*愛人がいっぱい〜7*



背筋をピンと伸ばしたウエイターが、鴨のローストを運んで来た。ソースに入った赤ワインの仄かな香りが鼻腔をくすぐり、ほど良く火が通った皮面の色と相俟って、食欲を掻き立てる。が、白鳳は柔らかな胸肉に手を付けようとはしなかった。真性××者にとって、テーブルよりベッドでのご馳走の方が遙かに重要だ。DEATH夫の思わぬ軌道修正発言に力を得て、紅いチャイナ服はアーチのごとく、ぐいっと上体を乗り出した。
「じゃあ、お望み通りDEATH夫をガンガン口説いちゃう」
「ふざけるな」
差し伸べたたおやかな手を乱暴に叩かれ、白鳳は相手の双眸をきつく見据えた。
「自分から粉をかけておいて、その言い種ってあり?」
「いい加減鬱陶しいから、はっきり引導を渡してやる」
やはり現実は限りなく厳しい。まあ、DEATH夫が急に従順になったら気味悪いし、難関を突破した達成感も得られまい。普通にスタートラインに付いたと考えれば済むことだ。
「嫌だ。絶対、諦めないよ。DEATH夫を私の魅力の虜にして、夜な夜な、いかがわしい行為に耽るんだもん」
「どいつもこいつもお前を励ませとうるさかったが・・・もう必要なさそうだな」
瞳に宿る妖しい光も、根拠のない自信に溢れた口調も、何もかもいつもと同じだ。惚れたオトコに無理やり迫る姿と、まるっきり変わりない。願望とかけ離れた展開ではあったが、従者たちのもてなしが功を奏し、白鳳はほぼ普段の調子を取り戻したらしい。
「分かってないなあ。表向き健気に明るく振る舞ってるけど、胸の奥はズタズタなんだよ。だから食事の後はDEATH夫にベッドでご奉仕して欲しいな〜v」
ストレートに弱音を吐いて、同情を買おうと目論んだ白鳳だが、この手の白々しい発言は復活ぶりを証明する効果しかない。案の定、DEATH夫はガタンと大きな音をさせ、席を離れかけた。
「くだらん。俺は帰る」
「ま、待ちなよ。まだメインディッシュが残っているのに」
「興味ない」
「肉とかたくさん食べて、きちんと栄養取らなきゃ」
神風たちがDEATH夫をディナーの係に回したのは、食に無頓着な彼を気遣って、少しでも質の高い料理を食べさせるためではないだろうか。しかし、DEATH夫には仲間の意図はこれっぽちも伝わっていなかった。
「味がしつこい」
「最高級のディナーに文句を言うなんて贅沢なコだねえ」
丁寧に味付けされた分、コクがあるとは感じたが、決してくどくはない。DEATH夫は薄味好みなのかもしれない。
「お前がこしらえたモノの方がマシだ」
「え」
一瞬、きょとんとしたけれど、白鳳はすぐにDEATH夫の言わんとする意味を理解した。出会った頃はひねくれた物言いに、腹を立てる場面もしばしばだったが、最近はフローズンやハチの指導もあって、本意を正しく脳内変換する技を身に付けた。つまり、白鳳が作った食事は一流シェフのフルコースより美味しいと述べているのだ。白鳳はじわっと嬉しくなった。毎回、残さないことが救いだったものの、お代わりもしないので、体力確保のための効用しか認められてないと、内心がっかりしていた。制約の多い中、材料選びから吟味して、丹誠込めた料理は皆に喜んでもらいたかった。
「ちっとも感想をくれないから、口に合わないかと心配してたけど、結構、美味しく食べてくれていたんだ」
「誰も美味いとは言ってない」
「いいの、いいの、うふふ」
そっけない表現でも褒め言葉には変わりないし、彼が他者を認めること自体稀なのだ。白鳳は緩む口元を抑えられないまま、ひとり何度もうなずいた。だが、後がない状況だけに、この程度で満足するつもりはない。夜が更けるまでに、せめて愛人ルートへのきっかけくらいは掴まなくては。
