ヴァン幸せルート小説 11











ええっと、何だっけ… 
あ、歯を立てるなだったっけな…

ガイはヴァンの指にゆっくりと舌を当て、どう動かせば良いか試行錯誤するほどには頭の回らないまま、ぴちゅり…と濡れた音を立てた。
やれば出来るような気がしていたのだが…。
指に舌を這わせながら、
何やってんだろ俺… とも思わないでもなかったものの。
ヴァンが指を舐めるのを咎めてこないので、けっこう巧く出来ているのでは…?と思ったりしていたガイだった。

…けれど…

「……………ン…」
アレに比べたら余裕があるはずの指相手でも、次第に顎と舌がダルくなってきてしまった。

ヴァンは毎回余裕で色々やってきたのに…
しつこく、このヘンとか…舐めてきて…

つい思い出してしまったヴァンの手順の記憶は、深い所から沸き上がってくるような震えと共に、まるで今触れられているかのようなリアルな感触をガイに感じさせていた。
自分の舌の動きに、記憶の中のヴァンの舌の動きがシンクロする。

「ン…っ」

たまらずに鼻にかかった甘い熱を持った息を、ガイは小さく吐いた。




一方のヴァンは、ぺろぺろと指を舐め始めたガイに驚いて固まっていたのだが、

「ガイラルディアさま…」

たどたどしい舌の動きで賢明に奉仕する姿に、とにかく感動しきっていた。
最初は懸命に歯を立てないように努力している風だったのだが、すぐに疲れてしまったのか、ぼんやりと舐め始めてから時折当たる歯もガイラルディアのものであれば愛しいばかり。
けれど

「ンン…」

だんだんに息を上がらせてきたガイが、頬を紅潮させながら、甘い音色の吐息を漏らす。
伏せられた金色の睫から頬や鼻梁への完璧なライン。
張りのある健康的な肌に…薄い桃色の唇。そして指に這わせる濡れた紅い舌が。

それだけで誘うには十分過ぎていて。

「っ 申し訳ありません…これ以上は」

我慢ができなかったとしても、ヴァンは悪くはないのだった。

「…ぇ?」

舐めていた指をやんわりと取り上げられて、ガイはぼんやりする頭で、やっぱりあんまり上手では無かったのだろうか…と考えていた。

期待外れそうなヴァンの顔を想像しながら、ガイは視線をゆっくりと少し上にあるヴァンへと向け…

「ぁ……」


その、何とも表現のしようのない、熱の込められた視線をまともに受けて、ガイは身体を硬直させた。

なんだよ、そんな目で…
そんなのは…

「ガイラルディア様…」
先ほどまでガイが懸命に舐めていた指が、もう一度ガイの唇に触れる。
「ぅ……」
濡れた親指が、ガイの唇に触れると、そのままゆっくりと歯列を割り、舌の上にと飲み込ませると…
「んっ…ぐ…」
ヴァンが舌に乗せた指に少し力を込めて押さえるようにしてから、別の腕でいつの間にか腰を強く抱き寄せて。
視線をゆっくりと絡ませながら、顔を近づける。

その視線におののきを感じながら、ガイは少しも逃げることが出来ないで。

舌を指で押さえられたまま、ヴァンの唇が被さってくる。口を強引に開かされて、動きのとれない舌をヴァンの舌がべろりと撫ぜた。
「んっ…っフ…ぁっ…む…」
びくりと跳ねる身体を強く抱きしめられたまま。互いの熱い息が混じり合う。
「んんっふ…」
気づけばガイもヴァンの首に腕を回して、口づけに応えてしまっていた。

