまったらどうなるでしょう。併せて発振回路を組み込めば安定な発振器が作れるかも知れません。
水晶は1940年頃から正確な周波数を得る振動体として絶対的地位を持っていました。金属、セラミックス、等を押さえ21世紀初頭には年間100億個を超える生産量を誇っているのですが小型化を求める時代の要求はその地位を打ち崩すモノになっています。
21世紀の初頭、電子回路はそのほとんどがシリコンウエハ上に形成されるようになっています。L,C,R,はもちろん圧力、温度等のセンサ類も同様です。
その中で水晶振動子だけが水晶という素材の問題から別枠で基板の上に組み込まなければならなかったのです。
マイクロマシン技術でシリコンウエハ上に振動体を形成することは出来ても30ppm程度の温度係数が水晶に及ばず道を空けていたのです。

この温度係数を小さくするためにアニール技術の追求で水晶と同等あるいはそれ以上に小さくできるようになりました。
水晶の温度係数の壁は意外にも水晶自身にあり、その結晶構造の変化がが500℃を越えると起こり始めること、シリコンは1000℃程度でもアニールできることから水晶を越える製品をシリコンウエハ上に作ることが可能になりました。
これにより水晶がシリコンに道を譲る時代が来たことになります。2006年にはMEMS発振子の広告がインターネットに掲載されるようになったのです。

※アニール(ANNEAL焼き鈍し)技術
本来は金属加工の際に発生する応力ひずみなどを取り去るために行う熱処理(焼き鈍し)ですが現在は金属加工以外の広い範囲の技術を含みます。
誤解を招きやすいのですがプロセス技術により作り出された形成物を高温熱処理すること、洗浄、エージング等も含む総合仕上げ技術といえます。
その目的レベルは加工ストレスで発生した原子配列の乱れ等を取り除き安定な状態にすることにあります。
[ Sep.2006 Dec.2008修正
]
参照 Wikipedia MEMS http://ja.wikipedia.org/wiki/MEMS

水晶とオードリーヘップバーン

私の好きな大女優です。あの爽やかなイメージが大好きなのですが・・・・
そのオードリーがなぜこの無粋なMUSEUMに登場するのでしょう。

昭和30年代のことですが“麗しのサブリナ"という映画が有りました。このサブリナこそがオードリーヘップバーンだったのです。[*麗しのサブリナは1954年(昭和29年)制作が正しいようです。0706ja1cvf追記]
サブリナの恋物語がこの映画の題材でご存じの方も多いことでしょう。
サブリナは大富豪のお抱え運転手の娘でした。このサブリナが大富豪の息子に恋をしてしまうのです。大富豪ですから高級車を持っています。父親はこの車の運転手なのですがその車には何と自動車電話があったのです。
私はその映画を見た時この自動車電話の存在が忘れられなかったのです。サブリナの美しさにみとれサブリナの苦しみに心を動かし・・・
でも良く覚えているのは高級車の自動車電話なのです。長いホイップアンテナが付いていたように思うのですがよく判りません。150MHz帯だったという話しもありますが私の印象は2m位の長いアンテナだったと思うのです。CBバンド(27MHz帯)かも知れません

日本ではこの時代電話のない家も多く名刺には 淀橋****(呼) なんて云うのが珍しくなかったのです。
淀橋 と云うのは東京・新宿付近の電話局名です。局番2桁を書くより局名を書くことが多かったように記憶しています。****は4桁の電話番号です。そして最後の(呼)は時には(OO様呼)と書かれることもあります。
つまりこの****は自分の電話番号ではなくてご近所の他人様の電話番号なのです。
名刺に書かれちゃった電話の持ち主は大変です電話が掛かってくると急いで名刺の主を呼びに行かなくてはなりません。

昭和40年代のことですが私は配達の仕事をしていたことがあります。
お客様に届け先の住所、お名前、を聴くのですがそのあと今では常識的に電話番号を聞きます。
当時、電話の無い人もいるのでお客様が云えば良し、云わない時は無理に聴いてはいけない。電話のないお客様に失礼になるからと云われたモノです。
今は変わりました。自動車電話の時代は終わり携帯電話の時代です。そしてその携帯電話がクレジットカードや財布にも早変わりするのですから。

昔の固定電話には水晶は入っていませんがサブリナの自動車電話やあなたの携帯電話にも水晶が入っています。水晶はサブリナと私を繋ぐキーワードでした。
下の記事を読んでサブリナが使ったのは特定の相手としか話せない無線電話ではなく加入電話と繋がる自動車電話で私の記憶に間違いないことを確信しました。しかしそれがPTT方式のフォーンパッチまがいの電話でダイヤルを回してすぐに繋がる電話ではなかったと判りチョットガッカリ![ Sep.2006 ]