「とにかくレストランに居る間はデートなんだから、DEATH夫の話をちょっとは聞かせてよ」
「俺のことを聞いてどうする」
「だって、凄く興味があるんだもん。特に魔界でのこととかご主人様のこととか」
俗な好奇心を隠そうともせず、頬をやや紅潮させながら、まくし立てる白鳳を見て、DEATH夫は醒め切った眼差しと共に言い捨てた。
「そんなにDEATH夫に興味があるのなら、別のDEATH夫を捕まえて来たらいい」




諦めの悪い主人を突き放したDEATH夫の提案に、白鳳は間髪を容れず反論した。
「他のDEATH夫じゃ意味ないんだってば」
「何故だ。外見は変わらない。氷のダンジョンに複数居れば、判別不可能なくせに」
「ううん、絶対見分けられるっ!!」
「闘気の強弱でか」
優秀な従者たちに鍛えられたおかげで、白鳳は個々の気の相違から、対象の属性を9割方察知出来るようになっていた。
「それを抜きにしたって、即座に分かると思う。むろん神風やフローズンやまじしゃんやオーディンも、すぐ見つける自信はあるよ」
同種のモンスター同士で他者の区別に困らないのは、姿は複製に見えてもおのおの個性があるからだろう。部外者は深く関わる機会がないゆえ、特徴を認識するに至らないだけだ。けれども、パーティーの男の子モンスターとは、諸国を巡る間、日常生活を共にして来て、今では性格のみならず、細かい仕草や表情の癖まで把握している。たとえ何百何千同じ顔が並んでいても、探し出せないはずがなかった。
「私はね、目の前にいるDEATH夫が欲しいの」
そんじょそこらのDEATH夫じゃない。悪魔が手塩にかけた上玉だ。
「まだ俺を愛人にしたいのか」
「当然」
終わり良ければ全て良し、と転じるかの瀬戸際とあって、白鳳は真紅の双眸を目一杯見開き、必死に己をアピールした。が、DEATH夫は未練がましい主人を一瞥もせず、きっぱり宣告した。
「身の程知らず」
相も変わらぬ高所からの物言いが気に障り、白鳳は声を荒げて切り返した。
「DEATH夫には言われたくないよ」
「どういう意味だ」
「上級悪魔と男の子モンスターの方が、よっぽど身分違いじゃん。本来なら魂と引き換えに、ご主人様から○を貰うのがせいぜいなんでしょ」
「あんな連中と一緒にするな」
表現ひとつ取っても、同族との仲間意識は欠片もない。ダンジョンで暮らす一般のDEATH夫など、歯牙にもかけてないのだろう。
「はいはい、魔界育ちのエリートだもんね」
「・・・フローズンから聞いたのか」
白鳳の嫌味たっぷりの一言に、DEATH夫の眉が微かに顰められた。彼らの間でもトップシークレットだった事実を、口の堅いフローズンが打ち明けたのは、白鳳をマスターとして信頼し、期待している証拠だ。これが原因で、雪ん子が責めを負う形になるのは避けたい。
「私がオーディンの話で困らせたから、苦し紛れについ出ちゃったんだよ。どうかフローズンを怒らないで」
白鳳は慌ててフォローを入れたが、DEATH夫はいきり立つ様子もなく、淡々と言いかけた。
「かまわん。話が早くていい。所詮、お前らとは生きる世界が違うんだ」
「私だって、皆だって、誰もそんな風に考えてないよ。同じ空気を吸って、同じ釜の御飯を食べて、同じ部屋で寝ているんだから」
