☆ APPENDIX ☆ 水晶振動子(Xtal) |
自己満足の ガラクタ 博物館 |
【 何とも 珍しくない ガラクタたち! ラジオパーツに 留まらないのが 珍しい 】
APPENDIXはただ今編集中です。内容が変更される時があります。ご了承下さい。 ここでは水晶にまつわるエピソードを拾ってみました。 まだまだ新しい発見があります。乞うご期待! |
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水晶振動子
一般の方には耳慣れない電子部品ですが鉱物資源として”水晶”と云えばどなたも一度は見たことがあると思います。 |
昔の真空管ラジオなどでは使われることの無かった電子部品ですが最近のラジオやテレビ、コンピュータ、
その他家電製品にはまず間違いなく使われています。
そんなにポピュラな部品も4〜50年前までは特殊な電子部品でした。
実はまだ電子とか電子部品と云う言葉が使われない頃から”水晶発振子”は貴重な部品として先端の技術者に使われていたのです。
水晶は電気石とも云われるように電気的刺激を与えると変形したり、逆に応力を加えると電気が発生します。 このような現象を圧電現象、そのようなモノを圧電素子などと云います。1880年フランス人により発見されました。
一般的に電気振動を発生させるためにはコイルやコンデンサを使いますが外部の影響を受けやすく
正確で安定な動作をさせるためには困難があります。其処で安定性の良い水晶を使うようになりました。 ※水晶発振子・現在はその呼称は水晶振動子としてJISに制定されています。その理由として当初発振子としての使用範囲がフィルタ、センサとしての利用が多くなり”発振だけではない”と云うことから全般的な表現・水晶振動子に変更されたようです。 [Apr. 2005] |
6角形の透明な柱状結晶が水晶の普通の姿です。 |
水晶ってどんなモノ
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水晶は一般的には6角柱状の酸化珪素の結晶です。酸化珪素は岩石に含まれる石英です。
大きな岩石は風化して小さくなり砂になりますがその中に白い半透明のガラス状のモノが見られます。
それが石英です。石英の中で結晶状態の形を整えているモノを水晶と呼んでいます。
水晶発振子として使われる水晶は初期には天然のモノが使われましたが
結晶構造がキチッとした高純度のモノが得られにくいことなどから現在は人工水晶が使われています。
電子部品としては水晶振動子(水晶発振子・単に水晶と云う時もある)、水晶発振器(発振回路一体のモノ)、
クリスタル、クオーツ、radio
crystal、crystal、xtal、quartz、等の言葉で表現されますが違う意味に使われることもあります。 [Apr. 2005] |
天然水晶を使う時代は終わり、人工水晶が主役です。 |
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この固まりが人工水晶です。大きさは300X200X100mm程です。六角柱でないので不思議に見えます。 人工水晶の歴史は古く1940年頃には日本でも研究が始まっていたようです。 水晶振動子に使われる水晶は結晶構造がハッキリして純度の高いモノでないと使用できません。良質の水晶はほとんどがブラジルで産出され早くからその重要性に気がついたアメリカはその採掘権を押さえていたと云われます。 [Jan. 2008] |
人工水晶はどうやって作るの
製造原理はそれほど難しいものではありません。ラスカと呼ばれる屑水晶を硝酸などの溶液で溶かしその中に結晶構造のしっかりした種結晶を入れることにより結晶が成長することを利用し大きな水晶を作ります。 中央部薄い板状の部分が種結晶の痕跡。 |
ラスカと呼ばれる屑水晶、上段は透明度が低く品質が悪い。 結晶構造を確認しカットされ振動子として使用できない部分は再度溶解、再結晶化されます。 |
水晶振動子関連サイト *【水晶連載・目次】人工水晶の「釜揚げ」を見る <http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060629/118700/> *天然水晶から人工水晶へ−科学と技術の流れ− 岩崎文子・岩崎秀夫 <http://www.ricoh.co.jp/net-messena/VM/QUARTZ/index.html> *Chappy・資料提供 <http://www12.plala.or.jp/Chappy-DIY/> |