いつの間にかベッドにと押し倒されていると気づけば、ヴァンの唇が身体を這うのに邪魔をする衣服もけっこうな勢いで取り払われてしまっていて。
ヴァンの熱い掌に包まれたソコがもう既に果てそうなくらいに高ぶっていたことも、ガイには良く分からない。
熱くて頭がクラクラする。
唇に含まれていくらも経たないうちに
「あっんっ…や! あ、ア! ア!!」
びくびくと身体を跳ねさせながら、ガイがたまらず精を吐き出す。
熱く濡れる下肢をそのままに、弛緩したがるガイの身体をヴァンは許そうとせずに、
「!ひ…… ゃっ」
「大丈夫です…力を入れないで…」
ぬるり…とガイの中に指をゆっくりと差し入れる。

指一本ならさして苦痛でなかったことをガイは先日経験しているので、ヴァンの背に腕をしっかりと回し直して、その感覚を頑張って耐えようとした。
馴染ませるように動きはじめた指が、ガイの敏感な部分を押すように刺激を始める。
「ん……ぁ…ァ…ア! ヤっ…だ…ソコ…」
果てたばかりの身体を強引に高ぶらせるような刺激をガイは嫌がったが、ヴァンはその抵抗すら楽しむように指を蠢かした。

可哀想なガイラルディアのあげる、甘い小さな悲鳴が心地良い。
まだ慣れない感覚に侵されるのを、ヴァンにしがみつきながら耐えている。
この身体を早く全て我がものにしたい。
己の全てを無理矢理受け入れさせてしまいたい。
そんな暴力的な願望が隠しきれなくなりそうだった。



「んんっ……っく…」

指に絡みつく蠢きから緊張が抜けてきたようだと感じると、ヴァンは中に入っていた指にもう一本指を添えて、入り口にゆっくりと進入させようとした。

じわりと増す圧迫感に、ガイはとまどいつつも、何が起きているのか具体的には分からなくて、身体をひくりと緊張させるたびに、ヴァンに力を抜くよう甘く窘められた。

それだけでもうガイは何だかくたくたに疲れてしまっていて、だんだんに力が抜けて、くたりと頭をヴァンの肩口に埋めた。

その身体の密着の仕方の可愛らしさにもヴァンは心震えて。

「申し訳ありません… 少しだけ… 試してみても宜しいか」
「?」

くるりと身体を軽々反転させられ、うつぶせにベッドに寝かされたガイは

「えっ……」

背中に覆いかぶさってきたヴァンの腰がガイの双丘に押しつけられ、

「イ…!」

指の動きが入り口を強引に広げるようなものになってガイが違和感を堪えられなくなる前に、

「ヒ! …!! や!やめっ…!」

入り口に強烈な違和感が与えられて、ガイの顔色が一気に変わる。
背中を緊張でしならせて、何とか逃れたくて足掻こうとするのだが、ヴァンの厚い胸板にベッドに押しつけられてしまうばかりで

このまま強引に全てを受け入れさせられるのではないのかと、ガイはたまらず怖がった。

「やっだ…い……痛」
「申し訳ありません。…少しだけ、入り口だけけです…全ては入れませんので少しだけご辛抱を」
「ひっ……う…」

懇願するような声音にガイも何とか力を抜こうとした。
けれど、入り口だけというのにかなりの圧迫感だった。動かれなければ最初に感じた痛みは薄れていくようでそこは安心したのだが、

でもやっぱり、こんなの全部入れようなんて絶対無理だ!

と、涙まじりで焦る頭でガイは認識を新たにしてしまったのだった。


きゅうきゅうと締め付けるまだ狭く初々しい反応にヴァンはたまらず腰を進めたい欲求にかられるけれど、その度にガイの鳴き声まじりの悲鳴が痛々しいのが、けれどやはりヴァンの雄を煽ってしまい。

二人共に別方向の我慢を強いられるという、なんとも苦しい状況になってしまったりしていた。

ヴァンとしてはこのまま強引にでも腰を進めて、ガイに全てを受け入れさせたかった。
けれどガイのそこは全てを受け入れさせるにはまだ慣れが足りていないのも事実で、強引に進めればかなり痛い思いをさせてしまう。