下界へ放り出されて相当経つにもかかわらず、未だに過去の栄光を忘れられないらしい。パーティーに馴染んで来たのは確かでも、胸の奥ではひとり別の風景を見ているのだ。客観的に見ても、魔界への強烈な執着が、DEATH夫のためになっているとは思い難い。いっそ帰還を諦めてしまえば、つまらない特権意識やプライドから解放され、心優しい仲間との新たな展望が開けるのに。日頃は控え目なフローズンが、強固に反対するのもうなずけた。しかし、根っからクールなDEATH夫は、岡惚れした白鳳みたいに、のぼせ上がって周囲が見えないわけではない。ここは彼の言い分も聞いてから、最終的な判断を下そうではないか。
「ねえ、フローズンの反対を押し切っても、帰りたいのはなぜ?」
「あそこが俺のいるべき場所だからだ」
「たった一度の過ちで容赦なく断罪されたんだよ。そんな冷酷なマスターのところへ戻ったって、いつまた同じ目に遇うか」
「お前には分からない」
睨むでも脅すでもなく、むしろ静かな声音で呟いた。黄金色の瞳の澄んだ輝きが、彼の人への想いの深さを感じさせた。
「・・・・・ご主人様のことが好きなんだね」
この”好き”は、恋愛のみならず、親子・師弟関係等全て引っくるめての”好き”だ。××者の悲しさで愛人関係ばかりに注意が向いていたが、DEATH夫にとって、マスターは育ての親の部分が一番強いのかもしれない。だから、母親を恋い慕うハチが同じ匂いを察し、敏感に共鳴したのだろう。



DEATH夫の意外な一途さにしんみりしたものの、うっかりほだされたら先程の二の舞だ。自分が主役であるべきデートで、従者たちの問題に付き合わされるのは、もう勘弁してもらいたい。白鳳が望んでいるのは、身も心も震える甘いオトナのお付き合いなのだ。幸い、魔界絡みの話になったので、晩餐を再開しつつ、更に探りを入れることにした。マスターとの生活の詳細がはっきりすれば、良いアプローチの仕方が閃くに違いない。仮に詮索し過ぎてDEATH夫を激怒させても、きっと神風が仲裁に馳せ参じてくれるだろう。
「ついさっきまで、DEATH夫は魔界で道具のような扱いを受けたと思ってた」
「何とでも言え」
「でも、ひょっとしたら私は勘違いしてたのかも。実際はご主人様に大事にされて、いい生活をしてたんじゃないの」
DEATH夫に気を遣ったわけではなく、白鳳の包み隠さぬ本音だった。魔界を追われた経緯に加え、惨たらしい傷跡の印象が鮮烈なので、辛い毎日を強いられて来たと決めつけていたが、貴族の子女に引けを取らない作法は、一朝一夕で習得出来るものではない。戦闘関連は徹底的に鞭だけど、それ以外の日常は飴の部分も多かったのではなかろうか。でなければ、人間界の温かな情や暢気で楽しい日常を知ってなお、DEATH夫が帰還に執着するのが腑に落ちない。
「いい生活?」
「要するに、館の豪華な一室で囲われて、何でも言うこと聞いてもらって、服も食事も娯楽も贅沢し放題で、毎晩たっぷり可愛がってもらえる生活♪」 
それは白鳳が望む”いい生活”だ。そもそも寄生虫のごとき内容を、胸を張って述べる時点で間違っている。どこかで様子見をしている神風も、さぞや頭を抱えていることだろう。
「バカか、お前は」
「えええっ、違うの!?」
大げさに驚く白鳳と対照的に、DEATH夫は抑揚のない口調で先を続けた。
「暇潰しに拾ったモンスターに、付ききりなわけなかろう」
「だって、潜在能力を見込まれたんでしょ」
「俺だけじゃない。視察や外遊に行ったとき、たまに連れて来る。ほとんどは下級悪魔の子弟だが」
「そうなんだ」
魔界にも青田刈りがあるとは知らなかった。抜け目のない主人は他階層や人間界にも目を光らせ、将来役に立ちそうな逸材を、いち早く確保しているらしい。
「もっとも、成長して側近になれるのはほんの一握りで、力のないヤツは途中で塵と化すのが落ちだ」
