水晶振動子 (水晶発振子・RadioXtal)

自己満足の ガラクタ 博物館  (0607)

【 何とも 珍しくない ガラクタたち! ラジオパーツに 留まらないのが 珍しい 】 

水晶は自然が与えてくれた傑作といえます。

水晶振動子はとても専門的で電気を扱う人でも知らない人も沢山います。
しかし近年コンピュウタ制御機器が多くなり水晶振動子もポピュラな電子部品になりました。
私が水晶振動子と出会ったのはアマチュア無線をはじめた時です。
小学生の頃ラジオに興味を持ってその後アマチュア無線の存在を知ったのです。
雑誌などでその記事を見ると受信機はともかく送信機には必ず、 クリスタル、水晶発振子(水晶振動子)、crystal、xtalの文字が現れました。
記号で書くと鉱石ラジオでお馴染みのクリスタルイヤホンのマークに似ています。
何とも不思議な記号で現物を見るまで想像も付かない部品でした。
しかしこれがないとアマチュア無線が出来ない“電波の素”のようで、とても印象的でした。

このような私との出会いからこの展示が発振器(発振子)、
アマチュア無線の領域に偏っていることをお断りしておきます。
またその表記名も「水晶振動子」と呼ぶのが標準的ですが
私の使い慣れた名称「水晶発振子」「クリスタル」「Xtal」等を使わせていただくこともあります。
また分類の方法、時系列など混在やオーバラップなどしてる部分があります。
過渡期の製品などキッチリ分類できず違う仲間に入れていることもお断りしておきます。

そしてとても残念なことですが、これら水晶振動子の発展には航空機や通信機器も含めて
戦争・特に第2次世界大戦(WWU)の影響を見逃すことは出来ません。
戦争のための巨額の投資と犠牲が大きな発展をもたらしたことも事実です。
日本に於いては世界に誇れる発明、技術が
ありながら戦争のためそれを充分に生かすことが出来なかったことが残念に思います。

詳細画面のページには逐次新しい収蔵品が追加展示されています。 (0607)

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工事中です・時々変更されます



画像をクリックすると詳細画面が表示されます・・・ここにない収蔵品も逐次追加されています。

初期の水晶振動子
圧接電極(プレッシャマウント)型

(1-a)

水晶振動子は木琴や音叉のように水晶の機械的大きさで発振周波数が決まるため必要な大きさに水晶をカットして使います。 安定度の良い発振子を作るためには結晶構造がキッチリした良質の水晶が必要です。
しかし天然水晶では供給に限度が有るためとても高価なデバイスでした。 近年の振動子は人工的に作られたものを使用しています。

構造は簡単ですが機械的安定性も要求され特に初期の製品は立派なケース(ホルダ)に組み込まれています。 

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1940〜50年代の水晶振動子

(1-b)

大きなケースに入った水晶振動子です。 構造は圧接電極の製品だけでなく100kHz(KC)程度の低い周波数は線支持電極(ワイヤマウント)の製品も有ります。
この中に日本製品も有りますが駐留米軍用に作られたか自衛隊用として創られたモノと思われます。

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初期の平形製品です。

(1-c)

大戦の前後に作られた製品です。
磁器ケースから樹脂ケースに変わる時代の製品です。 戦後大量に放出された米軍のジャンクはアマチュア無線用として再利用されました。
そのまま使えるモノは少なかったのですが構造が簡単で開封できることから再研磨して利用されたモノも少なくありません。
また構造が簡単と云うことでケースをアマチュアが手作りした作品もあります。


戦中戦後の平形製品です。

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ネームプレートが見えるように一部逆置きしたのですが写真が下手で済みません。

(1-d)

米軍の装備品あるいは民生用に作られた製品です。
下段は自衛隊が米軍との装備共通化で作られた日本製品も有ります。
ワイヤマウントの製品も多くなりましたが機械的衝撃に弱いと云うのがこの時代の製品に対する印象でした。
特に商品管理の悪いジャンク屋では不良を見分けるのも一つの技量でした。
便宜上ヨーロッパのモールドケースの製品もこちらに入れていますが年代的にはかなりちがうようです。

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初期の日本製品です。
上段左は海軍型、右は陸軍型と呼ばれる製品ですが戦後も民生用に細々と作られたようです。
下段は戦前の平形です。

(1-e)

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戦後の日本製品です。

(1-f)

敗戦後の日本は電波の使用には厳しい制限が加えられていましたので 製品の数は少なく品質的にもまだまだ彼我の差が目立つ時代です。

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アマチュア無線家にノスタルジックを感じさせる圧接電極型のFT-243です。

