*ないものねだりのCRUISING〜3*



テント生活に慣れ切った連中にとって、白鳳評するところのぼろ船も、雨風を凌ぐには十分過ぎる空間だ。外見こそ老朽化しているが、船内は手入れが行き届き、備品類も決してみすぼらしくない。
「ひゃー、ほっぺたが落ちそうだあ」
「こっちのパイも美味いぞー」
子分とハチはもらった焼菓子をテーブル一杯に広げ、仲良くおやつタイムを堪能していた。クッキー、サブレ、マドレーヌ、タルト、パイ・・・etc.。限界まで頬張った菓子で、真ん丸顔がお多福状にぷっくり膨らむ。
「おいらはジャムパイがいいやあ」
「おいらはクリームパイだ」
「タルトに乗っかってるのは何かなー」
「わくわく、どきどき」
目新しい菓子へ熱い視線を注ぎ、先を争って包みを取る一同だが、アックス他の分はちゃんと確保してある。たとえ世界一のパティシェがこしらえた高級品でも、アックス特製プリンには及ばないし、貧しくとも楽しい日々は全て大好きな親分がいてこそだ。
「親分と姐さん、遅いなあ」
「何やってるんだろ」
「そういや、青いのも来ないぞー」
身の丈に合った容れ物で満足し、幸せオーラすら漂わせる彼らは、船の規模や設備を巡り、親分と姐さんが寒いやり取りを繰り広げているとは知る由もない。
「おやつ終わったら、迎えに行こう」
「そうしよー、そうしよー」
検討の余地もなく、意見がまとまった途端、扉が乱暴に開け放たれ、やや前髪を乱した白鳳が駆け込んできた。
「ハチ、いるかい」
姐さんの登場に反応して、オーバーオールの集団は菓子を持ったまま、わらわらとしなやかな肢体を取り囲んだ。半開きの口の周りに、香ばしい欠片がまんべんなく散りばめられている。
「姐さ〜ん、待ってたっす」
「お菓子、すっげー美味いっすよ」
色とりどりのバンダナの間をぬって、ハチがひょっこり顔を出し、両手でジャムパイを差し出した。
「はくほーも早く食えや」
甘いラズベリーの香りがほんのり鼻腔をくすぐった。しかし、白鳳はパイの誘惑をはね除けると、ぽっこりお腹をつつきながら、やや低い声で言いかけた。
「済まないけど、ちょっとDEATH夫を呼んで来て」
「げげーん!!オレ、まだ食ってるのにようっ」
食事やデザートを中断される。ハチの日常生活において、これ以上悲しいことがあろうか。涙目になったハチは、長いテーブルの端にへなへなと不時着した。が、己の都合しか頭にない白鳳は、その首根っこをむんずとひっ掴み、強引に眼前へ引き寄せた。
「だから、済まないって言ってるじゃん。ハチしか客船へ潜り込める技能持ちがいないんだよ」
「でもよう、オレの菓子。。」
「ハチの分は残しておくから、とっとと行っといで。それに会いに行けば、またお菓子もらえるかもよ」
「あっ、そっか。はくほー、頭良いなー♪」
単純なハチは白鳳の出任せをあっさり信じた。夢のお菓子天国を想像したのか、歯をむき出してにんまり笑っている。食いしん坊をまんまとだまくらかし、白鳳はしてやったりとほくそえんだ。
「じゃあ、呼んできてくれるね」
「おうっ、合点だ!!」
ハチは喜々として、船の丸窓をすり抜け、豪華客船目掛けて飛び去った。ただでもちっこい体躯が、見る見るうちに点になる。
「虫は小回りが利いていいねえ」
窓の外を見遣りつつ、苦笑混じりに呟くと、白鳳は緩慢な動きで、扉の前まで進んだ。羽のない身の悲しさ、こっちは今来たルートを戻って、外へ出るしかない。
「どこ行くっすか、姐さん」
「お菓子、取ってあるっすよ」
「美味しいおやつ食べるっすー」