「やっぱり、実力主義の魔界で生き残るのは厳しいんだね。。」
一握りの勝ち組に入るため、DEATH夫が修行を極めた証が、一撃必殺の戦闘力と夥しい傷であろうことは、白鳳にも容易に想像がついた。
「大したことはない」
「ううん、男の子モンスターなのに、上級悪魔の側近まで昇進したのは凄いよ」
尊大な態度で怒りを誘う場面も多々あったが、数々の悪条件を克服して、異例の抜擢を受けたのは本人の努力の賜物だ。事の是非はともかく、白鳳は素直に感嘆した。魔界での成果を手放しで褒められ、満更でもなかったのか、DEATH夫は険の取れた面持ちで付け加えた。
「出世や地位には端から興味ない。ただ・・・・・」
「ただ、何?」
紅唇に聞き返され、DEATH夫ははっと口をつぐんだ。
「少々しゃべり過ぎた」
「途中まで言い差しておいて止めるなんて〜」
核心に迫る発言が聞ける予感がしたのに、催促したせいで中断され、白鳳は無念さに両の拳を握り締めた。が、下手に追及すると逆効果だと悟り、速やかに話題を切り替える作戦に出た。知りたいことは他にも山ほどある。
「じゃあ、ご主人様が来ないのなら、DEATH夫の面倒は誰が見たのかな」
普通の男の子モンスターはわずか1日で成長するが、はぐれ系の中には能力の高さと引き換えに、成長の遅い個体もおり、彼もその類だとフローズンに聞いたことがある。ならば、よちよち歩きの頃は大人の庇護が要るはずだ。
「屋敷の老執事が世話をしてくれた」
白鳳好みの”いい生活”とはほど遠いけれど、館に部屋はもらっていたようだ。DEATH夫のことだから、幼少時から過激なくらい腕白で、穏やかな爺を困らせたのだろうか。はたまた矍鑠たる老戦士に厳しく仕込まれたのだろうか。いずれにしても、逞しい子供時代が脳裏に浮かび、微笑ましくなって来る。
「ご主人様は」
「たまに来た」
「ふぅん」
週に一度か月に一度かで”たまに”の意味合いが大分異なって来るが、さすがに問い詰める度胸は出なかった。神風を頼りにしているが、出来るだけ彼の手を煩わせないで済ます気持ちはある。思い出に浸る様子もなく、そっけなく答える死神をぼんやり見つめる白鳳だったが、ふとある可能性に気が付いた。
(側近になれば、常にご主人様の近くにいられるじゃん)
なにしろ側で仕えることが仕事なのだ。もう、いつ訪れるか分からないマスターを、やきもきして待つ必要はないし、接する機会もぐんと増えることは言うを待たない。万が一、白鳳が同様の立場に置かれたら、大好きな人に認められるべく、死に物狂いで頑張るはずだ。そこまで考えると、にわかに途切れた会話の答えが見えて来た。出世ばかりか、富や名声にも関心がない者を奮い立たせる原動力は、何かへの強烈な想いに他ならないのだから。




推測も含め、実態を知れば知るほど、白鳳は直前までの決意をころっと忘れ、どんどんDEATH夫に感情移入して行った。
(うう・・・外面とは裏腹に健気なコ。まるで私みたい)
ブーイングの嵐が見える、図々しい感想を心で付け足し、白鳳は鴨肉の最後の一切れを口に運んだ。一足先に食べ終わったDEATH夫は、しばし所在なさげにしていたものの、空っぽになった皿に視線を落とすと、ゆっくり切り出した。
「フローズンの言う通り、俺も現実を冷静に見据えた方がいいんだろうな」
「現実って」
「この先、いくら旅を続けても、あいつと直接対峙しない限り、魔界へ戻るのは無理だ」
