*ご主人ちゃま物語・渚カヲル編〜2*
カヲルのマンション自室。時間は11時、テレホタイム突入である。
「インターネットはいいねえ。インターネットは心も知識も潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。」
そこに台所からエビちゅが駆け込んできた。
「カヲルちゃま、カヲルちゃま。もう、11時過ぎでちゅ。早く寝ないとまた寝過ごしまちゅよ。一昨日も寝坊ちてシンジちゃまと一緒に登校できなかったって、ぶんむくれていたじゃないでちゅかあ。あ、そうそうあの日シンジちゃまはアスカちゃまとレイちゃまに囲まれて、まさに両手に花!の楽しい登校タイムだったそうでちゅよ。」
カヲルにとって最悪の出来事を、まるでかまんべーるちーずを目の前にしているかのような嬉しげな顔で明るく話すエビちゅ。
さすがは脳みそ3グラムである。
「両手に花・・・・・ね。ふっ、忘れる事ができるから人は生きていけるのさ(TT)。」
「やっだなあ、もお。カヲルちゃまは人じゃなくて使徒じゃないでちゅか。
だ・か・ら・忘れることはできないんでちゅっ。」
目一杯カワイク言ったエビちゅであるが、もちろんこの後カヲルに必殺コンボを御見舞されるのであった・・・・・。
「すんすん(べそかきながら)・・・・インターネットってそんなに楽しいんでちゅか?」
「そうだね。何しろ居ながらにして世界中の情報が入手できるし、個人のサイトもそれぞれ作成者の個性が出ていて面白いよ。ここのくだらないページとは大違いさ。気に入ったページは登録しておけば次回からはすぐにアクセスできるしね。」
「でもカヲルちゃま、エビちゅ知っていまちゅよ。」
「何を?」
「カヲルちゃまのお気に入りに登録してあるサイト、実は8割がエヴァやおいページなんでちゅよな。」
「ぎくっ・・・・・。」(^^;)
あんなにカッコつけてインターネットについて語ったのに、自分のネット使用動機の核心に迫る秘密をいきなりねずみに暴かれてあせるカヲル。いつもの微笑みはたやさないが、どことなく目に落ち着きがない。
「ははははは・・・・・いやだなあ、8割だなんて。せいぜい7割くらいだと思うよ。」
おまけに墓穴を掘るようなこの受け答え。渚カヲル、実は相当動揺していると見た。
「なーに言ってんでちゅかあ、カヲルちゃま。8割も7割も50歩インポでちゅ(^0^)。」
「それ・・・・・50歩100歩だろ・・・・・(ーー;)。」
「そう言えば、今週の日曜にシンジちゃまとアスカちゃまとレイちゃまが遊びに来るんでちたよな。」
「ぼくはシンジ君だけを誘ったのに、なぜかあの女たちまで一緒に来ることになってしまったんだ。全くどこまで僕たちの純愛の邪魔をしたら気が済むんだ。」
やおいページを登録しまっくてるくせに、よくもまあぬけぬけと言えたものである。
「僕の新品のパソコンを見たいとかなんとかうまいことを言って、その実は僕たちを二人っきりにさせまいと企んでいるのさ。ホントにどこまで底意地の悪い女たちなんだ。」
「シンジちゃまと二人っきりだったら、カヲルちゃまはどうするつもりなんでちゅか?」
「もちろん、やおいページの実践さ。」
「じ、実践といいまちゅと・・・・な、生やおいでちゅな。」
妙に真剣な顔になるエビちゅ。
「エビちゅ、ちんことまんこの結合についてはいつも向こうのご主人ちゃまのところで見ていまちゅけど、ちんこ同士の結びつきはまだ見たことがありまちぇん。後学のためにぜひ見ておきたいでちゅ。」
後学って・・・・・・。
「ところで、ちんこ同士だとどうやって一つになるんでちゅか?」
「なんだ、君知らないのかい?それはね・・・・・・」
ちょっとはにかみながら、エビちゅに耳打ちするカヲル。アスカとレイがシンジの身を案じて、カヲルの家に押しかけることになったというのは疑う余地もなさそうだ。
「なあんだ。それなら、向こうの世界のご主人ちゃまとかいしょなちもよくやっていまちゅよ。」
カヲルのささやきが終わるか終わらないかのうちに、エビちゅは清清しくこう言った。
「えっ、そうなのかい。あれって男女間でもアリなの?」
「んもおー、カヲルちゃまってばまだまだコ・ド・モでちゅな。」
ねずみのくせに得意げにいうエビちゅ。
「ちんこまんこで満足しているうちは、まだまだヒヨッ子でちゅ!ケツの穴にちんぽ入れる工夫もしないで何が愛でちゅか!まさしく血の滲むような思いをちてこそ真実の愛に到達できるんでちゅ。」
