※実際に走り屋やってる彼らを使って映画を撮っていると言う設定になってます


小説 kiki様

+++実写版映画によせて  













同じ車内に高橋涼介が乗っている。
その事実に中里は息が詰まりそうな緊張を感じていた。


何度バトルを申し込んでも遠まわしに断られ続けていて、いっそ嫌われているかと疑いたくなるのだが、その疑いが長続きしないのはこうして必要以上の馴れ合いによるものだろう。
事実、赤城山をホームとする涼介のレッドサンズと中里の妙義ナイトキッズは、互いがホームとする山の距離があるにもかかわらず、こうしてチームごとつるむ事も多かった。
それは互いのチームリーダー達の行動に伴い、メンバーを引き連れてくるので致し方ないと言ったところ。
すでにレッドサンズのメンバーもナイトキッズのメンバーも互いの顔をよく知っている。

先日もチームメンバーを解散させた後で待ち合わせた秋名山で改めてバトルを申し込んだ時に、涼介は初めて現実的な条件を突きつけてきた。
涼介は北から、中里は南から。互いに他のチームとバトルをこなし、その勝敗の数を競おうと。
中里がその過程で自然と秋名最速と呼ばれる男を捜していた時、流れは大きく動き出したのだった。

自称秋名最速だと言う少年とのバトルは、いかにも素人風情。
助手席に他人を乗せて走るというヤツにあわせ、互いが公平な条件に揃うようにと涼介が中里の助手席に乗ることを申し出たのが始まりだった。

素人の少年は早々に自爆と言う形でケリが付き、それを境にGTRの中の空気が変わっていく。
もう、バトルは終わっている。
上で待っているチームメンバー達の元へ、Uターンしてもいいはずだ。





見られている。
コースに対するアプローチを。
ハンドルを回す腕を。
ブレーキとアクセルの間をせわしなく行き来する足元を。

その無言の視線を受け、熱くなる程のバトルでもないのに、肌はじっとりと汗を掻いていた。急激に重さを増した車内の空気をことさら無視して、中里が口を開いた。

「戻るか」

当然応じられるべき言葉なのに、返ってきたのは意外な応え。
それが一気に、作られた映画のワンシーンからはみ出させ、平行して存在する別な現実へ駆り立てて行く。
そして明らかに、この夜涼介はいつもよりおかしかった。
それに気づいていただけに、中里は早く上へと戻りたかった。このままこの空気に流されてしまうことに、本能的に恐れを感じていたのだ。

「いや・・・このまま走ろう」
「なぜ」
「だってお前・・・見て欲しいんだろう」
「な・・にを」

走りの事だ。他意はない。
つい、過剰に反応して言葉がかすれた自分を恥じながら中里は体裁を立て直すようにハンドルを握る腕に力をこめた。
しかし
「二人っきりだ。誰に見られる心配も無い」
「バッ・・!!集音マイクが付いてるだろうッ・・・!インカムが・・・」
ごく普通のドライビングの事を話題としているにはおかしなニュアンスが語尾から感じられ、中里はやはりあわてて現実に気を配った。
しかしどういう積もりか涼介はそんな事などまるで関係ない風に話を進めようとする。
「どうせここはもう絵を取るだけだ。車内の会話など必要じゃないさ」
「だからってなァ!音取りに必要じゃなくたって、インカムで拾ってる会話は上に筒抜けなんだぞ?!」

映画の収録半ば、今夜は丁度このシーン取りでお開きとなる予定だった。
樹とのバトル開始のシーンにOKが出て、S13が絶妙のタイミングで自爆。それを回り続けるカメラの前で、うまく交わしたと思う。
おそらく撮影はOKでてるハズだ。上では機材の撤収が始まっているだろう。

「撮影は終わっただろう。ここから先は自由にさせてもらうさ」
「FCはどうすんだ」
「俺のFCに手を出すヤツはこの辺にはいないだろう。後で取りに行くにしろ、何も心配はないさ」
中里はごくりと唾を飲んだ。まさか、S13を交わした後にこんな展開が待っているとは思いもしなかったからだ。

確かに涼介とのバトルは映画を抜きにしても憧れには変わらなかった。
自分が知る中でもっとも速い男だろう、と目標にしてきた男。その涼介がじかに助手席に座り、自分のドライビングを見ているとあっては意識せずにはいられない。
しかも涼介の方はいつに無く、含むような物言いで中里へ絡んでいるように思う。

撮影はOK出ているかも知れないが、俳優二人が現場に戻らずそのままづらかると言うのはまずかろう。
この空気から逃れたくて、中里はもう一度現実に返ろうと試みた。

「涼介、とりあえず上に・・・」
「誘ったのはお前だ」
「 ! 」

GTRの挙動が明らかに乱れた。
しかし涼介はそれについてなにも語らず、それどころか表情一つ変えぬまま暗い闇へと続く道を見据えている。

「誘…ってなんか・・・」
直に視線を感じる以上に、隣からのプレッシャーをひしひしと感じる。
この男に、そんな言い方をされると酷く心が乱される。
バトルと言う意味で取ればなんて事ないその言葉も、一般には男同士で使われる言葉では無いと言う概念からすれば気にもならないこと。
しかし、自分は違う。
そして違うと言う事を知られている相手。

「もちろん、バトルと言う意味で」
言葉とは裏腹に、その態度はそうは言ってはいなかった。

「涼、介。この会話は筒抜けに・・・」
「所詮無線だ。もう圏外だろう」
「何す・・・っ!!」
不意に伸びてきた手が耳元に触れ、たかがインカムを外すだけにしてはおかしな動きを見せて離れる。
耳から外した小型の通信機を無造作に後部座席へ放ると涼介は初めて視線をこちらへ向けた。
整った顔立ち。
映画で共演するようになって、この男の容姿をまざまざと見る事になって知った。
柔らかそうな笑みを見せるその顔に、闇のような瞳。
その奥で揺らめくこの男の本質。

目が合った。
―――捕らわれる。

「見せてみろ。中里」

ドクン

「本当は、見て欲しいんだろう?」

ドクン

「・・・俺とバトルがしたいんだったら」

囚われる―――

「だったらお前のすべてで―――俺を誘って見せろ」





その夜、涼介と中里は撮影スタッフの元へは戻らなかった。










ごめんなさい。終わっときます(汗)







くああああ〜///(≧∇≦)!!っっああうっ
素敵な涼中小説を、ありがとうございました!!
何かもう、エロいっす!めちゃドキドキさせられてしまひました(照)//
ああ〜エディ涼介のあの妖しい視線がよみがえります〜vvv
中里のビビッってる可愛い表情も(〃∇〃) //追い詰められる感じがたまらないです//

映画では、あんなに何度もバトルを申し込んでる中里でしたので
いっそ片思い?とも思ったのですが、それにしては、涼介が中里にべったり。
特に樹との秋名でのバトルシーンでは、涼介は用事も無いのに秋名にいましたし(笑)
中里とバトルする気全然無さそうだし、樹とのバトルがあるともイマイチ知らない感じ
だったのに、チーム引き連れてまで、何しに秋名に来てるんだ!涼介!
そして、あんなに意味もなく一緒にいるナイトキッズとレッドサンズが
一度もバトルしたことも無いなんて!!一体どういう繋がりなんだ!!(笑)
と、ずっとずっと疑問だったのです//

それが、このお話でナゾまで解明していただいてます〜!//
『実際に走り屋やってる彼らを使って映画を撮っている』
設定のお話な所がまた実写イメージでカッコ良いス!vvv

続きもいただいておるのですvvv(≧∇≦)お楽しみにっ!vvv

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