本来の能力を取り戻さないまま、強引に乗り込んでも、凄まじい瘴気に当てられ、数分と生存していられまい。DEATH夫が帰還するためには、マスター自らの手で解呪してもらうことが必須だった。しかし、気まぐれで下界を訪れる主人に邂逅するには、限りなくゼロに近い偶然にかけるしかない。
「弱気になるなんて、DEATH夫らしくないねえ」
軽い調子で言いかけたが、DEATH夫の寄る辺ない気持ちは痛いほど理解できた。出口の分からぬ闇の中を進む行程の辛さは十分身に染みている。弟や従者の支えがなければ、とっくに挫けていただろう。
「些細なしくじりで破滅する連中を目の当たりにしても、自分だけは特別だと思っていた。・・・愚かな話さ」
「危機を救いに来たのは、DEATH夫を忘れていない証だよ。いつか、必ず会いに来るって」
獲物が弱ったところに乗じ、搦め手で逃げられなくするのがお決まりの得意技なのだが、大切な同行者の苦悩につけ込めるはずがない。落胆しているのなら、何とか励まし、力付けてやりたい。
「いつかっていつだ」
「そ、それは・・・」
DEATH夫が真剣だからこそ、無責任な気休めは言えなかった。はぐれ系なので一般の男の子モンスターより寿命は長いが、時間的制約があることは否めない。
「お前らと過ごす、安穏で退屈な日々も慣れたら、悪くないかもしれん」
「そりゃあ私たちは大歓迎だけど、DEATH夫はそれでいいの?」
白鳳団での生活を受け容れてくれたことは嬉しいが、DEATH夫に妥協を望んではいなかった。方向は違えど、針の穴と紛う出口を探す者同士、手探りでも一歩ずつ前進して行こうではないか。だが、DEATH夫は白鳳の問いには答えず、不意に遠くを見るごとき眼差しをした。
「俺が一生を賭けたところで、あいつにとってはほんの一瞬でしかない」
「DEATH夫」
「つまらんな」
最後にぽつり呟くと、DEATH夫は自嘲気味に薄く笑った。
「諦めちゃダメっっ!!!!!」
「!?」
キャンドルの灯が消え去るほどの白鳳の剣幕に、金の瞳が珍しく丸く見開かれた。
「思い切るのはいつだって出来る。まずは現状可能なあらゆる手立てを尽くしてみよう。私も全面的に協力するよ」
「本気で言ってるのか」
「もちろん!!」
勢いできっぱり断言したが、フローズンを説得するには一山も二山もありそうだ。まあ、後で神風にでも相談しよう。
「それに、たとえどんな結末を迎えようと、パーティー全員にとって、DEATH夫は掛け替えのない存在だから」
万が一、最悪の場合でも、彼を待つ仲間たちがいる。もう魔界しか居場所がないなんて言わせない。ひたむきな熱い思いを緋の虹彩に込め、白鳳はDEATH夫を真っ正面から見つめた。ひとしきり絡み合う鮮やかな視線。
「・・・・・分かった」
「ねっ、だから元気出して」
「お前は良いヤツだ」
「え」
出会ってからかなりの年月が経過したが、初めてDEATH夫の素の笑顔を見た。ようやくマスターの”マ”くらいには評価された気がして、胸の奥がほんわかしたけれど、考えたら良い人=恋愛対象外ではないか。白鳳は己が最悪のポジションに陥ったことを悟り、愕然とした。
(し、しまったあっ!!またもや同じ過ちを。。)
従者たちの揺るぎない信頼を得れば得るほど、愛人関係からは遠ざかる一方だ。理想的なマスターと、極上の愛人は結局、両立しないのだろうか。喜びと悲しみが胸中でない交ぜになったまま、白鳳はデザートのレモンシャーベットに口を付けた。ピールが殊更酸っぱく感じ、目尻にちょっと涙が滲んだ。



TO BE CONTINUED


 

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