これは水晶発振子を初めて見る方のために構造が判りやすい発振子を例に開封してみました。 |
戦後のHAMに一番なじみのある水晶発振子[FT-243]簡単に開封できるので磨き直して(厚さを調整して)必要周波数に変更して使うことも1960年代までは常識的作業でした。 開封は周波数変動や安定度に影響がありますので |
【FT-243
水晶発振子・Xtal の構造は】
開封したところ。下左2番目のすりガラス様のものが水晶片です。この水晶片を左右にある電極で挟みケースに挿入します。ケースには電極に対応した引き出し線が付いています。これらの部品が安定して動作するように絶縁板、スプリング、防水ゴム板が重ねられ銘板を被せ封入されます。このFT-243型は圧接電極型の代表的なモノですが安定度向上のため水晶片に直接電極を取り付けるワイヤマウント・蒸着電極型へと進化していきます。 1円硬貨(直径20mm)は大きさ比較用です。 初期の水晶発振子の構造もこれとほとんど変わりません。強いて云えば圧接電極がバネ押さえ、あるいはネジ押さえ等の違いがある程度です。 |
【ワイヤマウントのXtal】
水晶の表面に電極を蒸着しそれに引き出し線を接着(ろう付け)したモノです。
国産品(金石舎VC-51昭和35年)ではワイヤマウント製品として初期の製品です。米軍のVC-5をモディファイしたモノと思います。 ワイヤマウントの電極剥離はその後の技術的進歩により故障が無くなり殆どの製品がワイヤマウント方式になりました。 |
【容量結合のマウント】 このタイプは電極がXtalに対し機械的の接続されていません。Xtalと電極の間に間隙が存在するのです。 その一例として写真に示す製品は、下部電極と上部電極の間に水晶片が挟まれています。上部電極と水晶片は密着して居らず0.5mm程度のギャップがあります。 残念ながらこの製品はメーカ不詳です。 (0910)追記 ja1cvf |
自作のXtalホルダ
このようにXtalホルダ(水晶補治具・水晶ケース)には水晶片のカットと密接な関係があるのですがその初期に於いては当然のように自作品もあります。 左側の丸形電極(上下2枚有り)の間に水晶片を挟んで使用します。簡単な構造ですが充分機能したモノと思います。 水晶片はガラス同様割れやすく油や埃などが付くと急に発振状態が悪くなりますので、このような開放型では管理が大変だったと思います。 (0910)追記 ja1cvf |
資料提供: 電通大コミュニケーションミュージアム収蔵品 |
水晶発振子と水晶発振器 |
この違いにこだわる必要はあまり無いと思いますが、高精度の発振器が必要な時には気になる言葉です。 正しく云うなら水晶単体の場合・水晶発振子。水晶発振子と発振回路を組み合わせたモノが水晶発振器でしょう。 水晶発振子と云えど発振回路や温度、電圧変動など外部要因で発振周波数が変化してしまいます。 それらを考慮して周波数変動がないように適切な発振回路と組み合わせたモノを水晶発振器と呼ぶのが通例です。 当然のことながら水晶発振子に対応した発信回路をユーザが組み立てたモノと水晶発振子のメーカが組み立てたモノが存在します。 近年はメーカが水晶発振器として供給するモノが多くなっています。 この流れの理由のとして周波数安定度の追求、生産性の向上などがあります。 温度の変化に対しては 一定の温度を保つ恒温槽にいれる。
温度変化をキャンセルするような感熱素子を使う。
特異な例としてはアマチュア無線機などに使われるVXO回路と呼ばれるモノがあります。 [Nov. 2005] |
発振器に求められる安定度 |
使用される機器が高度になるに従い求められる安定度は次第に厳しくなってきます。
安定度を征するためにたどり着くのは温度であります。
一番はじめに思いつくのは使用環境より少し高めの安定した温度環境に置くコトです。つまり恒温槽です。
電源回路や発信回路も含めて恒温槽に入れてしまいます。
勿論これの制御にも問題が有りますが比較的簡単に10の-7~8乗をクリアできます。 恒温槽が使いにくいと云うことで考えつくのが感熱素子です。熱を感じて部品定数が変化するモノです。 上手に組み合わせれば総合的に安定なモノが造れます。これの最大の利点は補正に時間的ズレが少ないことです。 しかし”云うは易しなすは難し”です。此処に水晶発振器メーカのノウハウが詰め込まれているのです。
さらに最近は振動、気圧などさらなる不安定要素を克服する必要が出た来ました。
使用条件によってはそれぞれの機器単体で安定度を確保するのが難しい状況です。 |