せっかく姿を現した白鳳が早々と去りかけたので、バンダナ軍団は眉を八の字にして、口々に引き止めた。素直に慕ってくれる気持ちは心に響くけれど、今はどうしてもこの船に落ち着く気にはなれない。かと言って、純真な相手を傷付けるのは本意ではない。神風やハチとは別の意味で、彼らのことも大事に思っているのだ。白鳳はにっこり微笑むと、努めて穏やかな口調で言いかけた。
「私は親分さんを連れてくるから、もう少し待っていて」
「うう、分かったっす」
「やっぱ、親分がいないとなー」
「姐さん、よろしく頼むっす」
「親分と一緒に早く戻って下さいっす」
「うん、ありがと」
名残惜しそうな子分に見送られ、白鳳は速やかにぼろ船を後にすると、再び港へ足を踏み入れた。



船外に出るやいなや、やや離れた場所に立っていた神風が険しい眼差しを向けた。
「白鳳さま、もう潔くこの船に乗りましょう」
「イヤだ。とにかく、DEATH夫と直接、話したいの」
「DEATH夫が豪華客船の旅にお供するくらい、大切にされていると分かっただけで十分じゃありませんか」
「私らがいるってハチから聞いたくせに、挨拶ひとつない冷淡な態度は許せない」
「マスターに同行してるんじゃ、自由に身動き取れねえんだろう」
説得するならひとりよりふたりと、アックスは渋々白鳳と神風の会話に参加した。白亜の船と違い、盗賊団一行は出航時間も定めぬ気ままな旅だが、早く乗組員が勢揃いするに越したことはないし、船の内部も隅々までチェックしておきたい。可愛い子分たちだって、きっと親分や姐さんの乗船を待っているはずだ。
(それになあ)
白鳳がいかに豪華客船に執着したところで、どうせ思惑通りにならないのは目に見えている。身の程知らずのなれの果てとは言え、客船にもぼろ船にも見放され、港に取り残される結末を迎えるのはさすがに可哀想だ。もっとも、罪もない乗客や船員が被る迷惑を考えると、白鳳をしっかり捕まえておくのは、行動を共にする者の義務かもしれない。だが、アックスの配慮も虚しく、当の性悪猫は自分が誰かの迷惑になるとは夢にも思っていなかった。
「船旅をする時間があって、同窓会に出る時間がないなんて、我々を馬鹿にし過ぎだよ」
「ちび助が行き来してるから、改めて近況報告はしねえんじゃねえか」
白鳳と縁が出来て以来、影のごとく付き従う男の子モンスターと接する機会は多々あった。上辺は大雑把に見えるが、その実、人情の機微に疎くないアックスは、各メンバーの性格をある程度飲み込んでいる。幸不幸にかかわらず、DEATH夫が現状を自ら述べるとは考えづらい。
「脳みそ3グラムの虫は、ちっとも役に立ちやしない。帰還した直後にいろいろ聞いても、平らげたご馳走の種類しか言わないし」
「がっはっはっ、そりゃちび助らしいな」
「笑い事じゃありませんよ。人の知りたい情報はこれっぽちも覚えてないんだから」
だからこそ、今回のチャンスを逃すわけにはいかない。悪魔界の住人たるDEATH夫が、ご主人様と人間界に来ているのだ。どんな手を使っても対面して、直に根ほり葉ほり聞き出してやる。紅い瞳の中に邪な炎が燃え盛る。主人の歪んだ意気込みを察した神風は苦い顔をして、ぴしゃりと投げつけた。
「興味本位の問いかけは悪趣味です」
「私は心底DEATH夫の身を案じているんだよ」
オーバーな仕草で銀の糸を振り乱し、白鳳は両手を胸元で交差させた。しかし、人の良いアックスみたいに、主人の白々しい田舎芝居にほだされる神風ではない。
「白鳳さま、綺麗事はやめて下さい。私は知っています」
「え」
白鳳の背筋を冷たいものが流れた。昔から、神風に偽りの善人面は通用しない。案の定、紺袴の従者の勘にはいささかの狂いもなかった。