こんなこと力説されても・・・・・・。ねずみだし。
「そ、そうだったのか。知らなかったよ、リリン。僕もまだまだ甘いな。」
しかも何だかカヲルは感銘を受けてるし。
「でも、どうせ日曜はシンジちゃまと二人っきりにはなれないんでちゅから、こんな事いっくら考えても無駄でちたな。」
カヲルのスペシャルコンボ、エビちゅに炸裂。
「それにしてもみんながカヲルちゃまのパソコンを見に来るんだとしたら、このブックマークはちょっとマズイでちゅな。」
「確かに・・・・・僕の知的でエレガントで爽やかで清純なイメージに傷が着きかねないね。」
「ええっ、カヲルちゃまのイメージってホモの使徒じゃなかったんでちゅか?」
「・・・・・殺すよ。(予告)」
微笑みながら過激なセリフを優しげに言うカヲル。
「ま、待ってくだちゃい。カヲルちゃまに良い情報があるんでちゅ。」
「この間みたいに新宿2丁目の店とか言うんだったら、即座に予告を実行するよ。」
「ち、違いまちゅ。絶対お役立ちの情報、やおいページをいっくら見ても
その痕跡を全く残さない方法でちゅ。」
エビちゅも自分の命がかかっているので必死である。短い手足をバタバタさせながら、カヲルの目をじっと見て訴える。
「えっ、本当にそんな方法あるのかい?」
「ありまちゅ、ありまちゅ。極秘でちゅけど、カヲルちゃまにだけ特別に教えてあげまちゅよ。」
というわけで、ここから先が「家族や友人にばれないやおいサイトの利用法」です。
(この部分は日経ネットナビ1998年12月号74ページの記事を参考にしています。というより殆どそのまま。ごめんなさい日経BPさん^^;)
1.瞬間アプリケーション切り替え法
「カヲルちゃまが熱心にやおいサイトを見てるときにもしシンジちゃまに入って来られても、もう安心の素晴らしい術でちゅ。」
「僕は別にシンジ君になら見られてもかまわないんだよ。むしろ、彼にはいろいろと勉強してもらわないとね。ハッキリ言って、
僕下手な人は嫌いだから。」
「・・・・・そ、そうでちゅか。とにかく説明しまちゅ。まず、前もってフツーのアプリケーションを立ち上げておくんでちゅ。」
「この、レポートの文書とかがいいかな?」
「いいでちゅね。それからインターネットに接続してお目当てのサイトを見るんでちゅ。」
「で、もし誰か入ってきたら・・・・・」
「その時は、これでちゅ!」
エビちゅ両手を一杯に広げ、「ALT」キーと「TAB」キーを同時に押す。すると、画面にアプリケーション切り替えの小さいウィンドウが現れた。
「そして、ここでALTは押したままでTABキーから指を離すんでちゅ。」
エビちゅの場合は手だが。
「ああ、ここで前面に出しておくアプリケーションを選択するんだね。」
「そうでちゅ、そうでちゅ。」
「ふーん、コレは結構使えるかもね。」
「こんな技は、まだ序の口でちゅよ、カヲルちゃま。」
エビちゅ、えっへんモード突入。
2.ブックマーク偽名登録法
「カヲルちゃま、やっぱりこのお気に入りの登録名がまずいでちゅ。ホラホラこれなんかどっから見てもやおいサイトでちゅよ。」
「・・・・・ホントだね。何とかならないものかな。」
「あれだけこっ恥ずかしいセリフを臆面もなく言い放つカヲルちゃまでもやっぱり恥ずかしいんでちゅか?」
パンチ2発、まわしげり1発。
「ゲフッ、カヲルちゃま落ち着いてくだちゃい。エビちゅ、良い方法をお教えしまちゅから。」
「シンジ君の前での僕を本当の僕と思わない方がいいよ。」
「わ、判っていまちゅ。お気に入りのサイト名はこうやって変えるんでちゅ。カヲルちゃまは、IE使用でちたな。」
「そうだけど、とりあえずネスケのほうも教えといてよ。」
「IEは、お気に入りの追加で登録するときに名前を変更して登録すれば
いいんでちゅ。」
「もう、登録しちゃったのは?」
「お気に入りのページ上で右クリックすれば、変更可能でちゅ。」
「なるほどねえ。」
カヲルの機嫌が直ってきたのを確認してホッと胸を撫で下ろすエビちゅ。
「じゃあ、ネスケは?」
「メニューバーのCommunicator-ブックマーク-ブックマークの編集を選んで、変更したいサイト名上で右クリックするんでちゅ。それから、プロパティを選択して名前を変えればOKでちゅよ。」
「いいこと聞いたな。さっそく変更しよう。」
エビちゅが得意げににじり寄ってきた。
「カ・ヲ・ルちゃま。こんな事もあろうかとエビちゅが登録名を変更ちて置きまちた。」
「えっ・・・・・・。」
背中に冷たいものが流れる。