譜歌ですぐに治療はできるものの、その後の行為に不信感を与えてしまうことになる。

ヴァンとしてはガイには身体も気持ちも慣れてもらってから、できれば毎晩でも相手を願いたいという計画だったりして、それをガイが知れば必死に逃げだそうとするかも知れないのだが。
できるだけ理想に近く…と虎視眈々と願望を叶えるつもりのヴァンだった。

計画のためならば…と、何とか理性が勝利したヴァンは、腰を進めるのを思いとどまることが出来た。
さすが伊達に首席総長などやっていない。

ガイの腰を少し浮かせると、痛みに大人しくなっていたものを掌に納めて、ゆるゆると刺激を与えた。
入り口を圧迫していたものが抜かれると、ガイはあからさまにほうっと息を吐き、掌の中のものも敏感に反応しはじめた。

「ンっ………ヴァ…ン」
「共に…。少し足を閉じるようにしていただけますか? そう、お上手です」
ヴァンは後ろから覆い被さったまま、少し身体を斜めに傾けると、ガイの足を揃えさせ。
「あ………ァ…」
ぴったりと閉じた足の間に自身の高ぶりを納めると、敏感な部分に強く押しつける刺激をゆっくりと次第に速さを増しながら与えながら、強く腰を使った。
それと同時に掌の中のものにも腰の強さとは違った繊細な刺激を与えたので

「ア! ア! はあ! やっ…ヴァ…」

ヴァンが満足に果てるまで強弱を加減されたり、ガイが果てそうになれば根本を押さえられたり、それでイヤがって泣けば言葉では甘く宥めてくるのに全然行為を改めようとはしないヴァンだったり。

最初の危機回避策はすっかり裏目となって、ガイはいつも以上に散々喘がされてしまったのだった。












「ルークがまだ小さい頃、一人で寝るのがイヤだとか駄々をこねて、俺が添い寝してやったこととかよくあったよなー」

明るい日差しの射すテラスでそれぞれにくつろいでいる中、ガイはそんな昔話を、ちょっと遠い目をしながらルークに話しかけた。

「え? うー…まあそんなこともあったっけな。突然なんだよガイ」

いきなりな話題だったので、ルークはちょっと戸惑いながら返事を返す。

「久しぶりに、今夜一緒に寝ないか」
「はあ!?」
「ルークが嫌なら別にいいんだ…」
「い…嫌なんてことは全然ねーよ! ガ…ガイがそうしたいっていうなら、俺はその…良いし…」

成長してしまってからは小さい頃みたいに添い寝を頼むなんてことは出来なかったのだが、この旅で仲間たちと雑魚寝する時はルークは必ずガイの隣で。
その度にとてもドキドキしていたことは、ガイには内緒だ。

だからガイが一緒に寝たいと言ってくれることは、びっくりはしたけれど、すごくすごく嬉しい申し出だった。

でも言い出したガイはちょっと遠い目をしたままだし、何かちょっと疲れているような、目の下になんとなくクマがあるような…?

隣に座っているヴァン師匠も、何だかヘンな表情になってしまっているし。

こんな時ジェイドがいたら色々話しを聞き出してくれそうなのだけれど、でもとにかく嬉しいのでまあ今夜にでも聞いてみたら良いか、とルークはとりあえず幸せを受け入れることにした。


ジェイドが戻るまでの数日は、それなりに自由な時間を堪能できるということで、ティアとナタリアは既にガイドブック片手に美味しいケーキのカフェに出かけてしまっている。

「ご主人様 なんだか嬉しそうですの!」
ルークの気持ちの変化に聡いミュウが嬉しそうに高い声をあげる。

そうだ、今夜はコイツはティアにでも預かっといてもらおう…
とルークは考えたりしていた。

一方ヴァンは…

やはりまだガイラルディア様には昨夜の行為は早急だったか…

と、遠回しに今夜の行為をガイに拒否されたことにショックを隠せないでいたりした。
まあ自業自得なのだが、ヴァンとしては今夜は大人しく譲歩することで油断をさせて、明日の晩は必ず続きを……
と、計画遂行に余念がないのだった。



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