※フォーンパッチ 無線回線を加入電話回線に接続して通話できるシステム。米軍は戦後日本に駐留中アマチュア無線局を使って本国の電話と接続して家族と話しをしていました。日本ではアマチュア無線はおろか電話も満足に使えない時代でした。
※添付新聞記事は日本経済新聞2006年9月4日 ビジネスレッスンから引用

水晶ではないのですが圧電セラミックと云うものがあります。
コレれは陶器のようのものでいろいろな形や大きさの圧電素子が作れます。ここでは水晶のような振動体としての使い方に注目して見ました。(2009 04)

セラミック振動子・セラミックフィルタ

水晶振動子に比べ高精度を必要としない環境で発振器やフィルタとして使われます。
圧電素子のセラミックその物の固有振動をを共振素子として使用しているところは水晶振動子と同じです。

人工的に作る素材であるためコストの点で水晶を寄せ付けないメリットがあります。民生用機器に組み込んだ場合、水晶と変わりなく使用できます。しかしながら安定度やQの点では水晶に負ける部分があることは間違い有りません。
左側に集められたものは発振器用、右側がフィルタ用です。性能よりコストを意識した製品が多いためかエポキシディップモールドの製品が多くコレクションとしては面白みがありません。
それでも初期のものは金属ケースが使われたりプラスティックケースが使われていることが判ります。2009年頃はディップモールドの時代も通り越して面実装用のチップ型も使用されています。
チップ型はカタログでは確認できるモノの実際には水晶と見分けがつきません。さらに他の部品インダクタやキャパシタなどとも見分けが付かなくなって来ました。

   
おまけのついでに・・・圧電セラミックの別な使い方
前項では圧電セラミックスその物を振動体としてその固有振動を発信周波数あるいは共振周波数としていますがこちらの製品では金属など別の振動体
を振動させるための変換器(トランスデューサ)として利用しています。  (2011 05)

圧電音叉

商品名としてマイクロフォーク、ピエレフォーク、VIBRASPONDER、などと呼ばれていました。
メカニカルフィルタもこの分野に入ります。
振動体は金属で電気信号を振動体に伝達するために圧電素子であるセラミックを使っています。

安定性の高い金属をU字型に曲げた音叉に、圧電素子を融合させたものです。水晶やセラミック単体では作りにくい低周波領域で多く使われました。
電磁駆動型の音叉発振器は1940年頃、この様な圧電型は1960年頃から使われるようになりましたが2010年現在製造されてないようです。
電子部品の進化は小型化のためこの様な大きい部品を使われなくなったのです。

[写真台紙のマス目は10mmです]
左からMotorola、ムラタ、富士通、SEIKO?、IWATA、FUJI 

開封して内部を見ました。U字型音叉の下の方、両側にに圧電素子が貼り付けられています。この電極に電圧を掛けるとセラミックの圧電現象でU字の先端が開いたり閉じたりします。その振動は音叉の固有振動に引きこまれ共振状態になります。
コレを利用して発振器やフィルタとして使うことができます。

この製品は発振回路を同じケースに組み込んであります。電源を供給するだけで綺麗な信号を取り出すことができます。

圧電音叉の発信回路は水晶振動子とほとんど変わりません。アナログ回路でもインバータを使った回路でも発信させることができます。

発振させるには
既に製造が中止されてるようなので発振回路がほとんど公開されていません。
水晶振動子と同じようにインバータなどで発振させることができるようです。

←この図は株・岩田エレクトリックのホームページから引用しています。
その他使用方法についても参考になる記述があります。

コレは共振子を3枚入れたフィルタです。

大型なので貼り付けられた圧電素子が白く見えます。
一つを振動させる(共振する周波数の信号を入れる)と、隣の振動子も共振し圧電素子から信号を取り出すことができます。

こんな使い方もあります。

コレは薄い真鍮板に圧電セラミックを貼り付けたモノで発振器として特定の周波数で共振させるのではなく、ブザーやスピーカとして電気と音の変換(トランスデューサ)としての目的に使われるモノです。
原理的にはセラミック発振器や圧電音叉全く同じモノです。円板を特定な周波数に共振させれば簡単に発振器として働きます。

最近、都会の駅など人が集中して歩く場所などにで実験されている人力発電機・人の重さなどを利用しタービンなどを動かすのかと思いきや大勢の人が踏みつける床の振動で圧電素子を振動させ発電させる「圧電発電機」が実験されています。大勢の人の不規則な振動でも発電できるようです。

電磁結合による音叉発信器
これのトランスデューサは古典的な磁気コイルです。

TUNING FORK OSCILLATOR
FA344-E 1700CPS  1961-7
TSUKEN E.I. CO.LTD SENDAYJAPAN

サイズ 45X30X80

振動体の金属(音叉)に電気信号を伝達するために電磁石を使っています。
写真では解りにくいですが音叉の先端部に2個ずつ磁気コイルがあります。
これにより音叉の固有周波数で共振し振動を持続すると考えられます。

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