圧接電極型は1960年頃をピークにそろそろ終焉を迎えます。

(1-g)

米軍で一番大量に使用されたのがこのFT-243でしょう。
大戦後のアマチュア無線家の標準的モデルとして使われた製品です。

日本ではジャンクからスタートしたFT-243ですが昭和34年(1959年)に始まった電話級アマチュア無線局の誕生で水晶振動子の需要は 急激に増加しました。 そのため水晶振動子が特殊部品から一般的な部品へと変化し水晶振動子メーカが乱立し始める時代でもありました。
再研磨品を販売する業者も出現しました。 もっともこれは日本だけでなくアメリカに於いてもアマチュア無線局の急増で粗悪品や再研磨品が出回ったようです。

この写真の中にも大きさが同じでありながらその構造を異にするワイヤマウント方式の製品も見ることが出来ます。 水晶振動子の標準モデル(サイズ)と云われる状況を呈した時代もありました。
また近年には保守用の用途からケースのみを利用し新しいタイプ(HC18/U)等を入れ込んだ製品も見られます。

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日本の高精度品         (1-h)

高精度を要求される放送局や基準用として作られた戦前戦後の製品です。
日本は水晶振動子に関して21世紀の現在も通用する大発明を有する水晶大国です。 これらはその最高レベルの技術を引き継ぐ製品です。

最近仲間に加えた左の水晶ははたして高精度品と云って良いのだろうか?
それらしい風格は在るものの製造年はおろかメーカ名も見あたらないのです。

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金属管封入タイプ

(1-i)

耐衝撃性を向上させた金属管封入の製品です。
アメリカではメタル管技術が進んでいたためか製品の機械的強度を要求される軍用では多く使われています。
気密構造にすることにより経時安定性も向上させることが出来ます。
そのため近年に於いては開封可能な構造の製品は作られていません。 そのほとんどが金属ケース封入あるいはプラスティックモールドに成っています。
(この写真の中には一部金属管以外の製品、気密構造でない製品が有ります)

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ガラス管封入タイプ

(1-j)

高安定度の要求に耐える製品として真空管ベースの付いたガラス管封入タイプで US,mTのベースを嵌めていますがUX,UY等のST管タイプの水晶振動子は記憶にありません。
内部は真空、あるいは不活性ガス・窒素等を封入し安定性を高めています。 その構造がよく見えメーカによりその製法の違いなどを見ることが出来ます。

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ガラス管封入タイプ−2
見た目の美しさも手伝い
コレクターとしては
一番楽しい製品です。

(1-k)

高安定度を要求される基準器用デバイスとして作られた製品です。
戦後に普及した合理的製法のmT管技術で直接引き出し線を出す型式に移りました。 また恒温槽に組み込む製品は無駄なベースを持たないで直接リード線引き出しの製品も見られます。
製品の性能維持のためガラス封止としたことで内部が見えると云うことはコレクションとしての楽しみを与えてくれます。
ガラス管タイプは汎用品ではなくカスタムメイドとして恒温槽などに入れ、 時には発振回路と共に恒温槽に入れ発振器全体の安定度を向上させるなど高精度基準器として使われます。
恒温槽で使用される場合、常温より高い60〜70度の雰囲気中での使用を考え製作されている場合があります。
そのような製品を常温で使用すると表示周波数に合わせられないことが有りますので注意が必要です。

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金属封止のワイヤマウントタイプ

小型化の要求に応えるモールドパッケージへの進化
そしてその先に見えるモノは!

(1-l)

ガラスより優れた機械的強度と取り扱いの良さがが注目され一番多用されているタイプです。 時代の変化にも対応し小型の製品も作られています。
ケース内部には一般的に窒素等の不活性ガスが封入されています。形状により真空の製品もあります。
 初期の製品ははんだにより封止されていますがハンダ蒸気の混入、 熱的ストレスを避けるため後期は溶接あるいは冷間圧接で封止した製品が多くなります。

金属ケースは優れた製品安定性があるのは判りますがコレクタとしては中身が見えないのは残念です。禁断の殻割りをしてしまいました。
ここをクリックすれば禁断の写真が見られます。

小型化の要求はデバイスの構造を変えてきました。
そして時代は全く違った方向へ進み始めたのです。

画像をクリックすると詳細画面が表示されます・・・ここにない収蔵品も逐次追加されています。

水晶共振子

(1-m)

水晶振動子は等価回路で書くとL-C共振回路ですから当然のことながら共振回路・フィルタとして使えます。
共振子は水晶の別の使い方と考えていますのでここでは一例として展示しています。

高度な使用条件に対応するための一つの方法・恒温槽、発振回路一体化の製品

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