「白鳳さまがハチにしつこくDEATH夫の様子を尋ねるのは、純粋に心配している面もありますけど、あわよくばDEATH夫の弱みを握って、優位に立ちたいからじゃないですか」
「うううっ」
要するにDEATH夫らしからぬ、情が垣間見える言動を把握して、脅しやからかいのネタにするつもりなのだ。400%言い当てられ、白鳳は一言も反論出来なかった。
「おー、いかにもこいつが企みそうなこった」
「他人の弱みにつけ込む術にかけては、見事なほど抜け目がないんです」
「ホントになあ」
神風の的確なコメントに、アックスはしみじみうなずいた。銀髪の悪魔の親切心には必ず裏があるのだ。これまでついほろりとして、何度痛い目に遭わされたことか。近頃は神風のおかげで、被害は最小限にとどまっているものの、根っから好人物なだけにまだまだ被害をくらう可能性もあろう。
「ふんだ、親分さんや神風には関係ないでしょ」
黒い企てを暴露されても、反省するどころかふてくされる白鳳に、アックスの怒号が炸裂した。
「いい加減にしやがれっ!!だいたい、かつての従者が豊かに暮らしてりゃあ、普通、手放しで祝福するもんじゃねえのか」
「そうですよ、羨んだり妬んだり・・・・元マスターの態度とは思えません」
祝福しないのみならず、本気で張り合う気なのだからとことん救われない。相変わらず膨れっ面の白鳳へ、アックスと神風が目を三角にして、じりじり詰め寄ってきた。



掛け値なしの正論を持ち出され、白鳳は一気に苦境に立たされたが、そこへ救いの神が現れた。主人の指令を無事やり遂げたハチは、誇らしげに腰へ手を当てて、3人の頭上を漂っている。
「呼んできたー」
「おやまあ、最高のタイミングで戻ってきたねえ。ご苦労様、ハチ」
役目を果たしたことより、神風とアックスの糾弾から救ってくれた功績を認め、白鳳はハチに両腕を差し伸べ、触手の揺れる頭を優しく撫でた。いつにない歓迎ぶりにハチは浮かれ、白鳳の胸元へぽっこりお腹を擦り付けた。
「かあちゃーん、でへへ」
「よし、特別に許す」
「おおお、やた〜♪」
裏事情を知らないハチが、無邪気に甘ったれるのを遮るのは酷だ。アックスも神風も割り切れない思いを抱きつつ、叱責を中断せざるを得なかった。鬱陶しいお小言攻撃が止んだのを確かめ、白鳳はおもむろに本題を切り出した。
「DEATH夫はどこ?」
「あそこだぞー」
ハチが差す方を注目すると、客船を縁取るプロムナードデッキに、白鳳たちを見下ろす感じで、漆黒のシルエットが立っているのが見えた。河からの風がコ−トの裾をゆらゆらはためかす。
「き〜っ、偉そうに見下げちゃって、ムカつく〜っ!!」
「白鳳さま、この高低差では見下ろす形になって当然です」
「ダメだこりゃ、嫉妬で完全に目が曇ってらあ」
筋違いな怒りで地団駄踏む白鳳を、生温かく眺める神風とアックス。と、その時、DEATH夫がふわりと跳躍し、3人と1匹のところへ舞い降りた。
「何の用だ」
場所が場所なので、鎌は所持していない。人間界では不要な気は、例のリングに封じ込めているみたいだ。やっとまともに話が出来る。白鳳はつかつかとDEATH夫の正面まで歩み出た。
「なぜ、私たちを無視するのさ」
「わざわざ菓子をくれたじゃねえか」
「どれも美味かったぞー。皆、喜んでたかんな」
アックスとハチのフォローに耳を塞ぎ、白鳳はなおもまくし立てた。
「他のコと違って、DEATH夫には普通じゃ会えないんだから、顔くらい出しなよ。こないだだってすぐ帰っちゃうし、フローズンがとても心配してた」
「そうか」