アマチュア無線局の場合 | 私がアマチュア無線局の免許を取った(1959年)頃、VFO(LC発振器)だけでは免許がおりませんでした。免許を受ける周波数帯の水晶発振器が必要でした。さらに出力が10Wを越える場合は0.025%以内の確度で周波数を測定できる装置が必要でした。 0.025%以内と云うことは7MHz帯では±1.75kHz(250ppm)と云うことになります。手持ちの水晶(FT-243)をディップメータで発信させ周波数カウンタでチェックしてみました。カウンタは未校正ですから絶対周波数を云えませんがバリコンを回すと1kHzほど周波数が変化します。ノーブランド(再生品と思われる)のものは2.9kHzも変化しましたが表記の周波数範囲には入るようです。つまりかなりいい加減な発信回路でも0.025%の誤差範囲には入ると云うことです。 周波数測定装置としては比較補間式と云われる標準電波とゼロビートを取って比較しながら測定する簡易型で良かったのですが、この0.025%と云うのが甘くもない厳しくもない頃合いの確度だったことを改めて感じます。 最近のアマチュア無線用送信機では0.5ppm(0.00005%)の確度を維持しているモノもあり驚きを隠せません。 これはアマチュア無線と云えどもこれだけの周波数確度を要求するシーンが度々あると云うことです。[Jan. 2006] |
閑話休題 周波数を動かせると便利なんだけれど。 |
アマチュア無線局の場合、電波の使い方が放送局とは少し違います。使う周波数は固定された周波数ではなくある程度の幅を持った(周波数帯・バンド)範囲の中で混信を避けるため周波数をずらして複数の無線局が使用します。 ※BLILEY社ホームページから引用 |
写真は アメリカの名門BLILEYが販売した水晶発振子載せん出んようリーフレットです。 水晶発振子のレバーを回すとテーパ状に研磨した水晶片の圧接位置が変化して周波数を変化させることが出来ると云うモノです。可変範囲は数百kHzに及びます。 BLILEYの可変周波水晶発振子 次に現れたのはVFO(VARIABLE FREQUENCV OSCILLATOR)と呼ばれる水晶並みの(水晶に近い)高安定度LC発振器が考案され重用されたのです。 アマチュアが簡単に実験できる可変周波発振器は作れないモノか・・・ しかしこのVXOはVHF,UHFの簡易可変型発振器として21世紀の今でも実用的に使われています。・・・・・ ICが普及すると高級な送信機にはPLL((位相制御自励発振器)による多チャンネル化に対応した製品も販売されました。 |
正確な時計 クオーツ時計・水晶時計 |
時計に限ってクリスタル時計とは云わないようです。 もしクリスタル時計と云われた時、 それは時計の装飾や細工のことであり時を刻む本体に水晶が使われていることを表現する時は前述の通りクオーツ時計、 水晶時計などと呼ばれるようです。 |
1964年東京オリンピックが開催されました。
そのころ日本では民生用の時計に水晶が使われはじめました。
それまでは特別な標準時計として水晶時計(クオーツ時計)がありましたが、
普通の人が使える腕時計にクオーツの時計が出回りました。
その後、機械で時を刻む時計は一部好事家が趣味で使うモノ以外すべてクオーツになったと言っても過言ではないでしょう。 電波時計というのも一般的になりました。クオーツと云えども多少の誤差はあります。 電波で知らせている標準時間を利用してクオーツ時計の誤差を常に標準電波と比較校正する時計も家庭で使われるようになっています。[Aug. 2005] |
水晶大量消費時代 第2次大戦は戦争の方式が変わった時代でもあります。 |
この受信機器基板 周波数合成方式で1000チャンネルの受信に30個の水晶振動子と云うことは随分合理的に見えますが受信機のかなりのスペースを使っています。
PLL方式の場合は |
第2次大戦を知らない人が多くなりましたが、この戦争は戦争の装備が変化したコトでも注目する必要があります。 ノロシや伝令、伝書鳩、電話、に頼っていた通信が無線電信、無線電話に移りだした時代でもあります。 たくさんの無線通信が使われることによりその信号の安定性が要求され正確な周波数を求め水晶発振器が使われるようになりました。 戦争が終わり(1945年8月)大量の軍用品が放出されました。水晶も例外ではありません。 戦時中はラジオの受信も登録制で短波の受信は御法度の時代でしたから通信機器全体が一般の人から隔離された特殊な状況に置かれていたのです。
1960年頃になると日本も高度成長時代となり電子機器の輸出も拡大してきました。
アメリカではCBラジオが爆発的な人気で多チャンネルトランシーバが大量に輸出されました。