カヲルは、大慌てでマイマシンのブックマーク確認作業に入った。
「・・・・・緑色のうぃんうぃん、むらさきのうぃんうぃん、シックスナイン、そうろう、ちろう・・・・・・・・・・」
「どうでちゅか?カヲルちゃまのブックマークはもうカンペキでちゅな。えっへん。」
パンチ12発、キック7発、とどめの裏拳でエビちゅは血の海に沈んだ。
3.隠しファイル作成法
「凄いでちゅな、この画像。ちんこ同士でもいやらしさはかわりまちぇんな。」
「いやらしいなんて失敬な。これは僕とシンジ君の崇高な愛の一シーンなんだよ。」
「だったら、この画像を日曜にアスカちゃまやレイちゃまと一緒に鑑賞できまちゅかあ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
フィフス、沈黙。
「大丈夫でちゅ。こんな時のためのエビちゅでちゅ。エビちゅは、あなたのねずみなんでちゅよ。」
「今のセリフ、シンジ君に言って欲しかったな・・・・・ねずみに言ってもらってもね・・・・・・。」
そりゃあそうだろう。
「画像ファイルを隠す方法をバッチリ教えまちゅ!」
「隠せるの?」
「お任せくだちゃい。まず、隠したいファイルのプロパティを表示するんでちゅ。それから属性のところの「隠しファイル」をチェックしまちゅ。」
「それで?」
「こんどはエクスプローラの表示メニュー-フォルダオプションの表示タブの詳細設定で「隠しファイルを表示しない」をチェックしてから、「現在のフォルダ設定使用」をクリックすればカンペキでちゅよ。」
「でも、そんなことしたら自分でも見られないじゃないか。」
「自分で見るときは「隠しファイルを表示しない」のチェックを外して、全てのファイルを表示するようにすればいいんでちゅ。」
手際よくヤバイ画像を次々と隠しファイルに変更していくカヲル。
「よし、これで日曜の準備は出来たな。」
「まだでちゅよ。カヲルちゃま。ブラウザーの履歴を削除しないと。」
「あ、そんなものがあったのかい。」
「目指すは完全犯罪でちゅ。」
「別に犯罪じゃないけど・・・・・ここまでやるとなんかホントに悪い事してるみたいだなあ。」
「全くでちゅ。ここまでしてやおいサイトが見たいんでちゅかね。もう、大笑いでちゅな。ちゅーはっはっはっは!!!」
3分後、エビちゅは下血していた・・・・・・。
4.ブラウザー履歴削除法
「じゃあ、まずはIEの方でちゅ。」
「君、丈夫だね。普通のねずみだったらもう4.5回は昇天してると思うけど。」
「なーに言ってるんでちゅか。首チョンパでも復活してるカヲルちゃまにはかないまちぇんよ。」
イヤな誉め合いである。
「表示メニュー−インターネットオプションの「全般」タブで履歴のクリアが出来まちゅよ。」
「ネスケは?」
「編集メニュー-設定で履歴のクリアをしまちゅ。あと、一時ファイルの削除をしておけばぱあふぇくとでちゅ。」
「ふう、これでやっと終わったね。」
「あとは日曜を待つばかりでちゅなあ。」
なんとなくなごんでいる一使徒と一匹。
「ところでカヲルちゃま、これも日曜のための準備なんでちゅか?」
そう言ってエビちゅが持ってきたのは、一目見て怪しい薬とバレバレの真っ赤な紙に包まれた粉薬と、すっごくラブリーなイラストが描かれたカセットケースを一回り大きくした位の箱だった。
「まあね。とっとと邪魔者を追い払い、そのあとはシンジ君と二人でヘブンズドアをあけてめくるめく愛の世界へ旅立つのさ。」
「じゃあ、いよいよケツの穴にちんぽを入れるんでちゅか?」
「君は、ちょっと即物的すぎるようだね。僕たちの愛はそんな下品なものじゃないんだ。」
「でもヤルことは同じでちゅよなあ。」
「・・・・・もうあっちへ行っててくれないか。」
すでにエビちゅは疎まれている。
「あ、そう言えばシンジちゃまはアスカちゃまをオカズにして一発抜いたんでちたよなあ。」
これはカヲルにとって禁句だった。
「・・・・・ほっほう・・・・・・。」(ワナワナ)
「やっぱりシンジちゃまの本命はアスカちゃまなんでちゅかな。ネット上でもこの二人のカップリングが一番多いみたいだし。結構お似合いでちゅよな。あの二人!」
明るく言い放つエビちゅの方を振り返ったカヲルの後ろにエヴァ量産機が9体並んで見えた。
「・・・・・殺すね。(決定)」
エビちゅ、全治1ヶ月。
TO BE CONTINUED
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