DEATH夫の表情が仄かに和らいだ。フローズンの話題が出ると軟化するのは、パーティーを組んでいた頃と変わらない。そのくせ、フローズンにも現状報告をしていないとはあまりにも怠慢だ。ここはフローズンの代わりに、元マスターの自分が詳しい話を聞いてあげよう。偽りの親切心に彩られた大義名分を得て、白鳳は大張り切りでDEATH夫に問いかけた。
「で、DEATH夫はご主人様とふたりで観光旅行?」
「仕事だ」
「よく言うよ、娯楽施設てんこ盛りの客船の中で、どんな仕事があるわけぇ」
「護衛だ」
「往生際が悪いコだねえ。観念して真相を白状おし」
「白鳳さま、本人が護衛だと言うのですから、護衛なんでしょう」
「ネチネチとつまらねえ詮索はよしやがれ」
「だって、納得いかないんだも〜ん」
まあ、DEATH夫は妙な部分が不器用なので、ハネムーンを任務の旅と嘘をつくことは出来まい。神風の言葉通り、心から護衛の任務と認識しているようだ。ただし、この道行きに護衛が要るとは思えない。酔狂な上級悪魔のお忍びの旅なのだ。むしろ一般の乗客の安全を懸念すべきではないか。聡明な神風も同様に感じたらしく、神妙な面持ちで口を開いた。
「万が一、悪魔が乗船していると知れたら、パニックになりかねないが」
「人間ごときにあいつの正体は分からんさ」
DEATH夫が自信に溢れた様子で言い切った。かつては不仲だった神風とDEATH夫も、白鳳パーティーでの様々な出来事を経て、最近ではお互い認め合ういい間柄だ。彼らに挟まれたハチが、短い腕をぐるんぐるん回した。
「あのなー、ですおのご主人様、いつもしこたま食いもんくれるし、とっても優しいんだー」
「ふぅん」
「上級悪魔にもてなされるたあ、ちび助は案外、大物かもしれねえな」
単細胞なアックスはストレートに感心したが、白鳳は別の可能性を考えていた。ハチの懐っこさや面白さはさておき、恐らく神が手元を狂わせた珍生物として、尊重されているに違いない。喩えるなら、ノーベル学者さんの好奇心を掻き立てた子分のようなものだ。アックスはバンダナ連中に慣れ切って、きっと感覚が麻痺しているのだろう。



かつての仲間と交誼を深めるのはいいが、乗るべき船が定められている以上、いくら語り合っても埒はあかない。可愛い子分も待っているし、そろそろ潮時だと、アックスは汽笛よりも通る声を張り上げた。
「ほらっ、もう俺たちの船へ移動すんぞっ!!」
だが、4色バンダナには親分の号令は絶対でも、白鳳には下僕の雑音扱いしかされなかった。アックスの指示を無視すると、紅唇は僻み根性丸出しの恨み言を吐いた。
「自分さえ豪奢な旅が出来れば、私たちは貧しさに苦しんでもかまわないんだね、薄情者。焼菓子ごときじゃごまかされないんだから」
白鳳の手前勝手な言い種に、アックスと神風は顔を見合わせ、大きく息をついた。白鳳がDEATH夫の立場であれば、威張りまくりの自慢しまくりで、お菓子のおすそ分けをしないどころか、さんざん見せびらかしたあげく、自ら意地悪く試食するくせに。しかし、現世の欲に関心が薄いDEATH夫は、白鳳のいきり立つ理由が素で思い当たらず、腑に落ちない視線で言いかけた。
「何を苛立っている。大きかろうと小さかろうと、同じ船だ」
DEATH夫には欠片も悪気はないし、彼の価値観では船の大小など問題にならないのだが、白鳳はそうは受け取らなかった。勝者の余裕で馬鹿にされたと感じたのだ。
「冗談じゃないよっ、外見からして対極でしょうがっ!!自分が勝ち組だと思って、人をコケにして・・・悔しい〜っっ」
「お前は大きい船に乗りたいのか」
「当たり前だよ。誰が好きこのんで老朽化したぼろ船に・・・・」