同様に国内のアマチュア無線用トランシーバも多チャンネル化で大量の水晶が使われました。 それまで天然の水晶に頼っていた発振器用水晶が枯渇してきたのです。
幸い早期から人工水晶が研究され、実用化されていたパニックにはなりませんでした。水晶発振子のメーカが乱立した時代でもあります。 ディジタル技術は水晶の大量消費を抑制しましたがこれの普及は今まで使われなかった家電製品やパソコンなどにも水晶が使われ使用範囲の拡大になりました。結果として水晶は大量消費の道を進んでいます。
昔大きかった水晶発振子は回路の省電力化で現在米粒のように小さくなりました。
そしてほとんどの電子機器に使われています。
まさかと思うようなモノがコンピュータ制御になり、電気釜や洗濯機、エアコン、自動車、もちろん無線機やテレビ、飛行機などにも使われています。 |
MEMS発振子の出現 (Micro Electro Mechanical Systems) |
シリコンウエハ上に振動体を作ることが出来るようになりました。水晶を使わない水晶以上の安定性を持つ製品です。 水晶振動子が無くなるかも知れません。 |
1960年代にシリコンウエハの上にセンサーなどを形成する技術が開発されました。また1990年代にはさらに進んだ機械構造・歯車や櫛形アクチュエータ(ピンセットのようなモノ)作れるようになりました。
この機械的構造物を音叉のようにしてしまったらどうなるでしょう。併せて発振回路を組み込めば安定な発振器が作れるかも知れません。 この温度係数を小さくするためにアニール技術の追求で水晶と同等あるいはそれ以上に小さくできるようになりました。 ※アニール(ANNEAL焼き鈍し)技術 |
水晶とオードリーヘップバーン 私の好きな大女優です。あの爽やかなイメージが大好きなのですが・・・・ |
昭和30年代のことですが“麗しのサブリナ"という映画が有りました。このサブリナこそがオードリーヘップバーンだったのです。[*麗しのサブリナは1954年(昭和29年)制作が正しいようです。0706ja1cvf追記] 日本ではこの時代電話のない家も多く名刺には 淀橋****(呼) なんて云うのが珍しくなかったのです。 昭和40年代のことですが私は配達の仕事をしていたことがあります。 昔の固定電話には水晶は入っていませんがサブリナの自動車電話やあなたの携帯電話にも水晶が入っています。水晶はサブリナと私を繋ぐキーワードでした。 ※フォーンパッチ 無線回線を加入電話回線に接続して通話できるシステム。米軍は戦後日本に駐留中アマチュア無線局を使って本国の電話と接続して家族と話しをしていました。日本ではアマチュア無線はおろか電話も満足に使えない時代でした。 |
水晶ではないのですが圧電セラミックと云うものがあります。 コレれは陶器のようのものでいろいろな形や大きさの圧電素子が作れます。ここでは水晶のような振動体としての使い方に注目して見ました。(2009 04) |
セラミック振動子・セラミックフィルタ
水晶振動子に比べ高精度を必要としない環境で発振器やフィルタとして使われます。 人工的に作る素材であるためコストの点で水晶を寄せ付けないメリットがあります。民生用機器に組み込んだ場合、水晶と変わりなく使用できます。しかしながら安定度やQの点では水晶に負ける部分があることは間違い有りません。 |
おまけのついでに・・・圧電セラミックの別な使い方 前項では圧電セラミックスその物を振動体としてその固有振動を発信周波数あるいは共振周波数としていますがこちらの製品では金属など別の振動体を振動させるための変換器(トランスデューサ)として利用しています。 (2011 05) |
圧電音叉 商品名としてマイクロフォーク、ピエレフォーク、VIBRASPONDER、などと呼ばれていました。
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こんな使い方もあります。
最近、都会の駅など人が集中して歩く場所などにで実験されている人力発電機・人の重さなどを利用しタービンなどを動かすのかと思いきや大勢の人が踏みつける床の振動で圧電素子を振動させ発電させる「圧電発電機」が実験されています。大勢の人の不規則な振動でも発電できるようです。 |
電磁結合による音叉発信器
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TUNING FORK OSCILLATOR サイズ 45X30X80
振動体の金属(音叉)に電気信号を伝達するために電磁石を使っています。 1105 ja1cvf |