緋の双眸が放つ怨念で澱んだ光が、アックスの胸板へちくちく突き刺さる。結局、元の木阿弥で、また見栄っ張りな性悪猫のサンドバッグにされるのかと、アックスが肩を落とした瞬間、DEATH夫が信じられない一言を発した。
「そんなに乗りたければ変わってやる」
「え、いいの?」
美味し過ぎる申し出に、白鳳は媚びモード全開の猫なで声で聞き返した。
「出航は夜だし、それまで好きにしたらいい」
「きゃ〜っ、嬉しいっ!!DEATH夫もすっかり丸くなったねえ、良いコ、良いコ♪」
DEATH夫は質の悪い冗談を言えるコではない。地獄から天国への急展開に、白鳳の気分は打ち上げ花火のごとく高揚したが、当然、常識人の面々は異を唱えた。
「白鳳さま、少しは遠慮したらどうですか」
「おめえの図々しい振る舞いで、周囲がどんだけ迷惑を被っているか、ちったあ気付きやがれ」
「ですおだって、せっかくご主人様と一緒なのによう」
ハチにまで意見されているのが実に情けない。けれども、白鳳の誤ったやる気は小揺るぎもしなかった。
「外野はうるさいよ。人の厚意はありがたく受けなきゃ」
DEATH夫本人がオッケーを出したのだ。これほど心強い錦の御旗はない。護衛が主人の乗った船を離れていいのか等の素朴な疑問は、すでに頭の中から綺麗さっぱり追い払っている。自分が豪華客船に乗船出来れば、DEATH夫の主人や他の乗客がどうなろうと知ったこっちゃない。
「白鳳さまを甘やかすなんて、DEATH夫らしくもない」
「そうだ、こいつはなし崩しに密航を狙うに違えねえ」
善意の第三者をおもんばかって、反発を続ける神風とアックスだったが、残念ながら、不本意な決定は覆らなかった。DEATH夫は懐から名刺大のカードを取り出し、たおやかな手に渡した。
「持って行け」
見れば、乗船証だった。しかも提示することで、レストランを始め、船のあらゆる施設が全てフリーパスになると言う。
「うふふ、ありがと。だけど、DEATH夫はどうするの」
「なあなあ、オレたちの船へ行こうや」
ハチがちっこい掌でDEATH夫の胸ポケットの上部をぎゅっと掴んだ。神風も賛同して、一行の責任者たるアックスへ頭を下げた。
「お願いします、親分さん」
「こっちはかまわねえが、おめえ、それでいいのか」
「ああ、しばらく世話になる」
「よし、分かった」
元々大所帯なのだ。今更ひとりふたり増えようが、大勢に影響はない。こういう大らかで面倒見がいい性質も、アックスが”親分”として慕われる所以であろう。
「嬉しいぜっ、ですおー」
「悪いなあ、白鳳さまのワガママで」
「別にいいさ」
取りあえず、DEATH夫が出航までと区切っていたので、アックスと神風は敢えて白鳳の好きにさせることにした。手が届かないゆえに執着心が募るだけで、実際、乗船して贅沢の真似事をしたら、あっけなく憑き物が落ちるかもしれない。ただし、出港時になって、なお抵抗する場合には、力ずくで連れ戻すつもりだが。
「じゃあ、私は本来の場所へ降臨しますから、親分さんたちも貧乏なりに小さな幸せを見つけて下さいな」
DEATH夫の身の振り方も決まり、白鳳は後顧の憂いなく踵を返すと、一目散に乗船口へダッシュした。ゴネ得という名の力業で、半分ながら夢を実現させた白鳳は、肩をそびやかしてタラップを登っていく。
「夜までにリッチな愛人をゲットすれば、そのまま優雅なクルーズに突入出来るもんね♪まさに敏腕ハンターの腕の見せどころ。今度こそ小汚いドレッドのキープはポイ捨てかな」
とんでもないセリフを呟きつつ、紅いチャイナ服は豪華客船の人となった。




TO BE CONTINUED


 

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